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ドラキュラ侯爵

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口ドラキュラ侯爵 




夜になっても、こんこんと灯のついた、レイク=ポートライン。一周2000kmはあるという、巨大な軍港だ。
波止場を照らす、街灯。人一人いない。
風は吹いていない。波も止まっている。
そこに、一人の登場人物が現れる。
シルバーの肩まで伸ばした髪に、チョーネクタイに、タイトなドレススーツ。
ルートルード=ブラインド=ヴェルザーベル。後の、ドラキュラ侯爵だ。
軍港に浮かべられた、シップを見ながら、約束は果たしつつあると。

恋愛ののち、妻テレーゼ=フランソフォシスと結ばれる。
妻テレーゼ=フランソフォシスは、プラチナブロンドの髪に、華奢で長身。 
美しかったが、病弱で、不治の病を患っていた。
縁談を心よく、引き受けてくれた。ランド=ソルメーヌの国王。ボリス=ゴットフリッド国王。


ベルベットの生地の、上品なブラウンの衣服に、金の帯。てっぷりとよく太った体型のエルランド公爵。
口を荒らす、ダーグ=エルランド公爵。
エルランド公「侯爵が、病弱な妻など娶って、けしからん」
「侯爵は、男のように、強い、世継ぎを作るものだ」
ボリス国王「良いではないか、美しい妻だ」
エルランド公「う 美しい?!」
ルートルード侯「王様、意をくみと、ありがとうございます」
ボリス国王「ハハハ、世に尽せよ」と。

借りはある。

この国王についていこうと。

街灯に群れる、蛾。
波止場の、ボラードに杖を置く、ルートルード侯爵。
波のない、氷面のような、静かな、湖面に目をやる。
「私が、用意できたのは、74隻」
「陛下は、お喜びになった」

タバコに火をつけ、一服する、ルートルード侯爵。



ランド=ソルメーヌ。言わずとしれた、ボリス=ゴットフリッド国王の強権で成り立つ。
北欧の軍事を任された、国だ。
毎年、冬になると、パンプキン祭。仮装パーティーがある。
封建的ではあるが、陽気な住人の町が多い。

首都ポートラインは、現在時流の、ビジネス街からなる、北欧金融都市だ。
国王は、副首都の、アイシー。ゴットフリット城に、居を構えている。

居城では、毎夜、宮廷楽団による演奏。
リリー湖で取れる、豊富な、湖産資源などの、晩餐会が開かれている。
デビルズ=ヒル=ヤパベル付近では、輸出用鉄鋼が産出されるが、王は極秘裏に金山を隠していた。

レイク=ポートライン沿岸の、ゴットフリット城。
湖面に、城の明かりとともに、居城が写っている。
ゴシック式石柱。室内は明るい。
楽団の、宮廷音楽。
楽しそうに夜会を開く、色とりどりの服を着た、貴族たち。
通路。
王室の前には、松明に照らされ、衛士が立っている。

薄暗がりの中、一人、デビルズ=ヒル=ヤパベルの、ジオラマを眺める、ボリス国王。

テラストラル、グローブの横にジオラマ。
ジオラマには、デビルズヒル=ヤパベルの山地図が、立体で記されている。
ボリス国王「ルゴード、ゴールドマイン。これだけあれば、最先端IC工場と、軍事は賄える」
一人、ほくそ笑みながら、ジオラマを眺める、国王。
コトリと音がする。
ボリス「誰だ!?」
給仕「お水を替えに」
ボリス「失礼だぞ、早く去れ」
給仕「すみません。ゴットフリッド国王。直ちに、退出します」




口レイク=ポートライン、埠頭。

昨日あった、出来事のように、脳裏に思い出す、ルートルード。

口を荒らす、ダーグ=エルランド公爵。
エルランド公「侯爵が、病弱な妻など娶って、けしからん」
「侯爵は、男のように、強い、世継ぎを作るものだ」
ボリス国王「良いではないか、美しい妻だ」
エルランド公「う 美しい?!」
ルートルード侯「王様、意をくみと、ありがとうございます」
ボリス国王「ハハハ、世に尽せよ」と。

2本目のタバコに火をつける、ルートルード侯。
タバコの火が、埠頭の路面に、ポトリと落ちる。
ルートルード侯「んっ、しくじったかな?」
湖面に小さく波が立ち始める。
風が吹く。
ルートルート侯「冷えてきたな。さて、帰るとするか」



宮廷晩餐会。
別室。
一人、食事をとっている、ダーク=エルランド公。
密偵がやってくる。
エルランド公に、耳打ちする、密偵。
エルランド公「バカな、まだ、隠し資産があっただと!!」
「地図のどの位置だ!!」
指し示す、密偵。
エルランド公「ゴットフリットめ!」
「ルートルード侯はおらんか!?」
密偵「現在、湖畔まで、散歩に出かけております」
エルランド公「何をしておる、こんな、夜更けに」
「待てよ‥」
「このことは、私以外に知らないのだな」
頷く密偵。
エルランド公「‥」
「よろしい、下がれ」



口レイク=ポートライン、埠頭。

タバコをもみ消すと、帰りじたくする、ルートルード。
埠頭沿いに立つ街灯。
誰かが、こちらに走ってくる。
ルートルード侯「んっ?!」
エルランド公「ハフゥ~」
息をきらせながら走ってくるエルランド公。
ルートルード侯「どうなさいました、エルランド公!?」
エルランド公「いや、大変なことがおこりまして」
ルートルード侯「!?」
持ってきていた地図を広げる、エルランド公。
ランド=ソルメーヌ。デビルズ=ヒル。ヤパベルの、一角。ルゴード山を指差すエルランド公。
エルランド公「王が大切に守っている、一角に、敵が攻め行ってきているのです」
ルートルード侯「本当ですか。この、一角に?!」
頷くエルランド公。
エルランド公「直ちに、排除せねば、国の被害は甚大で」
ルートルード「して、敵の数は?!」
エルランド「20大隊」
ルートルード「20000!!」
「急いで、支度をします」


レイク=ポートライン沿岸の、ゴットフリット城。
湖面に、城の明かりとともに、居城が写っている。
ゴシック式石柱。室内は明るい。
楽団の、宮廷音楽。
楽しそうに夜会を開く、色とりどりの服を着た、貴族たち。
夜会は一層、興を増している。
笑い、歌う、貴族たち。


馬を走らせる、ルートルード侯。
ルートルード城。
馬具をつけている、侯爵。
騎士「騎兵6000、準備が整いました」
ルートルード侯「いざ、出陣!」

ルードルード侯の6個大隊が、ルゴード山へ向かうと、向こうから見慣れない、機団が現れる。
機団は、茶色い毛皮を羽織り、蛮族風だ。
機団長「何をしに来たァ!!」
ルートルード「我々は、ランド=ソルメーヌ。ゴットフリッド王、臣下。ルートルード侯爵。族を打ち倒しにあい参った」
機団長「待たれよう、我々は族ではない」
ルートルード「なんとおっしゃった!?」
「何をしに、この山間部に機団を!?」
機団長「今は、説明できない!!」
千騎団長「怪しい輩め!!」
「侯爵。後続で、接触が!!」
ルートルード侯「いかん~ー!!」
機団長「恐れをなしたか~ー!!」
千騎団長「進め~ー!!」

斯くして、機団20000対、ルートルード侯の精鋭6000機の戦いが始まる。
60分の戦闘の後、見事、勝利するルートルード侯。

機団20000は散り散りになって、逃げる。

さらに進む、ルートルード侯。

ルゴード山には、宿舎が立っており、女子供が怯えている。
辺りには、金塊が。

ルートルード侯「しまった!!」




口ボリス国王城
ボリス国王のもと、早馬がはいる。
ボリス国王「ルートルードが、ルゴードを襲っているだと!!」
エルランド公爵「何か、あったのですか、陛下!?」
ボリス国王「ルートルードが、6000の兵団を持って、ワシの大切にしている山へ、攻め入りおった」
エルランド公爵「山に何かあるのですか?」
ボリス国王「うむ、いや‥」




口ボリス国王城

直ちに退却する、ルートルード。
急いで、国王城へ戻る。
国王と話しているエルランド。
参じる、ルートルード。

ルートルード侯爵「それが、エルランド公に、はめられまして」
エルランド公爵「気でも違いましたか、ルートルード侯爵」
ルートルード侯爵「!!」

ボリス国王「私に、無断で、兵を動かすとは、いかんし難い事」
「よって、兵は没収。辺境の地、ボルツで、謹慎の刑に処す」

ルートルード侯爵「ボリス国王陛下、妻テレーゼは病弱の身、一人残して、置いてはいけません」

ボリス国王「軟禁の刑に処す」

ルートルード「!!」

エルランド公爵「謹慎処分中、ルートルード侯の妻、フランフォシス侯爵夫人は、私が面倒を見ましょう」

睨む、ルートルード。

ルートルード侯爵「断る!!」

ボリス国王「うむ、これにて、解散」





後、一息で、妻の、病気を断ち切る、薬の開発を成功しようとする、目前。
辺境の地、ボルツへ、左遷される、ルートルード。

自城へ戻ると、研究用具一式を、持って旅立つことに。

辺境の地で、一人、薬を研究開発している、ルートルード侯。

12年の、長い時間をかけ、薬の開発は成功する。


久々の、外出の許しが出、自城に戻る、ルートルード侯。

しかし、テレーゼはいなかった。

話によると、ルートルード侯が旅立ってから、妻フランフォシスを、エルランド公が引き取りにきたらしい。

怒る、ルートルード。

直ちに、馬車を走らせ、エルランド城へ向かう、ルートルード。

しかし、城門は開かなかった。

断固として、会わせようとしない、エルランド公に対し、怒る、ルートルード。

エルランド公は、どうして、外出の許しが出たか、情報を探るため、冒険者を雇う。

エルランド公は、不治の病にきく薬が、出来ている事を聞く。

直ちに、薬を取ってこいと。

宿屋で一夜をこす、ルートルード。

その夜、スリに、薬を取られる。

朝、起きるが、その事には気づかないルートルード。

王に嘆願に行くルートルード。

王に、エルランドが妻に会わせてくれないのですと。

証拠の薬を見せようとするが、そこで、薬がなくなっている事に気付く。

怒る王。

再び、謹慎処分になる、ルートルード侯。




軟禁のルートルード。

3年の月日がたつ。

風の知らせで、妻、フランフォシスが、亡くなったと告げられる。

泣くルートルード。

「この、恨み、はらさぬでおくべきか!!」

数年の月日が流れる。




口ルートルード宮殿
プールをバックに、白亜の宮殿。
室内は明るく、窓からは音楽が流れてくる。
社交界。
宮廷晩餐会。
招かれた、貴族たち。
音楽に合わせ、優雅にダンスを踊る。
ルートルード侯爵も、女性をエスコートし、ダンスを踊っている。
踊り疲れて、しばし休憩。
オードブルを摘んでいるルートルード。

再び、ダンスに戻る、ルートルード。

エルランド公がやってくる。
エルランド「なんだ、この豪奢な夜会は」

女性と、ダンスを踊っている、ルートルードを発見する。

エルランド公「ほうルートルード侯、回復なされたか」

ダンスの途中、エルランド公が目に入る、ルートルード。

ルートルード侯「失礼」
女性に礼をすると、席外す、ルートルード。

ルードルード侯「エルランド公」

エルランド公「なんですか、この豪華な夜会は」
ルートルード侯「毎夜、開いているのです」
エルランド公「散財なのでは?」
ルートルード公「お金なら、腐るほどあります」
エルランド公「?!」
エルランド公「兵は、王に没収されたはずでは?」
ルートルード「ええ」
「私は、会に戻ります」
「ごゆるりと」

去る、ルートルード侯を見やると、グチを吐くエルランド。
エルランド公「カッコつけおってからに」
「それにしても、このお金」
「どこから‥?」

ルートルード侯と、一席、ダンスを踊っていた女性に声をかける、エルランド公。
エルランド「失礼、ちょっと、お話できますか?」
女性「?」
「ええ」
エルランド「先ほど、社交ダンスを踊っていた、男性は?」
女性「この会のマスター、ルートルード侯爵ですよ」
エルランド「はあ、あの方が、主賓」
「それにしても、すごい豪勢な夜会ですな」
女性「ええ」
「毎夜、開いています」
「確か、製薬で儲けたとか」
エルランド「!?」
「その話、もう少し、詳しくお話伺えませんか?」







口エルランド公爵宮殿。


エルランド公「馬鹿な、不治の病に効く薬などあるわけない」

「これが、ルートルードが極秘裏に、ボリスに渡そうとしていた薬か」

老衰している女性に薬を使う、エルランド公。
日に日に、健康になり、美しくなる、老女。
「これが、薬の力か!!」
「馬鹿な、こんなに美しくだと」
反吐を吐く、エルランド公。
「こんな薬を作りおってからに」
「この力があれば、一国を支配することも可能だ」
「ルートルードめ」

それからと言うもの、ルートルードに、出来たばかりの製薬を、分けて欲しいの打診するエルランド。




口印刷工場

刷られる新聞。
一面記事。
女性の行方不明事件、続発。
誘拐犯の仕業か。





口うらびれたマンション。

マンションの一室。
コンクリートの壁の、暗い室内。
探偵は帰って来ると、ブランドを調節し、エアコンのスイッチを入れる。
壊れかけたエアコンから、部屋に冷気が流れ出す。
シャツを緩める、探偵。
テーブルに新聞を投げ出す。
一面には、女性の行方不明事件。続発の記事が。
小さな冷蔵庫から、缶ビールを取り出すと、一服する。
テレビを、リモコンのスイッチでつける探偵。
TV。行方不明女性の特集をやっている。
探偵「ここもか‥」
タバコに火をつけると。テーブルの上にあった、手紙に手を伸ばす。
一人暮らしの探偵の身を気遣っての小言の手紙。
この手紙を最後に、妻は消息不明になった。
TV。第二特集に、画期的な新薬の開発成功の特集が。
探偵「ルートルード?」
「多分、関係ないと思うが‥」
手帳にペンをはしらせる、探偵。
TV。CMに入り、グラマラスな美女が、車の宣伝をしている。
タバコをくゆらす、探偵。






口ルートルード宮殿

プールをバックに、白亜の宮殿。
室内は明るく、窓からは音楽が流れてくる。
社交晩餐会。招かれた、貴族たちは、音楽に合わせ、優雅にダンスを踊る。
招かれている、エルランド公。
ルートルード候と話し合いになっている。

ルートルード「エルランド公、あなたは、もしかして、ルゴード山が、金山ということを知っていたのでは?
エルランド「なんですと。ルゴード山が金山ですと」
ルートルード「知らなかったと」
エルランド「確かに、国王が、ルゴード周辺に、軍備を固めていると言う話は」
ルートルード「!?」
「どこで、その話を?」
エルランド「えっ! いいや、忘れましたな」
ルートルード「!!」
「ルゴード周辺に軍備を固めているのが、なぜ国王ということを、教えてくれなかったのですか?!!」
エルランド「いや、失言を」
ルートルード「エルランドー!! 謀りおったな!!」
エルランド「バレてしまっては仕方ない」
「ひとまず、失敬」
ルートルード「待て、エルランド!!」
追いかけようとするが、婦人にぶつかる、ルートルード。
探偵がルートルードに声をかける。
ルートルード「すまない、後にしてくれ」
逃げる、エルランド。
ルートルード「しまった、逃げられた」
後をついてきた、探偵が声をかける。
探偵「あの、私は、ベル興信公社。探偵のロバート=マクシモフと申します。主賓のルートルード侯爵で、よろしいでしょうか?」
ルートルード「ああ、先程は、失礼した」
探偵「少し、お伺いしたいことが」
ルートルード「手短に用件を」
探偵「はい、ありがとうございます」

用件を手短に話す、探偵。

ルートルード「そうですか、奥さんを」
探偵「はい」
「現在の仕事は、一件の行方不明事件ですが」
頷く、ルートルード。
探偵「あの、ルートルード侯、失礼ですが、先程の逃げて行った方は?」
ルートルード「ああ、ランド=ソルメーヌの、公爵。ダーグ=エルランド公」
探偵「何やら、言い争いなされていましたね」
ルートルード「ヤツのおかげで、15年、隔離されましてね」
探偵「お気の毒に」
「何が、原因だったのですか?」
ルートルード「私が、金山とは知らず、国王の所有地に、兵を向かわせまして」
「エルランド公の策略を、見抜けなかった私にも原因が」
探偵「それは、お気の毒に」
「話は変わりますが、ルートルード侯、開発された、薬は、若返りの効果があると」
ルートルード「はい」
「言い争いをした、エルランドも薬を欲しがりましてね」
探偵「?!」
「その話は、本当ですか?」
ルートルード「ええ」
探偵「私の感がいいます、怪しいですね」
ルートルード「まさか、昨今、続発している、女性の行方不明事件が、エルランド公の仕業とか?」
探偵「匂いますね」
ルートルード「ふーむ」
「私も、独自に調べてみようか」
探偵「いいですね」
「また、情報があったら、教えてください」
ルートルード「では、また」





口白金の渚亭
バンガードアを突き破って、白金の渚亭に、見慣れた巨体が息を切らせながら入ってくる。
エディブ=ダッド「きたぞ、きたぞ、依頼が!!」
アラゴー「なんじゃらほい」
カール「今度は、何の依頼かなっと」
ダッド「まさかの、先進国。ランド=ソルメーヌ。ルートルード侯爵からの依頼だぁー」
ソフィア「北欧の?」
ダッド「ああ、依頼の内容はこうだ。最近、ソルメーヌ国内で、女性の失踪事件が多発している。それを調べて欲しいと」
アラゴー「オナゴの失踪事件?!」
カール「逃避行かな?」
ソフィア「&%$#~」
アラゴー「して報酬は?」
ダッド「ルートルード侯が、大切にしている、宝盾をくれるそうだ」
カール「いいね!」
ソフィア「前回のミッションから、十分、休息はとったし」
アラゴー「アジャラパ、行くか~」
カール「 OK!」




口ルートルード宮殿
プールをバックに、白亜の宮殿。
室内は明るく、窓からは音楽が流れ出してくる。
晩餐会。
招かれた貴族たちは、音楽に合わせ、優雅にダンスを踊る。
招待状で、ホールに入り、ルートルード侯のもとまで、行く、カール達。
膝をかがめ、会釈する、カール達。
ルートルード「君達が、かの有名な、冒険団。白金の聖風団ですか」
ソフィア「はい、ご機嫌ようルートルード侯爵」
カール「俺も、TVでみました。すごいですね若返りの薬」
ルートルード「はい、絶望の果てに出来たというか」
アラゴー「絶望?」
ルートルード「いや、失敬」
「妻を助けるつもりの薬が、間に合わず、他界しまして」
ソフィア「すみません、嫌なことを聞いてしまって」
ルートルード「ハハハ‥」
ルートルード「それでは、皆さんも知っていると思うが、今度、正式に薬剤発表会があるんだ」
カール「なるほど、その護衛についてこいと」
ルートルード「いいや、文面は出した通り、薬剤発表会とは関係ないんだが」
「昨今続発している、女性の失踪事件について、調べて欲しいんだ」
「興味があるなら、カール君。薬剤発表会に招待しようか」
アラゴー「失敬」
ソフィア「わかりました、ルートルード侯爵」
アラゴー「で、線はあるんですかね?」
ルートルード「今のところ」
側に探偵がやってくる。
探偵「お話、横槍入れてもいいかな?」
アラゴー「?」
探偵「私は、ベル興信公社。探偵のロバート=マクシモフと言います」
「独自に、この事件を調べているものです」
アラゴー「それで?」
探偵「私が調べてみたところ、製薬がTV放送されてからと、女性の失踪事件の日時が、一致しているのです」
アラゴー「ほう」
カール「たまたまの一致じゃ?」
探偵「たまたまの一致を調べるのが、私の仕事」
ソフィア「フフ」
探偵「あと、もう一つ気になる線が」
アラゴー「うむ」
探偵「ルートルード候の知り合いの、エルランド公爵が、しきりに薬を欲しがっていたこと」
アラゴー「!?」
カール「なんか、怪しいな」
アラゴー「もしや、接点があるのかも」
ソフィア「調べてみる価値はありそうね」





口エルランド公爵宮殿。
アラゴー「ホンマに、こんなことをして良いものかの」
カール「仕方ないだろ、良いって」
ソフィア「尾行は気づかれなかった
頷く3人。
カール「それにしても」
ソフィア「時折、鍵をかけに行っている。あの離れ」
カール「怪しいなあ」
ソフィア「どうする?」
カール「行ってみようか」
アラゴー「うむ」

衛士が、休憩を取りに行ったその隙に、離れまで、ダッシュする3人。

鍵穴から覗く、カール達、冒険者。

そこには、横たわされた女性たちが。
中には、ミュータントのように、顔の変形した女性も多々いる。

カール「わっなんだコレッ!!」
ソフィア「ひどい」
アラゴー「酷いことをしおる!」
カール「ひとまず報告に戻ろう!」





口ルートルード宮殿。
夜会は今日も開かれている。
宮殿、夜。
プールのそばの庭園。
ルートルード侯のもとへ、集まる、冒険者たち。
ルートルード「やはりそうだったか」
「製薬メーカーの裏情報で、誰かが、新薬を買い集めている情報もあった」
ソフィア「人体実験」
アラゴー「酷いことをしおる」
ルートルード「今、このことを知っているのは私たちだけ」
頷く、冒険者一行。
ルートルード「考えがある」
冒険者「?!」





口ランド=ソルメーヌ ボリス国王城。

口新薬発表会

その日は、晴れていた。
発表会を前に、各国から、次々に来る、貴賓席の方。
貴族の方に紛れ、エルランド公の姿も見える。
製薬発表ホール。
拍手のもと、現れるルートルード侯爵。
ルートルード侯「ご静聴ありがとうございます」
「このたび、新薬テレーゼの正式発表をしたいと思います」
「この薬は、亡き、我が妻。テレーゼ=フランフォシスを助けようと開発した薬でしたが、あと一歩の所で間に合いませんでした」
場内から、すすり泣く声が。
ルートルード侯「しかし、新薬の開発は成功です」
拍手喝采の場内。
ルートルード候「ありがとうございます。効能についての説明ですが、しかしその前に」
幕裾の冒険者に目をやる、ルートルード。
カール達は、助け出された、監禁されていた女性達を舞台に連れて出す。
そこには、ミュータントのように、顔の変形した、女性も数多くいた。
ひきつる、エルランド公。
悲鳴の上がる、場内。

ルートルード侯「皆さん、ご静粛に」
「この間から、新聞を賑わしていた、一連の誘拐事件。非合法新薬の、人体実験に使っていたのは、お前だ!!」

スポットライトを、エルランド公に当てるカール。

エルランド「うわっ ヤメローー!!」

直ちに、衛士に捕まる、エルランド公。
やって来るルートルード侯。

「これだけの事をして、死罪は免れませんな。エルランド公!!」
ルートルードを睨みつける、エルランド。
「最後に、命をかけて、私と一騎打ちをしませんか、エルランド!!」
怒りは絶頂に。
エルランド「よかろう」

拍手喝さいの場内。
舞台の上で、両者とも、レイピアを持ち、構える。

ボリス国王「よし、初めい!!」

押される、エルランドに、優勢のルートルード。
数分の剣戟の後、剣を弾かれる、エルランド。

エルランド「参った!!」
舞台裾の、女性を人質にとり、隠していたデリンジャーを突き出す、エルランド。

ルートルード「!!」

観客の悲鳴が上がる。

探偵の小銃が火を吹く。

小銃のブロッドは当たり、体制を崩す、エルランド。

貫く、レイピア。

ボリス国王「勝負あり!!」

拍手喝さいの場内。

拍手する、冒険者一行。




口エンディング
ソフィア「それにしても、かっこよかったわね、ルートルード侯爵」
カール「あの、探偵も良かったよ」
アラゴー「わしは、すかさず、エルランドに、スポットライトを当てた、カールが良かった」
カール「ハハハ」
ソフィア「アハハ」
アラゴー「面白い、土産話しが出来たわい」
仲良く、白金の渚亭まで帰る。一行。



END.

キャスト

侯爵     ルートルード=ブラインド=ヴェルザーベル
妻      ルートルード=テレーゼ=フランフォシス
公爵     ダーグ=エルランド
国王     ゴットフリッド=ボリス
探偵     ロバート=マクシモフ
人間     カール=ザルツバーグ
エルフ    ソフィア=ゴールドバーク
ドワーフ   アラゴー=ルイス
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