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後日談
※ 何度も否定した想い
しおりを挟む「愛してる、愛してるよ、アレクシア……」
「あっあぁあっ、もうっ、もうだめっ……!」
体勢を変えられて、私はなおも性的にエリオンから攻め立てられる。シーツの上に両手のひらと膝をつき、お尻をぐっと突き出した格好で、後ろから剛直をぐちゅりと差し込まれた。心地よい圧迫感に歓喜の悲鳴が漏れ、背中がのけぞる。私に愛を囁くエリオンの声はどこまでも甘く切ないのに、行為はまるで野にいる獣のように激しい。彼が動くたびに粘着のある水音と、肌と肌とが打ちつけあう、ぱんっぱんっという乾いた音が寝室に響いた。剥き出しの潤んだ粘膜内を、熱くて硬い剛直で力強く擦られるだけでも堪らないのに、エリオンは私の股の間へ腕を回すと、下生えをかきわけて勃起した淫芽を指先で軽く摘んだ。
「ひあぁっ!」
「うぅっ、締まる……!」
ぷっくり紅く腫れているであろう淫芽に触れられて、私は堪えきれず、下腹におさまったままのエリオンの雄を搾るように締めつけてしまった。彼は小さく呻き声を出すと腰をぶるりと震わせて、また私のなかへと白い昂りを吐き出す。断続的に叩きつけられるような熱い飛沫に、私まで達しそうになった。
「アレクシア、好きだ……」
二回連続で私のなかへ欲を吐き出し、少し柔らかくなった自身を引き抜くと、エリオンはシーツの上に倒れこんだ私に覆いかぶさってきた。汗で黒髪を少し濡らした彼はひどく妖艶だった。うわ言のように好意の言葉を口にする。好きだと言われるたびに胸の奥が締め付けられた。
「んうっ」
こちらは息もたえだえ、疲労困憊なのに、エリオンはまだ足りないと言わんばかりに私の唇に唇を押し当てると、舌をねっとり絡めとり、啜りあげようとした。お互いの舌同士が擦れあうたびに甘い痺れが走り、頭がくらくらする。さっきも思ったが、何故か今、唾液の味がひどく美味しく感じる。鼻腔をくすぐる、ふわりと香るグリーン系の香水が混じった彼の匂いも、高めの体温も、湿った肌の感触も何もかもが愛しい。私の身体を軽々とあつかう、力強さも。心の奥深くからふつふつと湧き上がってくる感情に突き動かされ、気がついたら私もエリオンと同じような言葉を、また口にしていた。
「っ……私も好き……! 愛してます」
かつては何度も否定した想い。エリオンの私への態度や行動は本当に酷いものだった。和解してからもなかなか素直になれず、私はずっと苦しかった。今、彼に好きだと言うたびに心がすっと軽くなっている。不思議だ。あれほど認めたくないと思った感情だったのに。口にしてみればなんて事なかった。
「何度聞いても夢みたいだ」
「夢だったら困りますよ」
「……そうだな。俺にこれが現実だと教えてくれ」
私の額にはりついた、髪をよける手つきが優しい。嬉しげに細められる翡翠の瞳は慈愛に満ちているのに、与えられる快楽は暴力的なまでに激しい。
「あうっ、あっ、だめ、もうっっ……」
両脚を足先が天井へ向くように持ち上げられ、そのままの体勢でまた、勃ちあがった剛直をねじ込まれた。脚を閉じられているからか、隘路がより狭まり、彼の雄の感触がはっきり伝わってくる。ビクビクと波打っていて熱い。
腰を打ち付けながら、エリオンは私の踵に恭しく舌を這わせる。やめさせなきゃと頭では思うが、気持ちが良すぎて止めたくないという気持ちが遥かに優ってしまう。私の足指を咥えこみ、指の股ひとつひとつに丁寧に舌先を潜り込ませるエリオンはひどく扇情的で、私はまた大きく背中を反らせてしまった。
「ぁっ、あぁぁ~~…………っ‼︎」
胸をはずませ、生理的な涙で濡れた目で、エリオンを見上げる。彼にはまだまだ私を貪る余力がありそうだ。
「……こう言ったら君は嫌がるだろうが、君のなか、すごく気持ちいい。出ていきたくないな」
私の脚を下ろすと、媚肉内の感触を愉しむかのようにエリオンは己をゆっくり、深く抽送させ始めた。彼が大きく前後に動くたびに、結合部から何かがぐちゅりと漏れ出る音がする。剛直の先がこつんと快いところに当たると、下腹にぐっと力が入った。
「たくさんして……エリオン様」
駄目だといったり、ねだったり。今の私はめちゃくちゃだ。やっとやっと与えられた快楽に、私の情緒はすっかり壊れていた。
「ん、どうしたい?」
「乳首、吸ってください……きつく」
今日はまだろくに胸の愛撫をされていなかった。愛液が滴る隘路ばかり攻め立てられて、胸元はほぼノータッチ。エリオンはあれほど私の胸が好きそうだったのに。
私が胸への愛撫をねだると、エリオンは黙って、私の硬く尖らせた紅色の先端をぱくりと口に含む。口のなかでころころと転がされるように舌先で弄ばれ、堪らず甘い声が漏れる。片手で口元を覆い顔を背けようとすると、手首を掴まれた。
「……駄目だ、アレクシア。もっと可愛い声を聞かせてくれ」
「恥ずかしいです」
足指を舐められて達した女が何を言っているんだと自分でも思うが、胸で気持ちよくなってしまうのも恥ずかしいのだ。
「平気だ、可愛いから」
まったくフォローになっていない言葉を紡ぎ、エリオンは傾国の笑みを浮かべる。顔が良いのは本当にずるい。何もかも許したくなってしまうから。
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