5 / 7
第五話「運動会」
しおりを挟む
世の中の人間がオリンピックに興味がなくなった。
商業的すぎるとか、政治的問題とか様々な問題で人々の不満が溜まっていたのは確かだが、ある選手の金メダルで人々のスポーツマンシップに対する興味が失われた。
その選手は、幼い頃から成長障害があり、ホルモン治療を行っていた。
そのため、身長は低いが明らかに筋力は異常に発達していた。
彼・・いや彼女はトランスジェンダーだった。テストステロンは値はあきらかに男性だったが、本人が女性だという主張をIOCは否定できなかった。
結果、彼女は女子100mで9秒72という、男子でも金メダルをとれるタイムでぶっちぎりの世界新記録で金メダリストになった。
世の中で議論が行われた。
「こうなってしまっては男女で分ける必要があるのか?」
「テストステロンで生物学上の男女をわけるべきではないのか?」
「男女だけでなくトランスジェンダーの枠を作るべきではないか?」
「ホルモン治療を受けた選手はドーピングなんじゃないか?」
IOCの判断はグダグダだった。
トランスジェンダーを認めたり、テストステロンで男女を分けてみたり、ドーピングの規定が大会ごとに変わったり。
『我々はスポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦うことを誓います!!』
有名な選手宣誓だが、もはやスポーツマンシップも正々堂々という意味もよくわからなくなっていた。
同じようなことがパラリンピックでも起こった。
四肢がない選手がレギュレーションギリギリの最新義手、義足で100mで8秒92というオリンピックの記録よりも圧倒的に早いタイムで金メダルをとった。
彼の義手義足の金額は総額120億円だった。
さらに、その義手義足の能力を100%発揮するために、8回の手術総額12億円の治療費とそのためのトレーニングを行っていた。
いつのまにか、オリンピックはドーピングのルールをいかに守りながら薬物をつかう人体実験。パラリンピックはいかにレギュレーションの中で最高の義手、義足・・・義体を作れるか?ということに力が注がれることになった。
特にパラリンピックの変化が激しかった。
重度の障害を持った人間が、人間以上の能力を持つことができる義体技術やテクノロジーは企業にとっての絶好のアピールだった。
世界のロボット業界がこぞってパラリリストとスポンサー契約を結び、自社の最新技術のアピールを始めた。
ついに、一流アスリートが健常者であったのにもかかわらず、あえて両足を手術で切断し、オリンピックではなくパラリンピックに出場するという事態まで起こった。
最新の義足に合わせて最大の効果がある場所で足を切断、その後もそれに合わせたリハビリという名のトレーニングを行い、100mの世界新記録は8秒21まで短縮された。
元々のオリンピック、パラリンピックの思想などはもはや跡形もなくなっていった。
オリンピックは、ドーピングの範囲内(健康を害さない程度の)の投薬を争う人体実験ショー。
パラリンピックはレギュレーション内の義体やテクノロジーを争う改造人間ショーと化していた。
しかし・・姿を変えたこの運動会は思わぬ方向で盛り上がって行った。
とくにパラリンピック。
多くの大手企業、特にテクノロジー系の企業のスポンサーが付き、かつて盛り上がったオリンピックよりもさらに豪華に、派手に大会が行われることになった。
パラリンピックはいわば各国の最新技術のお披露目会だ。
人体改造・・・その技術はもちろん軍事転用も可能だ。
そういった側面でも各国パラリンピックには力を入れていた。
変わらないこともあった。
パラリンピックでも一番人気は100m走だった。
決勝レースのTV、ネットでの生中継は全世界で50%近い視聴率があった。
やはり単純でわかりやすい、世界で一番早い人間にみな興味があるんだろう。
選手たちのことを人間と呼んで良いかわからないが・・・
パラリンピックは大国が圧倒的に強かった。
アメリカ、中国、ロシア。次にインド。
彼らは技術力も資金力もある、そして、裏でかなりエグいことをしていたようだった。
俺もパラアスリートだ、100m日本代表だ。
日本は技術力は高く、アーチェリーなどの高度なセンサーやAIを使用した競技には強かったが、義体やアンドロイドが有利な競技では遅れをとっていた。
ああ、そうだ。パラリンピックはアンドロイドの参加も認められていた。
パラリンピックのレギュレーション内のアンドロイドの定義は、DNAが50%以上人間の物が使われている人造人間。
俺はそんな日本が100mで悲願の金メダルをとるために作られた人間だ。
大国が裏でエグいことをしていると言ったが、俺も相当なものだ。
まず俺はデザインベイビーだ、何百万人の中から選ばれた優秀な精子と卵子を人工授精して作られた、そして遺伝子操作で、腕は肘まで、足は太腿まで、義体を装着するために作られた身体で生まれてきた。
そして最新の技術で作られた義手と義足を装備している。
日本の最高傑作と言われた俺は周りの期待通り、金メダル、世界新記録を狙える選手となり、今100mの決勝のレーンに立っている・・・
しかし・・中国が恐ろしい選手を作り出した。
その選手は足が4本あった。
いや、正確には腕に足のような義手をつけている選手だった。
足を増やしてはいけないと言うレギュレーションは確かになかった。
しかし、単純に足を増やせば獣のように走れるわけではない。
この選手は俺以上に遺伝子を操作され、特殊なトレーニングを積んできたんだろう。
俺も体験したような、死にたくなるような辛いトレーニングを・・・・・
4本足の中国選手は準決勝で圧勝だった。
明らかに軽く流しているようにみえたが世界新記録に迫るタイムで決勝に上がってきた。
俺も準決勝は100%の力では走らなかったが、正直この選手に勝てる気はしなかった。
もう1人注目されている選手がいた。
ナミビアの選手だった、予選のタイムは4位とギリギリメダル争いをできるか?って感じだったが、注目を浴びた理由はその姿だった。
俺を含め全ての選手が機能を優先した『いかにも』という義体を装備している中、彼は完全な人型アンドロイドだった。
身長は2mくらいだろうか、走るために作られたであろう人間離れした長い手足、美しい筋肉、小さな顔、芸術品のような綺麗なフォルムだった。
ナミビアということも注目された理由だった、経済大国の大手企業が開発した義体を装備してる選手が多い中、大企業がないアフリカの国のアンドロイドが決勝に上がってきたのが稀なことだったからだ。ひょっとしたら天才的なアンドロイド技術者がナミビアに隠れているんじゃないか?と噂になっていた。
4レーンに中国選手、5レーンに俺、6レーンにナミビア選手
いよいよ決勝のスタートだ・・・・・・・
『On Your Marks』
『set』
パン!!!!
よし、完璧なスタートが切れた!
20m、俺はトップを走っていた。
タタンッタタンッ
聞いた事のない変なリズムの足音が聞こえた。
中国の選手だった、50mに差し掛かる前に俺は中国の選手に抜かれた
『早すぎる・・・あんなのに勝てるはずがない・・・』
そう思った時、俺は右側に風を感じた。
ナミビアの選手が俺を抜いて行った。
中国の選手の足音とは対照的に、いや、足音なんてほとんど聞こえない本当に風のように俺を追い抜いて行った。
そのフォームは美しかった、長い手足がムチのようにしなり、筋肉が躍動していた。
まるでチーター、いや褐色の肌のせいか黒豹のように美しかった。
完璧なプログラムで動いているんだろう・・・まさしく芸術品だ。
残り5m、ナミビアの選手はついに中国の選手を追い抜き、1位でゴールした。
記録は・・・7秒77!!世界新記録だった。
俺はギリギリ3位、銅メダルを獲ることができた。
ナミビアの国旗を掲げて喜んでいる選手に近づき、俺は祝福の言葉を掛けに話しかけた。
「おめでとう!!早かったよ!!」
「アリガトウゴザイマス!!」
「しかしすごい技術だね・・完全な人型でこんなすごいアンドロイドみたことないよ・・・なんて会社の製造?」
「カイシャ??」
「ああ・どこで作られたの?」
「ツクラレタ?・・・・・エート、パパトママガ、ツクッテクレマシタ笑」
「え?」
「ボクハ、タダノニンゲンデスヨ、キカイ、ツカッテナイ」
「え?生身の人間がオリンピックじゃなくてパラリンピックに?」
「ハイ!パラノホウガ、キロクハヤイシ、オリンピックハ、ドーピングシタニンゲンシカ、サンカデキナイルールデス」
「え?」
「パラ、カイゾウシテナイニンゲン、サンカシチャイケナイルールナイヨ」
オリンピックもパラリンピックもすっかり変わってしまった。
商業的すぎるとか、政治的問題とか様々な問題で人々の不満が溜まっていたのは確かだが、ある選手の金メダルで人々のスポーツマンシップに対する興味が失われた。
その選手は、幼い頃から成長障害があり、ホルモン治療を行っていた。
そのため、身長は低いが明らかに筋力は異常に発達していた。
彼・・いや彼女はトランスジェンダーだった。テストステロンは値はあきらかに男性だったが、本人が女性だという主張をIOCは否定できなかった。
結果、彼女は女子100mで9秒72という、男子でも金メダルをとれるタイムでぶっちぎりの世界新記録で金メダリストになった。
世の中で議論が行われた。
「こうなってしまっては男女で分ける必要があるのか?」
「テストステロンで生物学上の男女をわけるべきではないのか?」
「男女だけでなくトランスジェンダーの枠を作るべきではないか?」
「ホルモン治療を受けた選手はドーピングなんじゃないか?」
IOCの判断はグダグダだった。
トランスジェンダーを認めたり、テストステロンで男女を分けてみたり、ドーピングの規定が大会ごとに変わったり。
『我々はスポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦うことを誓います!!』
有名な選手宣誓だが、もはやスポーツマンシップも正々堂々という意味もよくわからなくなっていた。
同じようなことがパラリンピックでも起こった。
四肢がない選手がレギュレーションギリギリの最新義手、義足で100mで8秒92というオリンピックの記録よりも圧倒的に早いタイムで金メダルをとった。
彼の義手義足の金額は総額120億円だった。
さらに、その義手義足の能力を100%発揮するために、8回の手術総額12億円の治療費とそのためのトレーニングを行っていた。
いつのまにか、オリンピックはドーピングのルールをいかに守りながら薬物をつかう人体実験。パラリンピックはいかにレギュレーションの中で最高の義手、義足・・・義体を作れるか?ということに力が注がれることになった。
特にパラリンピックの変化が激しかった。
重度の障害を持った人間が、人間以上の能力を持つことができる義体技術やテクノロジーは企業にとっての絶好のアピールだった。
世界のロボット業界がこぞってパラリリストとスポンサー契約を結び、自社の最新技術のアピールを始めた。
ついに、一流アスリートが健常者であったのにもかかわらず、あえて両足を手術で切断し、オリンピックではなくパラリンピックに出場するという事態まで起こった。
最新の義足に合わせて最大の効果がある場所で足を切断、その後もそれに合わせたリハビリという名のトレーニングを行い、100mの世界新記録は8秒21まで短縮された。
元々のオリンピック、パラリンピックの思想などはもはや跡形もなくなっていった。
オリンピックは、ドーピングの範囲内(健康を害さない程度の)の投薬を争う人体実験ショー。
パラリンピックはレギュレーション内の義体やテクノロジーを争う改造人間ショーと化していた。
しかし・・姿を変えたこの運動会は思わぬ方向で盛り上がって行った。
とくにパラリンピック。
多くの大手企業、特にテクノロジー系の企業のスポンサーが付き、かつて盛り上がったオリンピックよりもさらに豪華に、派手に大会が行われることになった。
パラリンピックはいわば各国の最新技術のお披露目会だ。
人体改造・・・その技術はもちろん軍事転用も可能だ。
そういった側面でも各国パラリンピックには力を入れていた。
変わらないこともあった。
パラリンピックでも一番人気は100m走だった。
決勝レースのTV、ネットでの生中継は全世界で50%近い視聴率があった。
やはり単純でわかりやすい、世界で一番早い人間にみな興味があるんだろう。
選手たちのことを人間と呼んで良いかわからないが・・・
パラリンピックは大国が圧倒的に強かった。
アメリカ、中国、ロシア。次にインド。
彼らは技術力も資金力もある、そして、裏でかなりエグいことをしていたようだった。
俺もパラアスリートだ、100m日本代表だ。
日本は技術力は高く、アーチェリーなどの高度なセンサーやAIを使用した競技には強かったが、義体やアンドロイドが有利な競技では遅れをとっていた。
ああ、そうだ。パラリンピックはアンドロイドの参加も認められていた。
パラリンピックのレギュレーション内のアンドロイドの定義は、DNAが50%以上人間の物が使われている人造人間。
俺はそんな日本が100mで悲願の金メダルをとるために作られた人間だ。
大国が裏でエグいことをしていると言ったが、俺も相当なものだ。
まず俺はデザインベイビーだ、何百万人の中から選ばれた優秀な精子と卵子を人工授精して作られた、そして遺伝子操作で、腕は肘まで、足は太腿まで、義体を装着するために作られた身体で生まれてきた。
そして最新の技術で作られた義手と義足を装備している。
日本の最高傑作と言われた俺は周りの期待通り、金メダル、世界新記録を狙える選手となり、今100mの決勝のレーンに立っている・・・
しかし・・中国が恐ろしい選手を作り出した。
その選手は足が4本あった。
いや、正確には腕に足のような義手をつけている選手だった。
足を増やしてはいけないと言うレギュレーションは確かになかった。
しかし、単純に足を増やせば獣のように走れるわけではない。
この選手は俺以上に遺伝子を操作され、特殊なトレーニングを積んできたんだろう。
俺も体験したような、死にたくなるような辛いトレーニングを・・・・・
4本足の中国選手は準決勝で圧勝だった。
明らかに軽く流しているようにみえたが世界新記録に迫るタイムで決勝に上がってきた。
俺も準決勝は100%の力では走らなかったが、正直この選手に勝てる気はしなかった。
もう1人注目されている選手がいた。
ナミビアの選手だった、予選のタイムは4位とギリギリメダル争いをできるか?って感じだったが、注目を浴びた理由はその姿だった。
俺を含め全ての選手が機能を優先した『いかにも』という義体を装備している中、彼は完全な人型アンドロイドだった。
身長は2mくらいだろうか、走るために作られたであろう人間離れした長い手足、美しい筋肉、小さな顔、芸術品のような綺麗なフォルムだった。
ナミビアということも注目された理由だった、経済大国の大手企業が開発した義体を装備してる選手が多い中、大企業がないアフリカの国のアンドロイドが決勝に上がってきたのが稀なことだったからだ。ひょっとしたら天才的なアンドロイド技術者がナミビアに隠れているんじゃないか?と噂になっていた。
4レーンに中国選手、5レーンに俺、6レーンにナミビア選手
いよいよ決勝のスタートだ・・・・・・・
『On Your Marks』
『set』
パン!!!!
よし、完璧なスタートが切れた!
20m、俺はトップを走っていた。
タタンッタタンッ
聞いた事のない変なリズムの足音が聞こえた。
中国の選手だった、50mに差し掛かる前に俺は中国の選手に抜かれた
『早すぎる・・・あんなのに勝てるはずがない・・・』
そう思った時、俺は右側に風を感じた。
ナミビアの選手が俺を抜いて行った。
中国の選手の足音とは対照的に、いや、足音なんてほとんど聞こえない本当に風のように俺を追い抜いて行った。
そのフォームは美しかった、長い手足がムチのようにしなり、筋肉が躍動していた。
まるでチーター、いや褐色の肌のせいか黒豹のように美しかった。
完璧なプログラムで動いているんだろう・・・まさしく芸術品だ。
残り5m、ナミビアの選手はついに中国の選手を追い抜き、1位でゴールした。
記録は・・・7秒77!!世界新記録だった。
俺はギリギリ3位、銅メダルを獲ることができた。
ナミビアの国旗を掲げて喜んでいる選手に近づき、俺は祝福の言葉を掛けに話しかけた。
「おめでとう!!早かったよ!!」
「アリガトウゴザイマス!!」
「しかしすごい技術だね・・完全な人型でこんなすごいアンドロイドみたことないよ・・・なんて会社の製造?」
「カイシャ??」
「ああ・どこで作られたの?」
「ツクラレタ?・・・・・エート、パパトママガ、ツクッテクレマシタ笑」
「え?」
「ボクハ、タダノニンゲンデスヨ、キカイ、ツカッテナイ」
「え?生身の人間がオリンピックじゃなくてパラリンピックに?」
「ハイ!パラノホウガ、キロクハヤイシ、オリンピックハ、ドーピングシタニンゲンシカ、サンカデキナイルールデス」
「え?」
「パラ、カイゾウシテナイニンゲン、サンカシチャイケナイルールナイヨ」
オリンピックもパラリンピックもすっかり変わってしまった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【本格ハードSF】人類は孤独ではなかった――タイタン探査が明らかにした新たな知性との邂逅
シャーロット
SF
土星の謎めいた衛星タイタン。その氷と液体メタンに覆われた湖の底で、独自の知性体「エリディアン」が進化を遂げていた。透き通った体を持つ彼らは、精緻な振動を通じてコミュニケーションを取り、環境を形作ることで「共鳴」という文化を育んできた。しかし、その平穏な世界に、人類の探査機が到着したことで大きな転機が訪れる。
探査機が発するリズミカルな振動はエリディアンたちの関心を引き、慎重なやり取りが始まる。これが、異なる文明同士の架け橋となる最初の一歩だった。「エンデュランスII号」の探査チームはエリディアンの振動信号を解読し、応答を送り返すことで対話を試みる。エリディアンたちは興味を抱きつつも警戒を続けながら、人類との画期的な知識交換を進める。
その後、人類は振動を光のパターンに変換できる「光の道具」をエリディアンに提供する。この装置は、彼らのコミュニケーション方法を再定義し、文化の可能性を飛躍的に拡大させるものだった。エリディアンたちはこの道具を受け入れ、新たな形でネットワークを調和させながら、光と振動の新しい次元を発見していく。
エリディアンがこうした革新を適応し、統合していく中で、人類はその変化を見守り、知識の共有がもたらす可能性の大きさに驚嘆する。同時に、彼らが自然現象を調和させる能力、たとえばタイタン地震を振動によって抑える力は、人類の理解を超えた生物学的・文化的な深みを示している。
この「ファーストコンタクト」の物語は、共存や進化、そして異なる知性体がもたらす無限の可能性を探るものだ。光と振動の共鳴が、2つの文明が未知へ挑む新たな時代の幕開けを象徴し、互いの好奇心と尊敬、希望に満ちた未来を切り開いていく。
--
プロモーション用の動画を作成しました。
オリジナルの画像をオリジナルの音楽で紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=G_FW_nUXZiQ
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ニューラルネットワークアドベンチャー
そら
SF
本作は、時代の流れに抗いながらも新たな未来を切り拓こうとする、人と技術の融合の物語です。静かな片田舎に佇む小さな工場では、かつて大企業のエンジニアとして活躍した工場主・ユージが、伝統的な手仕事に誇りを持つ熟練の職人たちと共に、長年守り続けた製法を背景に、急激に進化する技術の波に立ち向かいます。
絶え間ない試行錯誤の中、最新の3Dプリンター導入により、古き伝統と革新的技術が激しく衝突。若き研究者ミナと、経験豊かな外国人従業員ウェイの尽力で、数多くの困難や失敗を乗り越えながら、部品の精度向上と生産ラインの再生が進められていきます。さらに、現場の情熱は、従来の枠を超えた自律支援ロボット「スパーキー」の誕生へと結実し、職人たちの絆と努力が新たな希望を生み出します。
また、一方では、アイドルでありアーティストでもあるリカが、生成AIを用いた革新的なアート作品で自らの表現の限界に挑戦。SNSでの批判と孤独に苦しみながらも、ユージたちの工場で出会った仲間との絆が、彼女に再び立ち上がる勇気を与え、伝統と最先端が交差する新たなアートの世界へと導きます。
伝統と革新、手仕事と最新技術、人間の情熱とデジタルの力が交錯するこの物語は、絶望の中にあっても希望を見出し、未来を共に切り拓く力の可能性を描いています。全く新しい価値を創造するための挑戦と、その先に待つ光を、どうぞお楽しみください。
3024年宇宙のスズキ
神谷モロ
SF
俺の名はイチロー・スズキ。
もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。
21世紀に生きていた普通の日本人。
ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。
今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。
※この作品はカクヨムでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる