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第77話 車輪に巻き込まれるな 壱
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窓の外から太陽の光がベッドに差し込んだ。ぼーっと天井を見上げると、スズメの鳴き声が聞こえる。まるで猫のしっぽのように、パタンパタンと腕を上げ下ろしする。特に意味はない。迅は、最近の除霊の仕事の忙しさにゆっくり休めなかったため、朝の寝坊がいつも以上に長めにとっていた。今は、鬼柳がいない中、誰も強制的に起こしに来ることはない。バディを組むのは白狐兎。のんびりゆっくり過ごせる。貴重な眠りの時間。平和に過ごせると思っていた。
目を閉じて、パッと上を見上げた瞬間。
真っ白い天井がなくなっていた。
あれ、ここって青い壁紙が貼っていたのか。雲の模様が描かれた壁紙か。いやはや、カラスやマガンが空を飛ぶ壁紙か。いやいや、家の中にいるというのに、風が冷たくて、外にいるみたい。ストーブのスイッチを入れようかと上半身をベッドから起こした。
「……迅、仕事だ」
何事もなかったように、リビングに白狐兎がいた。どこから入ってきたのか。玄関は厳重に二重のかぎをしていたはず。明らかに鍵はしっかりかかっていた。一体どこからか。あたりを見渡した。さっきの天井は夢じゃない。そう、迅の住むアパート2階建てで角部屋。205号室。想像を絶するくらいに屋根が破壊されて、屋根が窓のように丸く切り取られていた。夜になったら、プラネタリウムのように星空観察できるな。ものすごく寒いけども。
「星空観察なんかできるか!? 我、何してくれとんじゃー、あほんだら!! 賃貸アパートぶっ壊してんじゃねぇよ、白狐兎!!」
額にたくさんの筋を作りながら、ぼろぼろになった天井壁を片付け始めた。イライラしながらも、大家さんにどういわれるか涙がとまらない。
(俺、もう、ここに住めないかも…………)
「わ、悪かった。つい、力が有り余って……」
「悪いだ?! 極悪人だ。出てけ。お前なんか、バディなんかなってやるかーーー」
そうこう言ってるうちにTシャツ短パンの薄くパジャマ代わりの服装のまま、迅は 烏兎翔に首根っこをつかまれて、空を飛んでいた。有無も言わせない。出勤しなければならないようだ。いやいやながらも、強烈な妖力が伝わってくる。
「式神、助かる。恩に着る」
白狐兎は手を合わせて、 烏兎翔にお礼を言う。アパートの建物を壊すことしかできなかった白狐兎は、迅を連れ出すところまで考えていなかった。鬼柳が苦労して、迅を連れ出してきてるぞと九十九部長からアドバイスを受けていたが、面倒になったら放置して一人で除霊に行くつもりだった。式神カラスの烏兎翔がどこからともなく現れて、迅を連れ出すということは、今回の妖怪はだたものではないなと予感する。
「肝に銘じろ」
と烏兎翔の下にたれさがる迅は
「……服くらい着せろ」
とつぶやくと、ため息をついて、白狐兎はパチンと指をならして術を唱えた。迅の催眠をかけて、いつもの長袖シャツとジーンズを着てるふうを装った。まやかしの術だとわかった迅は、すぐに本物の服に術返しをした。
「ふーん、やるじゃん。サンキュー」
「な?!」
白狐兎は迅に恥をかかせようと思ったが、術返しされて苦虫をつぶした顔をした。
「ふざけてる場合じゃない!!」
烏兎翔は翼を勢いよく、動かして、妖怪が出たという大きい神社の現場に向かった。 妖力が強すぎて、移動するたびに鈴音とともに頭痛がしている。
立ち去った後の迅の部屋は天井が抜け落ちて、風がびゅーびゅー吹きすさんでいた。たまたまアパートの掃除をしに来ていた高齢者の大家は、あまりにも信じられない光景に腰をぬかしてパタリと倒れた。
目を閉じて、パッと上を見上げた瞬間。
真っ白い天井がなくなっていた。
あれ、ここって青い壁紙が貼っていたのか。雲の模様が描かれた壁紙か。いやはや、カラスやマガンが空を飛ぶ壁紙か。いやいや、家の中にいるというのに、風が冷たくて、外にいるみたい。ストーブのスイッチを入れようかと上半身をベッドから起こした。
「……迅、仕事だ」
何事もなかったように、リビングに白狐兎がいた。どこから入ってきたのか。玄関は厳重に二重のかぎをしていたはず。明らかに鍵はしっかりかかっていた。一体どこからか。あたりを見渡した。さっきの天井は夢じゃない。そう、迅の住むアパート2階建てで角部屋。205号室。想像を絶するくらいに屋根が破壊されて、屋根が窓のように丸く切り取られていた。夜になったら、プラネタリウムのように星空観察できるな。ものすごく寒いけども。
「星空観察なんかできるか!? 我、何してくれとんじゃー、あほんだら!! 賃貸アパートぶっ壊してんじゃねぇよ、白狐兎!!」
額にたくさんの筋を作りながら、ぼろぼろになった天井壁を片付け始めた。イライラしながらも、大家さんにどういわれるか涙がとまらない。
(俺、もう、ここに住めないかも…………)
「わ、悪かった。つい、力が有り余って……」
「悪いだ?! 極悪人だ。出てけ。お前なんか、バディなんかなってやるかーーー」
そうこう言ってるうちにTシャツ短パンの薄くパジャマ代わりの服装のまま、迅は 烏兎翔に首根っこをつかまれて、空を飛んでいた。有無も言わせない。出勤しなければならないようだ。いやいやながらも、強烈な妖力が伝わってくる。
「式神、助かる。恩に着る」
白狐兎は手を合わせて、 烏兎翔にお礼を言う。アパートの建物を壊すことしかできなかった白狐兎は、迅を連れ出すところまで考えていなかった。鬼柳が苦労して、迅を連れ出してきてるぞと九十九部長からアドバイスを受けていたが、面倒になったら放置して一人で除霊に行くつもりだった。式神カラスの烏兎翔がどこからともなく現れて、迅を連れ出すということは、今回の妖怪はだたものではないなと予感する。
「肝に銘じろ」
と烏兎翔の下にたれさがる迅は
「……服くらい着せろ」
とつぶやくと、ため息をついて、白狐兎はパチンと指をならして術を唱えた。迅の催眠をかけて、いつもの長袖シャツとジーンズを着てるふうを装った。まやかしの術だとわかった迅は、すぐに本物の服に術返しをした。
「ふーん、やるじゃん。サンキュー」
「な?!」
白狐兎は迅に恥をかかせようと思ったが、術返しされて苦虫をつぶした顔をした。
「ふざけてる場合じゃない!!」
烏兎翔は翼を勢いよく、動かして、妖怪が出たという大きい神社の現場に向かった。 妖力が強すぎて、移動するたびに鈴音とともに頭痛がしている。
立ち去った後の迅の部屋は天井が抜け落ちて、風がびゅーびゅー吹きすさんでいた。たまたまアパートの掃除をしに来ていた高齢者の大家は、あまりにも信じられない光景に腰をぬかしてパタリと倒れた。
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