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巨大都市ゴードー (前編)

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口巨大都市ゴードー 



カール「アラゴー? って処女ってなんだい?」
アラゴー「うん、むっ」
喉に、食事が詰まる。
アラゴー「グハア~!!」
水を飲む、アラゴー。
アラゴー「カールはまだ知らんかったの?」
カール「?」
「知らんかった?」
アラゴー急に、ひそひそ声になる。
アラゴー「性行のことを」
カール「性行?!」
周りの客席の人たちがジロッと見る。
アラゴー「グハッ!! グムンッ! グムンッ!」
アラゴー「大人になると、やる行いじゃ」
カール「?」
アラゴー「つまり、つまりじゃ、‥子供を作る時に」
カール「ええ~ー~~!!」
大声で、席を立つカール。
周りの客席の人たちがびっくりする。
アラゴー「グムンッ!グムンッ!」
カール「で、どうやったら、子供ができるんだろう?」
アラゴー「うむっ。おのこのチンチンをじゃな、女性の、穴に埋める」
真剣な表情の、カール。
カール「で、処女とは?」
アラゴー「うむ、処女とは、まだ、純潔で、一度もしたことのない、汚れのない体を示す」
頷く、カール。
カール「ソフィアは‥?」
アラゴー「カール、もし、ソフィアが処女でなくても、カールは愛せるか?」
カール「多分、できると思う」
あっかんべーをする、アラゴー。
アラゴー「ソフィアは、エルフじゃ!」
カール「?!」
「エルフ‥」
酔いつぶれて、スヤスヤと眠っている、ソフィア。
女の子が走ってくる。
アラゴーのひたいに、チューインガムをくっつける女の子。
「やい、ドワーフ」
「なんじゃ?」
ひたいのチューインガムを、ヒョイと、口に入れ、食べる。アラゴー。
ペッと吐き出す。
「いかん、あかん、処女の血じゃ!」
あっかんべーする、女の子。


カール「アラゴー?」
アラゴー「んっ? なんじゃい?」
カール「俺は、冒険で、たくさん儲けてきた」
アラゴー「うむ」
カール「ここら辺で、ソフィアと、所帯を持とうかと考えているんだ」
アラゴー「一緒に住む、家を建てるか」
カール「うん、エスオゴより、ゴードーの鉄鋼の方が有名だから」
アラゴー「ゴードーで、家をか」
「それで、カールよ」
カール「?」
アラゴー「所帯を持つと言うことは、籍を入れると言うことじゃな」
カール「ああ」
アラゴー「結婚について、カールはどう思っている?」
スヤスヤと眠る、ソフィアを横目で見るカール。
カール「性行よりも、夫婦というのは、末長く、生き延びるための戦友だと思う」
アラゴー「うむ、よく言った」
「わかった、わしは、賛同する」
「何も、文句は言わんわい!!」
カール「ありがとう」
アラゴー「ひとつ、カール!」
カール「?」
アラゴー「大黒柱は、エスオゴのを使う方が良いんじゃ?」
カール「祖国の鉄工所は、もう古く、粗鋼しかない」
アラゴー「いいや、カール。大黒柱は、粗鋼がいいんじゃよ」
カール「確かに、暖かみはあるな」
アラゴー「うむ」
アラゴー「まだ、冒険は、続くぞ」
「今日は、ゆっくり休んで、また明日じゃ」
スヤスヤと眠る、ソフィア。


□キャスト
ソフィア=ゴールドバーグ
カール=ザルツバーグ
アラゴー=マブ=ライルデン アラゴー=ルイス
アベラルド=ピコ=バルトロメ
ミラ=バーレイ
デイビット=フォスター=ルーン





ソフィア「カール!!」
アラゴー「ヨッコラセっと」
ソフィア「時間がない、急ぐわよ!」
カール「OK!  ソフィア」

盗まれた、設計図は、掃討団の、紋章から、ゴードーと判別していた。

震えがくるカール。
カール「ロボット掃討団だ。」
アラゴー「別名、鉄獣!! わしらの武器などききゃあせん!」

ソフィア「ゴードーは、軍事国家でもある資本主義国。民間と、軍事は分かれているわ」
アラゴー「民間側が安全じゃのう」
ソフィア「市長、ミラバーレイは、土取引の巨大企業、ソイルゴットの、若き、CEO.。軍事企業を率先する、アメリアとは反対側の、フランクの貴族間の取引を主にしているわ。リフォルニア先端工科大学を出た、エリート。民間出身の、女性市長よ」
カール「?!」
アラゴー「うむ、当たってみるか」
ソフィア「ええ」
カール「じゃあ、そのリフォルニアって?」
ソフィア「ええ、ゴードーの財界側が、作った、大学で、ナショナリゼーションを教えているわ」
カール「ふうん、民主主義かあ」
ソフィア「過去に、ロボット工学の最先端を行っていた、ゴードーは、軍事ロボットが出来てから、
危うく、共産主義になりかけたわ」
アラゴー「うむ」
カール「それで!」
ソフィア「現在は、フランク側の要人が、肥沃の三角地帯で、出来た小麦を世界各国に、農産物の輸出として、牧牛と、財界のお金に代えているのよ」
カール「じゃあ、軍事と民間は、別なんだね」
アラゴー「そうじゃ!!」
ソフィア「ミラバーレイにはアポが取れると思うわ」
アラゴー「よし」
カール「行ってみよう、ゴードー、ドルツムントへ」


アメリアと、フランク
フランク側が財界を作って、バランスを保っている。
移民国家で、多国籍からなる。


蒼天の摩天楼。
灰色の鬱蒼とした、摩天楼は、巨大な墓石のように見える。
ビル間から、見える、空の面積は少ない。
わずかに見える、空には、バルーンが上がっている。
ビルとビルの間には、6車線の、網の目状に、クロスした、車道が引かれている。
道を走る、エアカー。
歩道には、人とロボットの通行人が、まばらにいる。

カール「ここが、ゴードーか」
「いたるところに、ロボットがいるなあ」
アラゴー「化石ロボットがゴロゴロじゃ」
カール、路上の、キオスクに目をやる。
ハンチング帽をかぶった、オンボロ旧型ロボットが、新聞を読んでいる。
頭から、スチームが噴出する。
カール「ww」
ローラースケートを履いた、街灯ロボットが、カールに向かって走ってくる。
ロボットウエイトレス「新鮮培養魚肉」
「セルダイナミーツフーズの、フィッシュバーガーいかがですか?」
カール「培養肉?」
「食べてみよう」
電子マネーの、カードをかざす、カール。
『パポピ』
ロボットウエイトレス「サンキュー!」
楽しそうに、去っていく、ロボット。
培養肉のバーガー
カール「パクリッ! !!」
アラゴー「なんじゃ、その気持ち悪いのは?!」
カール「ほんとだって、食べて見なよ」
アラゴー「ぐぬ~、パクリ」
アラゴー「はりゃ!! 案外、いけるぞ!」
カール「ww」
ソフィア「そんなことより」
「市長に、アクセスを取らないと」
アラゴー「どうやるんじゃ?」
ソフィア「ゴードーでは、会社の社長や、著名人は、普通にはアクセスできないわ」
「テレフォンオペレートビルディングの、アクセスポイントで、データを入力して、一定の額以上加算すると、アポイントの日程が取れる場合があるわ」
カール「!?」
アラゴー「資本主義じゃのう」
ソフィア「ちょっと待って、それじゃ、通信公社に行きましょう」
カール「とほほ、お金かあ~&%$#~」


タクシーで乗り継ぐ、ソフィアたち。
テレフォンオペレートビルディング。
一階が、5階まで吹き抜けになっている。
フロアタイルが、セパレートされて、テレフォンオペレートマシンが、整然と並んでいる。
利用客が、まちまちと、電子パネルを操作している。
カール「ここが、オペレートビルディングか、広いなあ」
ソフィア「ちょっと待ってて、カードにクレジットを入金してくるわ」

オンボロロボットが、マシンを操作している。
マシン「入金エラー! 入金エラー!」
カール「?!」

マシンまで、行く、ソフィアたち。

機器はハイトーンで、喋りかけてくる。
マシン「アクセスラインナンバー」

ソフィア「ソフィアゴールドバーグ」

マシン「セリア」

ソフィア「00000万クレジット。」

マシン「OK!   セリア」

「○マンス、○デイ。14時、30分。アクセス取れました。」

マシン「セリア?」

ソフィア「トゥルー!」

カードキーが出てくる。

マシン「ドルツムントセントラルビルの、受付で、かざしてください。」

ソフィア「OK!」

ログオフ。

アラゴー「難儀なこっちゃの」
カール「00000万クレジット、高いなあ~&%$#~」
ソフィア「いいのよ」
アラゴー「まだ、日にちがあるな」
ソフィア「今晩は、ターミナルホテルに泊まって、日時を待ちましょう」
カール「やった、ホテルだあ!」
ソフィア「何か、美味しいものでも食べましょう」
アラゴー「腹が、うなるわい!」

口約束の期日。
ミラバーレイ市長とのアポイントメントの日。

ハイヤーから降りる、ソフィアたち。
車から降りると、そのビルはあった。
威風堂々とそびえ建つ、ゴシック建築のビルディング。
ゴードー。ドルツムントの、市庁舎だ。

カール「やっと着いた」
アラゴー「こりゃ、立派じゃのう」
カール「ここが、市庁舎か」
ソフィア「ええ」
アラゴー「税金で、食っとるんじゃ」
ソフィア「最大30%らしいわよ」
カール「それって、企業が大変じゃ‥」
ソフィア「機械テロや、機密情報など、お金がたくさんかかるらしいのよ」
時計を見るソフィア。
「時間だわ、行きましょう」

市長室
上層階の、市長室では、窓が全面にはりだしており、
ビル街から見える、陽光が暖かく、ブラインドの縞模様になっている。
ブラインドを上げる、ミラ=バーレイ。 
陽光に照らされながら、パソコンを叩く。
秘書が来る。
「市長、お電話が入りました。」
市長「わかったわ」
「はい」
「カーネーションガーデンランドの土ですね。」
「60000トン。」
「10日前後で、お届けします」
秘書を呼ぶ、市長。
市長「手続きをしておいて」
秘書「はい、わかりました」
窓際の、観葉植物を見ながら、紅茶に、口をつける、ミラ=バーレイ。
ミラ「市長選挙まで、あと4日」
秘書「お客様が到着しました」
ミラ「ソフィア=ゴールドバーグね」
「いいわ、通してちょうだい」
秘書は一礼すると出ていく。
データーベースで調べておいたわ。
ミラ「ソホン、〇〇コディーブル、ライトビッグチャーチ」
「エルフの、王族」
「初代、ソフィア=ゴールドバーグ?」
「初代?」」
「おかしいわね、現在、エルフの王族は、427代までいっているけど、何かの、間違い?」
「最近、エンゼル族が、スーパーコンピューターを、大規模、ハッキングしているけど」
「データの書き換えかな?」
「それにしても、何用かしら?」
ギーーー。
扉がそっと開く。
ミラ「?」
目を爛々と光らせた、小柄な老人が立っている。
老人「ミラ=バーレイ」
ミラ「?」
「イエス?」
エレベーターホール
受付嬢が、会釈している。
受付嬢「もうすぐ、ミラ様の、秘書がやって参りますので」
会釈する、ソフィア。
カール「こんな所が、市庁舎か」
「思ったより、大きい建物だなあ」
アラゴー「56階もあるぞい」
エレベーターが降りて来る。
紺の黒い、白いストライプの、タイトなスーツを着た、秘書が降りて来る。
秘書「ソフィア様、お待たせしました」
ソフィア「初めまして、ソフィア=ゴールドバーグと申します、急な、面談の予定お詫びします」
秘書は笑う。
秘書「ミラ市長は、53階の市長室で待っておりますので」
「ついてきてください」
ソフィア「はい」
秘書について、エレベーターに入る、ソフィアたち。
メーターは上がっていく。
チン
53階につく、ソフィア一行。
秘書「こちらです」
秘書室の前につく、ソフィアたち。
扉が少し開いている。
秘書「?」
「しばし、お待ちを」
入っていく、秘書。
老人が通り過ぎる。
老人「カール君!」
カール「?」
老人「これを」
手に何か握らされる、カール。
秘書室の中から、悲鳴が聞こえる。
秘書「キャアアアアア~~!!」
アラゴー「なんじゃ?!」
ソフィア「?!」
カール「行ってみよう!!」
秘書室に入る、ソフィアたち。
そこには、刃物で胸を刺され、死んでいる、ミラ=バーレイが。
ソフィア「!!!」
アラゴー「!!」
秘書「キャアアアー!!人殺し!!」
血にまみれた、ナイフを手に持ったまま立っているカール。
カール「!!」
ナイフを落とす、カール。
カール「いや、違うんだ!!」
目測で、小柄な老人を探す、カール。老人は、いない。
通報する、秘書。
アラゴー「いかんぞ!!」
ソフィア「ひとまず、逃げましょう!!」
一目散に、その場を逃げる、カールたち。
市庁舎を走って出る、ソフィアたち。
ソフィア「マーチンアヴェニュー、3の5、6」
「タクシー急いで」
タクシーを降りる、ソフィアたち。
ビルの隙間に、テレフォンオペレートボックスが立っている。
急いで、入る、ソフィア。
ソフィア「バルトロメと‥」
「1400072345」
電話の交流音「プルルルル、プルルルル」
「ガチャリ」
バルトロメ「もしもし、バルトロメ」
ソフィア「バルトロメ!」
バルトロメ「なんだいソフィア?夕食でも一緒にとか?」
ソフィア「ハメられたの!、ゴードーの市長に面会に行ったら、ミラが殺されていたの!!」
バルトロメ「!!」
「確か、ゴードーには、国際弁護士会館があったな」
「そこで、待ち合わせにしよう」
ソフィア「何日かかる?」
バルトロメ「余分をみて、2日」
ソフィア「2日なら。身を隠しておけるわ」
バルトロメ「色々と手続きがあるので、先に、国際弁護士会館に行ってから、向かう」
ソフィア「わかったわ」
「現在、ターミナルホテルに泊まっていたのだけど、安ホテルに変えるわ」
「場所は、マーチンアヴェニューから、ダークサイドシティー、0472」
バルトロメ「わかった」
「今すぐ、行く!!」
古着屋で、ボロを買い漁る、ソフィアたち。
ソフィア「これでいいわ」

タクシーで、乗り継ぎつつ、ダークサイドシティーに向かう、ソフィア一行。

街灯TVでは、今日の昼の事件のニュースが流れている。
アナウンサー「犯人は、エルフと、ドワーフと、人間の模様」
「逃走し、目下、追跡中」
「死んだ、ミラ=バーレイ市長の、葬式は、4日後、ガーデンフラワーパークで行われる模様」

ダークサイドシティー、0472。
俗に言う、貧民街だ。
ボロボロのビルが、碁盤の目状に、所狭しと、並んでいる。
しばらく進むと、見えてくる。
ひなびた場所に、立つ、黒い壁のビル。
ドアテルノキッチェ、オンボロビルだ。
夕闇が迫ってくる。
ランプが灯っている。
ビルのきしむ扉を開ける、カール。
「ギイイイイー~」
「ニャオオオー~」
4匹の猫が、宙返りすると、お辞儀する。
カール「!!」
「今のなんだ?!」
管理人「ツイッターですよ」
カール「?!」
初老の管理人が応対してくれる。
ソフィア「3日間、身を隠したいの」
管理人「お金は?」
ソフィア「20000ドーラ」
唾を飲む、管理人。
管理人「了解しました」
初老の管理人の名前は、「ドアテルノ、マグザス」
旧、軍人で、脱隊した後に、料理人になりたく、ダークサイドシティーに移り住んだと。

マグザス「見ましたよ、TV」
「また、大変な罪をなされて」

一部始終を話す、カールたち。

マグザス「そうですか、市長を殺した、罪をなすりつけられて」
「3日間なら、情報を守りましょう」


猫がすり寄ってくる。

マグザス「戦争の傷は癒えない」
「こうやって、猫と遊んでいるのが、唯一の救いですよ」

カール「どうやって?」

マグザス「そう、こうやって、スマートフォンで、猫にデータを送る、マグザス」

4匹の猫が、列をなして、円を描き出す。

カール「!!」

マグザス「ツイッターというものなのです。猫の、脳に、夢を。コンピューターでデータを送るのですよ」

カール「そんなことが!!」

マグザス「あくまでも、動物にしていることで、人間を実験に使う、軍部とは違うのです」

アラゴー「ふむぅー、難儀じゃのう」
「しかし、まだ、何かありそうじゃの」

マグザス「お感が鋭い」
「私が、軍部を抜けた理由は、あるものを見たからなのです」

カール「あるものとは?」

マグザス「悪魔の儀式」

カール「!?」

マグザス「アピスクヌム。血の儀式ですよ」
「兵士が、悪魔と契約て、盃を飲み、悪魔の肉体を手にいれる」

ソフィア「アピスクヌム。牛の神!薬剤名。EsG!!」

マグザス「そう、牛の、骨髄細胞です。人間の、体を、MAXまで、作り上げる」
「まるで、デーモンの様に」
「悪魔となった、兵士で、軍備を増大させている」
「ゴードーの、軍部はあまりに強大」
「‥‥」
「命を大切に」

ソフィア「おかしいわね、牛の骨髄細胞の、薬は、映倫に反してはないわ」
マグザスを見やる。ソフィア。

マグザスは、うつむいたままだ。

ソフィア「何か、あるわね」

マグザスは、顔を上げると、話しかけてくる。
マグザス「今日は、お疲れでしょう、ベッドを用意しますので」

ソフィア「今日は、もう、遅いわ。休みましょう」
「お話、ありがとう、マグザスさん」

翌朝

アラゴー「よし、念のため、兵器を買い揃えとこう」
カール「こんなところで?」
アラゴー「確か、ダークサイドシティーには、アウトレットの、ミリタリーウェポンショップがあったぞい」
カール「なるう~! よしアラゴー、行ってみるか」
アラゴー「よし、きた!!」
ソフィア「私は、明後日までの、食料品買ってくるわ」
カール「じゃあ、別行動で」
アラゴー「気をつけるんじゃぞ!!」




「GUN、四丁」
「マシンガン」
「じゃあ、手榴弾と」
「念のため、バズーカー」
「サイドカーに乗せておこう」
「これ、欲しいなあ、ミサイルランチャー」
「うむ、なんせ、敵は、ロボット掃討部隊だ」
「目には、目を!!」
「ほんとは、これでも、勝てるかどうか」
「うぬぅ~。言うと間が持つまい」
「何か。もっと、良い兵器がないんだろうか?」
「うちは、アウトレットで、お古の兵器しかないんですよ、お客さん」
「しかたないか」
「たくさん、買ったね」
「うむ、帰るか」
「ソフィアが待ってる」


場所は変わって、ソフィア。
「フラブ、ラブ」
「シャンリゼ通りの」
歌を歌いながら、買い物をすませる、ソフィア。
「カールと、アラゴー」
「ポケットミート」

「ちょっと、お手洗いを済ませていこう」

「?」

悪寒が走る

ソフィアがトイレから出ると、間髪入れず、爆発する。フロアー。

ドガアアーーーン!!!!!

爆風にさらされながら、受け身を取る、ソフィア。

キャアアアアーーー!!
付近の住人たちが、慌てている。

ソフィア「カールたちは!!」

「急いで、帰ろう」

ドアテルノキッチェの、付近まで、帰ってくる、ソフィア。

アラゴーたちも帰って来ている。


アラゴー「なんじゃ、ソフィア、服がボロボロじゃぞ」

ソフィア「お手洗い済ませたら、フロアが爆発して」
カール「!!」

アラゴー「狙われているか」

ソフィア「一日早いけど、バルトロメに、会いに、国際弁護士会館に行ってみよう」

アラゴー「そうじゃ、それが良い」

ソフィアを後ろに乗せ、サイドカーに、アウトレットの兵器をたんまり乗せて、ホロをかけ、
見えないようにすると。上に乗る、アラゴー。

国際弁護士会館まで、向かう、アラゴーとカール、とソフィア。

炎天下の中、砂塵吹く、ロード。
国際弁護士会館までの道のりを、ひた走る、カール一行。

国際弁護士会館
バイクを道路脇に、止める、カール。
カール「着いた!」

フードを目深にかぶり、マフラーで、顔を隠して、歩くカール一行。
ソフィア「何か、おかしいわ」
アラゴー「気づいたか」
ソフィア「さっきから、スーツの男が、4人、見張っているわ」
アラゴー「バルトロメのやつ、ほんとに、ここで待ち合わせをするじゃろうか?」
ソフィア「電話は、音声変換ではなく、バルトロメ本人だったけど」
アラゴー「エルフの、音感本人認証じゃな」
「なら、いいが‥」
ソフィア「とりあえず、上まで上がってみましょう」
2階の、待合室まで、階段で登る、カールたち。
そこには、ソファーにもたれた、バルトロメが。
バルトロメ「ソフィア、待っていたよ」
ソフィア「バルトロメ!!」
アラゴー「いや、もう、着いているとは」
バルトロメ「大変だったね。それで、一体、何があったんだい?」
一部始終を話す、カールたち。
バルトロメ「なるほど、ミラ=バーレイ市長に会いに行って、事件に巻き込まれたか」
カール「そうなんだ、老人が、犯行に使ったナイフを、俺にもたせて」
バルトロメ「小柄な老人に渡されたと」
カール「?!」
その場に、一瞬の沈黙が流れる。
カール「俺は、老人とは言ったが、小柄とは言ってない!」
「誰だ!!貴様!!」
バルトロメ「ユイサラー」
横にいたソフィアを捕まえる。バルトロメ。
姿が、デーモンに変わる。
ソフィア「キャアアア~!!」
デーモン「ダークオズム、ゾーンエンデザゴドムズ。マハトーヤ、ブラックケルベルスロイド!」
次々と、スーツを着たビジネスマンが、デーモンに変わっていく。
空間から、機械音と、うなり声が聞こえてくる。
ソフィア「時空転送!!」
20体のロボット掃討部隊の、ブラックケルベルスロイドが、召喚される。
ソフィア「逃げてカール!!」
アラゴー「場所が悪いぞ、カール!!」
カール「OK! アラゴー!!」
窓をつきやぶって、飛び降りる、2人。
バリーーン!!
ズシャ!
バッ!!
サイドカーのバイクの、ホロを取る。
銃火器を手に取る、アラゴーとカール。
アラゴー「行くぞ!!カール」
カール「おう!」
マシンガンを、手にするカール。
トリガーを引く。
カール「こなくそ~!!」
「タタタタタタタタタ!!!!」
「カン、カカカカ、ビシュッ、ボンッ!」
アラゴー「これを受け取れ!!」
手榴弾の、栓を抜く、アラゴー。
ロボット掃討兵まで、投げる、アラゴー。
ヒュー~~。
ドガアアアアーーーン!!!!
アラゴー「四体いったぞ!!」
キシューン。キシュ。
バチッバチバチッ!!
ショートする、ブラックケルベルスロイド。
ソフィア「私は、援護魔法をかけるわ」
グレーターデーモンの腕に噛み付く、ソフィア。
腹部を殴られる。
ソフィア「キャア!!」
グレーターデーモンにさらわれる、ソフィア。
バチッ、バチバチッ!!
キシューン。キシュ、キシュ。
14体の、ロボット掃討兵が倒れる。

アラゴー「カール、今追っても無駄じゃ。一旦引こう!!」
カール「ソフィアー~!!」

向こうから、青い服を着た、男が手を振って走ってくる。
バルトロメ「カール!!」
カール「それじゃ、今度が本当の、バルトロメ」
バルトロメ「あんれ~?! 約束は明日じゃ?」
アラゴー「騙されたわ!!」
バイクを反転させる、カール。
カール「バルトロメ~!!」
「乗り込め~!!」
バルトロメ「んっ!!あいよ!」
ヒラリと、サイドカーに飛び乗る、バルトロメ。
バルトロメ「あんれ~?! ソフィアは?」
デーモンに連れられ、空中を去っていく、ソフィア。
アラゴー「ソフィアは連れ去られた」
バルトロメ「!!」
アラゴー「ひとまず、退散じゃ」
バルトロメ「どこに?」
カール「ドアテルノキッチェ!!」
アラゴー「いかんぞ! カール!!」
カール「?!」
アラゴー「レスポンスが早すぎる!」
カール「じゃあ、どこに?」
バルトロメ「そこの通りを左車線に入って、大通りに出る」
カール「?」
バルトロメ「そのまま、真っ直ぐ行くと、マーチンアヴェニューに戻る」
カール「それで?」
バルトロメ「マーチンアヴェニューの、2-6-5」
「高層マンション群の、一角、47階。ミラ=バーレイ」
カール「えっ?」
アラゴー「ミラ=バーレイなら、死んでおるぞ!!」
バルトロメ「市長の、ミラ=バーレイは、影、今度が本当の、私の友人の、ミラ=バーレイ、貴婦人だ」
「大国ゴードーでは、影が4、50人はいる」
「この国有数の、小麦農家で、パン工場を経営している。本当の、ソイルゴット社だ」
アラゴー「手っ取りばやいわ!!」
カール「OK! 行こう!!」
マフラーを目元まで、あげると、バイクのスピードを上げるカールだった。

□マーチンアヴェニュー2-6-5
大通りから、マーチンアヴェニューの、高層マンションの、地下駐車場に入る。
カール「ふう、ここまでくれば、もう大丈夫だろう」
バイクを隅に止め、ホロをかける、カールとアラゴー。
バルトロメは、認証機械の方へ進む。

バルトロメ「47F、ルイ、オブエンタール」
認証機械「顔認証、セリア」
「お名前の方をおっしゃってください」
バルトロメ「アベラルド=ピコ=バルトロメ」
認証機械「音声認証、セリア」
地下エレベーターの、扉が開く。
バルトロメ「行こう!」
カール「今のは?」
バルトロメ「実名は使わないことになっている」
エレベーターを登りながら。
カール「やけに、頑丈な作りになっているな」
バルトロメ「そう、壁は4重構造で、ツイッター防止装置が入っている」
カール「誰かに、いたずらされないためだね」
バルトロメ「そう、高額所得者が多く、静かに、暮らしている人が多いから」
デジタルカウントが、47を指す。
「チン」
バルトロメ「さあ、ついたぞ」
扉が開くと、受付がある。
受付には、アンドロイドが座っている。
アンドロイド「バルトロメさん、お待ちしておりました」
バルトロメ「ルイ、オブエンタール氏。何号室だったかな?」
アンドロイド「307号室になります」
バルトロメ「ありがとう」
薄暗い、通路を進むと、マンションの、角に出る。
角は、全面、ガラス張りになってあり、階下の景色が綺麗に見える。
横が、307号室だ。
307号室の、インターフォンを鳴らす、バルトロメ。
カメラを見る、バルトロメ。
バルトロメ「アベラルド=ピコ=バルトロメです、ルイ=オブエンタールさん?」
ミラ「はい、ちょっと待っててね」
しばらく待つと。
施錠が開く。
扉を開けると、そこには、来客用、ロボットが。
ロボット「お待ちしておりました」
来客用ロボットの後ろをついていく、カール一行。
400平米はあるだろうか、広いリビングに出る。
年は、90だろうか、プラチナブロンドの、髪に、ボリュームを出すように、上にあげた、上品な、ふっくらとした、貴婦人が、大型TVの前に立って、手をふっている。
バルトロメ「アミーゴ!」
ミラ「アミーゴ!!」
抱き合う、二人。
ミラ「アベラルド!!、今、TVを見ていたところなの」
「ほら、見て見て!」
バルトロメ「ご無沙汰しております、サーバーレイ」
「これが、今回、事件に巻き込まれた、友人の、カールとアラゴー」
「ソフィアは、デーモンに連れ去られた」
TVで緊急放送を言っている。
TV「第473代目、エルフの王女、ソフィア=ゴールドバーグは、無職、カールザルツバーグに、殺された模様、ミラバーレイ市長の、次の殺人です、目下、逃走中。また、情報が入り次第お伝えします」
カール「えええ~~~!!」
アラゴー「待て、カール。まだ、殺されたと決まったわけではない」
バルトロメ「無事だといいが‥」
ミラ「ひとまず、紅茶を飲んで」
紅茶を飲む4人。
バルトロメ「フゥ!」
ミラ「それで、罪をなすりつけられたわけね。ソフィア殺害とあるけど、ゴシップかもしれないわ」
アラゴー「バーレイ婦人、それだと、いいんですがね」
ミラ「チャーミングな、殿方だこと」
紅茶をふく、アラゴー。
笑う、バルトロメ。
紅茶を飲む手を止め、室内を見渡す。
アラゴー「それにしても豪華な室内ですな‥」
ミラ「はい、今から、70年前、私が、大学生だった頃、牛の血液製剤から、ソイルが大量に作れることを発見して、会社を起こし、現在に至るです」
アラゴー「ああ、あなたが‥」
カール「ソイルゴッドなら、エスオゴでも有名だよ」
ミラ「はい、食糧事情は、格段によくなりましたわ」
カール「70年前なら、僕は、生まれてないや。親父は、野菜を作っていたと思うど」
アラゴー「そうじゃな、ベジタブルと、フラワー」
頷く、バルトロメ。
ミラ「ゴードーの三角地帯にある、小麦畑。小麦も、花の一種ですわ」
アラゴー「うむ」
ロボットが、お茶を持ってくる。
カール「ありがとね」
目のカメラが、収縮する。
また、TVから、カールの殺人の、ニュースが流れ出す。
バルトロメ「まただ」
カール「トホホ」
アラゴー「一体、誰が工作しておるんじゃろう!?」
ミラ「はい、多分、私の感では、軍部でしょう」
バルトロメ「?!」
アラゴー「やはりか!」
ミラ「ロイド国王の国策の、ロボット群と、ナノテクノロジーで、最近、軍部が、財界に、税金を上げろと、しつこく言ってくるのです。あと、神の映倫‥」
バルトロメ「?!」
アラゴー「ふむ? 神の映倫とは?」
ミラ「そう、神の映倫。エルフの里、ソホンの、賢人会を無視して、女性の、臍帯血から、血液製剤を作り出す、所業」
アラゴー「女性の臍帯血から?!」
バルトロメ「本来、男子禁制のはず!!」
ミラ「ええ」
アラゴー「なるほど、読めてきたわ!!」
バルトロメ「ソフィアを監禁する!!」
カール「臍帯血って?!」
「?」
アラゴー「お前は、まだ、知らなくても良い」
クスリと笑う、バルトロメ。
カール「&%$#~!」
ミラ「まあ、また、ないがしろに、しなくても」
アラゴー「ガハハ!!」
紅茶を飲んで一服している、皆。
TVでは、また臨時ニュースが流れている。
ミラバーレイが口火をきる。
ミラ「軍事ロボットの、開発者が誰かは、まだ、わからないのですが、ゴードーの、ロイド=エス=ダニエル国王が、軍事ロボット推進派。ですので、私の家のロボットは、ラスコール製のを使っています」
アラゴー「ソホンの、ロイド博士、?国王もロイドとあるが、まあ、関係は、ないじゃろう。その、ソホンの、ファームロボット研究家の、ロイド博士のお宅を、襲撃したのも、ゴードーの手によるものじゃ。ロボット掃討犬に、確かに、ゴードーの、紋章が入っておったわ」
バルトロメ「部品工場は、ゴードーにあるとか」
ミラ「ええ」
ミラ「バルトロメ!!」
バルトロメ「なんでしょう。サーバーレイ」
ミラ「私の友人を紹介しておきます。何かあったら、力を貸してくれるでしょう」
「みんな、ゴードーでの、軍事ロボット反対派です」
バルトロメ「ありがたい」
ミラ「ドン=ディック=フランクリン侯爵、レイモンド=フランシス伯爵、モーガン=デズモンド男爵、ロブ=スコットリー子爵、あと、私の会社の、秘書兼、副社長、アーマー=フィリップ=ダンフォース。この5人です」
「私を含め、6人、農業、牧畜を中心とし、経済を回そうと言っているメンバーです」
「あと、ロイドの、義兄、ジョセフ=ダニエル教皇は、軍事ロボットを良しとはしない方です」
「副社長の、アーマー=フィリップ=ダンフォースは、私が社長についた時から、50年、私の、左腕になってくれている、秘書です」
バルトロメ「心強いな!」
アラゴー「うむ。爵位の方ばかりじゃ」
バルトロメ「反対派の、爵家の、誰かに、アクセスできると良いんだが」
ミラ「月に一回、ゴードーの宮殿で、社交界が、ありますわ」
「その時にでも、ご紹介しますわ」
アラゴー「うむ、ありがたい」
沈黙が訪れる。
ミラ「カールさん」
カール「はい」
ミラ「アルフレド=エクサ=アリエル国王の、ご嫡男」
カール「はい、そういうことになります」
ミラ「見てみます?!」
カール「?!」
ミラ「こんな時期に、なんですが、私の、パン工場を」
「自国の、社会勉強になると思われますわ」
アラゴー「なぬ?!」
バルトロメ「いいんですか?」
ミラ「はい」
「労働者が、頑張って、働いていますわ」
「ほとんど、社会福祉ですの、原材料、労働者への賃金、税金などのぞいたら、経営者に入ってくる額は微々たるもの」
「このマンションは、ソイルの売り上げからです」
アラゴー「ガハハ!! なるほど~!」
キョトンとしている、カール。
バルトロメ「確かに、敵が軍部だとすると、今は、まだ、動き出すのは、時期早相」
アラゴー「作戦を練らないと!!」
カール「いい案を考えないと」
ミラ「案なら考え中ですわ」
「ひとまず、食事でも取られて、今日は、お休みになって」
アラゴー「ふむう!!」
バルトロメ「ありがとう、サーバーレイ」
カール「ありがとね」
ミラ「CPR4! ご客人に、ステーキライスセットとフィッシュエッグスープ。パリディーブルーのザリ、ニケアニクググ、フィッシュ&チップス。サラダに、ドリンクを人数分注文して」
ロボット「わかりました、ご主人様」
ロボットの、目のレンズが収縮する。
ミラ「殿方には、精力をつけてもらわないと」
カール「やった!」
アラゴー「腹がうなるわい!!」
照れる、バルトロメ。

翌日。
地下駐車場。
ロボットの運転手が、リムジンを、用意している。
マフラーで口元まで、隠している、アラゴーと、カール。
ミラ「待って、あったわ、あったわ!」
サングラスを、3人に、手渡す。
ミラ「これで行きましょう!」
出発する、リムジンキャデラック
市街地の、離れを流れる川の、隣に、大きなパン工場がある。
パン工場に、着く。
看板には、「カウパン」とある。
カール「ああっ! カウパン、美味しかったんだよ!!」
エントランスに着くと、靴を脱ぐ、4人。
工場に入ったら、この服を着てもらいます。
ナイロンの、服を着る、4人。
エアールームに入って、チリを飛ばす。
アラゴー「なんだあ!!なんだあ!!」
カール「これは、気持ちいいなあ」
中に入ると、ベルトコンベアに乗った、パンが、次々に送られてくる。
ミラ「私の、工場では、ほとんど、オートメーションです」
「3交代制で、人員がやるのは、機械の操作と、分解、組み立て、洗浄、商品のアレンジと、商品の管理です」
せっせと働いている。労働者。
カール「なんか、楽しそう!」
ミラ「労働者への、月給は、30Gもありますヨ」
カール「30万ペラもあるのか」
「高所得だなあ」
ミラ「ほとんど、福祉ですよ」
カール「これは、国民が、救われる。ありがとうございます。僕も考えてみよう」
ミラ「ええ」
洗浄機を見せてもらう、カール。
カール「これはすごいや!!」
トラックの積み込みもオートメーションになっている。
カール「なるほど」
一定位置に、パン箱の、タワーを置くと、ロボットアームが、次々に、トラックに積み込んでいく。
カール「これもすごいや!」
アラゴー「勉強になったな、カール!」
カール「勉強になったよ」
「確かに、お金になるし、国民が助かる」
「ありがとう、サー、バーレイ」
ミラ「ちょっと試食用の、ミルクアメリアを持ってきますわ」
カール「やった!! ミルクアメリア!!」
去って行く、ミラ。
遠くの方で、悲鳴が聞こえる。
ミラ「キャアアアア~~!!」
「逃げて~! カール! バルトロメ!!」
見ると、ロボット掃討兵が、窓を破って、数体来ている。
カール「!!」
銃撃戦が、始まっている。
アラゴー「しまった!! 武器持って来とらんぞ!!」
向こうから、灰色のスーツを着た、体格の良い、紳士が走ってくる。
紳士「バルトロメくん!!」
バルトロメ「サーデイビッド!!」
デイビッド「ミラの、遺体は確保した。巻き添えを食わないうちに、アモンドハリスレスタービルに!!」

アモンドハリスレスタービルは、マーチンアベニューの、区画を西に抜けた、トライアングルスクエアにある。
トライアングルスクエアは、現在、再開発の途中で、夕日を浴びた、超高層の、鉄骨組が、グワン、グワンと、音を立てて、組み上がっていっている。
その一角の、アモンドハリスレスタービル。
500mはあるだろうか。H型の造形をした、コンクリート造りの重厚なビルだ。
エアシップリムジンで乗り付ける、一行。
エントランスで、待っている。秘書。
デイビット「レリム、この方達を、社長室までお連れして」
レリム「はい、わかりました。社長。アレっ? どこかで、見た顔だぞ?!」
「あっ?! あわわわわわー。 殺人犯~!!」
ブクブクを泡を吹いて、倒れる、レリム=ザ=マハトーヤ
デイビット「気を確かに、レリム=ザ=マハトーヤ=ポンビキー。この方達は、私の友人だ、断じて、殺人犯などではない」
レリム「社長~~!!」





エントランスから、4度、ゲートを通過する、一行。
エレベーターホールに着く。

カール「大きい建物だなあ」
レリム「みなさん。リニアエレベーターは、70階の、社長室まで、一瞬ですよ」

階下に景色が流れる。まるで、天空を登っていくようだ。
70階に、みんなを乗せて、着く。

開く、ドア。

デイビット「レリム、下がってよろしい」
レリム「わかりました。用があったら、いかようでも、呼んでください。では失礼します」

下がる、レリム=ザ=マハトーヤ。

殺風景な、室内は、何も置いてない。
カール「え~!! ここが、社長室~?!」

デイビット「私は、ここで、一人で、瞑想するのが、日課なのです」
バルトロメ「前の部屋と違うような‥」

カール「なんかこの部屋?!」
アラゴー「気づいたか!」
カール「途中で、切れているよね、空間が」
アラゴー「うむ」
バルトロメ「ミラーガラスじゃ?」

800平米はあるだろうか。
部屋の途中で、ミラーガラスの、パーティーションが区切ってある。

カール「何か、おかしい?!」
アラゴー「うむ、同感じゃ」
バルトロメ「デイビット?!」
アラゴー「して、捏造情報の、情報というのは?」

デイビット「さらわれた、ソフィアが、王女だったという」

カール「!!」
アラゴー「!!」
バルトロメ「?」

カール「なぜ?! お前は、ソフィアが、さらわれた事を知っている!!」
アラゴー「何者じゃ?!」

デイビット「気づきましたか‥。ユイサラー!」
顔をうろこ状に、紫が侵食していく。

カール「デーモン!!」

デイビット「よろしい、お見せしよう!!」
「オープン!!」

ミラーガラスが、クリアーガラスになる。

すると、向こうの部屋の中央には、椅子に座らされた、ソフィアが。

デーモン「殺しは、しませんよ」
「ソフィア=ゴールドバーグ」

意識を取り戻す、ソフィア。

ソフィア「カール!!」

デーモン「ソフィア=ゴールドバーグ」
「ソフィア=ゴールドバーグ王女、ソホンの、賢人会と、共謀して、先進国会議で、ゴードーに、攻め寄る計画を立てているとか」

ソフィア「えっ?! 私が‥?」

デーモン「?」

グレーターデーモンが、近づいて言って、耳打ちする。
デーモン「なんだと?! ミシュトランの、情報工作?!」

去っていく、グレーターデーモン。

デーモン「フフフ、クハハハハ!!」
「あの方の、お力添えになればと、思ったが、逆手になったわ!!」

カール「?!」

カール「ソフィアに手を出すな~!!」
「俺を代わりに、捕まえてくれ!!」
首を横にふる、ソフィア。

デーモン「カール君だったな。ソフィアさんとの仲を見ていると、実に微笑ましい」
「ソフィア王女は、無実」
「我々は、あるお方にお仕えする為に、作られた。ユイ、サラー」

カール「誰に、仕えているんだ~!!」

デーモン「温主の名は、言えない」
「だが、良いだろう、カール君」
「私くしごとを、話そうか」

私は、貧しかった。
夢を求め、ゴードーに出てきたのは、20の時。
どこに行っても相手にされず。
持ってきていた、貯金もすぐに底をついた。

あの方だけは、違った。
私に、暖かい食事と、服をくれ。
宿で休ませてくれた。
そして、田舎育ちの私に、見せてくれた、まばゆいばかりの、コンピューター群と書物。
知らないことばかりだった。
それからは、教育の日々だ。
無知だった私は、学ぶ楽しさを覚えた。
生きた心地だった。
私は、遅れをとらないように、寝る間を惜しんで、勉強をした。
気がつくと、ライバルはいなかった。
あの方は、喜んでくれた。
私が学んでいたのは、コンピューターCで、ロボット開発用だ。
結果は、成功。
ロボット掃討犬が完成した。
民間に移って良いと言う話が来た。
行く前に、血の儀式を受けた。
何一つ、不自由のない、生活。
贅沢な暮らし。
私が、一ビルの、オーナーで、社長だ。
ゴードーの最富裕の一角、トライアングルスクエアの。
現在に至るだ。

デーモン「しかし、私の命は、あって、ないような、もの」
「全ては、温主である、あの方のために‥」

カール「お前は、血の儀式まで、して、後悔はないのか~!!」

デーモン「我々は、あるお方にお仕えする為に、作られた。ユイ、サラー」

「貧しい、われわれを、地の底から、引きずり出してくださったあの方」
「我々の、御母」
「裏切りは、死を意味する。ユイ、サラー、グラータ」
「我々はデーモンとなりて、永遠の命を得る。そのこと自体に、後悔の念はないのだよ」
「カール君」





夕闇の、森林地帯。
逆光で、黒く、浮かび上がる、ファクトリー。
ファクトリー。
ロボットアームが、しきりに、稼働している。
アルミの、メッシュの、通路を通る、女性。
影で、顔は見えない。
コンピュータールームに入る。
机の上の、紙を取る、女性。
「そう‥、デイビットが‥」
紙を破り捨てる、女性。





カール「お前は、大企業の CEOを務めて、まだ、バカなことをするのか~!」

ソフィア、デイビット=フォスター=ルーンの企業の、情報を、ポータブルコンピューターで読む。
カール「積ん読くやめて、積む読むにしよう」
ソフィア「サーチ読みね」
「すごい企業だわ!」

デーモン「でも、出来なんだよう、エンダーの時代のような高品質な製品が!!」

ソフィア「多分、前時代は、工場を分けているんだと思うわ」
デーモン「!!」
デーモン「なるほど」
「クカカ、私としたところが、取り乱してしまったわ!」



デーモン「私は、ミスをした」
「もう、あの方の元には、いけない」

カール「?!」

デーモン「ソフィア君を、離そう」

カール「!!」

眉間に鬼のようなシワのよる、デーモン。
鬼の形相。
デーモン「ロイドめ!!」

ソフィア、カール「?!」

カール「今、国王の名を?!」

デーモン「失敬、なんでもない」

カール「?!」

デーモン「最後に、カール君、君たちの力を見たい。私と勝負しようじゃないか!!」

カール「望むところだ!!」

デーモン「フハハッ!!」

デーモン「ザハトーヤ ジスロメタファーグ ファイ ゴルム メーサファルケッツォ カイ フェムトロー」

空間が、白黒反転する。

「ムンッ!! 時空転移!!」

カール「なんだ?!」

空間が歪む。

空間が転移する。

気がつくと、アモンドハリスレスタービルの、屋上にいる。
ヘリポートだ。

カール「朝?」

ソフィア「時空転移には、時間をも曲げる力があるわ」

カール「ここは?!」
ソフィア「ヘリポート!!」
アラゴー「どうやら、屋上まで飛んだらしいな!!」

空中に浮いているデーモン。
デーモン「ここでなら、思う存分、戦える!!」

カール「望むところだ!!」

ソフィア「フラウ!!」
朝日の中、空中に浮かび上がり、回転する、ソフィア。


アモンドハリスレスタービル。
レリム=ザ=マハトーヤ=ポンビキー
「あれっ? みんな、何処へ行った?」
「社長!」
「社長!」
「社長が、デーモン?!」
「んな、バカなことがあるかあ~!」
「服だけ残されて‥」
「社長~!! 一体どこへ!?」


朝日照る、屋上。

デーモン「貧しい、われわれを、地の底から、引きずり出してくださったあの方」
「我々の、御母」
「我々はデーモンとなりて、永遠の命を得る。今日まで、良い夢を見た」
「裏切りは、死を意味する。ユイ、サラー、グラータ」
「さあ、来い、カール!!」

カール「よし来た~!! と言っても武器がない!!」
「やーい!!」
デーモンに、尻を向け、叩く、カール。

デーモン「!?」

ソフィア「任して、カール!!」

ソフィア「デーモン戦は、お手の物だわ!」
「一気に決着つけるわよ!」
連続魔法、高速詠唱。
「アイス」
「アイスピリア」
「アイススリプル」
青の六曜。巨大な氷の結晶が、作られる。
「アイスピリアブリザランススピニオレ」
巨大な、氷の槍が、数十本、グレーターデーモンに向かって、追尾していく。
デーモン「次元の、覇者よ、時空の疾走を我に、クイック!!」
デーモンのスピードが倍加する。
氷の槍を全てかわす、デーモン。
ソフィア「!?」
ソフィア高速詠唱。
ロッドに、光が集まる。
「うちなる精霊。空の精霊と交わりし時、天のみかごにのって、現れるシルフよ。我に付き添いたまえ」
風が強くなり、空に、無数の精霊が現れ、渦となって歌い出す。
「空の境界と、交わる時、天空の神、うちなる精霊。風の精、シルフよ、竜巻をおこしたまえ」
ソフィア「アイスピリアブリザランストルネード」
重なり合う、風は、豪風へとなり、螺旋は渦高く昇る。
グレーターデーモン「グガガッ」
身動きが取れなくなる、グレーターデーモン。
雷音が轟き、爆音とともに、豪風に。
ソフィア「よし」
「風の精霊シルフよ、我に力を!」
「アイスピリアブリザランススピニオレ」
ニヤリと笑う、デーモン。
デーモン「真紅のロンドは、血の祝杯から、ダンス!!」
デーモンに残像がつく。
氷の槍を全てかわす、デーモン。
ソフィア「!!」
「やられたわ!」
デーモン「ロズ=オズワルドは、私の、友人!!」
「先じ、持って、研究させてもらったわ!!」
ソフィア「マジックポイント、尽きちゃった」
アラゴー「なんじゃとう!!」
カール「そんなあ~!」

デーモン「それでは、こちらの番かな」
デーモン「サンダー!!」

落雷が、アラゴーを狙い撃つ。
前転、側転、後転で、転がりかわすアラゴー。

アラゴー、怒髪天。
ジェネラル時代の、天空龍との、契約。
サンダーを頭上から、浴びて、フォースエンチャントする。

アラゴー「わしの、番じゃ!!」
「古の、古竜」
「竜族の長兄」
「天の様相に、お伺いかけ、」
「偶然か必然か、問い合わせる」
「地を覆い尽くす、その様相は」
「虚空に、身を潜める」
「蒼龍 知恵 智 の竜」
「この、ゴールドアーマーは、」   
「雷の、性質を、中和し、体内に取り込み、数千倍の、エネルギーに、返す」
デーモン「!!」
アラゴー「サザーザ  コルムート  ブルーファルカッサ ヨタ イプシロン よ、我に力を」

「ビュウウオオオオオ~~~」
風が強くなる。
朝日に照らされる、ドルツムントの、街に、黒いカーテンが敷かれ始める。

カール「!!」
アラゴー「来たわ!!」

急にあたり一面が、真っ暗になる。

漆黒の闇。

返すように、虚空から、巨大な、鯨の咆哮のような声が聞こえる。
「ウオオオオオオオオ~~~~~ン」

暗闇の中、天から一筋の、落雷が、アラゴーめがけて落ちる。

アラゴー=ルイス、人呼んで、雷鉾万人隊長ジェネラルアラゴー、デイビット=フォスター=ルーンよ、いざ、正々堂々と、勝負!!

アラゴーの体が、光り輝きながら、回転を始める。

デーモン「サンダー!!」
アラゴーの体にめがけて、稲妻を放つ、デーモン。

アラゴーの、体は、ますます、光を増していく。

デーモン「!!」
「サンダー!! サンダー!! サンダー!!」

光は、まばゆいばかりに、光度を増す。

突如、轟音とともに、アラゴーは光の線となり、デーモンを突き破る。

アラゴー「おっしゃああ~~!!」

デーモン「グガガガッ」
デーモン「私を倒しても、第二、第三の私が現れるだろう」

黒の塊は、点滅の後、虚空の闇へと、気化していく。



朝日に照らされる、ゴードー、ドルツムントの街並み。

朝日の中、クロスを切る、ソフィア。

カール、アラゴー。



アモンドハリスレスタービル。

レリム「みんなが、帰ってこない~!!」
「こんな所に、服を脱ぎ散らして、社長~」
「社長が、デーモン?! んな、バカなことがあるか~!!」
「社長~~!! 社長~~!!」
「トホホ~~」


巨大都市ゴードー 前編 完





□キャスト
ソフィア=ゴールドバーグ
カール=ザルツバーグ
アラゴー=マブ=ライルデン アラゴー=ルイス
アベラルド=ピコ=バルトロメ
ミラ=バーレイ
デイビット=フォスター=ルーン






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