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※久しぶりの性交

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 ロトニナは男の口づけを受け入れていた。
 唇を食べられていると錯覚するような強いキス。唇の表面をべろりと舐められ、性急にこじ開けられる。厚い舌をねじ込まれ、口内を舐め回された。
 ロトニナが舌を絡めようとすると、ずずっと音を立てて吸われる。
 男の唾液は少しだけ鉄の味がした。
 深いキスに気を取られていたが、いつのまにか胸もやんわり揉まれている。ごく弱い指の力で乳頭を揉まれたり、弾かれたりすると腰が浮く。

「……初めてか?」

 男に尋ねられ、ロトニナは首を横に振る。
 彼女は外見は二十歳程でも、実は二百年以上生きている。長い時の中で男を受け入れた経験は何度かあった。長い人生の間に、恋人のような存在を作ったこともある。

 ロトニナは自分から脚を開く、桃色に色づく肉のあわいがそこにあった。すでに膣からは愛液が溢れていて、秘裂を濡らしていた。
 男はロトニナの股に顔を埋め、薄い下生えの中に紅い芽の存在を見つけると、それに舌先を当てて転がした。

「あっ……!」

 弱いところを舐められたロトニナは腰をぶるりと震わせる。意外にも、飛竜から人間へ変化した男は女の抱き方を知っていた。
 ロトニナは獣のように乱暴に抱き潰されることも覚悟していたが、杞憂に終わる。
 彼女が彼と交わろうとした理由は、見目の良い彼に一目惚れしたわけでも、彼の欲を慰めようと思ったわけでもない。
 
 (このひとの精液には、魔力があるはず)

 ロトニナは、元は聖女と呼ばれる存在だった。とある帝国の都で暮らしていた頃、飛竜の体液、特に精液には魔力がふんだんに含まれていると古い文献で読んだことがあった。

 ロトニナは彼のことを救おうと考えていた。
 一度は美味しく食べようと思っていたが、これでも元聖女。目の前にいる傷ついた人を助けたいと思うのは聖女のさがだ。
 彼を救うためには魔力がいる。魔力を得るために、彼女は彼と身体を重ねようと考えたのだ。

 (それにしても……)

 ロトニナは、まだ身体に傷が残る男を見つめる。キスは性急だと思ったが、結合する場所は丁寧にほぐしている。酷薄そうな顔立ちと少々ぶっきらぼうな物言いに、どうなることかと思っていたが。

「ひっ、あぁっ」

 肉の隘路に長い指を二本ねじ込まれ、ぐるりと回しながらゆっくり抽送される。膀胱の裏、弱いところを指の腹で撫でられたロトニナは大きくのけぞった。長い指は膣内で探るような動きを繰り返している。

「ずいぶん敏感なんだな。あんたにはつがい……いや、伴侶がいたのか?」
「ひゃっ、い、いない……あっああっ」

 膣内を指で探りながら、陰核を舐めるのはやめてほしい。刺激が強すぎて目の端から涙が溢れ落ちる。
 尻たぶの谷間まで愛液が滴ったところで、指が引き抜かれた。彼の指は濡れていて、窓から差し込む光を受けてぬらぬらと光っている。

「嫌なら止めるぞ?」

 涙目になりながらロトニナは首を横に振る。
 男は彼女の仕草を同意と捉え、そそり勃った赤黒い陰茎に手を添えると、濡れそぼる膣口へ自身を沈めた。
 久しぶりに感じる圧迫感にロトニナは息を呑む。

「ああぁ……」

 すうはあと深呼吸する。下腹に埋められた陰茎は熱く滾っている。飛竜に変化する竜人と交わったのは初めてだ。深く息を吐き出すたびに陰茎からびくびくと脈動を感じる。

「大丈夫か? 苦しくないか?」
「うぅっ、すごいビクビクしてる」
「それは我慢して欲しい……。動いても大丈夫か?」

 ロトニナは久しぶりに感じる異物感に、眉間に皺を寄せつつも、彼の問いに頷いた。
 男は彼女の額についた髪を払うと、陰茎を膣内に馴染ませるように腰を小刻みに動かす。

「動いて……早く私の中に出して」
「いいのか? 俺は飛竜だぞ?」
「大丈夫……たぶん、妊娠しないし」
「……。まぁ、いい」

 ロトニナは聖女。聖女は子を孕むことが出来る相手は限られていた。それに、そもそも魔力を持つ彼女は妊娠しにくい。
 男は最初の内は遠慮がちに腰を振っていたが、ロトニナが慣れてきたと判断したのか、少しずつ腰の打ちつけを強めた。

「はぁっ、ああんっ」

 ロトニナは甘さが混じる悲鳴を上げながら、白くて細い腕を宙で彷徨わせる。この男は随分とこの行為に慣れているらしい。初めて交わる相手なのに、気持ち良さしか感じない。

 膣内の水嵩が増え、抽送されるたびにぐちゅぐちゅとぬかるみを歩く時のような音が耳につく。下腹が熱い。何回も膣内は収縮を繰り返し、男の雄を執拗に締め付けた。
 膣が戦慄くたび、ロトニナは嬌声をあげる。

「うぅっ……出るっ」

 何度も何度もロトニナに締め付けられた男には、すぐに限界が訪れた。屈んだ男の額から、玉のような汗が滴り落ちる。

「出して……たくさんちょうだい」

 魔力を。ロトニナは瞼を閉じた。
 膣内で陰茎が跳ね回る。もったりと熱い精液が、すっかり耕された膣壁に断続的に吐きかけられた。
 男はロトニナの腰を両手で掴むと、身体を折り曲げて最後の一滴まで彼女の中へ白濁を注いだ。


 ◆


「すごかったわ。あなた、とても性交が上手なのね」
「ひとを遊び人みたいに言うの、やめて貰えるか?」
「でも、経験豊富でしょう?」
「二百年も生きているからな……。多少は……」

 二人は毛羽立った古いラグの上で寝そべっていた。
 男は視線を逸らすと、言いづらそうに呟く。
 しかしロトニナは気にしない。

「私も二百年生きているから。今まで色々なことがあったわ」
「やはりただの人間じゃないんだな」
「そう、聖女よ。知ってる?」
「聖女……奇跡の力を使うという」
「奇跡かどうかは分からないけど、魔法は使えるわね」

 戸惑う男に、ロトニナはにっこり微笑むと、指先に淡い光を灯す。そして生々しい傷が残る男の胸元に指先を這わせる。すると、つい一時間前まで血を流していたはずの傷が綺麗さっぱり消え去った。

「すごいな。……ん? さっきは魔力が切れたと言っていなかったか?」
「今、補充出来たから」
「補充?」
「あなた、さっき私の中に出したでしょう?」

 ロトニナは自分の下腹部を指差す。

「飛竜の精液を魔力に変換出来るのか? 聖女というのは何とも奇天烈な生き物だな」
「凄いでしょう? ……ねえ、もっとしましょう? あなたの傷、全部治してあげるわ」
「性交がしたいだけじゃないよな?」
「それもあるわ。だって、ずっと私はここで一人で暮らしてきたのだもの。たまには人の営みがしたいの」

 久しぶりの性交は良かった。誰かと熱を分け合う行為は心地良い。上手く言えないが、生きてるって感じがする。

「仕方がない。こちらは助けてもらった身だ。あんたが満足するまで付き合うよ」
「やったぁ! ねえ、今度は後ろから突いてよ。もっと奥、ぐりぐりして」
「あんた、……見た目は清楚なのに結構ぐいぐい来るな」
「性交するのに、清楚だなんて邪魔な設定よ」

 ロトニナは四つん這いになると、男を誘うように腰を横に振る。男も満更でもないような表情を浮かべてロトニナの背に覆い被さると、腕を伸ばして彼女の乳房に触れた。
 揺れる乳房をやんわり掴むと、力を入れないように揉みしだく。男はしばらく乳房を弄っていたが、雄の硬さを取り戻すと上半身を上げた。

「挿れるぞ」
「きて……。あうっあっ、熱い……」

 後ろから一息に貫かれたロトニナは、熱い陰茎の感触に瞼を閉じる。陰茎は硬く、濡れた膣内をゆっくり抽送されるだけでもごりごり擦られて堪らなく気持ちいい。
 ロトニナは肘を床の上に下ろすと、尻を高く上げた。下腹をうねらせ、下半身を震わせる。膣にぎゅっと力が入った。

「あんた……。やっぱり敏感すぎるだろ。大丈夫か?」
「ひっ、久しぶりだから、す、すごく気持ちいいの……っ、あっああうっ、い、……イク!」

 目の前に火花が散る。膣はこれでもかと陰茎を食い締める。あまりにも強い締め付けに、男の眉間に皺が寄った。それでも腰の動きを止めない。

「きっつ……」
「うぅっ、またくる……!」

 ロトニナの性欲は凄まじく、この交わりはなかなか終わらなかった。
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