【R18・完結】騎士団長とは結婚したくない

野地マルテ

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※責任を取りたい

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「サラ、頼みがある」
「何ですか?」
「どうしても君と結婚したい。君の純潔を奪った責任を取りたいんだ。どうか、俺の妻になってくれないか?」

 団長の真剣な眼差しが、私を射抜く。
 迂闊に団長と寝るんじゃなかった。キスは気持ちがよかったし、団長に触られれば興奮するしで、私のなかで団長の株が上がってしまった。

 私は団長の懇願に、頷いた。

「いいですよ」

 身体を重ねる前に、『団長に抱かれたら、団長と結婚する気になれるかもしれません』と言ったが、なんてことはない、宣言通り、私は団長と家族になる気になってしまった。

 どうも私のなかで、一番気がかりだったことはセックスだったようだ。ここが解決されたことで、一気に再婚への壁が低くなってしまった。
 自分でもチョロいかな? と思わなくもないが、団長ように顔が良くて立場もある人間からぐいぐい来られて、いつまででも抗えきれるほど、私は頑なになれない。自分が団長に相応しいとは思えないが、団長はこんな私を必要としてくれているのだ。私は団長を受け入れたいと思う。

「団長、私、……続きがしたいです」
「ああ、このままでは収まらないよな……」

 また、脚を大きく広げられる、団長の引き締まった身体が股の間に入る。愛液が滴る場所へ押しつけられる肉棒の先。それはまた私のなかへとぬるりと埋められていった。

「あっあぁぁっ……」

 媚肉を割り開く、心地よい異物感にあられもない声が漏れる。もどかしい刺激に、私は団長の首や背中に縋りつく。

「サラ、痛くないか? 苦しくないか?」

 労りに満ちた団長の声が耳朶に響く。団長の声は少し掠れている。破瓜の痕がじんと痛むが、気になるほどでもない。しかし、じっとり濡れたなかで動かれると、じれったいような快感が沸いてこれがなんとも苦しいのだ。

「団長、気持ち良すぎておかしくなりそうです……」
「そうなのか。動いても大丈夫か?」
「ううっ、は、はい」

 団長は私の太ももの裏を掴むと、遠慮がちに腰を進め始めた。念入りに愛撫されたからか、挿れたばかりだというのに、抽送されるたびに結合部からぐちゅりぐちゅとみだらな水音がする。団長とセックスすることになるだなんて。自分から誘ったのに、あらためて凄い状況だなと思う。三年間一緒に働いてきて、一緒に宅呑みすることだってそれなりにあったのに、昨日までは手すら握られたことがなかったのに。今は……。

 肉棒の先が私の最奥を抉る。柔らかな子宮口に触れられた瞬間、私の腰が大きく浮いた。

「ひっっ、ひぁっ‼︎」

 目の前に白い火花が散り、膣が急激に窄まった。なかを擦られるだけで絶頂を迎えてしまったらしい。私の異変に、団長はおろおろしている。

「サラ、大丈夫か?」
「大丈夫です……気持ちよくなっちゃっただけですから」
「女の身体のことはまったく分からんな……」
「団長」
「なんだ?」
「キスしてください」

 団長の首に腕を回して、またキスをする。絶頂を迎えたら喉が渇いた。私は団長の唾液を啜る。団長の口のなかで、浅ましく舌を動かしたせいか、私のなかにある団長の雄の固さが増したような気がする。
 団長は眉間に皺を寄せる。

「……サラ、そろそろ出そうだ」
「団長、なかに出してくださいよ」
「だが……」
「責任、取ってくれるんでしょう?」

 自分はもう少し思慮深い人間だと思っていたのに。一回抱かれただけで考えがコロッと変わってしまった。団長と結婚することで発生するであろう、煩わしいこととか、どうでも良くなってしまった。
 私を見つめる団長の瞳に、力が篭る。

「サラ、好きだ。俺を選んだこと、ぜったいに後悔させない」
「団長、重いです。団長こそ私を選んだこと……後悔しないでくださいよ?」
「後悔しない」
「本当ですかぁ? 私、なぁんにも出来ない女ですよ」
「融通が効かない俺のことを、三年間も支えていたくせに何を言う」

 お互いの首や顔に食らいつき、会話の間にも啄むようなキスを落とす。団長の髪や身体から石鹸のさわやかな匂いがした。抱き合っていると温かくて安心する。こんなにホッとしたのはいつ以来だろうか。

「サラ、サラ……」

 団長は私の身体の両脇に腕をつくと、腰の動きを早めた。膣の天井を肉棒の先で擦られて、堪らない気持ちになる。

「ひっっ、だめ……っ、だんちょ……おかしくなる……っ!」

 特に感じる一点を肉棒の穂先が掠めると、大きく腰が浮いた。ぐちゅぐちゅと水音を立てて前後に動かれると、振動が淫芽まで響く。気持ちがよすぎて息が出来ない。

「あっ、あぁぁっっ……‼︎」
「うぅっ……はぁっ」

 私が達するのと、団長が果てたのはほぼ同時だった。柔らかく慣らされた膣のなかに熱い液体が吐き出される。びゅくびゅくと叩きつけられるように排出される精液。収められた肉棒がぶるんと跳ね、その刺激でも絶頂しそうになった。


 団長は肉棒を引き抜くと、私の股のまわりをタオルで拭った。生成り色のタオルは薄く桃色に染まっている。団長は別の大判タオルをベッドサイドにある引き出しから取り出すと、それを腰にサッと巻いてベッドから這い出た。
 筋肉質な上半身を晒し、腰にタオルを巻いただけの団長は妙に色っぽい。団長はグラスに水差しの水を注ぐと、私に手渡してくれた。


「団長……ありがとうございます」
「何で礼を言うんだ。礼を言うのはこっちの方だろう」

 お礼を言うと、団長はしかめっ面をした。頬が少しだけ赤い。照れているのかもしれない。

「前の夫とは出来なかったので、私、ずっと自分に自信が無かったんです」
「王宮勤めしていたら、そりゃぁ、あれも萎えるだろう。俺にも王宮で働いていた時期があったが、大変だったぞ」

 団長は下ろした前髪をうっとおしそうにかきあげる。暴力的なまでの色気にくらくらした。団長は私を励ましてくれているというのに、色気にあてられて鼻血が出そうだ。

「気にするな、サラのせいじゃない」
「そうですねえ」
「サラは魅力的だ」
「それはどうでしょうか」

 二人で並んでベッドに座り、水を飲む。汗をかいた身体に、ただの水でもおいしく感じる。

「団長のお嫁さんになるなら、私も事務官をやめないといけないですね」
「うちの屋敷からここへは簡単には通えないからな」
「団長のお屋敷で、私に何か出来る仕事があるでしょうか?」
「たくさんあると思うぞ? 俺はサラがいなけりゃ、騎士団長なぞとてもじゃないがやれなかった。俺が三年間マトロア地区の団長でいられたのはサラのおかげだ」
「褒めすぎですよ」

 団長はやたらと私を過大評価した。半年に一度の査定は常に満点で、私は事務官にしては良いお給料を貰っていた。

「サラの言うとおり、俺の妻の役割は面倒なことばかりかもしれないが……。なんとか良い夫になってみせる」
「私も、今まで団長に甘えてばかりだったので、少しはマトモになれるよう頑張ります」
「サラは頑張らなくていい。もう充分頑張っているじゃないか」
「団長は甘すぎますよ」

 隣に座る団長の首元に顔を埋める。今までその想いを封印し、認めたくないと思っていたが、私は団長のことが実はかなり……いや、だいぶ好きかもしれない。
 
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