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町の用心棒(前編)
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口003町の用心棒 前編
馬車を走らせて、一行は行く。ソルメーヌから、ダデムまで4000キロ。
日にして20日間。かろうじて鋪装された道路をひた走る。
ときおり、ものすごいスピードで走りぬけている、ハイヤーの脇を走って。
国境線沿いの検問ゲートで通行パスをみせた。
ルート沿いのモーテルを抜けて、ひた走る。
ひさかたの眠りと休息を夢見て。
あこがれの町に近づくに連れ、行商人や、道化師、ペルキエロ、子連れの家族が増えていく。
巨大な城門を通ると、バルーンが見えてきた。そこは、夢見る冒険者の国、ダデム。
天空都市が落ちた跡が有名で、冒険者が闊歩する、冒険者達のための国だ。
通行人達は、薄麻色の、綿と麻を素材とした、質素な服にザイザル麻のバックパックといった風情をよく見かける。
露天商の、商人達は、橙色の着物地のプルパーカに緑色の帯。金の紋様が入ったという風情だ。
通りには、冒険者の好奇心をくすぐるだけの商品が並べられている。
通りからは、目に入るだけで、2、3件の宿屋がみえる。
町は活気にあふれている。
「さあて、ダデムに着いたぞ。何をするかな?」
露天商には、色とりどりの品物が、所狭しと並べられている。
ざっと見ただけでも。
ハーブ、スモークドラムチョップ、ポパイ、ビタミンリーフ、スモークドベアー、ボアーミート、吊るされたラム肉といった風情だ。
「うぅ、久々に舌がなるわい」
人間も、露天商に目をとおす。
サーベル、シミター、バックラー、カイトシールド、刀類。
衣服、碧青の衣服、紅の衣服。銀のターバン。
「予算にあうかな」
エルフも立ち止まって物色している。
食器類、ソーサー、ナイフ、フォーク、スクロール、サークレット、アミュレット、銀細工などだ。
「いいわね」
チケットマンがドワーフと話している。
ドワーフが皆に声をかけてくる。
「わしゃー腹がへった。宿屋で一杯。たらふく食べよう」
「ええ、うちの店は料理が美味しいので、評判ですから」
「え、どんな宿屋?」
マスター曰く、白銀の渚亭というらしい
一晩、1000Gらしい
「ええーーっ!」
「高そうね」
「とほほ、予算あうかな」
朱夏のギラギラと照りつける太陽のもと、先導され、あるく3人。
立ちくらみしそうな、陽光のもと。
動くのど仏。
人間「のどが乾いたぁ」
路地という路地を、しばらく、歩く三人
突風が吹く。
白亜の建物群。
蒼天の、白き大通りにでる。
人通りがある。大きな建物が立ち並ぶ中、脇に、祖末な建物が。
建物は、3階建ての祖末な木造建築で、白銀の渚亭と大きな看板が出ている。
「ええーーっここが!」
どこからともなく、食事の美味しいにおいが流れてくる。
「ふむぅー、思ったより、頼りない建物だな、まあ、入ってみるか」
3人は、バンガードアをくぐっていく。
日中と言うのに、薄暗い店内は、スモークをたいたように、タバコの煙が満ちている。
客は大勢いるようだ。
技能(聞き耳)
人間「マスター、聞き耳の技能使います」
人間は聞き耳をたてる。ロール成功。
すると、「広大な土地に根が張って、固くて、つるはしでも歯がたたねえ」「果樹も、2年どまりだなァ」と聞こえてくる。
ファーマーかな?
カウンターのドアが開く。
カラン、カランと、錆びた音と、ともに、威勢のよい声がかかってくる。
「よお、いらっしゃい!」
声の主を見ると、体長2m20。アフロソバージュをまとめた鬼のような巨漢だ。
笑うと、歯はまぶしい。
「おれの名前はダッド。この店のマスターだ。通り名は、マスターダッドで通っている。以後おみしりおきを」
「うーん。そんなことより、飯じゃ、飯にしよう」
「了解!」
「ひとまず、席に」
料理長が顔をだす。
「今晩のメニューは、ローストポーク、クネドーリキ、ザウアークラウトとブロデット、グヤージュとワインになります。
「なんだ、ポークの匂いか、そんな素朴な、上品なのしかないのか」
「もっとアレ、露商に売っている肉」
「はい、お好みにあえば、調理しますが」
「もう、しんぼうたまらん、でていく!」
バンガードアを突き破ってでていくドワーフ。
呆れてみている二人。
静かになる、レストルーム。
あたりを見回してみる人間。
冒険者に見受けられる、人々は、タバコを吹かしながら厳かに食事をとっている。一部にファーマーらしい、一団もみうけられる。
角に宝玉をテーブルにおいた、ひときわ異様な人物がフードを目深にかぶり人物と体面している。
「あっ!情報屋だ」
「ホント」
「小銭あったかな?」
ガセもありますが、ほんとにいいんですかね、ヒヒヒ。
今日、仕入れている新鮮な情報は10。
一回20Gで、盤石棒をひいてくだされ。
懐具合は大丈夫だな。
「よし、やってみよう」
「&$#&(ウジュラ)と、はい、2」
唾を飲み込む、人間。
「羊の値段が、現在、高騰している」
「?!」
「ふぅー。もう一回」
「&$#&と、はい、○」
「マスターダッドの持ち馬、スターソルジャーはよく勝つらしい」
メモを取る、人間。
「なになに、スターソルジャー!? 競馬じゃん」
「今度は、どうかな?」
「はいな、ヒヒヒ。&$#&とはい、+」
「デビルズヒル=ヤパベルのドゲッテ山に、落ちたロケットの跡があるという噂が」
「なになに、ヤパベル。ドゲッテ」
メモを取る、人間。
エルフ
「じゃあ、わたしが」
「&$#&と、はい、△」
「ルクス王が、近々、各国から貴賓席の方を招き、舞踏会を催すもよう」
「まあまあね」
「じゃあ、もう一回」
「&$#&と、はい、口」
「いいのを、お引きになったね。はい。これは、この白金の渚亭に集まる冒険者からよく耳にすることなんじゃが。」
唾を飲み込む人間とエルフ。
「世界に変動の予兆がきている。各地で、鉱泉の噴出や、火山活動、地震などが奮発している」
「ええーーガセだぁー」
「ウヒヒヒヒッ」
勢いよく、バンガードアが開く。
「帰ってきたぞい」
たくさんの肉を抱えて帰って来たドワーフ。
机の上のドサリ、ドサリと肉を置く。
スモークドラムチョップ。吊るされたラム肉。スモークドベアー。ボアーミートといった風情だ。
「こんなに、たくさん」
「わしが、一人で、ひとりで食べるんじゃい」
笑う、二人。
料理長「良いお買い物を。さっそく調理しましょう!」
歌とおどり、楽しいゆうげは過ぎて行く。
冒険者は、しばしの憩いで、その疲れを癒す。
次の日。
ひさかたの眠りを、心地よいベッドでとる、冒険者。
昼過ぎだ。
服を着替えて、階段を下りる冒険者。
レストルームまで下りると、バンガードアを突き破って、ホテルマンが入って来る。
「白樺亭が、強盗に襲われたぁー」
皿を拭きかけていた、マスターダットは、カウンターからでてくる。
「なんだとぅ! あいにく、今は手がはなせねえし、あそこは顔色悪いし。そうだ、冒険者の皆さん、うちの連中とみてきてくれねえか?」
「お代はチャラにするよ」
顔を見合わす冒険者。
「俺たちで?!」
白樺亭は漆喰コンクリート7階建ての、豪奢な建物だ。
ロッドセスからの献金もあり、土建屋組合の会合の場所にも使われている。
作ってもらった、サンドイッチを食べながら、行く冒険者。
通りから大通りに出ると、街路樹の白樺が見えてくる。
「ここか!」
白金の渚亭とは、作りから違い、健常豪奢な建物だ。
海は近くないが、南からの、カラッとした寒風が吹くあんばいだ。
「ここも、同じ、ホテル!?」
建物にはロープが張られている。
早速入ってみる、冒険者。
大きな玄関入ってみると、エントランスのレジの脇に大きな金庫が。
金庫は、開け放たれている。
金額、金貨にして20000ゴールド。
「なんだ、それっぽっちか」
「4ミッションね」
ホテルマンと話している、店の領主らしき人物。
「冒険者の皆さん、ご足労、ありがとうございます。店のあるじ、レスモ=ロッソと申します」
「これから、国の憲兵に、事情を伝えにいかなければ、なりません」
「私が帰ってくるまで、店番を手伝っておいてくれませんか?」
ドワーフ「わしらが?!」
エルフ「レジなら出来るわ!」
人間「えーー!?」
人間「えー、いらっしゃいませー」
エプロンをして、接客している人間。
次々にやって来るお客さん。
ホテルマンとして切り盛りする冒険者。
延々と同じ作業が続く。
夜食を食べて、また同じ作業は続く。
レジを売っている人間。やり慣れてない仕事の過労で、うつらうつらと睡魔が襲ってくる。
閉店間際に、こものようなお客さんが大勢詰めかけて来る。
人間「競馬かな?」
ぶつかってくるお客さん。
「すみませんがー、もう閉店でー」
入り口の扉を閉める、ホテルマン。
「マスター、帰ってこないな。先にレジを閉めるか」
深夜過ぎ、レジのお金を清算しているホテルマン。
「お金が足りない!!」
にらまれる、冒険者。
人間「あーーっ」
ホテルマン「どうしたんだ!」
人間「お客さんが、ぶつかってきた時、すられたかも」
ホテルマン「そらみてみろ」
人間「ちょっくら、犯人をさがしてきまーす」
蒼穹の天月。
走る冒険者達。
静寂の中、足音がこだまするようだ。
しばらくすると、路地に向かう大通りから、声が聞こえてくる。
「すまねえ」
体躯のよい、2人連れと子供。「これで、全部か?」
子供「はやく、いきな」
「へい、ありがとうごぜいます」
走り去る、こものような老人。
「こらっ!窃盗犯!」
「窃盗犯を、どうして逃すんだ!」
「わわっ。ちがうんだ、金ならここふぁ」
問いつめる冒険者。
体躯のよい、二人は、衛士で、ドトとボノという。
ちいさい子供はドトのお子さんで、テトと言う。
ドトとボノの言うには、犯人は農業従事者で、この地方では、よくあることだと言う。
「このことは、言わないでくれ」という、ドト。
テトが得意満面に話だす。
テト「白金の渚亭にいるのは、農業自給自足率の団体。通称ジャック。
農業の自給自足は、古くからある、紙幣の流通量と関係があるんだ。
隣国のゴードーでは、国策としての、農業があるから、紙幣の流通量は、世界一になっているんだ。
僕たちの国、ダデムでは、農業は遅れていて、観光業と博打産業に、国の税収をたよっているんだ」
ドワーフ「なるほど、では、いま言うと、白樺亭に、白金の渚亭がつぶされてしまうとか?!」
人間「?」
テト「うん、平たく言うと、そうなんだ」
ドワーフ「たしかに、美味しいミートを焼いてくれる店がつぶれるのは、おしいな」
ドワーフ「あい、わかった。この事は他言しないようにしよう」
人間「ハハハ」
明け方、白樺亭に帰ってくる一行。
「お金は取り返したが、あいにく、犯人は取り逃がしてしまった」と言う、衛士二人とひとり。
首をふる、冒険者。
レスモ=ロッソ「お金が帰ってきたのなら、よしとしよう。それより、ドトとボノ君。約束の期日が近づいてきているよ」
がぶりふる二人。
その様子をきょとんと見ている冒険者。
頭を、下げに下げている、衛士二人。
「はなしが違うじゃないか!」
「借金がわりに、子供は預かっていくよ」
泣きじゃくるテトを連れて行く、レスモ=ロッソと憲兵達。
「ええ? なになに? どうしたの? 借金が20000Gもあるの?」
「どうして、そんな額に?」
「はい、子供もでき、国の昇級試験に受かろうと、躍起になって情報を集めていたら、思ったよりお金がかかって」
「挙句に、博打に手を出し」
「それで?」
「はい、10日内に、借金を返さないと、死刑になるとか」
「ええーー死刑!?」
「あんまりだ、かわいそうすぎる」
「んっ?助けるのか?」
頷く人間。
「給料3ヶ月分」
「トホホ、しゃーないや」
「ええ?!冒険者の皆さん、助けてくれるんですか?」
「その代わり、このダデムでの情報を僕たちにください」
「はい」
「情報を、探ってみてわかったんですが、各、冒険者の宿にいる情報屋は、日を開けて、当たると、良い情報を教えてくれるんです」
「なるほど。あと各、冒険者の宿は?」
「主要な冒険者の宿で6件」
「白金の渚亭と、白樺亭は最もポピュラーな二件」
「なるほど、僕たもさっきまで情報を当たってみてたんですよ」
メモを取り出す、冒険者。
「お金になりそうな、情報は、3件」
「マスターダットの、持ち馬が強い。あと、ヤパベルにロケットが落ちたあとがあるとか」
「それはちょっと‥」
「羊の値段が高騰している」
「プッ」
「じゃあ、私のは?」
「なになに?」
「ルクス王が、近々、舞踏会を開くとか」
「?」
「だって、呼ばれる人、お金持ちでしょ」
「ああ~ー」
「私が、仕入れた情報では、オークダンジョンに、宝が眠るとか」
「なんだ、いい情報を仕入れているじゃん」
「はい」
「行ってみようかと思うのですが、果たして10日でクリアできるかどうか?」
「他には?」
「はい、白樺亭で手に入れた情報なのですが」
「落ちた都市など、壁面に、よく古代語で文字が書かれているとか」
「うーん」
「もうちょっと、良い情報に当たってみよう」
「はい」
「マスター、一日情報に当たる日に当てます」
「了解」
「残り、9日か」
今度は、白樺亭で情報に当たる冒険者たち。
「うちは、高いですぜ。1情報あたり、40G」
「白金の渚亭の、2倍だね」
「確かに、高いな」
「とりあえず、200G」
「5件の情報で、よろしいですね」
「うん」
ロールを降る情報屋。
「まず、一つ目」
「ルクス王、各国の貴賓席の方を招いて舞踏会を開催する」
「あーー被った」
「よろしいですかな」
「うん」
「二つ目」
「年に一度の舞踏会には、エージェントもくるらしい」
「エージェント」
「三つ目」
「騎士の家系ほど、正教会に入っている」
「? ふーん」
「四つ目」
「死んだはずのワット王を見たというものが」
「ふむふむ」
「五つ目」
「レールが、過去の戦争の発端らしいのだが、各国で、再びレールを復活させようとの動きが」
「なんだか、お金になりそうな、情報がないや」
「そうでも、ないかもよ」
「うーん、どうするかなぁ」
「とりあえず、聞いてみる」
「舞踏会は、いつ開かれるんですか?」
「はい、秋の終わり、11月です」
「これは、無理」
「残念」
「あと、ロケット跡と、オークの遺跡か」
「そのことを、レスモ=ロッソに言って見てはどうだろう」
「なるほど」
「オークの遺跡の方は、あからさまに財宝と言ってるしなあ」
「でも、財宝ミッションでは、お金が足りないかもね」
「確かに」
「じゃあ、2手に分かれるとか」
「いやあ、お前さんの腕では無理じゃろう」
「ハハハ」
「じゃあ、オークダンジョン」
「あい、わかった」
「OK」
「あとは、レスモ=ロッソに、借金がわりにオークダンジョンに行くと、言っておく」
「OK」
一波乱も、ふた波乱もありそうな展開に、要償をえて行く冒険者。
果たして、どうなることやら。
つづく
農業自給率 一団
農業自給自足率の団体。古くからの取り決めである。紙幣の流通量と関係がある。
紙幣の国。ゴードーでは、国策としての農業があり、栄えている。
冒険者の国、ダデムでは、農業が遅れており、博打産業にたよっている。
敵対する同じ宿屋組合の、白樺亭。
漆喰コンクリの7階建ての豪奢な建物だ。ロッドセスから献金がある、土建屋組合のアジトだ。
白金の渚亭が、町の景観をみだしていると、立ち退きを求めている。
馬車を走らせて、一行は行く。ソルメーヌから、ダデムまで4000キロ。
日にして20日間。かろうじて鋪装された道路をひた走る。
ときおり、ものすごいスピードで走りぬけている、ハイヤーの脇を走って。
国境線沿いの検問ゲートで通行パスをみせた。
ルート沿いのモーテルを抜けて、ひた走る。
ひさかたの眠りと休息を夢見て。
あこがれの町に近づくに連れ、行商人や、道化師、ペルキエロ、子連れの家族が増えていく。
巨大な城門を通ると、バルーンが見えてきた。そこは、夢見る冒険者の国、ダデム。
天空都市が落ちた跡が有名で、冒険者が闊歩する、冒険者達のための国だ。
通行人達は、薄麻色の、綿と麻を素材とした、質素な服にザイザル麻のバックパックといった風情をよく見かける。
露天商の、商人達は、橙色の着物地のプルパーカに緑色の帯。金の紋様が入ったという風情だ。
通りには、冒険者の好奇心をくすぐるだけの商品が並べられている。
通りからは、目に入るだけで、2、3件の宿屋がみえる。
町は活気にあふれている。
「さあて、ダデムに着いたぞ。何をするかな?」
露天商には、色とりどりの品物が、所狭しと並べられている。
ざっと見ただけでも。
ハーブ、スモークドラムチョップ、ポパイ、ビタミンリーフ、スモークドベアー、ボアーミート、吊るされたラム肉といった風情だ。
「うぅ、久々に舌がなるわい」
人間も、露天商に目をとおす。
サーベル、シミター、バックラー、カイトシールド、刀類。
衣服、碧青の衣服、紅の衣服。銀のターバン。
「予算にあうかな」
エルフも立ち止まって物色している。
食器類、ソーサー、ナイフ、フォーク、スクロール、サークレット、アミュレット、銀細工などだ。
「いいわね」
チケットマンがドワーフと話している。
ドワーフが皆に声をかけてくる。
「わしゃー腹がへった。宿屋で一杯。たらふく食べよう」
「ええ、うちの店は料理が美味しいので、評判ですから」
「え、どんな宿屋?」
マスター曰く、白銀の渚亭というらしい
一晩、1000Gらしい
「ええーーっ!」
「高そうね」
「とほほ、予算あうかな」
朱夏のギラギラと照りつける太陽のもと、先導され、あるく3人。
立ちくらみしそうな、陽光のもと。
動くのど仏。
人間「のどが乾いたぁ」
路地という路地を、しばらく、歩く三人
突風が吹く。
白亜の建物群。
蒼天の、白き大通りにでる。
人通りがある。大きな建物が立ち並ぶ中、脇に、祖末な建物が。
建物は、3階建ての祖末な木造建築で、白銀の渚亭と大きな看板が出ている。
「ええーーっここが!」
どこからともなく、食事の美味しいにおいが流れてくる。
「ふむぅー、思ったより、頼りない建物だな、まあ、入ってみるか」
3人は、バンガードアをくぐっていく。
日中と言うのに、薄暗い店内は、スモークをたいたように、タバコの煙が満ちている。
客は大勢いるようだ。
技能(聞き耳)
人間「マスター、聞き耳の技能使います」
人間は聞き耳をたてる。ロール成功。
すると、「広大な土地に根が張って、固くて、つるはしでも歯がたたねえ」「果樹も、2年どまりだなァ」と聞こえてくる。
ファーマーかな?
カウンターのドアが開く。
カラン、カランと、錆びた音と、ともに、威勢のよい声がかかってくる。
「よお、いらっしゃい!」
声の主を見ると、体長2m20。アフロソバージュをまとめた鬼のような巨漢だ。
笑うと、歯はまぶしい。
「おれの名前はダッド。この店のマスターだ。通り名は、マスターダッドで通っている。以後おみしりおきを」
「うーん。そんなことより、飯じゃ、飯にしよう」
「了解!」
「ひとまず、席に」
料理長が顔をだす。
「今晩のメニューは、ローストポーク、クネドーリキ、ザウアークラウトとブロデット、グヤージュとワインになります。
「なんだ、ポークの匂いか、そんな素朴な、上品なのしかないのか」
「もっとアレ、露商に売っている肉」
「はい、お好みにあえば、調理しますが」
「もう、しんぼうたまらん、でていく!」
バンガードアを突き破ってでていくドワーフ。
呆れてみている二人。
静かになる、レストルーム。
あたりを見回してみる人間。
冒険者に見受けられる、人々は、タバコを吹かしながら厳かに食事をとっている。一部にファーマーらしい、一団もみうけられる。
角に宝玉をテーブルにおいた、ひときわ異様な人物がフードを目深にかぶり人物と体面している。
「あっ!情報屋だ」
「ホント」
「小銭あったかな?」
ガセもありますが、ほんとにいいんですかね、ヒヒヒ。
今日、仕入れている新鮮な情報は10。
一回20Gで、盤石棒をひいてくだされ。
懐具合は大丈夫だな。
「よし、やってみよう」
「&$#&(ウジュラ)と、はい、2」
唾を飲み込む、人間。
「羊の値段が、現在、高騰している」
「?!」
「ふぅー。もう一回」
「&$#&と、はい、○」
「マスターダッドの持ち馬、スターソルジャーはよく勝つらしい」
メモを取る、人間。
「なになに、スターソルジャー!? 競馬じゃん」
「今度は、どうかな?」
「はいな、ヒヒヒ。&$#&とはい、+」
「デビルズヒル=ヤパベルのドゲッテ山に、落ちたロケットの跡があるという噂が」
「なになに、ヤパベル。ドゲッテ」
メモを取る、人間。
エルフ
「じゃあ、わたしが」
「&$#&と、はい、△」
「ルクス王が、近々、各国から貴賓席の方を招き、舞踏会を催すもよう」
「まあまあね」
「じゃあ、もう一回」
「&$#&と、はい、口」
「いいのを、お引きになったね。はい。これは、この白金の渚亭に集まる冒険者からよく耳にすることなんじゃが。」
唾を飲み込む人間とエルフ。
「世界に変動の予兆がきている。各地で、鉱泉の噴出や、火山活動、地震などが奮発している」
「ええーーガセだぁー」
「ウヒヒヒヒッ」
勢いよく、バンガードアが開く。
「帰ってきたぞい」
たくさんの肉を抱えて帰って来たドワーフ。
机の上のドサリ、ドサリと肉を置く。
スモークドラムチョップ。吊るされたラム肉。スモークドベアー。ボアーミートといった風情だ。
「こんなに、たくさん」
「わしが、一人で、ひとりで食べるんじゃい」
笑う、二人。
料理長「良いお買い物を。さっそく調理しましょう!」
歌とおどり、楽しいゆうげは過ぎて行く。
冒険者は、しばしの憩いで、その疲れを癒す。
次の日。
ひさかたの眠りを、心地よいベッドでとる、冒険者。
昼過ぎだ。
服を着替えて、階段を下りる冒険者。
レストルームまで下りると、バンガードアを突き破って、ホテルマンが入って来る。
「白樺亭が、強盗に襲われたぁー」
皿を拭きかけていた、マスターダットは、カウンターからでてくる。
「なんだとぅ! あいにく、今は手がはなせねえし、あそこは顔色悪いし。そうだ、冒険者の皆さん、うちの連中とみてきてくれねえか?」
「お代はチャラにするよ」
顔を見合わす冒険者。
「俺たちで?!」
白樺亭は漆喰コンクリート7階建ての、豪奢な建物だ。
ロッドセスからの献金もあり、土建屋組合の会合の場所にも使われている。
作ってもらった、サンドイッチを食べながら、行く冒険者。
通りから大通りに出ると、街路樹の白樺が見えてくる。
「ここか!」
白金の渚亭とは、作りから違い、健常豪奢な建物だ。
海は近くないが、南からの、カラッとした寒風が吹くあんばいだ。
「ここも、同じ、ホテル!?」
建物にはロープが張られている。
早速入ってみる、冒険者。
大きな玄関入ってみると、エントランスのレジの脇に大きな金庫が。
金庫は、開け放たれている。
金額、金貨にして20000ゴールド。
「なんだ、それっぽっちか」
「4ミッションね」
ホテルマンと話している、店の領主らしき人物。
「冒険者の皆さん、ご足労、ありがとうございます。店のあるじ、レスモ=ロッソと申します」
「これから、国の憲兵に、事情を伝えにいかなければ、なりません」
「私が帰ってくるまで、店番を手伝っておいてくれませんか?」
ドワーフ「わしらが?!」
エルフ「レジなら出来るわ!」
人間「えーー!?」
人間「えー、いらっしゃいませー」
エプロンをして、接客している人間。
次々にやって来るお客さん。
ホテルマンとして切り盛りする冒険者。
延々と同じ作業が続く。
夜食を食べて、また同じ作業は続く。
レジを売っている人間。やり慣れてない仕事の過労で、うつらうつらと睡魔が襲ってくる。
閉店間際に、こものようなお客さんが大勢詰めかけて来る。
人間「競馬かな?」
ぶつかってくるお客さん。
「すみませんがー、もう閉店でー」
入り口の扉を閉める、ホテルマン。
「マスター、帰ってこないな。先にレジを閉めるか」
深夜過ぎ、レジのお金を清算しているホテルマン。
「お金が足りない!!」
にらまれる、冒険者。
人間「あーーっ」
ホテルマン「どうしたんだ!」
人間「お客さんが、ぶつかってきた時、すられたかも」
ホテルマン「そらみてみろ」
人間「ちょっくら、犯人をさがしてきまーす」
蒼穹の天月。
走る冒険者達。
静寂の中、足音がこだまするようだ。
しばらくすると、路地に向かう大通りから、声が聞こえてくる。
「すまねえ」
体躯のよい、2人連れと子供。「これで、全部か?」
子供「はやく、いきな」
「へい、ありがとうごぜいます」
走り去る、こものような老人。
「こらっ!窃盗犯!」
「窃盗犯を、どうして逃すんだ!」
「わわっ。ちがうんだ、金ならここふぁ」
問いつめる冒険者。
体躯のよい、二人は、衛士で、ドトとボノという。
ちいさい子供はドトのお子さんで、テトと言う。
ドトとボノの言うには、犯人は農業従事者で、この地方では、よくあることだと言う。
「このことは、言わないでくれ」という、ドト。
テトが得意満面に話だす。
テト「白金の渚亭にいるのは、農業自給自足率の団体。通称ジャック。
農業の自給自足は、古くからある、紙幣の流通量と関係があるんだ。
隣国のゴードーでは、国策としての、農業があるから、紙幣の流通量は、世界一になっているんだ。
僕たちの国、ダデムでは、農業は遅れていて、観光業と博打産業に、国の税収をたよっているんだ」
ドワーフ「なるほど、では、いま言うと、白樺亭に、白金の渚亭がつぶされてしまうとか?!」
人間「?」
テト「うん、平たく言うと、そうなんだ」
ドワーフ「たしかに、美味しいミートを焼いてくれる店がつぶれるのは、おしいな」
ドワーフ「あい、わかった。この事は他言しないようにしよう」
人間「ハハハ」
明け方、白樺亭に帰ってくる一行。
「お金は取り返したが、あいにく、犯人は取り逃がしてしまった」と言う、衛士二人とひとり。
首をふる、冒険者。
レスモ=ロッソ「お金が帰ってきたのなら、よしとしよう。それより、ドトとボノ君。約束の期日が近づいてきているよ」
がぶりふる二人。
その様子をきょとんと見ている冒険者。
頭を、下げに下げている、衛士二人。
「はなしが違うじゃないか!」
「借金がわりに、子供は預かっていくよ」
泣きじゃくるテトを連れて行く、レスモ=ロッソと憲兵達。
「ええ? なになに? どうしたの? 借金が20000Gもあるの?」
「どうして、そんな額に?」
「はい、子供もでき、国の昇級試験に受かろうと、躍起になって情報を集めていたら、思ったよりお金がかかって」
「挙句に、博打に手を出し」
「それで?」
「はい、10日内に、借金を返さないと、死刑になるとか」
「ええーー死刑!?」
「あんまりだ、かわいそうすぎる」
「んっ?助けるのか?」
頷く人間。
「給料3ヶ月分」
「トホホ、しゃーないや」
「ええ?!冒険者の皆さん、助けてくれるんですか?」
「その代わり、このダデムでの情報を僕たちにください」
「はい」
「情報を、探ってみてわかったんですが、各、冒険者の宿にいる情報屋は、日を開けて、当たると、良い情報を教えてくれるんです」
「なるほど。あと各、冒険者の宿は?」
「主要な冒険者の宿で6件」
「白金の渚亭と、白樺亭は最もポピュラーな二件」
「なるほど、僕たもさっきまで情報を当たってみてたんですよ」
メモを取り出す、冒険者。
「お金になりそうな、情報は、3件」
「マスターダットの、持ち馬が強い。あと、ヤパベルにロケットが落ちたあとがあるとか」
「それはちょっと‥」
「羊の値段が高騰している」
「プッ」
「じゃあ、私のは?」
「なになに?」
「ルクス王が、近々、舞踏会を開くとか」
「?」
「だって、呼ばれる人、お金持ちでしょ」
「ああ~ー」
「私が、仕入れた情報では、オークダンジョンに、宝が眠るとか」
「なんだ、いい情報を仕入れているじゃん」
「はい」
「行ってみようかと思うのですが、果たして10日でクリアできるかどうか?」
「他には?」
「はい、白樺亭で手に入れた情報なのですが」
「落ちた都市など、壁面に、よく古代語で文字が書かれているとか」
「うーん」
「もうちょっと、良い情報に当たってみよう」
「はい」
「マスター、一日情報に当たる日に当てます」
「了解」
「残り、9日か」
今度は、白樺亭で情報に当たる冒険者たち。
「うちは、高いですぜ。1情報あたり、40G」
「白金の渚亭の、2倍だね」
「確かに、高いな」
「とりあえず、200G」
「5件の情報で、よろしいですね」
「うん」
ロールを降る情報屋。
「まず、一つ目」
「ルクス王、各国の貴賓席の方を招いて舞踏会を開催する」
「あーー被った」
「よろしいですかな」
「うん」
「二つ目」
「年に一度の舞踏会には、エージェントもくるらしい」
「エージェント」
「三つ目」
「騎士の家系ほど、正教会に入っている」
「? ふーん」
「四つ目」
「死んだはずのワット王を見たというものが」
「ふむふむ」
「五つ目」
「レールが、過去の戦争の発端らしいのだが、各国で、再びレールを復活させようとの動きが」
「なんだか、お金になりそうな、情報がないや」
「そうでも、ないかもよ」
「うーん、どうするかなぁ」
「とりあえず、聞いてみる」
「舞踏会は、いつ開かれるんですか?」
「はい、秋の終わり、11月です」
「これは、無理」
「残念」
「あと、ロケット跡と、オークの遺跡か」
「そのことを、レスモ=ロッソに言って見てはどうだろう」
「なるほど」
「オークの遺跡の方は、あからさまに財宝と言ってるしなあ」
「でも、財宝ミッションでは、お金が足りないかもね」
「確かに」
「じゃあ、2手に分かれるとか」
「いやあ、お前さんの腕では無理じゃろう」
「ハハハ」
「じゃあ、オークダンジョン」
「あい、わかった」
「OK」
「あとは、レスモ=ロッソに、借金がわりにオークダンジョンに行くと、言っておく」
「OK」
一波乱も、ふた波乱もありそうな展開に、要償をえて行く冒険者。
果たして、どうなることやら。
つづく
農業自給率 一団
農業自給自足率の団体。古くからの取り決めである。紙幣の流通量と関係がある。
紙幣の国。ゴードーでは、国策としての農業があり、栄えている。
冒険者の国、ダデムでは、農業が遅れており、博打産業にたよっている。
敵対する同じ宿屋組合の、白樺亭。
漆喰コンクリの7階建ての豪奢な建物だ。ロッドセスから献金がある、土建屋組合のアジトだ。
白金の渚亭が、町の景観をみだしていると、立ち退きを求めている。
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