5 / 47
第4話 昼休み
しおりを挟むのどかな学校の昼休み。
ポカポカと日差しが教室の中に
入ってくる。
梨花はできたばかりの友達と机を合わせて
談笑していた。
浅野恵麻と菅原美貴と3人で食べるお弁当は
おいしかった。
時々、卵焼きを交換して味比べをした。
甘いのがいいか塩っけが多い方がいいかで
討論会が始まる。
結局のところ、どっちでもいいで
話は終わる。食べられればいいらしい。
笑いながら話してるのを、
同じクラスの朔斗は隣の席の松岡広大と一緒に
スマホゲームの話をしながら、チラッと梨花の様子を
伺っていた。
「なあ、朔斗。
梨花って名前だっけ」
「え?」
「チラッて今見たやつ」
「見てねぇよ。
壁にかかってるカレンダー見てたから」
「あ、そう。そう来ますか。
んじゃ、俺がその子好きだなぁって言っても
気にしないのね」
「は?!マジ?」
「おーーーいい反応」
「え?」
「嘘に決まってるだろ。
カマかけただけだ」
「嘘ついたな。広大」
「そうだよ。悪いか。
俺と話するのにチラチラ向こう見てるからだよ。
ヤキモチ妬いちゃうぞ」
広大は冗談っぽく、朔斗の腕をパンチした。
「違うって言ってんだろ。
あんなのミミックだわ」
「???」
「宝箱?」
「食われるってこと。バクっと」
「お前、ゲームのしすぎだよ」
「お前に言われたくないわ」
男友達はあまり作らない主義の
朔斗は、広大だけには多少心を開いていた。
遠くで梨花も朔斗の様子を見て、
友達いるんだと感心していた。
梨花の前では全然言葉少ないのに、
広大の前では普通に話す。
表裏のある性格なのかもしれない。
本当の自分を隠したいが、
時々どれが本物だったかわからなく朔斗だった。
****
体育の時間。
これからバスケをすると言う時、
女子は4列にならんで、
チームを決めることになっていた。
3人は運がいいことに一緒のチームだった。
「ねぇ、そういやさ。
梨花、昨日、朔斗くんと
一緒に帰ってたでしょう」
菅原美貴が梨花のそばに寄って聞いている。
「え、そ、そうだったかな」
ごまかそうとする。
「そんなのごまかしても遅いよ?」
浅野恵麻が言う。
「なんで?」
「だって、昨日SNSにおんぶされてますって
動画配信流れていたよ」
「……嘘」
「デジタルタトゥーはすぐには消えないよ?」
梨花は急に恥ずかしくなった。
「あとで、教室戻ったらスマホで確認しよう。
おんぶのことだけどさ。2人付き合ってるの?」
「違う違う。全然」
「あれ、幼馴染じゃなかっけ」
「そうだけど、お互いに大人になってきたからね。
幼い頃とは違うよ」
「そう言いながら、おんぶされるってどういうこと?
説明してよ、梨花」
汗が止まらない。
「そこの3人。何してるの?授業中ですよ」
「すいません」
3人同時に謝った。
バスケットの試合が始まった。
ボールが床に弾んで、ダムダムと音が響いていた。
10
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる