25 / 31
砂漠の番人
しおりを挟む
口砂漠の番人
ここは、砂海。
スカルサーマルの熱波を含んだ、突風により、時折、視界が見えなくなる。
俗に言う、デス、ヘルズ、デザート。
死の砂漠だ。
旅人は言う。
「マヨイから、草原の街、イファーグの空には、何かあると」
飛行機乗り「なんだぁ!? 空中にキャッスルが見える?」
「面白そうな、話だなぁ」
「いっちょ、やってやろうじゃないか!」
エンジニアがミニジェット機のメンテナンスをしている。
「電子パネルがあれば、楽勝さあ」
空中迷宮。 ラビリンス。
無限の空。
蒼と、青。
どこまでも続く、成層圏。
ミラー気流。
乱気流も何もない、対流圏。
対流に乗る。
サインに飛んでも虚空。
コサインにとんでも、また虚空。
エンジンは、時折のジェットでこと足りる。
メーターが突然、振り切れ始める。
電子パネルの計器が、突然ブレ始める。
「なんだぁ!? 電子パネルの異常があ!!」
頭をふる、パイロット。
動く、巨大な影。
電気を発している。
「ジャ、ジャミングかああ」
操縦桿を握りしめる、パイロット。
「ふうう」
前方に何か、キャッスルの影のようなものが見える。
「な なんだぁ!?」
垂直尾翼の方向舵と、水平尾翼の、昇降舵が動く。
操縦桿を手前に引き、操縦輪を振り切り、上昇する機体。
「ふぅー切り抜けたぜ」
首を戻すパイロット。
眼前に空中ラビリンスが。
「うわ うわああー」
上空で、小さく、爆炎をあげ、飛び散る、ミニジェット機。
ソフィア「?」
カール「どうしたのソフィア?」
ソフィア「いや、何か、聞こえたような気が‥」
空を見上げる冒険者一行。
蒼天で、澄み渡った空には、雲一つない。
ソフィア「気のせいか」
カール「先を急ごう」
炎天下の中、歩く、冒険者一行。
フードで、顔は、暗く、目だけが、白く光っている。
時折吹く、砂塵の中。
無言で歩く、冒険者一行。
前方を見る、冒険者。
水筒から最後の水の一滴を飲み干す。
「水‥」
太陽光。
熱射の中、風が吹く。
揺らめく、陽炎。
陽炎の奥に、砂漠の都市が見える。
「オアシス」
数日前のことが走馬灯のように、カールの脳裏に、思い出される。
口白金の渚亭。
エディブ「おい! 本気かよ!!」
ビラを、テーブルに叩きつける、カール。
ビラの内容。
口サンドウォームは、その体内に、悠久の時の数だけ多くの砂船を消えさせた。
冒険者の、話では、小国を買えるだけの、宝物をかかえていると噂されている。
カール「こんな話を聞いて、行かない理由には、いかないじゃないか!」
エディブ「だけどよお」
「サンドウォームは、ランド=マヨイの、十個団体が、7百年かかって追っているモンスターじゃ」
カール「ああ」
エディブ「で、聞いた話、結果は、大敗」
「とても、冒険者の、太刀打ちできる敵じゃ」
カール「ああ」
エディブ「あと、砂漠は、素人の太刀打ちできる所じゃない」
カール「ああ、知っている」
エディブ「お前なあ」
カール「数日前、旅人に、聞いたんだ。砂漠の塔から、通じるという、天空城」
「天空回廊に眠ると言う、スターオーブを光に晒せば、何かがおこると」
エディブ「へええ?! また、ガセネタじゃ?!」
カール「いや、行ってみる価値はある!」
ソフィア「&%$#~」
「全く、子供じみてるんだから、しょうがない」
「ついて行ってやるか」
アラゴー「仕方ない、カール坊ちゃんの、面倒を見てやるか」
カール「サンキュ、アラゴー、ソフィア」
ミッションスタート
見知らぬ、旅人の噂話を信じたカールは。
砂漠の番人。伝説のサンドウォームの討伐に向かうことになる。
一国の、大規模団体が、数百年かけて追う獲物。
しがない、カール一行が果たして、どうなることやら。
キャスト
人間 カール=ザルツバーグ
エルフ ソフィア=ゴールドバーク
ドワーフ アラゴー=ルイス
場面は変わる。
口砂漠の番人
白煙をあげ、軍隊蟻のごとく、走る、2個団体のジープ群。
ランド=マヨイの、赤に黒に黄の旗に、デトゥースの、サソリの旗がはためいている。
北緯10 西経20
「もうそろそろ、ヤツが現れるはずだ」
沈黙の砂漠。
「おかしいな、何もないな」
突然、砂漠に割れ目ができる。
ジープの車両が、砂に飲み込まれる。
「ウワアア」
砂塵をあげて、巨大な物体が、砂中から、踊り出してくる。
「サンドウォームだアアー」
「ひとまず、撤退!!」
陰る太陽。
サンドウォームがのしかかってくる。
「だめだ~ー!!」
全滅。
上空を飛ぶ、レシプロ機。
「馬鹿が‥」
発煙筒を焚きながら、弧を描き、制空の空に、飛び去る。
コックピット。
コックピットから、見下ろす、砂漠。
どこまでも続く、砂漠。
ストライトラインを引く、レシプロ機。
速度を上げる。
砂漠は、どこまでも続く。
太陽が斜角に入ってくる。
「もうすぐ、夕暮れか」
前方に、塔が見えてくる。
「神話の時代からの、神の塔だ‥」
夕日をバックに、砂漠の塔。
飛び去る、レシプロ機。
沈む、太陽。
日中に温められた、空気は、夜になり、急激に、空へ向かう。
浮かぶ、月。
今夜はフルムーンだ。
蒼い、砂漠の中、寒々そうに、浮かぶ、フルムーン。
夜の砂海。
静寂。
死の砂漠だ。
ラクダのもと、テントで、野営する、冒険者一行。
寝袋に潜りこむカール。
カール「寒いな」
翌日。
熱射。
赤道直下。
朱夏の炎をあげ、照りつける、太陽。
焼け付く足をさする、カール。
カール「ふぅー アチいな」
ソフィア「砂漠の塔まで、もう少しね」
風が吹く。
白き砂塵が上がる。
顔を覆う、冒険者一行。
再び、顔を上げると、遠方に小さく、塔が見える。
カール「蜃気楼?!」
ソフィア「砂漠の塔よ」
ラクダとともに、ゆっくりと、塔へ向かう、冒険者一行。
口砂漠の塔。
塔は高く、上は見えない。
扉は青銅で、6mはある。
カール「これって?」
ソフィア「どうやって入るんだろう」
周囲を探す、冒険者一行。
塔の窓は開け放たれているが、窓は高い。
アラゴー「さすがに、よじ登るのは無理じゃろう」
ミサハマの、サンクタス城を思い出す。カールとソフィア。
カール「よし。石を一つづつ、調べて見よう」
ソフィア「OK! 手分けをしてね」
アラゴー「ヨッコラセっと」
しばらく調べると、入り口に横にある、石が動くのを見つける。
ソフィア「あ あった」
アラゴー「危険感知」
ロール。成功
石をそっと動かすと、レバーがある。
レバーを引くアラゴー。
長年の風化とサビの音を軋ませながら、重い扉は開く。
中からは、乾いた、暖気が吹き抜けてくる。
中は、窓からの光が差し、明るい。
カール「OK!」
アラゴー「行くとするか!」
口砂漠の塔
中は、明るく、石畳の迷宮になっている。
階ごとになっており、螺旋状に、ループする階段が付いている。
カール「行こう!」
螺旋階段を登り始める、冒険者一行。
ゴウオオオーと風の音が聞こえる。海鳴りに聞こえる。
結界が張られているのか、開け放たれた、窓からは、砂塵は舞い込んでこない。
階下から、風の音は聞こえ、階上に上がるたびに、音は一層強くなる。
誰かの叫びのようにも聞こえる。
ゴウオオオー サーーーー ゴウオオオー サーーーー
永遠に続くかと思える、螺旋階段。
窓の外からは、砂の粒に、光が反射して、荘厳な風景に見える。
カール「何階まで、上がっただろう」
122階。外から聞こえる、暴風の音が途端にやむ。
窓からは、光が差し、雲が見える。
カール「抜けた」
風の音が聞こえる。
ヒュウウウウーー ヒョオオオーーー
カーール~ー ソフィア~ー アラゴ~ーー
ソフィア「海鳴りね」
「先を急ぎましょう」
歩速を強める、冒険者一行。
166階。
屋上へ出る。
風で、フードが飛ぶ。
屋上の中央の床には、多角形の結界印が、施されている。
手を繋ぐ、ソフィアと、カールと、アラゴー。
ソフィア「さあ、行きましょう」
結界の中に入る、冒険者たち。
ブンッと言う音とともに、消える。
口天空城。
成層圏まで飛ばされた、冒険者一行。
飛ばされた、先は、鉄で四方を囲まれた一室。
天空城だ。
歩くと、冷たい鉄のフロアと、靴の当たる音で、カツーン、カツーンと鳴る。
界下を見下ろすと、砂漠や、塔が、ミニチュアのように見える。
空気は、薄い。
持って来ていたオキシキャンディーを頬張る、冒険者一行。
ソフィア「寒いわね」
リュックから、ライトローブを出し、羽織る、冒険者一行。
ソフィア「行きましょう」
自動ドアをくぐる、冒険者たち。
ピコ ピロリローナー
ピコ ピロリローナー
カール「なんだ!? この空間は?!」
ピロリロ。ピロリロ。
壁中に、電子機器がパネル計器とともに、埋め込まれており、一種異様だ。
電子機器が、規則的な、電子音で、光り、点滅している。
ピコ ピロリローナー
ピコ ピロリローナー
ピロリロ。ピロリロ。
フロアの中央には、巨大な磁石が置いており、計器の埋め込んだ、超伝導物質が、不気味に、浮かんでいる。
超伝導体にぶつかりそうになる、カール。
カール「うわっ!」
来た道を、壁まで、フワリと跳ね返される、カール。
カール「なんだ!?」
急に消灯する室内。
暗闇の中、赤色のランプがフワリと上下に浮かんでいる。
ブーーーン ブーーーン
アラゴー「なんじゃ?!」
カール「なんだこの音」
ブーーーン ブーーーン
暗闇の中、音はだんだん大きくなっていく。
突然、室内の明かりが戻る。
眼前に、立ちはだかる、ロボット。
アラゴー「古代兵器!!~ー!」
ロボットアームがアラゴーにめがけて振り出される。
盾でカバーし、吹き飛ばされる、アラゴー。
受けた、盾は、石化し、粉々に砕け散る。
カール「ストーンか!!」
ソフィア「腕に石化魔法が付いているわ」
「気をつけて!!」
技能。観察。
アラゴー、成功。
古代兵器のボディに、アナログの、インジケーターが付いている。
アラゴー「ボディーにインジケーターが付いているな」
「あそこを、狙うか!!」
カール「他は丈夫そうだ。 OK! アラゴー!」
ロボットアームを、ひたすら避け、ボディにソードとアックスを打ち込む、カールとアラゴー。
死闘は、3時間にも及ぶ。
カキーン。 カキーン。
カール「効かないぞ!」
ソフィア「風の精霊シルフよ、カールとアラゴーまで、マジックボールを届けたまへ」
「エンチャント。サンダー!!」
歌うシルフの風に乗って、マジックボールが届けられる。
空中で、弾ける、マジックボール。
カールのソードと、アラゴーのアックスにめがけて、雷の精霊が降りる。
アラゴー「エンチャントウェポンサンダー!!」
カール「サンキュ、ソフィア!」
古代兵器の腕を、回避して打ち込む。カールとアラゴー。
ガキーン。 ガキーン。
計器のメーターが振り切れる。
頭の可変する、古代兵器。
古代兵器「ターゲット。ロック。 3。2。1。」
アラゴー「やばいな」
カール「何かくるぞ!!」
古代兵器「ミサイル」
ソフィアをカバーする、カールたち。
カール「危ない!」
ホーミングするミサイルを誘導し、盾を投げるカール。
クリティカル。
素早く、鉄壁の影に身を隠す。
爆風。
回避クリティカル。
ソフィア「連撃!!」
呪文を高速詠唱する、ソフィア。
ソフィア「大気中の原子よ、我が指先に宿りたまえ」
「フォース=レイ!!」
壊れかけている、ボディーの計器をめがけ、一線の光の矢は貫く。
古代兵器のボディーに電流が走る。
停まる古代兵器。
古代兵器から、室内中に、奇妙な電子音が鳴り響く。
ピロリロ。ピロリロ。ピロリロ。ピロリロ。
カール「何か、くるぞ!!」
ソフィア「私に任せて!」
キュイーーーン。 ピキューーーン。
冒険者をめがけ、眩ゆいレーザー光が。
ソフィア「現世の質量は、反転する」
「マジックシールド!!」
跳ね返る、レーザー。
古代兵器はレーザーに貫かれる。
バシュン。 バチバチバチ。
カール「いまだ!!」
ソードとアックスを振り上げ、飛びかかる、カールとアラゴー。
ドゴーーーン!!
爆炎。
アラゴー「よし!」
ソフィア「やった!」
カール「よっしゃー!!」
爆風が通り抜けると、元の冷たい、鉄のフロアだ。
奥の扉が開く。
ソフィア「どうする?」
カール「行ってみよう!」
扉をくぐる、冒険者一行。
冷たい鉄のフロアを抜けると、一転して、明るい空中庭園へつく。
口空中庭園。
ドーム状の、ガラスの、空間になっている。
ガラス越しには、雲が、形を変えながら、風で流されている。
庭園に出てみると、どういう原理で出来ているのかわからない光景が。
綺麗な庭園には、所々に、顔の形をした岩が浮かんでいる。
顔の形をした岩は、中央を守るように、周りに、8機あり。
中央には、石造りの巨大な噴水がある。
ケツァル族
ビンズー族
ムバーハ族
ポックコ族
ドーバク族
マバーク族
ドマール族
ヤパベル族
カール「これって、旧人種じゃ?」
無音で浮いている、人面岩。
おそるおそる、人面岩の間の通路を通り、中央の噴水へと行く、冒険者一行。
ガラス越しの、雲。
雲は形を変えながら、すごい速度で流れていく。
中央噴水。
カール「ちょうど、喉が渇いていたんだ」
「この水、飲めるかな?」
手で、カップを作り、透明に透き通った、水をすする、カール。
カール「プハアー、うまい」
一息ついて、天井を見上げる、カール。
天井は、天空と一体となり、太陽をちょうど、雲が隠している。
雲から現れる、太陽。
すると、噴水の頂上付近で、何かが光る。
カール「?!」
「あ これって」
立って、伸びをして、右手をあげるカール。
噴水の太陽光で、輝く水の中に、手を入れる。
何かを取る。
カールたちの周りに、結界が張られる。
瞬間、白と黒に反転する、一帯。
カールが噴水から手に取ったものは。
手のひら台の、紺碧の、透き通った、オーブだ。
ソフィア「カール! これが、旅人の言っていた」
カール「オーブかも‥」
アラゴー「やったな!!」
ソフィア「それでは、帰りましょう」
「来た道は、インプットしているわ」
「とりあえず砂漠の塔の脱出から」
「MP回復するまで、下道を帰りましょう」
ソフィアは呪文を詠唱し始める。
ソフィアの周りに光の精霊が集まってくる。
風が吹いてくる。
ソフィアの髪が、風になびき、うねる。
呪文を詠唱する。ソフィア。
ソフィア「空間と時空の接点が交わる時、虚空は光となり、我らを導く」
光が冒険者一行に集まってくる。
ソフィア「テレポ!」
光は球体となり、冒険者を包み込む。
光の収束。
突風と共に、消える、冒険者たち。
口猫と陽炎
帰り道。
蜃気楼があった場所にある、都市。
陽炎の都市を通り、帰ることに。
口陽炎の都市。
沈黙の回廊。
綺麗に組んだ、石畳の、回廊。
靴底が石に当たる音と、吐く息しか聞こえない。
アーチを抜けると、乳白色をした、古びた、回廊が。
回廊には、ところどころに、2階へと続く、階段がある。
建物の陰影で、光と影をなしている。
美しい、建造物だ。
ところどころに、いる猫。
声をかけようとすると、消える。
路地裏まで、歩く、冒険者一行。
アーチをくぐると、また、同じ風景が続く。
カール「?」
眼前には、再び、乳白色をした、古びた、回廊が。
路地裏まで、歩く、冒険者一行。
アーチをくぐると、また、同じ風景が続く。
ソフィア「ループ?」
眼前には、再び、乳白色をした、古びた、回廊が。
路地裏まで、歩く、冒険者一行。
アーチをくぐると、また、同じ風景が続く。
カール「デジャビュ」
立ち止まる冒険者一行。
うっすらと流れる、汗を拭うように、風が吹く。
カール「迷ったな」
目の前をシャム猫が横切る。
ソフィア「?」
「ついて来て」
シャム猫の後をついていく冒険者一行。
回廊のループが終わる。
回廊を抜けると、誰かに見つめられているような気が。
黒猫?
「カール」
「カールくん」
振り向くカール。
そこには、路地があるだけで、誰もいない。
猫が一匹、退屈そうに、あくびをしている。
腰をあげ、路地の奥へ、歩いていく猫。
カール「ちょっと待って!」
黒猫「カール、付いてきて」
カール「君は誰? どうして僕の名を?!」
黒猫「カール、僕は、君を待っていた」
黒猫「スターオーブを持つものよ」
カール「!!」
黒猫「太陽に、スターオーブ、重なる時、大いなる力発動す」
「呪文はこうだ、ニャーニャカニャー。 コテッペドーシェンサ」
消える猫。
沈黙の回廊。
吐く息の音と、靴底が石に当たる音しか聞こえない。
回廊の、ところどころに、猫がいるが、音もなく消える。
沈黙のラビリンス。
ソフィア「カール、どうしたの?」
「熱でもあるんじゃ」
カール「コテッペ‥」
手を当てる、ソフィア。
「すごい熱」
「急いで、マヨイのゲットアウェイまで帰りましょう」
「もう、MP回復しているわ」
ソフィアは呪文を詠唱し始める。
ソフィアの周りに光の精霊が集まってくる。
風が吹いてくる。
ソフィアの髪が、風になびき、うねる。
呪文を詠唱する。ソフィア。
ソフィア「空間と時空の接点が交わる時、虚空は光となり、我らを導く」
光が冒険者一行に集まってくる。
ソフィア「テレポ!」
光は球体となり、冒険者を包み込む。
光の収束。
突風と共に、消える、冒険者たち。
数日の後、体調の回復する、カール。
ゲットアウェイには、デトゥースの、兵士達も来ている。
話になる、カール達。
飛行機乗り「なるほど、太陽の近くの光にかざせか」
飛行機乗り「その、光のオーブとやらを、見せてくれよ」
カール「くすねる気だろ?」
飛行機乗り「ハハハ、当たり」
飛行機乗り「わしが、飛行機で、太陽光を遮る、そのすきに、オーブを打ち上げたらどうだ?」
ソフィア「いいわね。私が、シルフの精霊を呼ぶわ」
カール「なるほどね」
ソフィア「フフフ」
飛行機乗り「ワハハ」
飛行機乗り「今度が、ラストミッションになったら、サイコーにハッピーなんだけどな」
兵士「その、ミッション、私たちもついて行っていいでしょうか?」
「この間の、砂漠の討伐ミッションで、1/4やられてしまいましたが、まだ、2個団体ほど、ジープが出せます」
ソフィア「頼もうかしら」
アラゴー「儲けは、折半になるな」
兵士「ランド=マヨイ建国からの再建の、野望がありまして」
「我が、ランド=マヨイ。デトゥース団体が8。冒険者の皆さんが2」
カール「2かあ~」
アラゴー「そんなもんじゃぞい」
ソフィア「どうする?」
「カールの、お金のつかい道は?」
カール「エスオゴの再建に使う」
ソフィア「具体的には?」
カール「ああ、家を買って、社会に紛れ、システムを作る」
アラゴー「ガハハ」
ソフィア「レトとちょっと違うわね」
「どこに、家を建てるかで違うけど」
「お金、いるかもよ」
カール「これまで、冒険して来て、情報がいかに大事か、考えさせられた」
「ゴードーとか、大都市では、ニューズペーパーなどある」
「エスオゴには、まだ、出版印刷など、ないんだ」
ソフィア「なるほどね」
兵士「確かに、お金が入りそうですね」
「貴重なお話を、聞かせて頂きました」
カール「じゃあ、取り分、3では?」
アラゴー「おおっ!!」
兵士「王に使いを出してみます」
かくして、王から、折り返し、密使がくる。
カール達、取り分、3。 ランド=マヨイ、取り分7となる。
果たして、カール達、冒険者一行。サンドウォーム討伐、どうなることやら。
口砂漠の番人
翌日。
熱した砂漠は、乾風が吹き。抜けるように暑い。
透ける空は、蒼海のグラデーションがかかり、反対にすると、落ちていくようだ。
手で太陽光を遮りながら、ソフィア。
ソフィア「いよいよ、決戦当日」
「今日も、暑いわね」
エンジンをかけ、止めている、ジープ群。
今にもヒートしそうな、ボディーは、熱したフライパンのようだ。
カール「これに、乗るの?」
「うわっ! 尻が焼ける!!」
砂漠を抜ける積乱雲。
白煙を上げ、走る、2個団体。
吹く風は、カラッと暑い。
首に麻のマフラーを巻きつける、カール。
「ヒャッハー。速いな!」
アラゴー「快適、快適!」
太陽光。
熱射の中、風が吹く。
揺らめく、陽炎。
前方。
陽炎の奥に、砂漠の都市が見える。
カール「待てよ、これってどこかで‥」
風が止まる。
沈黙の砂漠。
飛ぶ、カラス。
突然、砂漠に割れ目ができる。
前方のジープが悲鳴をあげる。
左右に分かれる、ジープ団体。
砂塵をあげて、巨大な物体が、砂中から、踊り出してくる。
兵士「サンドウォームだア~~!!!」
右に分かれた一隊を、追う、砂漠の巨大な王。
全速力で、逃げる、1隊。
左から、距離を置いて、追う、1隊。
2隊は、2手に分かれる。
走る、サンドウォームと、ジープ団体。
走ること2時間。
兵士「もうそろそろ、来るはずだ」
前方の空から、小さな点が飛んで来る。
レシプロ機だ。
レシプロ機は、サンドウォームの右上空をかすめるように飛ぶ。
飛行機乗り「今きたぜ! ヒャッホー!!!」
カール「来た!」
向きを変える、サンドウォーム。
ソフィア「行くわよ!」
ジープの上で立つ、ソフィア。
足を抱える、カール。
エルフの呪文。
ソフィア「内なる精霊。空の精霊と交わりし時、天のみかごにのって、現れるシルフよ。天を突き刺す、気流になりたまえ」
風が強くなり、空に無数のシルフが現れる。
気流となる、シルフ。
ソフィア「よし!」
矢先に、スターオーブを括り付けるソフィア。
呪文を唱えるカール。
カール「コテッペドーシェンサ」
オーブが輝き始める。
ソフィア「ワオ」
レシプロ機が太陽光を隠す。
矢を上空に放つ。
太陽が陰る。
宇宙。動く衛生。
矢は、するすると上へ伸びる。
外れる、レシプロ機。
差す太陽光。
光るオーブは砕け散る。
反転する白黒。
サンドウォームを包むように、全長、10kmの多角形の光の籠ができる。
止まる一帯。
一間を置いて、天空より槍が落ちる。
一瞬の沈黙の後、爆風。
カール「うわああああーーー」
ソフィア「キャアアアアーーー」
黒猫「カール」
「カールくん」
「大丈夫だよ」
気がつくと、粉々に砕け散った、サンドウォームの残骸と、無限の金塊が。
冒険者に、敬礼するジープ団体の兵士。
ソフィア「こんなにあったんだね」
アラゴー「風雪、700年か‥」
カール「砂漠に、雪は降らないけどね!」
ミッションクリア。
ボーナス。 小国を買えるほどの金塊の、3割。
キャスト
人間 カール=ザルツバーグ
エルフ ソフィア=ゴールドバーク
ドワーフ アラゴー=ルイス
ここは、砂海。
スカルサーマルの熱波を含んだ、突風により、時折、視界が見えなくなる。
俗に言う、デス、ヘルズ、デザート。
死の砂漠だ。
旅人は言う。
「マヨイから、草原の街、イファーグの空には、何かあると」
飛行機乗り「なんだぁ!? 空中にキャッスルが見える?」
「面白そうな、話だなぁ」
「いっちょ、やってやろうじゃないか!」
エンジニアがミニジェット機のメンテナンスをしている。
「電子パネルがあれば、楽勝さあ」
空中迷宮。 ラビリンス。
無限の空。
蒼と、青。
どこまでも続く、成層圏。
ミラー気流。
乱気流も何もない、対流圏。
対流に乗る。
サインに飛んでも虚空。
コサインにとんでも、また虚空。
エンジンは、時折のジェットでこと足りる。
メーターが突然、振り切れ始める。
電子パネルの計器が、突然ブレ始める。
「なんだぁ!? 電子パネルの異常があ!!」
頭をふる、パイロット。
動く、巨大な影。
電気を発している。
「ジャ、ジャミングかああ」
操縦桿を握りしめる、パイロット。
「ふうう」
前方に何か、キャッスルの影のようなものが見える。
「な なんだぁ!?」
垂直尾翼の方向舵と、水平尾翼の、昇降舵が動く。
操縦桿を手前に引き、操縦輪を振り切り、上昇する機体。
「ふぅー切り抜けたぜ」
首を戻すパイロット。
眼前に空中ラビリンスが。
「うわ うわああー」
上空で、小さく、爆炎をあげ、飛び散る、ミニジェット機。
ソフィア「?」
カール「どうしたのソフィア?」
ソフィア「いや、何か、聞こえたような気が‥」
空を見上げる冒険者一行。
蒼天で、澄み渡った空には、雲一つない。
ソフィア「気のせいか」
カール「先を急ごう」
炎天下の中、歩く、冒険者一行。
フードで、顔は、暗く、目だけが、白く光っている。
時折吹く、砂塵の中。
無言で歩く、冒険者一行。
前方を見る、冒険者。
水筒から最後の水の一滴を飲み干す。
「水‥」
太陽光。
熱射の中、風が吹く。
揺らめく、陽炎。
陽炎の奥に、砂漠の都市が見える。
「オアシス」
数日前のことが走馬灯のように、カールの脳裏に、思い出される。
口白金の渚亭。
エディブ「おい! 本気かよ!!」
ビラを、テーブルに叩きつける、カール。
ビラの内容。
口サンドウォームは、その体内に、悠久の時の数だけ多くの砂船を消えさせた。
冒険者の、話では、小国を買えるだけの、宝物をかかえていると噂されている。
カール「こんな話を聞いて、行かない理由には、いかないじゃないか!」
エディブ「だけどよお」
「サンドウォームは、ランド=マヨイの、十個団体が、7百年かかって追っているモンスターじゃ」
カール「ああ」
エディブ「で、聞いた話、結果は、大敗」
「とても、冒険者の、太刀打ちできる敵じゃ」
カール「ああ」
エディブ「あと、砂漠は、素人の太刀打ちできる所じゃない」
カール「ああ、知っている」
エディブ「お前なあ」
カール「数日前、旅人に、聞いたんだ。砂漠の塔から、通じるという、天空城」
「天空回廊に眠ると言う、スターオーブを光に晒せば、何かがおこると」
エディブ「へええ?! また、ガセネタじゃ?!」
カール「いや、行ってみる価値はある!」
ソフィア「&%$#~」
「全く、子供じみてるんだから、しょうがない」
「ついて行ってやるか」
アラゴー「仕方ない、カール坊ちゃんの、面倒を見てやるか」
カール「サンキュ、アラゴー、ソフィア」
ミッションスタート
見知らぬ、旅人の噂話を信じたカールは。
砂漠の番人。伝説のサンドウォームの討伐に向かうことになる。
一国の、大規模団体が、数百年かけて追う獲物。
しがない、カール一行が果たして、どうなることやら。
キャスト
人間 カール=ザルツバーグ
エルフ ソフィア=ゴールドバーク
ドワーフ アラゴー=ルイス
場面は変わる。
口砂漠の番人
白煙をあげ、軍隊蟻のごとく、走る、2個団体のジープ群。
ランド=マヨイの、赤に黒に黄の旗に、デトゥースの、サソリの旗がはためいている。
北緯10 西経20
「もうそろそろ、ヤツが現れるはずだ」
沈黙の砂漠。
「おかしいな、何もないな」
突然、砂漠に割れ目ができる。
ジープの車両が、砂に飲み込まれる。
「ウワアア」
砂塵をあげて、巨大な物体が、砂中から、踊り出してくる。
「サンドウォームだアアー」
「ひとまず、撤退!!」
陰る太陽。
サンドウォームがのしかかってくる。
「だめだ~ー!!」
全滅。
上空を飛ぶ、レシプロ機。
「馬鹿が‥」
発煙筒を焚きながら、弧を描き、制空の空に、飛び去る。
コックピット。
コックピットから、見下ろす、砂漠。
どこまでも続く、砂漠。
ストライトラインを引く、レシプロ機。
速度を上げる。
砂漠は、どこまでも続く。
太陽が斜角に入ってくる。
「もうすぐ、夕暮れか」
前方に、塔が見えてくる。
「神話の時代からの、神の塔だ‥」
夕日をバックに、砂漠の塔。
飛び去る、レシプロ機。
沈む、太陽。
日中に温められた、空気は、夜になり、急激に、空へ向かう。
浮かぶ、月。
今夜はフルムーンだ。
蒼い、砂漠の中、寒々そうに、浮かぶ、フルムーン。
夜の砂海。
静寂。
死の砂漠だ。
ラクダのもと、テントで、野営する、冒険者一行。
寝袋に潜りこむカール。
カール「寒いな」
翌日。
熱射。
赤道直下。
朱夏の炎をあげ、照りつける、太陽。
焼け付く足をさする、カール。
カール「ふぅー アチいな」
ソフィア「砂漠の塔まで、もう少しね」
風が吹く。
白き砂塵が上がる。
顔を覆う、冒険者一行。
再び、顔を上げると、遠方に小さく、塔が見える。
カール「蜃気楼?!」
ソフィア「砂漠の塔よ」
ラクダとともに、ゆっくりと、塔へ向かう、冒険者一行。
口砂漠の塔。
塔は高く、上は見えない。
扉は青銅で、6mはある。
カール「これって?」
ソフィア「どうやって入るんだろう」
周囲を探す、冒険者一行。
塔の窓は開け放たれているが、窓は高い。
アラゴー「さすがに、よじ登るのは無理じゃろう」
ミサハマの、サンクタス城を思い出す。カールとソフィア。
カール「よし。石を一つづつ、調べて見よう」
ソフィア「OK! 手分けをしてね」
アラゴー「ヨッコラセっと」
しばらく調べると、入り口に横にある、石が動くのを見つける。
ソフィア「あ あった」
アラゴー「危険感知」
ロール。成功
石をそっと動かすと、レバーがある。
レバーを引くアラゴー。
長年の風化とサビの音を軋ませながら、重い扉は開く。
中からは、乾いた、暖気が吹き抜けてくる。
中は、窓からの光が差し、明るい。
カール「OK!」
アラゴー「行くとするか!」
口砂漠の塔
中は、明るく、石畳の迷宮になっている。
階ごとになっており、螺旋状に、ループする階段が付いている。
カール「行こう!」
螺旋階段を登り始める、冒険者一行。
ゴウオオオーと風の音が聞こえる。海鳴りに聞こえる。
結界が張られているのか、開け放たれた、窓からは、砂塵は舞い込んでこない。
階下から、風の音は聞こえ、階上に上がるたびに、音は一層強くなる。
誰かの叫びのようにも聞こえる。
ゴウオオオー サーーーー ゴウオオオー サーーーー
永遠に続くかと思える、螺旋階段。
窓の外からは、砂の粒に、光が反射して、荘厳な風景に見える。
カール「何階まで、上がっただろう」
122階。外から聞こえる、暴風の音が途端にやむ。
窓からは、光が差し、雲が見える。
カール「抜けた」
風の音が聞こえる。
ヒュウウウウーー ヒョオオオーーー
カーール~ー ソフィア~ー アラゴ~ーー
ソフィア「海鳴りね」
「先を急ぎましょう」
歩速を強める、冒険者一行。
166階。
屋上へ出る。
風で、フードが飛ぶ。
屋上の中央の床には、多角形の結界印が、施されている。
手を繋ぐ、ソフィアと、カールと、アラゴー。
ソフィア「さあ、行きましょう」
結界の中に入る、冒険者たち。
ブンッと言う音とともに、消える。
口天空城。
成層圏まで飛ばされた、冒険者一行。
飛ばされた、先は、鉄で四方を囲まれた一室。
天空城だ。
歩くと、冷たい鉄のフロアと、靴の当たる音で、カツーン、カツーンと鳴る。
界下を見下ろすと、砂漠や、塔が、ミニチュアのように見える。
空気は、薄い。
持って来ていたオキシキャンディーを頬張る、冒険者一行。
ソフィア「寒いわね」
リュックから、ライトローブを出し、羽織る、冒険者一行。
ソフィア「行きましょう」
自動ドアをくぐる、冒険者たち。
ピコ ピロリローナー
ピコ ピロリローナー
カール「なんだ!? この空間は?!」
ピロリロ。ピロリロ。
壁中に、電子機器がパネル計器とともに、埋め込まれており、一種異様だ。
電子機器が、規則的な、電子音で、光り、点滅している。
ピコ ピロリローナー
ピコ ピロリローナー
ピロリロ。ピロリロ。
フロアの中央には、巨大な磁石が置いており、計器の埋め込んだ、超伝導物質が、不気味に、浮かんでいる。
超伝導体にぶつかりそうになる、カール。
カール「うわっ!」
来た道を、壁まで、フワリと跳ね返される、カール。
カール「なんだ!?」
急に消灯する室内。
暗闇の中、赤色のランプがフワリと上下に浮かんでいる。
ブーーーン ブーーーン
アラゴー「なんじゃ?!」
カール「なんだこの音」
ブーーーン ブーーーン
暗闇の中、音はだんだん大きくなっていく。
突然、室内の明かりが戻る。
眼前に、立ちはだかる、ロボット。
アラゴー「古代兵器!!~ー!」
ロボットアームがアラゴーにめがけて振り出される。
盾でカバーし、吹き飛ばされる、アラゴー。
受けた、盾は、石化し、粉々に砕け散る。
カール「ストーンか!!」
ソフィア「腕に石化魔法が付いているわ」
「気をつけて!!」
技能。観察。
アラゴー、成功。
古代兵器のボディに、アナログの、インジケーターが付いている。
アラゴー「ボディーにインジケーターが付いているな」
「あそこを、狙うか!!」
カール「他は丈夫そうだ。 OK! アラゴー!」
ロボットアームを、ひたすら避け、ボディにソードとアックスを打ち込む、カールとアラゴー。
死闘は、3時間にも及ぶ。
カキーン。 カキーン。
カール「効かないぞ!」
ソフィア「風の精霊シルフよ、カールとアラゴーまで、マジックボールを届けたまへ」
「エンチャント。サンダー!!」
歌うシルフの風に乗って、マジックボールが届けられる。
空中で、弾ける、マジックボール。
カールのソードと、アラゴーのアックスにめがけて、雷の精霊が降りる。
アラゴー「エンチャントウェポンサンダー!!」
カール「サンキュ、ソフィア!」
古代兵器の腕を、回避して打ち込む。カールとアラゴー。
ガキーン。 ガキーン。
計器のメーターが振り切れる。
頭の可変する、古代兵器。
古代兵器「ターゲット。ロック。 3。2。1。」
アラゴー「やばいな」
カール「何かくるぞ!!」
古代兵器「ミサイル」
ソフィアをカバーする、カールたち。
カール「危ない!」
ホーミングするミサイルを誘導し、盾を投げるカール。
クリティカル。
素早く、鉄壁の影に身を隠す。
爆風。
回避クリティカル。
ソフィア「連撃!!」
呪文を高速詠唱する、ソフィア。
ソフィア「大気中の原子よ、我が指先に宿りたまえ」
「フォース=レイ!!」
壊れかけている、ボディーの計器をめがけ、一線の光の矢は貫く。
古代兵器のボディーに電流が走る。
停まる古代兵器。
古代兵器から、室内中に、奇妙な電子音が鳴り響く。
ピロリロ。ピロリロ。ピロリロ。ピロリロ。
カール「何か、くるぞ!!」
ソフィア「私に任せて!」
キュイーーーン。 ピキューーーン。
冒険者をめがけ、眩ゆいレーザー光が。
ソフィア「現世の質量は、反転する」
「マジックシールド!!」
跳ね返る、レーザー。
古代兵器はレーザーに貫かれる。
バシュン。 バチバチバチ。
カール「いまだ!!」
ソードとアックスを振り上げ、飛びかかる、カールとアラゴー。
ドゴーーーン!!
爆炎。
アラゴー「よし!」
ソフィア「やった!」
カール「よっしゃー!!」
爆風が通り抜けると、元の冷たい、鉄のフロアだ。
奥の扉が開く。
ソフィア「どうする?」
カール「行ってみよう!」
扉をくぐる、冒険者一行。
冷たい鉄のフロアを抜けると、一転して、明るい空中庭園へつく。
口空中庭園。
ドーム状の、ガラスの、空間になっている。
ガラス越しには、雲が、形を変えながら、風で流されている。
庭園に出てみると、どういう原理で出来ているのかわからない光景が。
綺麗な庭園には、所々に、顔の形をした岩が浮かんでいる。
顔の形をした岩は、中央を守るように、周りに、8機あり。
中央には、石造りの巨大な噴水がある。
ケツァル族
ビンズー族
ムバーハ族
ポックコ族
ドーバク族
マバーク族
ドマール族
ヤパベル族
カール「これって、旧人種じゃ?」
無音で浮いている、人面岩。
おそるおそる、人面岩の間の通路を通り、中央の噴水へと行く、冒険者一行。
ガラス越しの、雲。
雲は形を変えながら、すごい速度で流れていく。
中央噴水。
カール「ちょうど、喉が渇いていたんだ」
「この水、飲めるかな?」
手で、カップを作り、透明に透き通った、水をすする、カール。
カール「プハアー、うまい」
一息ついて、天井を見上げる、カール。
天井は、天空と一体となり、太陽をちょうど、雲が隠している。
雲から現れる、太陽。
すると、噴水の頂上付近で、何かが光る。
カール「?!」
「あ これって」
立って、伸びをして、右手をあげるカール。
噴水の太陽光で、輝く水の中に、手を入れる。
何かを取る。
カールたちの周りに、結界が張られる。
瞬間、白と黒に反転する、一帯。
カールが噴水から手に取ったものは。
手のひら台の、紺碧の、透き通った、オーブだ。
ソフィア「カール! これが、旅人の言っていた」
カール「オーブかも‥」
アラゴー「やったな!!」
ソフィア「それでは、帰りましょう」
「来た道は、インプットしているわ」
「とりあえず砂漠の塔の脱出から」
「MP回復するまで、下道を帰りましょう」
ソフィアは呪文を詠唱し始める。
ソフィアの周りに光の精霊が集まってくる。
風が吹いてくる。
ソフィアの髪が、風になびき、うねる。
呪文を詠唱する。ソフィア。
ソフィア「空間と時空の接点が交わる時、虚空は光となり、我らを導く」
光が冒険者一行に集まってくる。
ソフィア「テレポ!」
光は球体となり、冒険者を包み込む。
光の収束。
突風と共に、消える、冒険者たち。
口猫と陽炎
帰り道。
蜃気楼があった場所にある、都市。
陽炎の都市を通り、帰ることに。
口陽炎の都市。
沈黙の回廊。
綺麗に組んだ、石畳の、回廊。
靴底が石に当たる音と、吐く息しか聞こえない。
アーチを抜けると、乳白色をした、古びた、回廊が。
回廊には、ところどころに、2階へと続く、階段がある。
建物の陰影で、光と影をなしている。
美しい、建造物だ。
ところどころに、いる猫。
声をかけようとすると、消える。
路地裏まで、歩く、冒険者一行。
アーチをくぐると、また、同じ風景が続く。
カール「?」
眼前には、再び、乳白色をした、古びた、回廊が。
路地裏まで、歩く、冒険者一行。
アーチをくぐると、また、同じ風景が続く。
ソフィア「ループ?」
眼前には、再び、乳白色をした、古びた、回廊が。
路地裏まで、歩く、冒険者一行。
アーチをくぐると、また、同じ風景が続く。
カール「デジャビュ」
立ち止まる冒険者一行。
うっすらと流れる、汗を拭うように、風が吹く。
カール「迷ったな」
目の前をシャム猫が横切る。
ソフィア「?」
「ついて来て」
シャム猫の後をついていく冒険者一行。
回廊のループが終わる。
回廊を抜けると、誰かに見つめられているような気が。
黒猫?
「カール」
「カールくん」
振り向くカール。
そこには、路地があるだけで、誰もいない。
猫が一匹、退屈そうに、あくびをしている。
腰をあげ、路地の奥へ、歩いていく猫。
カール「ちょっと待って!」
黒猫「カール、付いてきて」
カール「君は誰? どうして僕の名を?!」
黒猫「カール、僕は、君を待っていた」
黒猫「スターオーブを持つものよ」
カール「!!」
黒猫「太陽に、スターオーブ、重なる時、大いなる力発動す」
「呪文はこうだ、ニャーニャカニャー。 コテッペドーシェンサ」
消える猫。
沈黙の回廊。
吐く息の音と、靴底が石に当たる音しか聞こえない。
回廊の、ところどころに、猫がいるが、音もなく消える。
沈黙のラビリンス。
ソフィア「カール、どうしたの?」
「熱でもあるんじゃ」
カール「コテッペ‥」
手を当てる、ソフィア。
「すごい熱」
「急いで、マヨイのゲットアウェイまで帰りましょう」
「もう、MP回復しているわ」
ソフィアは呪文を詠唱し始める。
ソフィアの周りに光の精霊が集まってくる。
風が吹いてくる。
ソフィアの髪が、風になびき、うねる。
呪文を詠唱する。ソフィア。
ソフィア「空間と時空の接点が交わる時、虚空は光となり、我らを導く」
光が冒険者一行に集まってくる。
ソフィア「テレポ!」
光は球体となり、冒険者を包み込む。
光の収束。
突風と共に、消える、冒険者たち。
数日の後、体調の回復する、カール。
ゲットアウェイには、デトゥースの、兵士達も来ている。
話になる、カール達。
飛行機乗り「なるほど、太陽の近くの光にかざせか」
飛行機乗り「その、光のオーブとやらを、見せてくれよ」
カール「くすねる気だろ?」
飛行機乗り「ハハハ、当たり」
飛行機乗り「わしが、飛行機で、太陽光を遮る、そのすきに、オーブを打ち上げたらどうだ?」
ソフィア「いいわね。私が、シルフの精霊を呼ぶわ」
カール「なるほどね」
ソフィア「フフフ」
飛行機乗り「ワハハ」
飛行機乗り「今度が、ラストミッションになったら、サイコーにハッピーなんだけどな」
兵士「その、ミッション、私たちもついて行っていいでしょうか?」
「この間の、砂漠の討伐ミッションで、1/4やられてしまいましたが、まだ、2個団体ほど、ジープが出せます」
ソフィア「頼もうかしら」
アラゴー「儲けは、折半になるな」
兵士「ランド=マヨイ建国からの再建の、野望がありまして」
「我が、ランド=マヨイ。デトゥース団体が8。冒険者の皆さんが2」
カール「2かあ~」
アラゴー「そんなもんじゃぞい」
ソフィア「どうする?」
「カールの、お金のつかい道は?」
カール「エスオゴの再建に使う」
ソフィア「具体的には?」
カール「ああ、家を買って、社会に紛れ、システムを作る」
アラゴー「ガハハ」
ソフィア「レトとちょっと違うわね」
「どこに、家を建てるかで違うけど」
「お金、いるかもよ」
カール「これまで、冒険して来て、情報がいかに大事か、考えさせられた」
「ゴードーとか、大都市では、ニューズペーパーなどある」
「エスオゴには、まだ、出版印刷など、ないんだ」
ソフィア「なるほどね」
兵士「確かに、お金が入りそうですね」
「貴重なお話を、聞かせて頂きました」
カール「じゃあ、取り分、3では?」
アラゴー「おおっ!!」
兵士「王に使いを出してみます」
かくして、王から、折り返し、密使がくる。
カール達、取り分、3。 ランド=マヨイ、取り分7となる。
果たして、カール達、冒険者一行。サンドウォーム討伐、どうなることやら。
口砂漠の番人
翌日。
熱した砂漠は、乾風が吹き。抜けるように暑い。
透ける空は、蒼海のグラデーションがかかり、反対にすると、落ちていくようだ。
手で太陽光を遮りながら、ソフィア。
ソフィア「いよいよ、決戦当日」
「今日も、暑いわね」
エンジンをかけ、止めている、ジープ群。
今にもヒートしそうな、ボディーは、熱したフライパンのようだ。
カール「これに、乗るの?」
「うわっ! 尻が焼ける!!」
砂漠を抜ける積乱雲。
白煙を上げ、走る、2個団体。
吹く風は、カラッと暑い。
首に麻のマフラーを巻きつける、カール。
「ヒャッハー。速いな!」
アラゴー「快適、快適!」
太陽光。
熱射の中、風が吹く。
揺らめく、陽炎。
前方。
陽炎の奥に、砂漠の都市が見える。
カール「待てよ、これってどこかで‥」
風が止まる。
沈黙の砂漠。
飛ぶ、カラス。
突然、砂漠に割れ目ができる。
前方のジープが悲鳴をあげる。
左右に分かれる、ジープ団体。
砂塵をあげて、巨大な物体が、砂中から、踊り出してくる。
兵士「サンドウォームだア~~!!!」
右に分かれた一隊を、追う、砂漠の巨大な王。
全速力で、逃げる、1隊。
左から、距離を置いて、追う、1隊。
2隊は、2手に分かれる。
走る、サンドウォームと、ジープ団体。
走ること2時間。
兵士「もうそろそろ、来るはずだ」
前方の空から、小さな点が飛んで来る。
レシプロ機だ。
レシプロ機は、サンドウォームの右上空をかすめるように飛ぶ。
飛行機乗り「今きたぜ! ヒャッホー!!!」
カール「来た!」
向きを変える、サンドウォーム。
ソフィア「行くわよ!」
ジープの上で立つ、ソフィア。
足を抱える、カール。
エルフの呪文。
ソフィア「内なる精霊。空の精霊と交わりし時、天のみかごにのって、現れるシルフよ。天を突き刺す、気流になりたまえ」
風が強くなり、空に無数のシルフが現れる。
気流となる、シルフ。
ソフィア「よし!」
矢先に、スターオーブを括り付けるソフィア。
呪文を唱えるカール。
カール「コテッペドーシェンサ」
オーブが輝き始める。
ソフィア「ワオ」
レシプロ機が太陽光を隠す。
矢を上空に放つ。
太陽が陰る。
宇宙。動く衛生。
矢は、するすると上へ伸びる。
外れる、レシプロ機。
差す太陽光。
光るオーブは砕け散る。
反転する白黒。
サンドウォームを包むように、全長、10kmの多角形の光の籠ができる。
止まる一帯。
一間を置いて、天空より槍が落ちる。
一瞬の沈黙の後、爆風。
カール「うわああああーーー」
ソフィア「キャアアアアーーー」
黒猫「カール」
「カールくん」
「大丈夫だよ」
気がつくと、粉々に砕け散った、サンドウォームの残骸と、無限の金塊が。
冒険者に、敬礼するジープ団体の兵士。
ソフィア「こんなにあったんだね」
アラゴー「風雪、700年か‥」
カール「砂漠に、雪は降らないけどね!」
ミッションクリア。
ボーナス。 小国を買えるほどの金塊の、3割。
キャスト
人間 カール=ザルツバーグ
エルフ ソフィア=ゴールドバーク
ドワーフ アラゴー=ルイス
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる