上 下
26 / 51

第26話 執着

しおりを挟む
咲夜は悠のストーカー気質があることに
恐怖を感じていた。
頼んでないのに、帰り道後ろから黙って
着いてくるのは怖くて、一緒にいても
大丈夫なのかと心配になった。

教室の机にバックを置いて、
身震いをした。

「あ、咲夜、おはよう!  
 昨日、琉偉先輩と一緒に帰ったんでしょ?
 噂になってたよぉ。
 浮気かな?」

トイレに行っていた翼が登校したばかりの
咲夜に声をかけた。
さーと思い出すだけで怖くなった咲夜は、
翼の腕を掴んで、トイレの個室まで
引っ張った。

「ちょ、待って。
 咲夜、私、そう言う趣味は
 ないんだけど」

 ものすごい近い距離でトイレの中に
 2人で入った。
 小声で話し出す。

「私もそんな趣味無いよ!
 というか、聞いて欲しいんだけど!!」

「なに、どうしたの? 
 なにをアウトプットしたいのさ?」

「いやいや、だからさ。
 私、昨日、追いかけられたの」

「え、好きだからでしょ?
 ラブラブじゃん。
 良いなぁ」

「ち、違うよ。
 静かに声も掛からなかったの。
 靴のカツカツって音が怖くて!
 最初誰か分からなくて、電話で聞いたら
 悠だったの。すごいびっくりしてさ。
 琉偉に助けてもらったんだ。
 …私,どうしたらいいんだろ」

 翼はしばし沈黙する。

「むしろ、この状態もやばいけどね。
 トイレの個室に2人って……」

「あ、ごめん。
 んじゃ、出ようか」

 咲夜が個室のドアを開けようとすると、
 目の前には、無表情の悠が立っていた。

「きゃーーーーー」

 あまりにもびっくりして、ぺたんと
 腰が抜けて、立てなくなった。

「え?…え?…ちょっと待って。
 私って何?お化けか何か?」

昨夜の態度にかなりショックを受けたようで
悠は目を丸くして驚いていた。
悲鳴が幽霊でも出たかのようだった。

「あれまあ、悠、来てたのね。久しぶり」

「翼、元気にしてた?
 トイレの個室に2人で仲良いね。
 もうすぐ授業始まるよ。
 行かなくていいの?」

「だよね。せっかく早く来たのに
 遅れちゃうわ。んじゃ、また昼休みに
 話そう、咲夜」

「う、うん」

 咲夜と翼は、早々にトイレを後にした。
 悠は手を洗ってから、
 2人がいなくなったのを確かめてから
 左耳につけておいた小さなワイヤレス
 イヤホンを取った。
 咲夜のスマホにはGPSアプリ
 ついてることと、制服ブラザーの
 首後ろには小さな盗聴器をつけていた。
 翼と話していた言葉も全て聞いていた
 のだ。

 悠は、自分のことを話そうと
 してるんだなと予測する。

 ため息をついて、鏡を見つめ、
 髪をかき上げた。

 何をどうこう言われても、
 全然気にしていない。

 それよりも琉偉のことを
 どう思ってるかのことが気になって
 仕方なかった。
 
 咲夜は翼は何でも無い他愛もない話で
 盛り上がっていた。

 悠は鏡を見ながら、
 小指の爪を噛んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...