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０１８『宅配便』

ネットショッピングの普及はさらに加速していった。
もうネットで買えない物はないといっても過言ではない。
過剰包装なども社会問題になっていたが、配達員不足も大きな問題になっていた。

各運送会社は、ドローンやロボットの導入を始め、人員不足の対策を行った。
各社は効率やコストダウンを優先的にドローンやロボットの導入を進めていたが、１社『黒猫』をモチーフにした運送会社は違う視点でロボットの導入を行った。

『黒猫型ロボット』を配送ロボットに採用した。
猫型ロボットの見た目は本物の猫と区別がつかなかった。
黒猫が荷物を背負って配達してくれる姿が街中で見かけられるようになると、ネットを中心に話題になった。
猫型ロボットがインターホンを押しているシーンの写真や、荷物を運んでいる写真などがSNSで拡散され、ニュースなどにも取り上げられどんどん注目されていった。
猫型ロボットは、人間の言葉を話すことができたが、語尾に「にゃあ」「にゃ～」「にゃん」などをつけて喋るため、そこに萌える人たちが続出していった。

猫型ロボットが配達にきてそれを盗もうとする事件なども発生していた。
猫ロボに会いたいユーザーが増え、『黒猫』の運送会社の利用率は高まっていった。
『黒猫』の運送会社の運用は上手かった。
少しづつ猫ロボは増やしていったが、大量には増やさなかった。
コストの問題もあったのかもしれないが『たまにくる猫ロボ配達員』という体験をレア化してユーザーの心をつかんでいた。
さらに、１０００匹に１匹の三毛猫バージョンなどを作り、更に話題を作っていった。

僕も配送会社が『黒猫』の会社の時にはいつも期待して荷物を待っていたが、まだ一度も猫ロボに出会ったことがなかった。
この間電子レンジが壊れたので、新しい電子レンジをネットで購入した。
発送メールを確認すると配送会社は『黒猫』の会社だった。
しかし、猫ロボは猫が背負える小さな荷物しか配送していなかったので、流石に電子レンジで猫ロボが来ることはないだろうと思っていた。

ピンポーン。

「お届け物です」

電子レンジが届いたのだろう。
僕は、玄関を開けた瞬間、心臓が止まるかと思った。
僕の家の前に、大きな段ボールを背負った黒豹が立っていた。