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魔力不足

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「ねえ。アラン。」

「なに?」

「本当にこれが最先端の研究なの?」

「いやぁ。最先端かはわかんないけど多分最近の研究成果だと思うよ。」

知らんけど。

「はぁ。700年後なんだからどんな魔法が生まれてるんだろうと期待して本を読んでみれば......なんなのよこれは!こんなの700年前と同じどころか遅れてるじゃない。」

「700年前の方が進んでるんですか?」

「当たり前よ。まったく。いつ無くなったのよ私たちの研究成果は!アラン。ちょっと魔力貰うわ...ね...って何よこの量!こんなちょっとじゃ何もできないじゃない!」

「だから言ったじゃないですか。僕は魔力が少ないって。あなたが入ってる水球を作るだけで精一杯なんですよ。」

「しょうがないわね。じゃあ魔石持ってきなさい。あと敬語になってるわよ。」

「あ、すみません。」

「ほら、早く持ってきて。」

持ってきてって言われてもなぁ。
どこにあるかわかんないし。

「僕ネミル以外の魔石見たことないんだよね。」

「普通の魔石も?」

「あ、ごめん間違えた。見たことはあるけど売ってるの見たり貰ったことないんだよね。」

「本気で言ってるの?」

「うん。っていうか何に使うんだよ魔石なんて。ただの魔力の塊だろ?」

「え、もしかして魔石の使い方も知らないの?」

「うん。」

「魔石の魔力から魔法の発動に必要な魔力の一部を貰うのよ。まさかこんなことまで失われてしまったなんて......」

え、ちょっと待て。それ本当か?
だとしたら魔力の少ない俺でも魔法使い放題じゃないか。

「でも魔石がないんじゃどうしようもないわね。」


ネミルはしばらく考え込んで言った。

「あんた金持ってる?」

「え......持ってるけど。」

「どのくらいある?」

「金貨100枚。」

「じゃあそれ持って奴隷買いに行くわよ。」

「え、奴隷?なんで?」

「なんでって......魔力タンクにするからよ。できるだけ魔力の多い奴隷を買うわよ。」

「誰か雇うだけじゃダメなの?」

「雇った人に私の使う魔法を見られたら困るわ。私の魔法は.....はっきりいってこの世界ではオーバーマジックよ。」

なんだよオーバーマジックって。
オーバーテクノロジーの真似かよ。

「まぁ確かにそうなのかもしれないけど。」

「じゃあ奴隷買いに行くわよ。」

そうすると、ネミルは小さくなり、俺の胸ポケットの中に入った。

「え、なんで胸ポケットに入るの?」

「だってちょうどいい大きさじゃない。人にも見られないし。」

さっきはプラモデルみたいだって言ったけど訂正しよう。

これはフィギュアだ。

「ほら、ボケっとしてないで。行くわよ。」

「ちょっと待ってよ。お母さんに許可取らないと。」

「あとから買ったって言えばいいじゃない。それで買えなくなったらどうするのよ。」

まぁ確かにそうだけど......カールはギャンブルに全部使ったらしいし、そんぐらい平気かな。

「分かったよ。」

「それじゃあ行くわよ。」



俺はメイドの1人に声をかけ、奴隷商の店まで案内して貰った。

「見た目は普通の店だな。」

「はい。ですが中では奴隷を売っているはずですよ。」

ふう。

深呼吸をして中に入り叫ぶ。

「ごめんくださーい。」

「これはこれは。本日はどのようなご要件で?」

中から胡散臭いガリガリのおっさんが出てきた。

「奴隷が欲しくてな。」

奴隷商はニヤリと笑う。

控えめに言って不気味だ。

「わかりました。予算はどのくらいでございましょうか。」

「その前に、ここの奴隷の相場はどのくらいだ?」

ぼったくられないように先に値段を聞いておかなきゃな。

「そうですねぇ。ピンからキリまでいますが、だいたい金貨10枚から100枚の間ですかね。」

よし。誰でも予算の範囲内で買えるな。

「ちなみにこの店で1番魔力の多い奴隷はいくらだ?」

奴隷商は顔をしかめる。
そりゃそうだろうな。予算を聞いてからぼったくってやろうと思ってたのに先に値段を聞かれたんだもんな。

「金貨20枚でございます。」

「そうか。でも少し安くないか?魔力が多いんだったらもう少し高くてもおかしくないと思うんだが。」

「それはですね......実はワケありでして...魔法が使えないんです。」

そうか魔法が使えないのか。
でもまぁ、いっか。どうせ魔力タンクの代わりだし。

「案内しましょうか?」

「ああ。よろしく頼む。」

「こちらになります。」

案内されたところには、鉄格子の中に入れられたおっさんがいた。

少し細めだけど別にガリガリという訳でもない。至って健康そうだ。

「ちなみに魔力はどのくらいある。」

「少々お待ちください。測定用の水晶をお持ち致します。」

奴隷商が水晶を持ってきて奴隷のおっさんの手を乗せると......部屋が溢れんばかりの光に包まれた。

「どうです?魔力量ならとても多いでしょう。」

ああ。多い。っていうか想像の何倍も多い。

もうこの人で決定でいいか。安いし。

「じゃあ、この人をください。」

「かしこまりました。先に現金を頂戴致します。」

俺は黙って金貨を払う。

「確かに受け取りました。それでは奴隷登録の手続きを致しますので、この書類に血を1滴垂らしてください。」

俺は、指に針を刺し血を一滴たらす。
すると書類がひかり、奴隷に吸い込まれていった。

「これで登録は終了でございます。また当店をご利用ください。」

よし、こいつを連れて家に帰ろう。

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