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第33話 氷上に隠れる漆黒の者 参
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keepoutの黄色いテープを上にあげて、迅と鬼柳はアイスリンクの中に入ろうとした瞬間、周りにいた警察関係者たちや空間がすべて灰色になっていった。次元の変化だった。迅は、警戒して、ぐるぐると周りを見た。鬼柳と迅以外すべて灰色だ。
「土御門! 札の準備……」
鬼柳が叫んだ瞬間、体が消えた。一瞬にして、鬼柳は、迅の前から黒い何かに連れていかれた。助けようにも、天井高くに黒いものが上がって行った。
「ジンベイザメ?!」
迅は、口を大きく上げてあっけにとられた。鬼柳は、ジンベイゼメの口にくわえられて、見動きがとれなかった。
『急急如律令!』
迅は、札を2本指でつかみ、顔を前で念を唱えた。強風が床から沸き起こり、ジンベイザメに刺激したが、まだ動けている。式神の烏兎翔の両足をつかんで、氷から飛んだ漆黒のジンベイザメに近づいた。ジンベイザメの背中に乗った青狐の仮面をかぶった男の子がひょこっと顔を出した。
「邪魔しに来るやつは、受け付けない。僕を拒否するなら、こちらから拒否だ!」
青狐は、両手のひらをあげて、手をのばした先に青白い光を集めた。ジンベイザメの口でとどまっていた鬼柳は、2本の指でつかんだ札を唱えた。
『白虎!!』
空中から白く大きな猛獣の虎が白い雲の上に乗って、現れた。青狐は、目をキラキラと輝かせて、興奮していた。ジンベイザメは青狐の指示に従い、白虎の前に立ちはばかる。
「僕の好きな白虎を出すなんて、致命的だねぇ!」
青狐は、操ったジンベイザメの上で白虎に手のひらを見せた。手の真ん中から青白い光を放つと、おたけびをあげた白虎は目をくらんだ。
「何?!」
ジンベイザメにくわえられた鬼柳は、くたぁーとうなだれた。そこへ高い位置から青く光る矢が、何度もシャワーのように放たれて、ジンベイザメの体に次々とささっていく。放つのは白狐の面をかぶった白狐兎だ。
「またお前か!?」
迅は、氷の上でつるつると滑りながら、真上にいる白狐兎を指さした。
「指さすな……」
「俺の邪魔するんじゃないぞ!」
兄弟喧嘩のように目くじらを立てて、両手をあげた。白狐兎は迅の声、行動に微動だにせず無反応で次の攻撃の準備をした。指2本に札をはさむ。
『疾風』
強烈な風が、空中に浮かぶジンベイザメがぐるぐるとスピード早くまわって、氷の上にずどんと落ちた。目がまわった青狐は体を氷にぶつけてしまう。お面がころころと転がっていく。気を失った青狐の素顔が見えた。
「!?」
白狐兎は血相を変えて、倒れた青狐の元へ駆け出していく。上半身を抱えて、顔をじっと見つめた。
「なんだ? 知り合いなのか?」
突然に表情を変えた白狐兎に迅は、駆け寄って聞いた。氷にたたきつけられて、倒れたジンベイザメの口の中の鬼柳は、ようやく体が自由になったと腕を伸ばしてストレッチした。ところどころ、体中に傷がついていることがわかった。けがをみつけるたびに泣きたくなってくる。迅は白狐兎の知られざる一面が見えて、興味津々になった。
「土御門! 札の準備……」
鬼柳が叫んだ瞬間、体が消えた。一瞬にして、鬼柳は、迅の前から黒い何かに連れていかれた。助けようにも、天井高くに黒いものが上がって行った。
「ジンベイザメ?!」
迅は、口を大きく上げてあっけにとられた。鬼柳は、ジンベイゼメの口にくわえられて、見動きがとれなかった。
『急急如律令!』
迅は、札を2本指でつかみ、顔を前で念を唱えた。強風が床から沸き起こり、ジンベイザメに刺激したが、まだ動けている。式神の烏兎翔の両足をつかんで、氷から飛んだ漆黒のジンベイザメに近づいた。ジンベイザメの背中に乗った青狐の仮面をかぶった男の子がひょこっと顔を出した。
「邪魔しに来るやつは、受け付けない。僕を拒否するなら、こちらから拒否だ!」
青狐は、両手のひらをあげて、手をのばした先に青白い光を集めた。ジンベイザメの口でとどまっていた鬼柳は、2本の指でつかんだ札を唱えた。
『白虎!!』
空中から白く大きな猛獣の虎が白い雲の上に乗って、現れた。青狐は、目をキラキラと輝かせて、興奮していた。ジンベイザメは青狐の指示に従い、白虎の前に立ちはばかる。
「僕の好きな白虎を出すなんて、致命的だねぇ!」
青狐は、操ったジンベイザメの上で白虎に手のひらを見せた。手の真ん中から青白い光を放つと、おたけびをあげた白虎は目をくらんだ。
「何?!」
ジンベイザメにくわえられた鬼柳は、くたぁーとうなだれた。そこへ高い位置から青く光る矢が、何度もシャワーのように放たれて、ジンベイザメの体に次々とささっていく。放つのは白狐の面をかぶった白狐兎だ。
「またお前か!?」
迅は、氷の上でつるつると滑りながら、真上にいる白狐兎を指さした。
「指さすな……」
「俺の邪魔するんじゃないぞ!」
兄弟喧嘩のように目くじらを立てて、両手をあげた。白狐兎は迅の声、行動に微動だにせず無反応で次の攻撃の準備をした。指2本に札をはさむ。
『疾風』
強烈な風が、空中に浮かぶジンベイザメがぐるぐるとスピード早くまわって、氷の上にずどんと落ちた。目がまわった青狐は体を氷にぶつけてしまう。お面がころころと転がっていく。気を失った青狐の素顔が見えた。
「!?」
白狐兎は血相を変えて、倒れた青狐の元へ駆け出していく。上半身を抱えて、顔をじっと見つめた。
「なんだ? 知り合いなのか?」
突然に表情を変えた白狐兎に迅は、駆け寄って聞いた。氷にたたきつけられて、倒れたジンベイザメの口の中の鬼柳は、ようやく体が自由になったと腕を伸ばしてストレッチした。ところどころ、体中に傷がついていることがわかった。けがをみつけるたびに泣きたくなってくる。迅は白狐兎の知られざる一面が見えて、興味津々になった。
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