フォース=エセラー『ゾラ』

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衛士トロコ

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口衛士トロコ


キャスト
人間    カール=ザルツバーグ
エルフ   ソフィア=ゴールドバーク
ドワーフ  アラゴー=マブ=ライルデン




ある晴れた日の昼下がり。
ダデム大通り。
「えいっ」
「やー」
「とうっ」
「キャー、ナイフよ!」
「我こそは、ダデム1のパラディン、テトさまなるぞー」
子供が大通りで、ナイフで剣戟をしている。
駆けつける、青年。
青年、子供の前に、両手を広げ、立ちふさがる。
「ダメだー、テトくん、ナイフを渡しなさい~!」
「でたな、魔族め」
「てやーー」
尻餅をつく、青年。失禁する。
駆けつけてくる。女性。
「ちょっと待って」
「こういう時は、待つのが一番」
「てやーーー」
「とうっ」
時折、拍手を入れる女性。
しばらくすると、テトの母が駆けつけてくる。
「テトちゃん!」
ナイフを捨てると、母のもとにはしっていくテト。
「すみません、子供が悪さをして、どう謝ったらいいか」
「いいですよ、お母さん。謝るのなら、こちらの男性に言ってあげてください」
「いえ、ちょっと、びっくりしただけですから」
「失礼ですが、お名前は?」
「はい、僕は、トロコと言います」
「わたしは‥」
騎馬が駆けつけてくる。
「姫~」
「わたしの名はアシュリー」
馬にまたがる、プリンセス。
緊張の親子。
アシュリー「僕、カッコよかったぞ、無茶すんなよ」
去って行く、姫と騎士隊。



家に帰る、トロコ。
玄関で、友人とバッタリ出会う。
トロコ「うるさい、もう来るなよ」
友人「だっせ~、試験勉強か、今日は、ロッドセスで300Gだぜ!」
「お前、村長の娘と出来ているんだってな。少しやるから、プレゼントでも買いな!」
トロコ「いらない!」
ドアを閉める、トロコ。目には涙が。
トロコ心の声「なんで、先輩、あんなに、なっちゃったんだろう」
「僕の、心の希望だったのに」
部屋に帰るトロコ。
本の積まれた、机に戻り、勉強を再開する。




太陽は、正中線にかかる。お昼時。
「今日は、久々のショッピングね」
軽やかに歩く、エルフ。
路地を回ると、看板がある。
ドルフ宝石店。
「ここ、ここ、あれ?先客か」
宝石店の前に、綺麗な馬が数頭とめてある。
擬音「カラン、カラン」
ドアを開けるエルフ。
「こんにちは~」
「どうぞー、今接客中なので、ゆっくり見ていてくださいね」
「はいー」
店内の宝石棚を見て回るエルフ。
「綺麗なディスプレイ」
「これなんかが、良いかな?」
特大のエメラルドに目がいくエルフ。
「いいわね、それ!」
「あっ!!」
顔をあわせる、エルフとアシュリー。
「プリンセス」
「あ、この間の」
「ご機嫌麗しく、プリンセス」
「ハハ、敬語はよしてくれ」
「それにしても、このエメラルド、ちょっと高いな」
「私でも、予算が‥」
「私、購入できるんです」
「えっ?」
「この間、リケス侯爵と、ゲペリ男爵のミッションをこなしてお金が貯まっちゃった」
「あ、リケス様と、お知り合いか」
「はい」
「ゲペリ男爵は、お元気そうでしたか?」
「はい」
話のはずむ、プリンセスとエルフ。




白金の渚亭。
昼下がり。
のんびりとしている、ドワーフとカール。
マスターダッド「えっ、ダタ宝石店に強盗が?!」
ドワーフ「なんじゃと!」
「今日、エルフが買い物も、ダタ宝石店ではなかったかの?」
人間「たしか」
人間「ぶっそうだな」
ドワーフ「よし」
人間「OK! 行ってみよう!」


白亜の建物群を抜け、
足早にかけていく、ドワーフと、カール。
店の前まで行くと、馬が数頭とめてあるのが、目にはいる。
「強盗は、騎士か、なにかか?」
剣をかざす、カール
ドルフ宝石店に入る。
「頼もうー」
ドアを開けるドワーフ。
「キャー、強盗ー」
駆けつける、プリンセスとエルフ。
「あ、」
「?!」
剣を下ろす、カール。
「プリンセス、アシュリー」
事情を説明する、冒険者一行。
宝石商が言うには、ガセ噂はよくながれるらしい。
「すみません」
謝るカール。
「ソフィアから、話は聞いたわ」
「ミッション、よく頑張ったわね」
「?!」
打ち解ける、冒険者とプリンセス。
宝石商「はい、これは、値打ちものでして、リリーヤパベル産。560年度。400C
純度、トリプルSですね」
「しめて、70000G」
カール「!!」
宝石商「高価な宝石には、身につける人に、フォースを宿すのは、ご存知ですか?」
静かに、頷く、エルフとプリンセス。
「どう?」
宝石を首元にあてるエルフ。
「みちがえるように、綺麗よ、ソフィア」
「買えないけど、私もつけてみたいわ」
「綺麗ですよ、お姫様」
宝石商「前年度から、現金を宝石に代えておく、サービスも始めました」
「よろしかったら、どうですか?冒険者さん」
カール「!!」
プッと吹き出す、エルフとアシュリー。
「失礼でなければ、プリンセス=アシュリー」
「私たち、この街に滞在して、3ヶ月ほどになるのですが、他に見て回れる所がありますか?」
「そうね。歴史博物館など、どうかしら?」
ドワーフ「!!」
飛び上がるドワーフ。
「わしゃ、まえまえから行ってみたいと思っとたんじゃ」
クスリとわらう、プリンセス。
「ええ、それと、今年の秋の終わりに、ルクス城で、宮廷舞踏会を、晩餐会も兼ねて開くのですが、冒険者の皆さん」
「よろしかったら、どうですか?」
「ホントですか?」
「ありがとうございます。ぜひ」
「わしゃーお城での、舞踏会なぞ、生まれて初めていくぞぃ。腹がなるわい」
「何を着ていけば、いいんだろう?」
「タキシードで」
「タキシード?!」
エルフを見る、アシュリー。
招待状を冒険者に渡す、プリンセス。
姫に耳打ちする、近衛騎士。
「では、ちょっと用事が入りましたので、失礼」
姫と騎士隊。足早に去っていく。
「うむぅ~可憐な」
「では、歴史博物館は、明日にでも行ってみるとするか」
「OK!」



翌日。
秋空。
古城を抜け、川にかかった橋を通ると、歴史博物館がある。

「おっ、あったあった、ここじゃ」
「あれっ?閉まってるぞ」
門の横の立て札に、休館日とかいてある。
先に来ていた白服をパリッと着た青年。
「今日は、休館日ですね」
「休館日かぁ~」
「だれか~、おらんのか~!」
ドンドンと扉をたたく、ドワーフ。
「何を失礼な」「ここは、天下の歴史博物館ですよ」
「なんじゃい、おぬしは?」
「私は、トロコ。王国立衛士、試験を勉強しているものです」
「わしは、アラゴー=マブ=ライルデン、ドワーフの冒険者じゃ」
冒険者の、ズタボロの服を一瞥するトロコ。
「知を目指すもの、汚い身なりで、歴史博物館に来てもらいたくないですね」
「なんじゃ、青っちょろい。学生か‥」
「おぬし、何を勉強しとるんじゃ?」
「なんで、言わなければいけないのですか」
「は~ん。どうせ、受かりはせんじゃろ」
「良いですよ、ちょっとだけ、教えてあげましょう」
「今度の昇級問題はというと。他国が宇宙飛行ロケット復開発など、進めているなか、後進的な軍術で良いのか?イエスノー?」
「宇宙飛行ロケットの開発は良いと言うのか?ロケットは軍事から始まっていると思うか?」
「宇宙飛行ロケットは、経済からくるものか?」
ドワーフ「ロケット?!」
人間「ドゲッテ山近郊に、落ちていたアレ?」
トロコ「?」
続けて、矢継ぎ早に話すトロコ。
「他国が、空中都市の復活は無理だが、宇宙衛星を復活させようとの動きがある。」
トロコ「この問題は、門外不出の問題らしくて、絶対に秘密に、あっ!」
憲兵に肩をたたかれる、トロコ。
憲兵「トロコ、連行する」
恐怖にひきつる、トロコ。
トロコ「ぼくはやってない!」
がぶりふるトロコ。
トロコ「僕は、やってない。婚姻まえなんだ!」
ドワーフ「婚姻?!」
憲兵に、連れて行かれるトロコ。
ドワーフ「ありゃ、わしとしたことが」
カール「聞すぎちゃったね」
「どうする?」
ドワーフ「どうするもこうするも、どうも」
「わーー、ムシャクシャするぞぃ」
エルフ「連れて行かれた方角は、王城ね」
カール「王城か‥」






To  Be  Continued.






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