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第47話 鼻高々の天狗 肆
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警視庁の詛呪対策本部のオフィスフロアが赤天狗と迅の戦いにより、書類やらデスクの上が散らかっていた。白狐兎は窓際で、口笛拭きながら、ぼんやりと様子を伺っていた。鬼柳は、迅がこぼしたクーラーボックスを慌てて拾い集めていた。未だに迅と赤天狗は鬼ごっこのように逃げ惑っている。大津と大春日は使っていたパソコンのモニターに亀裂が入って仕事ができないことに呆然としている。とりあえずは、コーヒ―でも飲んでおくかと2人冷静な対応に切り替えた。
すると、鬼柳が床に散らばったサバとアジの魚を素手で取ろうとした時、目の前に硬直した赤天狗が立ち尽くした。
「……先輩、ぼうっと立ってないで何とかしてくださいって!!」
体中、いろんなところにぶつかった迅は擦り傷だらけだった。数センチの距離で鬼柳と赤天狗は鉢合わせしている。赤天狗の額から脂汗が大量に吹いていた。
「……もしかして、さっきまであんなにハードに動いていたのに? この魚が苦手?」
「あ、天狗はサバが嫌いみたいっすよぉ?」
大津が手を口元に添えて叫んだ。優雅にコーヒーにミルクとガムシロップを入れている。大春日は、コーヒーではなく、紅茶のティーパックをマグカップに入れてお湯を注いでいた。
「マジか?!」
「俺が役に立つ時が来たってこと?」
鬼柳は、両手を挙げて喜んでいた。一瞬にして、赤天狗は目を回してバタンと床に勢いよく倒れた。
「最後の仕上げねぇ」
窓際で座って待っていた白狐兎が札を持って、赤天狗の額に張り付けた。除霊が済むと、砂のように粉々に消えていく。
「俺の手柄を奪われた……」
迅は悔しそうに握りこぶしを作る。白狐兎は何も言わずに割れた窓ガラスからジャンプして逃げて行った。迅に追いかけられることを恐れた。ビルの下を軽やかに飛んで移動する白狐兎に憤慨して叫ぶ。
「俺一人で十分だつぅーーの!! 最後の手柄持っていくな!」
「土御門、給料上がるわけじゃないからそんなやっきとなるな」
「俺のレベルあがるじゃないですか。陰陽師の次の試験すぐに受けられるんですから。あいつ、絶対許さない」
「……さいですかぁ~」
「土御門、まだ仕事残ってるみたいだ」
九十九部長は、窓が割れて、ぐちゃぐちゃの部屋を指さすのとさらに仕事が増えたことを知らせた。フロアの廊下側のドアの近くに見たことある人が立っていた。
IT会社 mangroveの社長秘書の大石 百花だった。邪悪な黒く濁った色の煙のようなオーラを取りついていた。
「これは、かなり修理費用がかさむなぁ。困ったなぁ」
オーラが見えない九十九部長は、気にせず、目を覆ってがっかりする。パソコン5台分が全壊。窓ガラス3枚はすべて割れている。
「先輩、わかりますよね」
「は? 床がびしょぬれで片づけないといけないってことか」
「違いますよ。まだ仕事が片付いてないってことですよ!!」
迅は床に手をついて、構えの姿勢を見せた。相手が攻撃する前に魔法陣を用意した。2本の指で札をつかみ、目を閉じる。
グラマーな女性でごくごく普通の人だと思っていた大石は突然野太い声を出した。
「気づいたな……」
背中から次々と大きくなって筋肉がムキムキの角を2本はやした赤鬼が現れた。女性と思われた人物は、2メートル近い鬼だった。人間の姿になって潜入していたらしい。
鬼柳はようやく状況を読んで、札を取り出したが、先に迅が念を唱える。
『改・氷結』
魔法陣から氷が次々と樹氷のように出て来た。赤鬼に向かって道ができるように氷が突き出るが、軽やかにジャンプされた。
「ちっ……」
九十九部長、大津、大春日には霊力がない。2人が何をやっているかさっぱりわからない。鬼柳は危険を感じて、3人を慌てて、フロアの外に追い出した。部屋を片付けていたにも関わらず出された3人は鬼柳に激怒した。
バタンと扉を閉める。
「よし、これで心おきなく戦えますね」
鬼柳が一言つぶやくと赤鬼が壁をこぶしで力強くパンチして、パラパラと崩れていく。血相を変えて、鬼柳は急いで、逃げる。
「弱い!」
赤鬼は、一言つぶやいて、迅と鬼柳に勢いよく襲いかかって来る。
すると、鬼柳が床に散らばったサバとアジの魚を素手で取ろうとした時、目の前に硬直した赤天狗が立ち尽くした。
「……先輩、ぼうっと立ってないで何とかしてくださいって!!」
体中、いろんなところにぶつかった迅は擦り傷だらけだった。数センチの距離で鬼柳と赤天狗は鉢合わせしている。赤天狗の額から脂汗が大量に吹いていた。
「……もしかして、さっきまであんなにハードに動いていたのに? この魚が苦手?」
「あ、天狗はサバが嫌いみたいっすよぉ?」
大津が手を口元に添えて叫んだ。優雅にコーヒーにミルクとガムシロップを入れている。大春日は、コーヒーではなく、紅茶のティーパックをマグカップに入れてお湯を注いでいた。
「マジか?!」
「俺が役に立つ時が来たってこと?」
鬼柳は、両手を挙げて喜んでいた。一瞬にして、赤天狗は目を回してバタンと床に勢いよく倒れた。
「最後の仕上げねぇ」
窓際で座って待っていた白狐兎が札を持って、赤天狗の額に張り付けた。除霊が済むと、砂のように粉々に消えていく。
「俺の手柄を奪われた……」
迅は悔しそうに握りこぶしを作る。白狐兎は何も言わずに割れた窓ガラスからジャンプして逃げて行った。迅に追いかけられることを恐れた。ビルの下を軽やかに飛んで移動する白狐兎に憤慨して叫ぶ。
「俺一人で十分だつぅーーの!! 最後の手柄持っていくな!」
「土御門、給料上がるわけじゃないからそんなやっきとなるな」
「俺のレベルあがるじゃないですか。陰陽師の次の試験すぐに受けられるんですから。あいつ、絶対許さない」
「……さいですかぁ~」
「土御門、まだ仕事残ってるみたいだ」
九十九部長は、窓が割れて、ぐちゃぐちゃの部屋を指さすのとさらに仕事が増えたことを知らせた。フロアの廊下側のドアの近くに見たことある人が立っていた。
IT会社 mangroveの社長秘書の大石 百花だった。邪悪な黒く濁った色の煙のようなオーラを取りついていた。
「これは、かなり修理費用がかさむなぁ。困ったなぁ」
オーラが見えない九十九部長は、気にせず、目を覆ってがっかりする。パソコン5台分が全壊。窓ガラス3枚はすべて割れている。
「先輩、わかりますよね」
「は? 床がびしょぬれで片づけないといけないってことか」
「違いますよ。まだ仕事が片付いてないってことですよ!!」
迅は床に手をついて、構えの姿勢を見せた。相手が攻撃する前に魔法陣を用意した。2本の指で札をつかみ、目を閉じる。
グラマーな女性でごくごく普通の人だと思っていた大石は突然野太い声を出した。
「気づいたな……」
背中から次々と大きくなって筋肉がムキムキの角を2本はやした赤鬼が現れた。女性と思われた人物は、2メートル近い鬼だった。人間の姿になって潜入していたらしい。
鬼柳はようやく状況を読んで、札を取り出したが、先に迅が念を唱える。
『改・氷結』
魔法陣から氷が次々と樹氷のように出て来た。赤鬼に向かって道ができるように氷が突き出るが、軽やかにジャンプされた。
「ちっ……」
九十九部長、大津、大春日には霊力がない。2人が何をやっているかさっぱりわからない。鬼柳は危険を感じて、3人を慌てて、フロアの外に追い出した。部屋を片付けていたにも関わらず出された3人は鬼柳に激怒した。
バタンと扉を閉める。
「よし、これで心おきなく戦えますね」
鬼柳が一言つぶやくと赤鬼が壁をこぶしで力強くパンチして、パラパラと崩れていく。血相を変えて、鬼柳は急いで、逃げる。
「弱い!」
赤鬼は、一言つぶやいて、迅と鬼柳に勢いよく襲いかかって来る。
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