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第30話
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ざわざわとにぎわう駅前の
ステンドグラス。
改札口を抜けてすぐに
ドキドキしながら、
辺りを見渡した。
よくよく考えてみると、
凛汰郎と待ち合わせしてる時点で
これはデートというやつでは
ないでしょうかと変に意識して
顔を下に向けたまま、
カーキ色の
カジュアルスエットパーカーの
袖口に口を隠して、
待っていた。
いつもよりおしゃれを気にして、
黒のスキニーパンツと紐付きの
スニーカーを
履いていた。
学校では制服やジャージ、
弓道着しか着ていない。
私服姿なんて見られたことがない。
想像以上に緊張度がマックスになって、
頭から煙が出そうになった。
凛汰郎は、コードありイヤホンを
外し改札を抜けて、
待ち合わせ場所の
ステンドグラスを見渡したが、
それらしい人がいなかった。
制服じゃない私服姿を見たことがない
のを思い出す。
雪菜はポニーテールではない
違う髪型のおだんご結びを
していた。
近くにいるが、お互い気づいていない。
凛汰郎はというと、
黒のチェスターコートと
白いニット、黒のスキニーパンツ、
黒の革靴を
履いていて、高校生には見えなかった。
とりあえず、待ってみようと、
佇んでいると
知らない女の人に
声をかけられたりして
困っていた。
ざわざわしている方に、
雪菜は野次馬のように
目がいってしまう。
目をこられて、見つめると、
私服姿の凛汰郎が、大人っぽい女性に
ナンパされているのが
見えた。
超絶恥ずかしくなって、
その場から逃げ出した。
いつもの雪菜から気軽に
話しかけるのに
今日は違っていた。
私服だからか。学校ではないからか。
いつもの調子が出ていない。
こんなに意識して男子と
話したことないのに。
歩幅を大きく、
デパートに続く連絡通路を
歩き出した。
ななめにかけていた
ショルダーバックの皮ひもを
強く握りしめる。
(もう逃げ出したい。
何だか自分がみじめになる。
もう遠くにいこう。)
誰にも声を掛けられない
嫉妬してるのか
この状況に耐えられないか
、わからない。
「おい!」
走って追いかけてきた凛汰郎が、
雪菜の左腕をつかんだ。
はっと気づき、足がとまったまま、
振り向かない。
「髪型、いつもと違うから
気づかなかった。」
「……声かけられてたから
話しにくかった。」
「え、さっき見てたんなら、
声かけろよ。」
凛汰郎は、頭をかきあげた。
雪菜は横目で確認する。
学校の印象とまるで違っていた。
あんなに人を寄せ付けないオーラを
発しているのに、外出ると、
雅俊となんら変わりない雰囲気。
ちょっと浮いている。
本当はこれが平澤凛汰郎なのか。
一歩雪菜の前に進んで指をさす。
「雑貨屋でいいんだろう。
あの黄色い看板のところ?
それとも家電量販店。」
気合い入れて
今日の服を決めてきていた
凛汰郎。
いつもは半そで短パンに
長袖にジーンズで済ませている。
今日のために新調していた。
「雑貨屋でいいよ。」
雪菜は気持ちを切り替えて、
凛汰郎を通り越し、出口方向へと
先に進む。
後を追いかけて、雪菜の横に移動をした。
こんなに近くで歩くのは初めてだった。
通行人が行きかう中、雑貨屋に向かう。
2人ともどこかぎこちなく、ドキドキして。
まともな会話ができていなかった。
この調子で2人の初めてのデートが始まった。
ステンドグラス。
改札口を抜けてすぐに
ドキドキしながら、
辺りを見渡した。
よくよく考えてみると、
凛汰郎と待ち合わせしてる時点で
これはデートというやつでは
ないでしょうかと変に意識して
顔を下に向けたまま、
カーキ色の
カジュアルスエットパーカーの
袖口に口を隠して、
待っていた。
いつもよりおしゃれを気にして、
黒のスキニーパンツと紐付きの
スニーカーを
履いていた。
学校では制服やジャージ、
弓道着しか着ていない。
私服姿なんて見られたことがない。
想像以上に緊張度がマックスになって、
頭から煙が出そうになった。
凛汰郎は、コードありイヤホンを
外し改札を抜けて、
待ち合わせ場所の
ステンドグラスを見渡したが、
それらしい人がいなかった。
制服じゃない私服姿を見たことがない
のを思い出す。
雪菜はポニーテールではない
違う髪型のおだんご結びを
していた。
近くにいるが、お互い気づいていない。
凛汰郎はというと、
黒のチェスターコートと
白いニット、黒のスキニーパンツ、
黒の革靴を
履いていて、高校生には見えなかった。
とりあえず、待ってみようと、
佇んでいると
知らない女の人に
声をかけられたりして
困っていた。
ざわざわしている方に、
雪菜は野次馬のように
目がいってしまう。
目をこられて、見つめると、
私服姿の凛汰郎が、大人っぽい女性に
ナンパされているのが
見えた。
超絶恥ずかしくなって、
その場から逃げ出した。
いつもの雪菜から気軽に
話しかけるのに
今日は違っていた。
私服だからか。学校ではないからか。
いつもの調子が出ていない。
こんなに意識して男子と
話したことないのに。
歩幅を大きく、
デパートに続く連絡通路を
歩き出した。
ななめにかけていた
ショルダーバックの皮ひもを
強く握りしめる。
(もう逃げ出したい。
何だか自分がみじめになる。
もう遠くにいこう。)
誰にも声を掛けられない
嫉妬してるのか
この状況に耐えられないか
、わからない。
「おい!」
走って追いかけてきた凛汰郎が、
雪菜の左腕をつかんだ。
はっと気づき、足がとまったまま、
振り向かない。
「髪型、いつもと違うから
気づかなかった。」
「……声かけられてたから
話しにくかった。」
「え、さっき見てたんなら、
声かけろよ。」
凛汰郎は、頭をかきあげた。
雪菜は横目で確認する。
学校の印象とまるで違っていた。
あんなに人を寄せ付けないオーラを
発しているのに、外出ると、
雅俊となんら変わりない雰囲気。
ちょっと浮いている。
本当はこれが平澤凛汰郎なのか。
一歩雪菜の前に進んで指をさす。
「雑貨屋でいいんだろう。
あの黄色い看板のところ?
それとも家電量販店。」
気合い入れて
今日の服を決めてきていた
凛汰郎。
いつもは半そで短パンに
長袖にジーンズで済ませている。
今日のために新調していた。
「雑貨屋でいいよ。」
雪菜は気持ちを切り替えて、
凛汰郎を通り越し、出口方向へと
先に進む。
後を追いかけて、雪菜の横に移動をした。
こんなに近くで歩くのは初めてだった。
通行人が行きかう中、雑貨屋に向かう。
2人ともどこかぎこちなく、ドキドキして。
まともな会話ができていなかった。
この調子で2人の初めてのデートが始まった。
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