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第5話 大事な指輪 壱
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お昼ちょうどの放送が街に流れた。
テレビではお昼の情報番組の『ぴかぴか』がやっていた。
ゲストを呼んでフリートークを繰り広げるものだった。
警視庁の詛呪対策本部のデスクに座り、できたばかりの謎肉がたっぷり入った味噌味のカップ麺をすすっているのは、今年で任期3年目の28歳。陰陽師の土御門迅はテレビにくいるように見ていた。隣のデスクでは、愛妻弁当を頬張りながら、競馬地方新聞を見つめ、ワイヤレスイヤホンをつける。平日開催の浦和競馬をスマホアプリラジオのLADIKOで聞いていたのは、もう一人の陰陽師の鬼柳兵吉だ。
「先輩、この人、めっちゃ金持ちっすね」
指をさして、見ていたのは、都内の『ポラリスホテル』を経営する敏腕社長の芙谷《ふたに》モナコだった。若くして、ホテル経営で年収5億円弱とグループ資産を1300億円まで伸ばした人だ。フランスと日本のハーフで、30歳になったばかり。宣伝も兼ねておしゃれなブランドの服を身にまとい、タレント活動している。せきららにプライベートもさらしている。
「あーーー!! ちくしょう!! 俺のウラワブライアンが!!! 負けたじゃねぇか……。全財産賭けたのに……」
肩を落とす鬼柳は、デスクに崩れ落ちる。廃人のように、死に欠けている。一瞬してガイコツになった。どこからともなく、冷たい風が吹く。
「見てくださいよ、ほら。この人。すっげーボンキュンボンで!! スタイルいいし、めっちゃ金も持ってる。この人の彼氏になったら、どんな生活になるんですかね……ヒモでしかねぇな」
「……俺にヒモかけろと? 首に?」
まだムンクの叫びのような顔になっている鬼柳に救いの声をかけることはなかった。
対策室のドアがバタンと開いた。
「仕事だ!! 通報があったのは、渋谷の宝石店で、若い男性が鬼に襲われた。すぐに向かってほしいんだけど……鬼柳さんは何をしてるですか」
床にポロンと白いワイヤレスイヤホンが転がる。目から涙を流し、床に落ちる。
「俺の金……」
ぴたっとしたスーツを着た九十九部長は、しゃがんで、鬼柳の肩をなでた。鬼柳は静かに九十九のスカートを覗き見ようとしたが、こぶしで一発殴られる。わなわなとこぶしが震えている。また涙を流した。
「俺、知らねぇっす。昼休憩終わってないんで、遊んできます」
デスクをジャンプして飛び越えたのは迅だった。カップ麺をつゆまで完食して、ゴミ箱にホールインワンした。
「お、俺、ついてるかも!!」
ご機嫌に迅は駆け出した。
「土御門!! 仕事をしろーーーー」
「やーだよ。俺はまだ休憩中。あと30分はあるもーん」
子どものような態度に九十九はブチ切れる。迅は、ささっといなくなってしまった。突然、鬼柳は紳士に対応する。ビシッと敬礼をし、渋い声で話した。
「部長、その任務、私に行かせてください」
「え、鬼柳さん、大丈夫なんですか」
「大丈夫に決まってるじゃないですか。今日の九十九部長のパンティ見せてもらったので、元気出ました」
「……」
怒られる前に鬼柳は、瞬時に動いて警視庁のエレベーターに向かった。九十九の額は筋がたっぷりできあがった。
(どいつもこいつも変わり者ばっかりだ)
「九十九部長。あの人たちよりはまともな方ですよ。僕は」
眼鏡をかけなおしたのは、詛呪対策本部所属のハッカー専門でパソコンを主に扱う陰キャラの大津智司《おおつさとし》だ。現代に蔓延るSNSでの呪いによる事件をパソコンで解決する。大津の相棒の小柄な女子、大春日舞子だ。大津と同じようにSNSの呪いをスマホで払っている。まさに現代の陰陽師だ。
「私はこれっぽっちも興味ありませんけどね」
舞子も眼鏡をかけなおして、デスクに座り、仕事用スマホをいじり始める。
パソコンやスマホを扱う2人はコミュニケーション障害を持っていて、人と関わるのが苦手である。その分、自分軸が強烈に強い。仕事のこと以外は直帰は当たり前で余計な仕事はしない。集団が苦手。媚も売らない。陽キャラを敵視する。相棒であるが、仲は良くない。それぞれの仕事はきっちりと行う。
「あ、昼休憩終わった? あ、うん。何かこの対策本部だけきっちり昼休憩あるんだよね。事件が起きたら駆けつけるのが普通だと思っていたけど、世界観が違うからかな」
「「…………」」
2人は仕事モードに入ったみたいで九十九部長の相手などしてられなかった。智司は黙々とパソコンのキーボードをたたき、舞子はスマホのフリックに忙しくしていた。
(あーーー、無視ですか。まぁ、仕事きっちりやってくれてるからいいか)
九十九部長は自分のデスクに座り、マグカップに入った紅茶を飲む。少し冷静になれた。智司のパソコン画面にはポリゴンで出来上がった式神のハシビロコウが事件のお知らせをしていた。舞子のスマホ画面には、sIrOという可愛い犬の式神イラストが現れていた。それぞれ推しの動物が式神になるようだ。
九十九部長は、やっとこそお弁当を食べようと、バックから取り出したら、ランチョンマットに汁でだらだらとこぼれていた。
「あーーー、最悪。でも美味しく食べれるからいいや。忘れよう」
半泣きになりながら、お手製の肉じゃがを頬張った。
◇◇◇◇◇
渋谷にある有名宝石店SIRAUMEで、事件は起きた。これから、予約していた婚約指輪を受け取り外に出ようとしていた1人の男性。桐島理玖《きりしまりく》は、都内の飲食店経営の社長だった。プロポーズしたばかりのポラリスホテル社長芙谷モナコに渡す指輪を赤いブランドの袋に入れていたが、地面に指輪が入った箱が転がっていた。現場はかなり悲惨な状況でお店の中が血の海になっていた。宝石店のスタッフと桐島が鬼に襲われたようだ。
現場にかけつけた鬼柳は、烏の式神を肩に乗せて、事件の状況を調査した。
「……それで、襲われた鬼は一体どちらへ」
恐怖で立てない女性スタッフは、震える腕を伸ばし、外を指さす。
「……あっちです。あの、高いビルを上っていきました」
「え、あっち?」
指さす方向を見ると、車が行きかう道路には襲われた宝石店の胴体や頭、首、足があっちこっちにバラバラに散らかっていた。ビルの方に目をやると、漆黒の遠くからではわからない鬼がぺたぺたとカエルのような足で窓にしがみつき、腕には桐島の体をしっかりつかんでいた。まだ胴体はつながっている。人間の状態だった。恐怖を感じた鬼柳は、右手でお札を左手指を額に押し当て、念じて瞬間移動した。鬼のその場に近づくことができたが、攻撃してくる腕を避けるのに必死だった。近づいて顔を拝むことができた。その体は真っ黒く人間並みに大きな蜘蛛の形をしていた。鋭い爪が桐島の体を抑えている。
「おいおいおい、その人間まずいぞ。はやく、離した方がいいと思うな」
『お前の方がうまいんだろうな』
低い声で話す蜘蛛鬼は、桐島の体を高いビルの上から落とそうとした。すぐに鬼柳の体に腕が差し込む。内臓に食い込んだ。不意をつかれた。予想外だった。
「うっ……」
みぞおちがぐぐっと蜘蛛鬼の爪がつきささる。
「……今日はついてないな。俺」
それと同時に気を失った桐島が真っ逆さまに高い位置から落ちようとした。地面に落ちそうなギリギリのところで、迅の式神の烏兎翔が翼を使って、風の術を送りこみ、ふわっと空中に浮かんだ。桐島は、ゆっくりと地面に落ちた。
「まったく、俺が来ないと鬼先輩は弱いんだから……」
余裕があるようなそぶりのドヤ顔で現れた。
「げふっ……お前なぁ、早く来いっての。てか、まだ戦いは終わってねぇぞ」
ビルの上、蜘蛛鬼がぺたぺたと、鬼柳の体をつかみながら、迅を睨む。物々しい空気が流れた。
「ぐはっ……。ちくしょ」
徐々に鬼柳の腹に蜘蛛鬼の爪が食い込んでいく。出血は止めどもなく続く。地面に鬼柳の血がたまっていく。
「烏兎翔!」
迅が叫ぶが、何も動かずに睨む烏兎翔にやきもきする。
「ったくよ、ご主人さまの言うことが聞けないのか」
2本指でお札をはさみ,目を見開いて、念じた。一瞬で烏兎翔の瞳が紫になり、翼を広げた。
「急急如律令《きゅうきゅうにょりつりょう》!」
烏兎翔が大きくなり、風を蜘蛛鬼に送りこんだ。鬼柳の体が離れていく。慌てて、迅は、落ちて来る鬼柳の下に駆けつけて、地面にたたきつけられるのを塞いだ。
「うっ……」
「静かに寝ててくださいよ」
迅はビルを駆け上がり、動作がとまった蜘蛛鬼に急いで向かった。
街は騒然とし、救急車のサイレンやパトカーのサイレンが響いていた。
東の空には、煌々と満月が輝いていた。
蜘蛛鬼はビルの窓にぺったりとくっついて、迅を睨みつけた。
テレビではお昼の情報番組の『ぴかぴか』がやっていた。
ゲストを呼んでフリートークを繰り広げるものだった。
警視庁の詛呪対策本部のデスクに座り、できたばかりの謎肉がたっぷり入った味噌味のカップ麺をすすっているのは、今年で任期3年目の28歳。陰陽師の土御門迅はテレビにくいるように見ていた。隣のデスクでは、愛妻弁当を頬張りながら、競馬地方新聞を見つめ、ワイヤレスイヤホンをつける。平日開催の浦和競馬をスマホアプリラジオのLADIKOで聞いていたのは、もう一人の陰陽師の鬼柳兵吉だ。
「先輩、この人、めっちゃ金持ちっすね」
指をさして、見ていたのは、都内の『ポラリスホテル』を経営する敏腕社長の芙谷《ふたに》モナコだった。若くして、ホテル経営で年収5億円弱とグループ資産を1300億円まで伸ばした人だ。フランスと日本のハーフで、30歳になったばかり。宣伝も兼ねておしゃれなブランドの服を身にまとい、タレント活動している。せきららにプライベートもさらしている。
「あーーー!! ちくしょう!! 俺のウラワブライアンが!!! 負けたじゃねぇか……。全財産賭けたのに……」
肩を落とす鬼柳は、デスクに崩れ落ちる。廃人のように、死に欠けている。一瞬してガイコツになった。どこからともなく、冷たい風が吹く。
「見てくださいよ、ほら。この人。すっげーボンキュンボンで!! スタイルいいし、めっちゃ金も持ってる。この人の彼氏になったら、どんな生活になるんですかね……ヒモでしかねぇな」
「……俺にヒモかけろと? 首に?」
まだムンクの叫びのような顔になっている鬼柳に救いの声をかけることはなかった。
対策室のドアがバタンと開いた。
「仕事だ!! 通報があったのは、渋谷の宝石店で、若い男性が鬼に襲われた。すぐに向かってほしいんだけど……鬼柳さんは何をしてるですか」
床にポロンと白いワイヤレスイヤホンが転がる。目から涙を流し、床に落ちる。
「俺の金……」
ぴたっとしたスーツを着た九十九部長は、しゃがんで、鬼柳の肩をなでた。鬼柳は静かに九十九のスカートを覗き見ようとしたが、こぶしで一発殴られる。わなわなとこぶしが震えている。また涙を流した。
「俺、知らねぇっす。昼休憩終わってないんで、遊んできます」
デスクをジャンプして飛び越えたのは迅だった。カップ麺をつゆまで完食して、ゴミ箱にホールインワンした。
「お、俺、ついてるかも!!」
ご機嫌に迅は駆け出した。
「土御門!! 仕事をしろーーーー」
「やーだよ。俺はまだ休憩中。あと30分はあるもーん」
子どものような態度に九十九はブチ切れる。迅は、ささっといなくなってしまった。突然、鬼柳は紳士に対応する。ビシッと敬礼をし、渋い声で話した。
「部長、その任務、私に行かせてください」
「え、鬼柳さん、大丈夫なんですか」
「大丈夫に決まってるじゃないですか。今日の九十九部長のパンティ見せてもらったので、元気出ました」
「……」
怒られる前に鬼柳は、瞬時に動いて警視庁のエレベーターに向かった。九十九の額は筋がたっぷりできあがった。
(どいつもこいつも変わり者ばっかりだ)
「九十九部長。あの人たちよりはまともな方ですよ。僕は」
眼鏡をかけなおしたのは、詛呪対策本部所属のハッカー専門でパソコンを主に扱う陰キャラの大津智司《おおつさとし》だ。現代に蔓延るSNSでの呪いによる事件をパソコンで解決する。大津の相棒の小柄な女子、大春日舞子だ。大津と同じようにSNSの呪いをスマホで払っている。まさに現代の陰陽師だ。
「私はこれっぽっちも興味ありませんけどね」
舞子も眼鏡をかけなおして、デスクに座り、仕事用スマホをいじり始める。
パソコンやスマホを扱う2人はコミュニケーション障害を持っていて、人と関わるのが苦手である。その分、自分軸が強烈に強い。仕事のこと以外は直帰は当たり前で余計な仕事はしない。集団が苦手。媚も売らない。陽キャラを敵視する。相棒であるが、仲は良くない。それぞれの仕事はきっちりと行う。
「あ、昼休憩終わった? あ、うん。何かこの対策本部だけきっちり昼休憩あるんだよね。事件が起きたら駆けつけるのが普通だと思っていたけど、世界観が違うからかな」
「「…………」」
2人は仕事モードに入ったみたいで九十九部長の相手などしてられなかった。智司は黙々とパソコンのキーボードをたたき、舞子はスマホのフリックに忙しくしていた。
(あーーー、無視ですか。まぁ、仕事きっちりやってくれてるからいいか)
九十九部長は自分のデスクに座り、マグカップに入った紅茶を飲む。少し冷静になれた。智司のパソコン画面にはポリゴンで出来上がった式神のハシビロコウが事件のお知らせをしていた。舞子のスマホ画面には、sIrOという可愛い犬の式神イラストが現れていた。それぞれ推しの動物が式神になるようだ。
九十九部長は、やっとこそお弁当を食べようと、バックから取り出したら、ランチョンマットに汁でだらだらとこぼれていた。
「あーーー、最悪。でも美味しく食べれるからいいや。忘れよう」
半泣きになりながら、お手製の肉じゃがを頬張った。
◇◇◇◇◇
渋谷にある有名宝石店SIRAUMEで、事件は起きた。これから、予約していた婚約指輪を受け取り外に出ようとしていた1人の男性。桐島理玖《きりしまりく》は、都内の飲食店経営の社長だった。プロポーズしたばかりのポラリスホテル社長芙谷モナコに渡す指輪を赤いブランドの袋に入れていたが、地面に指輪が入った箱が転がっていた。現場はかなり悲惨な状況でお店の中が血の海になっていた。宝石店のスタッフと桐島が鬼に襲われたようだ。
現場にかけつけた鬼柳は、烏の式神を肩に乗せて、事件の状況を調査した。
「……それで、襲われた鬼は一体どちらへ」
恐怖で立てない女性スタッフは、震える腕を伸ばし、外を指さす。
「……あっちです。あの、高いビルを上っていきました」
「え、あっち?」
指さす方向を見ると、車が行きかう道路には襲われた宝石店の胴体や頭、首、足があっちこっちにバラバラに散らかっていた。ビルの方に目をやると、漆黒の遠くからではわからない鬼がぺたぺたとカエルのような足で窓にしがみつき、腕には桐島の体をしっかりつかんでいた。まだ胴体はつながっている。人間の状態だった。恐怖を感じた鬼柳は、右手でお札を左手指を額に押し当て、念じて瞬間移動した。鬼のその場に近づくことができたが、攻撃してくる腕を避けるのに必死だった。近づいて顔を拝むことができた。その体は真っ黒く人間並みに大きな蜘蛛の形をしていた。鋭い爪が桐島の体を抑えている。
「おいおいおい、その人間まずいぞ。はやく、離した方がいいと思うな」
『お前の方がうまいんだろうな』
低い声で話す蜘蛛鬼は、桐島の体を高いビルの上から落とそうとした。すぐに鬼柳の体に腕が差し込む。内臓に食い込んだ。不意をつかれた。予想外だった。
「うっ……」
みぞおちがぐぐっと蜘蛛鬼の爪がつきささる。
「……今日はついてないな。俺」
それと同時に気を失った桐島が真っ逆さまに高い位置から落ちようとした。地面に落ちそうなギリギリのところで、迅の式神の烏兎翔が翼を使って、風の術を送りこみ、ふわっと空中に浮かんだ。桐島は、ゆっくりと地面に落ちた。
「まったく、俺が来ないと鬼先輩は弱いんだから……」
余裕があるようなそぶりのドヤ顔で現れた。
「げふっ……お前なぁ、早く来いっての。てか、まだ戦いは終わってねぇぞ」
ビルの上、蜘蛛鬼がぺたぺたと、鬼柳の体をつかみながら、迅を睨む。物々しい空気が流れた。
「ぐはっ……。ちくしょ」
徐々に鬼柳の腹に蜘蛛鬼の爪が食い込んでいく。出血は止めどもなく続く。地面に鬼柳の血がたまっていく。
「烏兎翔!」
迅が叫ぶが、何も動かずに睨む烏兎翔にやきもきする。
「ったくよ、ご主人さまの言うことが聞けないのか」
2本指でお札をはさみ,目を見開いて、念じた。一瞬で烏兎翔の瞳が紫になり、翼を広げた。
「急急如律令《きゅうきゅうにょりつりょう》!」
烏兎翔が大きくなり、風を蜘蛛鬼に送りこんだ。鬼柳の体が離れていく。慌てて、迅は、落ちて来る鬼柳の下に駆けつけて、地面にたたきつけられるのを塞いだ。
「うっ……」
「静かに寝ててくださいよ」
迅はビルを駆け上がり、動作がとまった蜘蛛鬼に急いで向かった。
街は騒然とし、救急車のサイレンやパトカーのサイレンが響いていた。
東の空には、煌々と満月が輝いていた。
蜘蛛鬼はビルの窓にぺったりとくっついて、迅を睨みつけた。
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