27 / 31
ロズ=オズワルド
しおりを挟む
口ロズ=オズワルド
浅鼠色の針葉樹から萌黄色の新緑が出てくる頃。
山は、白い雪解けで、小川は清流。水は冷たく透き通る。
深い谷間から、丘を越えて、山岳鉄道は、そのさらに先に進む。
緑青色の山間部からは、白い積乱雲が見える。
上層の谷間に、にゅっと現れる、ドームシティー。
ドームのクリアパネルは、空に浮かぶ雲を湖のように、映して、景観は空に溶け込む。
テレクベリーである。
山岳列車を、乗り継いで、やっと行ける、夢の都。
標高は高い。
100m四方の白い箱の立ち並ぶ、データタウン。
暮石のようにも見える。
その周りは、田園である。
ドームの中心にあるのは、2本の巨大な、ミラーリンクビルディング。
壁面は、ミラーガラスになっており、上空を流れる雲を映して、陽気な模様を醸し出す。
巨大な情報シティー兼TV局。ミラソーサ。
その上層階に、彼はいた。
大きなモニタの、デスクトップパソコンと睨めっこをしている彼は、ふとテーブルの、コーヒーを手に取る。
モニタには、株式の、数値化された、乱数が並んでいる。
立ち上がって、伸びをすると、窓から外の景色を見る、ロズ=オズワルド。
薄鼠色と、白の、針葉樹の崖を挟んで、白と銀の、コントラスト。ビル群が立ち並ぶ景色。
その中のタワーマンションの屋上にある、電子パネル。
TV局の新作。デモンズショウの看板だ。
手元のテーブルに、目をやる。
テーブルの上には、デモンズショウ発表会の、チケットとパンフレットが。
ロズ「フフッ。2シーズンを切ったな」
電子レンジからパウチを取り出す。
パウチを開けて、2杯目を、コーヒーカップに注ぐ。
コーヒーを口に運ぶ、ロズ=オズワルド。
目を細める。
試写会当日。
フラッシュのたかれる中。
司会者「今回封切りの、パイロットフィルム。デモンズショウ、いかがだったでしょうか?」
拍手喝采の場内。
鼻を噛むロズ。
司会者「それでは、最後に、悪魔に取り憑かれた少年を演じた、天才的子役。クリスに、もう一度拍手をお願いします」
観客「デモンズショウ!!デモンズショウ!!」
会場は最高潮に。
司会者「それでは、お呼びしましょう。デモンズショウ、トップスポンサー。ラサcom.CEO.ロズ=オズワルドー!!」
舞台に出て行くロズ。
ロズ「最高の演技だったよ」
クリスを抱擁する。
クリス「サンキュ。ロズ」
「僕は、これから、ファンの集いがありますので、一足先に失礼します」
舞台上。お辞儀する、クリスとロズ=オズワルド。
幕は降りる。
小さくガッツポーズでジャンプする、ロズ=オズワルド。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
白い椅子に座って、舞台を見ている、ロズ=オズワルド。
舞台の上には、上質なストライプのスーツを着た、小太りの男の子が。
司会者「子供、長者番付一位。カイル=ロイス=マイヨール!。ラサcom.2百万株、取得ー!!」
「今回は、デモンズショウ。クリスの衣装デザインも手がけましたー!!」
バイクのエンジン音。
ドル、ドルルル。ドルン。ドルン。
舞台袖から、カウルのついた、ヨーロピアンに乗って、現れる、クリス。
舞台の上まで、バイクで上がって行く。
タイトにフィットした、ブルーブラックなライダースーツ姿で現れる。
ヘルメットを外すと、綺麗な髪を振り払う、クリス。
バイクから降りると、カイルの前まで行くと、フレンチ・キスをする。
拍手喝采の場内。
クリス「ホンヨ、テレクベリー、ミラソーサ本局と、同時進行」
「彼、カイルの自由放送局でも、デモンズショウの特集をする予定です」
手を繋ぎ、手をあげる、カイルとクリス。
拍車喝采の場内。
拍手する、ロズ=オズワルド。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
クリス「番組、ロケ、終わったよ」
ロズに握手を求める、クリス。
ロズ「良かったよ、クリス」
クリス「ええ」
ロズ「これから、食事でも」
クリス「ありがとう。でも、ちょっと待って」
「見てもらいたいものがあるんだ」
神妙な面持ちになる、クリス。
ポータブルデッキを出す、クリス。
クリス「お金持ちのお坊ちゃんが増えるから、自由放送局も増える」
ロズ「んっ何だい?」
マスターテープを起こすクリス。
クリス「送られてきたんだ」
ポータブルデッキの画面が映る。
そこには、腹から内臓の出た、クリスの姿や、沢山の女性と一緒の、淫靡な姿のクリスが映る。
ロズ「ウウッ!!」
吐き気の催したロズは、トイレに駆け込む。
クリス「これ、アンダーグラウンドの、自由放送局の、偽造データなんだ」
ロズ「あんなフィルムが出たら、破滅だ。マイエンジェル。クリス」
クリス「サンキュ、ロズ」
ロズ=オズワルドの動きが止まる。
クリス「?、どうしたの、ロズ、まだ気分悪いの?」
ロズの声が、二重音声になる。
ロズ「マイエンジェル。クリス。ユイ、サラー、グラータ」
鏡に何か巨大な影が映ったように見える。
その場に倒れる、ロズ=オズワルド。
クリス「!!」
クリス「大丈夫、ロズ!!」
倒れたロズを揺り動かす、クリス。
ロズ「!?」
目を開ける、ロズ。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
ナレーション「デモンズショウ。ARゴーグルで、お気に入りの3DCGを投入して、仮想世界に、イン!」
クリスを含め、4人の、男女が、渦をなして、モニタに吸い込まれて行く。
雷鳴轟く、月夜をバックに、オペラハウス、『グラータ』
オペラハウスの、扉は開かれる。
満員の観客の前の舞台。
4人は、ポンっと衣装を着て、舞台の上に落ちてくる。
拍車喝采の場内。
ナレーション「アドリブで、仮想世界での舞台で、劇を演じてください」
「天国と地獄。審査員から、高得点を取ったチームが生き残る」
「それでは、始まるよ、デモンズショウ!!」
大きな、羽音を立てて、一匹の、巨大なデーモンがやってくる。
デーモン「謎、なーぞだ!」
「紛争ってなんで起こるだろう?」
クリス「いや、よくは解らないけど、貧しいからじゃないかと思う」
デーモン「ふぅーん」
女学生「貧しいと、頭が冴える」
「赤書でもあったら、瞬く間に読んで覚える」
「これは、言っていて怖いな」
クリス「わざと、貧しい世界を作ったら、テロだなあ」
デーモン「でも、それを仕事でしないといけない大人たちもいる」
ナレーション「多少、脱線しても番組は構いません」
男子学生「様々な人種はいるが、人の命は重いと思う。僕は」
女学生「お金がある、雇用者。工場労働など」
「人の暮らしの質まで、考えられる」
クリス「一番、お金がかかるのが人件費だとか」
デーモン「じゃ、ちょっとブレーンストーミングアンドコーヒーブレイク」
「テロは良いことだ」
女学生「バカ言って」
デーモン「君は正しい」
デーモン「テロは良いことだ」
クリス「そうだよ」
デーモン「君は、ちょっと変わってるな」
笑い声。
デーモン「テロは良いことだ」
男子学生「テロってなに?」
デーモン「君は、まだまだ、勉強不足だ」
笑い声。
街の街頭テレビで流れる、デモンズショウ。
ビルディングの壁面テレビに、流れる、デモンズショウ。
画面から、手を振る、クリス。
食堂でもTVで、デモンズショウが流れている。
店長「2番カウンター、メンチカツ」
「このオーダー終わったら、10分休憩行ってきて」
路地裏。タバコに火をつける、ダグ。
新聞が飛んできて、足元に広がる。
紙面『またまた、快挙デモンズショウ。ラサcom. オーナー。ロズ=オズワルド氏」
目をやるダグ。
「ふぅーん。金もってそうだな。ホンヨ、テレクベリー。ミラソーサのオーナーか」
口路地裏に、出てくる。支配人。
支配人「ダグ、これ、今月分」
わずかばかりの紙幣の束と、硬貨を、ダグに渡す、支配人。
ダグ「ありがとうございます」
「ちぇっ、これっぽっちか」
足元に転がる、新聞紙を見る、ダグ。
「ビッグマネーか‥」
「‥行って見たいな、TV局」
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
高層ビル街をバックに、繁華街の朝。
リュック姿のダグ。駅。列車。
ステーション。ホンヨ。テレクベリー。
列車から降りてくる、ルートルード=ブラインド=ウィザーベル。
ルートルード「ドームシティーか。こんな都市で、爵位会か」
駅に横付けで、高級車が止まる。ドアマンが、初老の紳士を迎える。
手を広げるロズ。
ロズ「ウィザーベル氏」
ルートルード「オズワルド伯爵」
ロズ「よくおいでになって」
ルートルード「ハハハ、立派な車だ。2574年代。最新型ロールスロイス。社用車ですか?」
ロズ「ええ」
ロズ「TV局まで行きましょう。ひとまず、話は、車の中で」
ルートルード「ええ」
口ステーションにつく、列車。
コモのように、降りてくる、ダグ。
ステーションの噴水のそばにある、ウオータースタンドで、水をがぶ飲みする、ダグ。
ダグ「夢の都、テレクベリーだ」
「所得階級、上のヤツしかいない」
「さーてー、給仕の仕事でも探すかな」
バックパックを背負い直す、ダグ。
ドームシティーをバックに、行き交う車。
最新型ロールスロイス
後部座席に、有機ELディスプレイに、企業のCMが映し出される。
ルートルード「久しぶりです。いつもながら、製薬ラサのCM.お世話になります」
ロズ「いえ、当然のことながら、問い合わせは殺到ですよ」
ルートルード「ハハハ」
ロズ「今回の、爵位会の後で、講演を予定しております」
ルートルード「ほう」
ロズ「はい、テーマ。資本主義化の、自由放送局。倫理はあるのか?という、議題で」
ルートルード「面白そうですな」
ロズ「よろしかったら、聞いて行ってください」
ナビ「もう、200メートル北を左折」
ロズ「もうすぐです」
ルートルード「見えてきた」
ドームを入っていくと、二本の、巨大な、ミラーガラスの、ビルディング。TV局、ミラソーサが」
ゲートは開き、地下への、通路に吸い込まれるように、入っていく、ロールスロイス。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
ロズ「資本主義化の、自由放送局。倫理はあるのか?」
「ニューズを見る。何も知らない子でも、ビスケットの値段はわかる。キャンディー?砂糖は危ない」
「貧しい世界の子。物がない」
「お金がある世界」
「裕福な為替の国。怠けている子」
ディレクター「はい。カット」
「サンキュー。お疲れ様。グラーフ=ロズ=オズワルド」
ディレクター「この後、子供社長たちの、討論会」
子供社長「正義の名のもとに、命を落とすものも」
「正義の報道」
「罪を罪として見る」
クリス「なに? 罪を善として見る?」
子供社長「それは、ちょっと変わっているなあ」
笑う会場。
子供社長「正義 公平 真実 に反する放送がされていたらどうなるのだろう?」
クリス「悪 独りよがり 不実 難しいなあ」
ディレクター「はい、カット」
ディレクター「食事休憩ね」
ルートルード「良かったよ、グラーフ=ロズ」
ロズ「ありがとう。マーキュイス=ウィザーベル。食事にしよう」
立食で、食事をとるロズとルートルード。
ルートルード「失礼。ちょっと、お手洗いに」
ロズ「ごゆっくり」
ルートルードが、立ち去った頃、ロズ=オズワルドの元に、やって行くダグ。
ダグ「旦那様ぁ。何か、TV局関係の仕事をもらえませんか?」
ロズ「んっ? 給仕をやっているのかな」
ダグ「私、先日。ゴードーからやって来たものですが」
ロズ「ふむ。ゴードーから」
「大道具の空きのADがあったような」
「やってみるかい?」
ダグ「はい!! ありがとうございます!!」
「一生懸命、やらせてもらいますので!!」
ロズ「ハハハ」
「頑張りたまえよ」
メモを持って、立ち去る、ダグ。
トイレから帰ってくる、ルートルード。
ルートルード「何かあったのかい?」
ロズ「いいや、ハハハ」
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
いつものように、なだらかな夕方。2本の巨大なビルの名前は、言わずと知れた、ミラソーサ。
ミラーガラスには、夕景が映り込み、永遠の平安を案じているかのように、見える。
その上層階。
ロズ「何?! 本当か!!」
「大変だ」
「財界の取締役、ジェウェット=フランク=ハンマン氏が殺された」
ピンとした空気が張り詰める。
左右に、足早に、歩くロズ。
「困ったことになった」
「このままでは、民間に、経済制裁がくるな」
「人件費、コストカット」
「あと、工場化か」
「考えていても仕方ない」
「ひとまず、私も、ボディーガードを」
口ランド=ダデム
白金の渚亭。昼下がり。
季節は冬。
窓枠には、中の暖気で、雪が溶け、結露が。
窓から刺す、雪解け光の、陽光を切るように、ブラインドが下ろされている。
縞となる、店内は、少し薄暗い。
こんこんと薪ストーブが焚かれているが寒い。
ストーブの前で、骨董辞書を読んでいるソフィア。
エディブ「きたよ、きたよ、連絡が!」
辞書を閉じ、聞き耳をたてる、ソフィア。
アラゴー「今度は、何のミッションじゃい?」
エディブ「白銀の楽園に私を連れて行って!」
ソフィア「プッ」
カール「何なに?!」
エディブ「神聖なる未来都市、ホンヨ、テレクベリー。TV局、ミラソーサからの依頼だ!!」
ソフィア「えっ、何?」
カール「TV局?!」
アラゴー「よし、乗ってきた!!」
ソフィア「ホンヨは、エルフの森の姉妹都市なのよ」
カール「それで、ミッションと言うのは?」
エディブ「ホンヨの、賢人会。財界のブレーン。ジェウェット=フランク=ハンマン氏が殺された」
「で、その友人のミラソーサの実質、オーナー。ロズ=オズワルド伯爵の身辺警護をして欲しいとのこと」
カール「へぇぇーー、賢人会。財界のブレーン。大変なことだ」
ソフィア「エルフの里でよ」
アラゴー「誰に殺されたんじゃ?!」
エディブ「とりあえず、きて欲しいとのことだ」
カール「だーー」
アラゴー「どうする?」
ソフィア「私は行くわよ」
カール「俺も~ー」
アラゴー「よし、わしもじゃ」
突然の話から、出発を決める、3人の冒険者。
カール、ソフィア、アラゴー。
デコボココンビの、3人。
果たして、どうなることやら。
3人冒険者のイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなの、フォースエセリア。
ビューティフルワールド。ビューティフルショウ。
照明「これ、3番に持ってきて」
ダグ「はいよ」
大道具を担いて、汗だくで持って行くダグ。
休み時間。
熱心に、メモ帳を見ている。
そこで、ツッコむ。
ネタの練習をしているダグ。
コントをもらえる程になっていた。
ダグ「ソラム メロンジーン。エッグプラン」
「エッグプラント」
「エッグプラン」
「ト」
「エッグ ト」
スコーン!!
観客の笑い声。
アラゴー「ガハハハ」
手を振るダグの後ろに、大きな影が映る。
アラゴー「んっ?」
ソフィア「アラゴー、コント見ていないで、早く行きましょう」
アラゴー「はて‥」
アラゴーを引きずって行く、ソフィア。
コントで受ける、ダグ。
人気はうなぎのぼりに。
ひっきりなしに、仕事の依頼が舞い込んでいた。
幸運からか、クイズショウの、コメンテーターに抜擢される。
その頃から、TV局の情報網を利用して、不動産売買。
多額の利益を準じるようになる。
ロズ=オズワルド応接室。
クリス「それが、局内で、変な事件が、立て続けに起こっていて」
アラゴー「変な事件というと」
クリス「突然、殺傷沙汰になるも、問いただしてみたら、みんな、抜け殻のようになっていて‥」
ロズ「聞いた話なんですが、一ヶ月前の、ファンの集いの前のことを一件、言うと」
記憶を遡る。
ファンの子「ユイ、サラー、グラータ」
クリス「危ない!!」
とっさに手刀で、ファンの子の、手に持ったナイフをはたき落とすルートルード。
話になる、ファンの子とクリス。
ファンの子機械的に話す。
「Very Good!と言ってもらった」
クリス「びっくりした」
クリス「じゃあ、君は、オズワルド氏に、Very Good!と言ってもらったんだね」
ファンの子「人を殺したい」
ルートルード「正しい」「おじさんも、昔、人を殺したかったのだよ」
「まあ、飯でも食べて」
「コーヒー」
ファンの子「なに?にがっ! これ飲めるの?!」
つきものが取れたように、泣き出すファンの子。
頷く、ルートルード。
「で、どうして、ナイフを持ったんだい?」
「えっ? 僕が?」
「でも、本当に、ナイフを持ったか判らないんだ」
首を振る、ルートルード。
「違う、この子じゃない」
アラゴー「フムゥー」
ソフィア「つきものが取れたようにね」
カール「?!」
クリス「あっでも待って」
「耳慣れない言葉を、言い残すんだ」
「毎回」
「ユイ、サラー、グラータ‥」
骨董辞書を手早く引く、ソフィア。
ソフィア「何かあったような‥」
ソフィア「ローエンシェント、古代、魔神語ね」
アラゴー「んっどういうことじゃ?」
ソフィア「多分、魔族の憑依」
「憑依霊かも」
アラゴー「んっ?」
ロズ「試写会当日、私も、トイレで、何か、体を乗っ取られたような感じがあり」
クリス「倒れた」
ソフィア「一番、憑依されそうな者は?」
カウフマン「最近、人気急上昇の、ダグ=オズワルド」
「自分の、事を、ロズと同じ、伯爵と名乗っているとか」
クリス「いや、コメディアンだから」
カウフマン「いいえ、ここ数ヶ月で、T V局の情報網を利用して、不動産転売。多額の利益を得る」
クリス「うーーん」
ロズ「Be same Much!」
ロズ「行ってみよう」
カウフマン「はい」
番組のステージ横の、袖に、ダグはいた。
ロズ「ダグくん」
ダグ「ユイ、サラー、グラータ」
ロズ「!!」
突然、太く、大きい、バリトンのヴォイスがする。
舞台上の照明など、ガタガタと震えだす。
立て続けに、割れる、ガラス。
アラゴー「危ない!!」
ロズ=オズワルドを、間髪の機で、助ける、アラゴー。
振り返るダグ=オズワルド
びっくりするくらい太い声で、吠える、ダグ。
「デモンズショウの始まりだ!!」
「グワーー」
「キャアーーー」
血を吐いて、倒れだす、番組スタッフ達。
ソフィア「ポイゾン、ミスト!!」
アラゴー「いかん、毒霧じゃ」
「身を屈めて」
「気流の下を行く」
「なるべく、息をせず」
ソフィア、しゃがみこんだまま、ブツブツと何か喋っている。
すっくと立ち上がる、ソフィア。
ソフィア「フォースバインド」
ダグに向けて、フォース=レイを弱めた、バインド型を撃つ、ソフィア。
ダグに見事命中。
その場にドサッと倒れる、ダグ=オズワルド。
体から、何か巨大な、黒い物体が浮かび上がってくる。
空間は、白から黒へねじれ、巨大な羽音が降りてくる。
グレーターデーモンだ。
ソフィア、高速詠唱「大気中の、原子よ、我の指先に宿りたまえ」
フォース=レイ
巨大な黒い塊は、推進し、3発の弾丸をかわす。
「ホンじゃまい、行くぞ!!」
神の息吹よ我に。
「God breath on」「エンチャントマジック、&ウェポン」
光り輝く、アラゴーは、光の小特急とかし、グレーターデーモンに突っ込む。
デーモン、高速詠唱「エンハンスメント、ユイ、サラー、グラータ」
「デモンズシールド」
黒の六芒星が現れる。
弾かれる、アラゴー。
アラゴー「グワッ!」
「一気に決着つけるわよ!」
連続魔法、高速詠唱。
「アイス」
「アイスピリア」
「アイススリプル」
青の六曜。巨大な氷の結晶が、作られる。
「アイスピリアブリザランススピニオレ」
巨大な、氷の槍が、数十本、グレーターデーモンに向かって、追尾していく。
黒い塊は、大半避けるが、数本突き刺さる。
グレーターデーモン「グガッ」
ソフィア高速詠唱。
ロッドに、光が集まる。
「うちなる精霊。空の精霊と交わりし時、天のみかごにのって、現れるシルフよ。我に付き添いたまえ」
風が強くなり、空に、無数の精霊が現れ、渦となって歌い出す。
「空の境界と、交わる時、天空の神、うちなる精霊。風の精、シルフよ、竜巻をおこしたまえ」
ソフィア「アイスピリアブリザランストルネード」
重なり合う、風は、豪風へとなり、螺旋は渦高く昇る。
グレーターデーモン「グガガッ」
身動きが取れなくなる、グレーターデーモン。
雷音が轟き、爆音とともに、豪風に。
ソフィア「よし」
「風の精霊シルフよ、我に力を!」
「アイスピリアブリザランススピニオレ」
青の六曜。巨大な氷の結晶。氷の槍はが数十本。グレーターデーモンを貫く。
「グガガガッ」
黒の塊は、点滅の後、虚空の闇へと、気化していく。
グレーターデーモン「トール様~ー」
クロスをきる、ソフィア。
一連の竜巻で、空気の浄化された、場内。
歓声をあげる、TV局員達。
ソフィア「決着ついたみたい」
クリス「ヒューー」
ソフィア「クリス君は、チャーミングだわ」
アラゴー「ガハハ」
エピローグ。
ダグ=オズワルドは、不動産売買など、やはり、記憶を覚えていなかった。
体を、グレーターデーモンに乗っ取られていたのだろう。
謝る、ダグに、手を差し伸べる、ロズ=オズワルド。
クリスも手を添える。
クリス「これからも、公正な、番組をみんなで、協力して作っていこう!」
頷く、ロズ=オズワルド。
ソフィア「一件落着ね」
アラゴー「デーモンが帰化していった時に、叫んだ言葉が、ちょっと気になるが」
ソフィア「?」
アラゴー「いや、ワシが聞こえただけじゃ」
カール「でも、あれでしょ、ラサcom.って言ったら、宇宙食で有名な」
ソフィア「&%$#~」
アラゴー「食い気が一番」
ロズ「食事なら、何なりと」
カール「やったーー」
-END-
浅鼠色の針葉樹から萌黄色の新緑が出てくる頃。
山は、白い雪解けで、小川は清流。水は冷たく透き通る。
深い谷間から、丘を越えて、山岳鉄道は、そのさらに先に進む。
緑青色の山間部からは、白い積乱雲が見える。
上層の谷間に、にゅっと現れる、ドームシティー。
ドームのクリアパネルは、空に浮かぶ雲を湖のように、映して、景観は空に溶け込む。
テレクベリーである。
山岳列車を、乗り継いで、やっと行ける、夢の都。
標高は高い。
100m四方の白い箱の立ち並ぶ、データタウン。
暮石のようにも見える。
その周りは、田園である。
ドームの中心にあるのは、2本の巨大な、ミラーリンクビルディング。
壁面は、ミラーガラスになっており、上空を流れる雲を映して、陽気な模様を醸し出す。
巨大な情報シティー兼TV局。ミラソーサ。
その上層階に、彼はいた。
大きなモニタの、デスクトップパソコンと睨めっこをしている彼は、ふとテーブルの、コーヒーを手に取る。
モニタには、株式の、数値化された、乱数が並んでいる。
立ち上がって、伸びをすると、窓から外の景色を見る、ロズ=オズワルド。
薄鼠色と、白の、針葉樹の崖を挟んで、白と銀の、コントラスト。ビル群が立ち並ぶ景色。
その中のタワーマンションの屋上にある、電子パネル。
TV局の新作。デモンズショウの看板だ。
手元のテーブルに、目をやる。
テーブルの上には、デモンズショウ発表会の、チケットとパンフレットが。
ロズ「フフッ。2シーズンを切ったな」
電子レンジからパウチを取り出す。
パウチを開けて、2杯目を、コーヒーカップに注ぐ。
コーヒーを口に運ぶ、ロズ=オズワルド。
目を細める。
試写会当日。
フラッシュのたかれる中。
司会者「今回封切りの、パイロットフィルム。デモンズショウ、いかがだったでしょうか?」
拍手喝采の場内。
鼻を噛むロズ。
司会者「それでは、最後に、悪魔に取り憑かれた少年を演じた、天才的子役。クリスに、もう一度拍手をお願いします」
観客「デモンズショウ!!デモンズショウ!!」
会場は最高潮に。
司会者「それでは、お呼びしましょう。デモンズショウ、トップスポンサー。ラサcom.CEO.ロズ=オズワルドー!!」
舞台に出て行くロズ。
ロズ「最高の演技だったよ」
クリスを抱擁する。
クリス「サンキュ。ロズ」
「僕は、これから、ファンの集いがありますので、一足先に失礼します」
舞台上。お辞儀する、クリスとロズ=オズワルド。
幕は降りる。
小さくガッツポーズでジャンプする、ロズ=オズワルド。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
白い椅子に座って、舞台を見ている、ロズ=オズワルド。
舞台の上には、上質なストライプのスーツを着た、小太りの男の子が。
司会者「子供、長者番付一位。カイル=ロイス=マイヨール!。ラサcom.2百万株、取得ー!!」
「今回は、デモンズショウ。クリスの衣装デザインも手がけましたー!!」
バイクのエンジン音。
ドル、ドルルル。ドルン。ドルン。
舞台袖から、カウルのついた、ヨーロピアンに乗って、現れる、クリス。
舞台の上まで、バイクで上がって行く。
タイトにフィットした、ブルーブラックなライダースーツ姿で現れる。
ヘルメットを外すと、綺麗な髪を振り払う、クリス。
バイクから降りると、カイルの前まで行くと、フレンチ・キスをする。
拍手喝采の場内。
クリス「ホンヨ、テレクベリー、ミラソーサ本局と、同時進行」
「彼、カイルの自由放送局でも、デモンズショウの特集をする予定です」
手を繋ぎ、手をあげる、カイルとクリス。
拍車喝采の場内。
拍手する、ロズ=オズワルド。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
クリス「番組、ロケ、終わったよ」
ロズに握手を求める、クリス。
ロズ「良かったよ、クリス」
クリス「ええ」
ロズ「これから、食事でも」
クリス「ありがとう。でも、ちょっと待って」
「見てもらいたいものがあるんだ」
神妙な面持ちになる、クリス。
ポータブルデッキを出す、クリス。
クリス「お金持ちのお坊ちゃんが増えるから、自由放送局も増える」
ロズ「んっ何だい?」
マスターテープを起こすクリス。
クリス「送られてきたんだ」
ポータブルデッキの画面が映る。
そこには、腹から内臓の出た、クリスの姿や、沢山の女性と一緒の、淫靡な姿のクリスが映る。
ロズ「ウウッ!!」
吐き気の催したロズは、トイレに駆け込む。
クリス「これ、アンダーグラウンドの、自由放送局の、偽造データなんだ」
ロズ「あんなフィルムが出たら、破滅だ。マイエンジェル。クリス」
クリス「サンキュ、ロズ」
ロズ=オズワルドの動きが止まる。
クリス「?、どうしたの、ロズ、まだ気分悪いの?」
ロズの声が、二重音声になる。
ロズ「マイエンジェル。クリス。ユイ、サラー、グラータ」
鏡に何か巨大な影が映ったように見える。
その場に倒れる、ロズ=オズワルド。
クリス「!!」
クリス「大丈夫、ロズ!!」
倒れたロズを揺り動かす、クリス。
ロズ「!?」
目を開ける、ロズ。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
ナレーション「デモンズショウ。ARゴーグルで、お気に入りの3DCGを投入して、仮想世界に、イン!」
クリスを含め、4人の、男女が、渦をなして、モニタに吸い込まれて行く。
雷鳴轟く、月夜をバックに、オペラハウス、『グラータ』
オペラハウスの、扉は開かれる。
満員の観客の前の舞台。
4人は、ポンっと衣装を着て、舞台の上に落ちてくる。
拍車喝采の場内。
ナレーション「アドリブで、仮想世界での舞台で、劇を演じてください」
「天国と地獄。審査員から、高得点を取ったチームが生き残る」
「それでは、始まるよ、デモンズショウ!!」
大きな、羽音を立てて、一匹の、巨大なデーモンがやってくる。
デーモン「謎、なーぞだ!」
「紛争ってなんで起こるだろう?」
クリス「いや、よくは解らないけど、貧しいからじゃないかと思う」
デーモン「ふぅーん」
女学生「貧しいと、頭が冴える」
「赤書でもあったら、瞬く間に読んで覚える」
「これは、言っていて怖いな」
クリス「わざと、貧しい世界を作ったら、テロだなあ」
デーモン「でも、それを仕事でしないといけない大人たちもいる」
ナレーション「多少、脱線しても番組は構いません」
男子学生「様々な人種はいるが、人の命は重いと思う。僕は」
女学生「お金がある、雇用者。工場労働など」
「人の暮らしの質まで、考えられる」
クリス「一番、お金がかかるのが人件費だとか」
デーモン「じゃ、ちょっとブレーンストーミングアンドコーヒーブレイク」
「テロは良いことだ」
女学生「バカ言って」
デーモン「君は正しい」
デーモン「テロは良いことだ」
クリス「そうだよ」
デーモン「君は、ちょっと変わってるな」
笑い声。
デーモン「テロは良いことだ」
男子学生「テロってなに?」
デーモン「君は、まだまだ、勉強不足だ」
笑い声。
街の街頭テレビで流れる、デモンズショウ。
ビルディングの壁面テレビに、流れる、デモンズショウ。
画面から、手を振る、クリス。
食堂でもTVで、デモンズショウが流れている。
店長「2番カウンター、メンチカツ」
「このオーダー終わったら、10分休憩行ってきて」
路地裏。タバコに火をつける、ダグ。
新聞が飛んできて、足元に広がる。
紙面『またまた、快挙デモンズショウ。ラサcom. オーナー。ロズ=オズワルド氏」
目をやるダグ。
「ふぅーん。金もってそうだな。ホンヨ、テレクベリー。ミラソーサのオーナーか」
口路地裏に、出てくる。支配人。
支配人「ダグ、これ、今月分」
わずかばかりの紙幣の束と、硬貨を、ダグに渡す、支配人。
ダグ「ありがとうございます」
「ちぇっ、これっぽっちか」
足元に転がる、新聞紙を見る、ダグ。
「ビッグマネーか‥」
「‥行って見たいな、TV局」
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
高層ビル街をバックに、繁華街の朝。
リュック姿のダグ。駅。列車。
ステーション。ホンヨ。テレクベリー。
列車から降りてくる、ルートルード=ブラインド=ウィザーベル。
ルートルード「ドームシティーか。こんな都市で、爵位会か」
駅に横付けで、高級車が止まる。ドアマンが、初老の紳士を迎える。
手を広げるロズ。
ロズ「ウィザーベル氏」
ルートルード「オズワルド伯爵」
ロズ「よくおいでになって」
ルートルード「ハハハ、立派な車だ。2574年代。最新型ロールスロイス。社用車ですか?」
ロズ「ええ」
ロズ「TV局まで行きましょう。ひとまず、話は、車の中で」
ルートルード「ええ」
口ステーションにつく、列車。
コモのように、降りてくる、ダグ。
ステーションの噴水のそばにある、ウオータースタンドで、水をがぶ飲みする、ダグ。
ダグ「夢の都、テレクベリーだ」
「所得階級、上のヤツしかいない」
「さーてー、給仕の仕事でも探すかな」
バックパックを背負い直す、ダグ。
ドームシティーをバックに、行き交う車。
最新型ロールスロイス
後部座席に、有機ELディスプレイに、企業のCMが映し出される。
ルートルード「久しぶりです。いつもながら、製薬ラサのCM.お世話になります」
ロズ「いえ、当然のことながら、問い合わせは殺到ですよ」
ルートルード「ハハハ」
ロズ「今回の、爵位会の後で、講演を予定しております」
ルートルード「ほう」
ロズ「はい、テーマ。資本主義化の、自由放送局。倫理はあるのか?という、議題で」
ルートルード「面白そうですな」
ロズ「よろしかったら、聞いて行ってください」
ナビ「もう、200メートル北を左折」
ロズ「もうすぐです」
ルートルード「見えてきた」
ドームを入っていくと、二本の、巨大な、ミラーガラスの、ビルディング。TV局、ミラソーサが」
ゲートは開き、地下への、通路に吸い込まれるように、入っていく、ロールスロイス。
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
ロズ「資本主義化の、自由放送局。倫理はあるのか?」
「ニューズを見る。何も知らない子でも、ビスケットの値段はわかる。キャンディー?砂糖は危ない」
「貧しい世界の子。物がない」
「お金がある世界」
「裕福な為替の国。怠けている子」
ディレクター「はい。カット」
「サンキュー。お疲れ様。グラーフ=ロズ=オズワルド」
ディレクター「この後、子供社長たちの、討論会」
子供社長「正義の名のもとに、命を落とすものも」
「正義の報道」
「罪を罪として見る」
クリス「なに? 罪を善として見る?」
子供社長「それは、ちょっと変わっているなあ」
笑う会場。
子供社長「正義 公平 真実 に反する放送がされていたらどうなるのだろう?」
クリス「悪 独りよがり 不実 難しいなあ」
ディレクター「はい、カット」
ディレクター「食事休憩ね」
ルートルード「良かったよ、グラーフ=ロズ」
ロズ「ありがとう。マーキュイス=ウィザーベル。食事にしよう」
立食で、食事をとるロズとルートルード。
ルートルード「失礼。ちょっと、お手洗いに」
ロズ「ごゆっくり」
ルートルードが、立ち去った頃、ロズ=オズワルドの元に、やって行くダグ。
ダグ「旦那様ぁ。何か、TV局関係の仕事をもらえませんか?」
ロズ「んっ? 給仕をやっているのかな」
ダグ「私、先日。ゴードーからやって来たものですが」
ロズ「ふむ。ゴードーから」
「大道具の空きのADがあったような」
「やってみるかい?」
ダグ「はい!! ありがとうございます!!」
「一生懸命、やらせてもらいますので!!」
ロズ「ハハハ」
「頑張りたまえよ」
メモを持って、立ち去る、ダグ。
トイレから帰ってくる、ルートルード。
ルートルード「何かあったのかい?」
ロズ「いいや、ハハハ」
デーモンのイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなのファンタジージェン。
デモンズワールド。デモンズショウ。
いつものように、なだらかな夕方。2本の巨大なビルの名前は、言わずと知れた、ミラソーサ。
ミラーガラスには、夕景が映り込み、永遠の平安を案じているかのように、見える。
その上層階。
ロズ「何?! 本当か!!」
「大変だ」
「財界の取締役、ジェウェット=フランク=ハンマン氏が殺された」
ピンとした空気が張り詰める。
左右に、足早に、歩くロズ。
「困ったことになった」
「このままでは、民間に、経済制裁がくるな」
「人件費、コストカット」
「あと、工場化か」
「考えていても仕方ない」
「ひとまず、私も、ボディーガードを」
口ランド=ダデム
白金の渚亭。昼下がり。
季節は冬。
窓枠には、中の暖気で、雪が溶け、結露が。
窓から刺す、雪解け光の、陽光を切るように、ブラインドが下ろされている。
縞となる、店内は、少し薄暗い。
こんこんと薪ストーブが焚かれているが寒い。
ストーブの前で、骨董辞書を読んでいるソフィア。
エディブ「きたよ、きたよ、連絡が!」
辞書を閉じ、聞き耳をたてる、ソフィア。
アラゴー「今度は、何のミッションじゃい?」
エディブ「白銀の楽園に私を連れて行って!」
ソフィア「プッ」
カール「何なに?!」
エディブ「神聖なる未来都市、ホンヨ、テレクベリー。TV局、ミラソーサからの依頼だ!!」
ソフィア「えっ、何?」
カール「TV局?!」
アラゴー「よし、乗ってきた!!」
ソフィア「ホンヨは、エルフの森の姉妹都市なのよ」
カール「それで、ミッションと言うのは?」
エディブ「ホンヨの、賢人会。財界のブレーン。ジェウェット=フランク=ハンマン氏が殺された」
「で、その友人のミラソーサの実質、オーナー。ロズ=オズワルド伯爵の身辺警護をして欲しいとのこと」
カール「へぇぇーー、賢人会。財界のブレーン。大変なことだ」
ソフィア「エルフの里でよ」
アラゴー「誰に殺されたんじゃ?!」
エディブ「とりあえず、きて欲しいとのことだ」
カール「だーー」
アラゴー「どうする?」
ソフィア「私は行くわよ」
カール「俺も~ー」
アラゴー「よし、わしもじゃ」
突然の話から、出発を決める、3人の冒険者。
カール、ソフィア、アラゴー。
デコボココンビの、3人。
果たして、どうなることやら。
3人冒険者のイラスト。
手をつなごう。そこは、みんなの、フォースエセリア。
ビューティフルワールド。ビューティフルショウ。
照明「これ、3番に持ってきて」
ダグ「はいよ」
大道具を担いて、汗だくで持って行くダグ。
休み時間。
熱心に、メモ帳を見ている。
そこで、ツッコむ。
ネタの練習をしているダグ。
コントをもらえる程になっていた。
ダグ「ソラム メロンジーン。エッグプラン」
「エッグプラント」
「エッグプラン」
「ト」
「エッグ ト」
スコーン!!
観客の笑い声。
アラゴー「ガハハハ」
手を振るダグの後ろに、大きな影が映る。
アラゴー「んっ?」
ソフィア「アラゴー、コント見ていないで、早く行きましょう」
アラゴー「はて‥」
アラゴーを引きずって行く、ソフィア。
コントで受ける、ダグ。
人気はうなぎのぼりに。
ひっきりなしに、仕事の依頼が舞い込んでいた。
幸運からか、クイズショウの、コメンテーターに抜擢される。
その頃から、TV局の情報網を利用して、不動産売買。
多額の利益を準じるようになる。
ロズ=オズワルド応接室。
クリス「それが、局内で、変な事件が、立て続けに起こっていて」
アラゴー「変な事件というと」
クリス「突然、殺傷沙汰になるも、問いただしてみたら、みんな、抜け殻のようになっていて‥」
ロズ「聞いた話なんですが、一ヶ月前の、ファンの集いの前のことを一件、言うと」
記憶を遡る。
ファンの子「ユイ、サラー、グラータ」
クリス「危ない!!」
とっさに手刀で、ファンの子の、手に持ったナイフをはたき落とすルートルード。
話になる、ファンの子とクリス。
ファンの子機械的に話す。
「Very Good!と言ってもらった」
クリス「びっくりした」
クリス「じゃあ、君は、オズワルド氏に、Very Good!と言ってもらったんだね」
ファンの子「人を殺したい」
ルートルード「正しい」「おじさんも、昔、人を殺したかったのだよ」
「まあ、飯でも食べて」
「コーヒー」
ファンの子「なに?にがっ! これ飲めるの?!」
つきものが取れたように、泣き出すファンの子。
頷く、ルートルード。
「で、どうして、ナイフを持ったんだい?」
「えっ? 僕が?」
「でも、本当に、ナイフを持ったか判らないんだ」
首を振る、ルートルード。
「違う、この子じゃない」
アラゴー「フムゥー」
ソフィア「つきものが取れたようにね」
カール「?!」
クリス「あっでも待って」
「耳慣れない言葉を、言い残すんだ」
「毎回」
「ユイ、サラー、グラータ‥」
骨董辞書を手早く引く、ソフィア。
ソフィア「何かあったような‥」
ソフィア「ローエンシェント、古代、魔神語ね」
アラゴー「んっどういうことじゃ?」
ソフィア「多分、魔族の憑依」
「憑依霊かも」
アラゴー「んっ?」
ロズ「試写会当日、私も、トイレで、何か、体を乗っ取られたような感じがあり」
クリス「倒れた」
ソフィア「一番、憑依されそうな者は?」
カウフマン「最近、人気急上昇の、ダグ=オズワルド」
「自分の、事を、ロズと同じ、伯爵と名乗っているとか」
クリス「いや、コメディアンだから」
カウフマン「いいえ、ここ数ヶ月で、T V局の情報網を利用して、不動産転売。多額の利益を得る」
クリス「うーーん」
ロズ「Be same Much!」
ロズ「行ってみよう」
カウフマン「はい」
番組のステージ横の、袖に、ダグはいた。
ロズ「ダグくん」
ダグ「ユイ、サラー、グラータ」
ロズ「!!」
突然、太く、大きい、バリトンのヴォイスがする。
舞台上の照明など、ガタガタと震えだす。
立て続けに、割れる、ガラス。
アラゴー「危ない!!」
ロズ=オズワルドを、間髪の機で、助ける、アラゴー。
振り返るダグ=オズワルド
びっくりするくらい太い声で、吠える、ダグ。
「デモンズショウの始まりだ!!」
「グワーー」
「キャアーーー」
血を吐いて、倒れだす、番組スタッフ達。
ソフィア「ポイゾン、ミスト!!」
アラゴー「いかん、毒霧じゃ」
「身を屈めて」
「気流の下を行く」
「なるべく、息をせず」
ソフィア、しゃがみこんだまま、ブツブツと何か喋っている。
すっくと立ち上がる、ソフィア。
ソフィア「フォースバインド」
ダグに向けて、フォース=レイを弱めた、バインド型を撃つ、ソフィア。
ダグに見事命中。
その場にドサッと倒れる、ダグ=オズワルド。
体から、何か巨大な、黒い物体が浮かび上がってくる。
空間は、白から黒へねじれ、巨大な羽音が降りてくる。
グレーターデーモンだ。
ソフィア、高速詠唱「大気中の、原子よ、我の指先に宿りたまえ」
フォース=レイ
巨大な黒い塊は、推進し、3発の弾丸をかわす。
「ホンじゃまい、行くぞ!!」
神の息吹よ我に。
「God breath on」「エンチャントマジック、&ウェポン」
光り輝く、アラゴーは、光の小特急とかし、グレーターデーモンに突っ込む。
デーモン、高速詠唱「エンハンスメント、ユイ、サラー、グラータ」
「デモンズシールド」
黒の六芒星が現れる。
弾かれる、アラゴー。
アラゴー「グワッ!」
「一気に決着つけるわよ!」
連続魔法、高速詠唱。
「アイス」
「アイスピリア」
「アイススリプル」
青の六曜。巨大な氷の結晶が、作られる。
「アイスピリアブリザランススピニオレ」
巨大な、氷の槍が、数十本、グレーターデーモンに向かって、追尾していく。
黒い塊は、大半避けるが、数本突き刺さる。
グレーターデーモン「グガッ」
ソフィア高速詠唱。
ロッドに、光が集まる。
「うちなる精霊。空の精霊と交わりし時、天のみかごにのって、現れるシルフよ。我に付き添いたまえ」
風が強くなり、空に、無数の精霊が現れ、渦となって歌い出す。
「空の境界と、交わる時、天空の神、うちなる精霊。風の精、シルフよ、竜巻をおこしたまえ」
ソフィア「アイスピリアブリザランストルネード」
重なり合う、風は、豪風へとなり、螺旋は渦高く昇る。
グレーターデーモン「グガガッ」
身動きが取れなくなる、グレーターデーモン。
雷音が轟き、爆音とともに、豪風に。
ソフィア「よし」
「風の精霊シルフよ、我に力を!」
「アイスピリアブリザランススピニオレ」
青の六曜。巨大な氷の結晶。氷の槍はが数十本。グレーターデーモンを貫く。
「グガガガッ」
黒の塊は、点滅の後、虚空の闇へと、気化していく。
グレーターデーモン「トール様~ー」
クロスをきる、ソフィア。
一連の竜巻で、空気の浄化された、場内。
歓声をあげる、TV局員達。
ソフィア「決着ついたみたい」
クリス「ヒューー」
ソフィア「クリス君は、チャーミングだわ」
アラゴー「ガハハ」
エピローグ。
ダグ=オズワルドは、不動産売買など、やはり、記憶を覚えていなかった。
体を、グレーターデーモンに乗っ取られていたのだろう。
謝る、ダグに、手を差し伸べる、ロズ=オズワルド。
クリスも手を添える。
クリス「これからも、公正な、番組をみんなで、協力して作っていこう!」
頷く、ロズ=オズワルド。
ソフィア「一件落着ね」
アラゴー「デーモンが帰化していった時に、叫んだ言葉が、ちょっと気になるが」
ソフィア「?」
アラゴー「いや、ワシが聞こえただけじゃ」
カール「でも、あれでしょ、ラサcom.って言ったら、宇宙食で有名な」
ソフィア「&%$#~」
アラゴー「食い気が一番」
ロズ「食事なら、何なりと」
カール「やったーー」
-END-
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる