学校専用肉便器に恋した話

眠りん

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 俺の通う高校は男子校なのだが、俺と同じクラスに学校公認の「いじめていい」とされる生徒がいる。
 名前は……分からない。皆からは「おい」とか「お前」とか呼ばれる。裏では「アイツ」とか言っている。

 教師からも名前では呼ばれないし、席順や出席簿にも名前が載っていないのだ。
 在籍している筈なのに、学校ぐるみで存在を否定しているみたいだ。

 入学式の時にはいなかったが、その翌日から教室に現れて、教師から「彼はいじめていい」のだと聞かされた。
 全員が戸惑ったが、慣れるまでに時間はかからなかった。もう秋になるが、彼をいじめるのが当たり前の生活となってしまった。
 いじめの内容は、性的なものばかりだ。

 今日も、朝のホームルームが始まる前、クラスメイト達が彼に群がっていた。中には他クラスや学年が違う者もいる。
 彼の存在のお陰か、うちの学校の遅刻率はどのクラスもほぼ0パーセントに近い。彼をいじめたいが為に、早起きをしているのだ。

 同じクラスの俺は、見たいような見たくないような、複雑な気分で遠くから眺めている。
 いじめに加担せず、助けもしない。そんな傍観者は俺一人じゃない。誰だって関わりたくはないが、気になってしまうのも本心だろう。

 彼は一見、女性と見間違えそうになる程の可愛い顔をしていて、小柄で背も小さい。誰から見ても弱者である彼は全裸で教室の後ろで正座をしている。

「ほ……本日も、皆様の奴隷である、僕の身体を、使っていじめて下さい」

 ビクビクと震えながらそう言わされている彼は、言い終わると周りを囲う男達から口々に命令をされた。

「ケツ向けて広げろよ」

「穴の奥まで見えるようにしろよ」

「もっと腰上げろよ、ったく何度言っても分かんねぇな」

「バカだから覚え悪いんだろ。ちゃんと使えるようにしてあんだろうな?」

「もちろんです。僕の穴は皆さんの性処理道具ですから」

 彼は身を震わせながら言われた通りに肩で身体を支え、膝立ちで尻を皆に見せていた。
 両手で尻たぶを広げて穴は丸見えだ。
 本当に使えるようにしてるのかチェックだと、一人が指を二本無理矢理中に突っ込む。

「はぁっ……んっ」

 他の奴らも指を二本ずつ入れて、合計六本の指が彼の穴を埋めた。あんなに広がるんだ、と俺は広がる穴を凝視した。
 なんで後ろ向きにさせたのだろう。前から足を広げさせれば、可愛い顔も見れたのに。

 自分がいじめの主犯でない事に安堵する事もあれば、こうして悔しい思いをする事もある。
 ただ、やはり思ってしまうのは「これは犯罪ではないのだろうか?」という事。
 学校公認で、彼も承知でいじめられている、という免罪符はあれど、傍観者である俺の罪はどれほど重いのかと考えてしまう。

 だからといって止められる筈もない。
 現に彼がいるお陰で、学校内でのいじめは彼以外の場所では見掛けないし、彼をいじめている奴らは一致団結している。
 学校全体の成績も上がったらしいし、素行が悪い生徒も激減したそうだ。

 全生徒の悪意をたった一人で受ける勇気はない。何故彼がそんな事をしているのか、何故学校が公認しているのか、全くもって分からないが、加害者にだけはなりたくないのだ。だから傍観者に甘んじているのだが……。

「ぁっ! 僕の身体、もっと、使ってぇ」

 甘い声を聞いていると、彼がただのドMのようにも思える。
 男達が次々と彼に欲望をぶつける。いきり立つ男性器を彼のアナルに埋めては、射精をして、次の男がまた使うのだ。

 次第に体位が変わり、積極的にいじめている男の背中越しに、対面座位で犯されている彼と目が合った。ニコリと。彼は俺の目を見て笑った。
 誘われているようだ。『君も一緒にやろう』と言われているみたいだ。
 だが、やはりその勇気は出ない。固くなったソコを鎮めるために、教室から出てトイレに駆け込んだ。

 トイレに行くと、クラスの友人が出てくるところだった。

「お、赤津」

 友人である山口は俺に声を掛けてきた。

「山口、お前もか」

「毎朝よく飽きないよな。つか、今日一限から小テストあったよな?」

「アイツ犯す為に皆勉強頑張ってるらしいぜ。なにせ、期末で一位取ると一日中アイツを好きに出来るらしいじゃん。
 どうせ今日の小テストも皆高得点だろ」

 学年で一位なのが条件なので、彼は夏休みの内三日、三年、二年、一年の順でトップを取った奴と過ごした。

「あぁ、一学期でトップだった奴、うちのクラスの奴らしいな。
 誰がトップかっていうのは明かされないんだよな。羨ましいぜ」

「ほんと誰だろうなぁ~?」

 ……なんて、一年のトップは俺だったんだけど。
 結局、彼をうちに招いて一日中テレビ見たり、布団の中で彼を抱き締めたりしただけだった。親もいたから変な事は出来なかった。
 でも、いつも学校でいじめられてるんだし、たまには優しくされてもいいんじゃないか? って思う。

 それから、彼はいじめられている最中、たまにだが俺に視線を向けてくるようになったんだ。
 まさか惚れられたりしてないよな? それはないか。考え過ぎた。

「スマン、こんな話どうでも良かったよな。邪魔して悪かったな」

 山口は俺に手を振って早々に廊下を歩き始めた。そりゃあ俺のズボンテント張ってるし、気を遣わせちゃったかな。
 とりあえずトイレで彼の犯されている姿を思い出しながら抜いて、教室に戻った。

 戻ると、彼は男二人に挟まれてサンドイッチ状態。アナルには二本の男性器が刺さっていた。
 また勃ちそうになるのであまり見ないようにする。

 けれど、彼の甘い甘い喘ぎ声は耳を塞いでも聞こえてくるので、俺は小テストの勉強を始めた。もちろん、集中は出来なかった。

 ホームルームが始まる十分前には全員彼を解放し、席に着いているのだから学校は彼がいた方が都合が良さそうだ。
 彼は授業が始まるまで教室からどこかへ去ってしまう。
 噂で聞いた話でしかないが、学校内のどこかに彼専用の部屋があり、シャワーを浴びたり出来るらしい。
 そうでなければ、犯された後数十分後に綺麗な姿で戻ってこられる筈がない、という見解だ。


 一限が始まる頃に彼は戻ってきた。
 彼の制服は俺達と違い、上半身裸に、短パン姿だ。短パンも尻の部分がパックリと切れていて、歩いている後ろ姿を見ても白い尻が丸見えだ。
 首にはリボンが巻かれていたり、首輪が着いていたりと日にもよる。今日はリボンだ。

 彼には机がないので後ろで正座をして、プリントを渡される。他の生徒と同様テストは受けるのだ。
 教科書等は捨てられたり、落書きをされたりと、定番のいじめもされているので、教科書を読む時は先生に当てられないが、黒板に答えを書くような時は当てられる。

 だが彼はいつ当てられても正答する。本当の学年トップは、俺でなく彼なのだろう。
 それも、いじめたくない理由となっている。正直、俺は彼を尊敬している。
 もし俺が彼と同じ立場だとしたら、成績は下がるだろうし、きっと学校に登校出来ず引きこもりになっているだろうから──。


 小テストの答案が帰ってきた。平均は88点。俺は100点だった。
 彼も100点だったらしいが、クラスでも特に彼をいじめる戸田が、彼の答案を奪ってビリビリに破いた。

「おい、お前さ、何生意気に満点なんて取ってんの? お前なんかゼロ点でいいんだよ!」

「はい。満点を取るなんて生意気な事をして申し訳ありません。罰ならなんでも受けます」

 彼は土下座をして額を床に当てた。その頭を戸田はグリグリと踏み付けた。

「本当に反省してるんだろうな?」

「もちろんです」

「それなら反省してる証拠見せろよ」

「はい。ご命令下さい。どんな事でも致します」

「じゃあトイレで便器になれよ。小便ぶっかけてやる」

「はい、もちろんです。僕をもっと便器以下の存在にしてください」

「分かってるじゃねぇか」

 戸田は彼の髪を引っ掴んで、教室を出ていく。もう我慢ならなくなった。
 いつから俺は我慢するのが苦しくなっていたのだろう。こんなにも優秀なのに、学校公認でいじめられている彼が不憫でならなかった。

「あのさ戸田。やり過ぎは良くないんじゃないか?」

 ついに、俺は戸田の前に立ち塞がってしまった。

「なんだお前? この便器に惚れてんのかよ?」

「そういうわけじゃねぇよ。そいつだって人間なんだ、いくら学校が認めてるって言ってもさ、いじめ過ぎて精神的におかしくなったら、学校辞めちゃうかもしんないだろ。
 長くいたぶるんなら、やり過ぎず壊れない程度で長持ちさせる事が……大事だと思う」

「それもそうか。赤津の言う通りだ。よしお前、反省してる証拠にここでオナニーしろよ。
 自分が人間以下だってアピールしながら射精したら許してやるよ」

 戸田は彼の頭から手を離し、腕を組んで仁王立ちした。

「は、はい。もちろんです」

 彼はすぐにズボンを下ろした。下着を付けていないのですぐに可愛い男性器が露わになる。
 擦ると小さいモノでも大きくなり、男としての主張をする。

「あっ、ん、ん……ふっ、っ……んっ」

 一生懸命擦ると、彼の顔が切なげに赤くなった。見ている者皆が息を飲んで彼に釘付けになる。

「人間以下の僕が、皆に見られて無様にイクところ見てくださいぃっ! ……──っ!」

 彼の男性器から白濁液が流れる。彼は誰に何を言われたわけでもないのに、膝を付いて、這いつくばって床に零れた自分の精液を舐め始めた。

「ん、僕は、惨めで、矮小な存在です。満点なんて取る資格のない、……はぁ……人間以下のゴミです。反省してますから、許してくだひゃい。ペロペロ……」

「おい、ミジンコ。合格だ。満点取った事は許してやるよ。ご褒美に後で犯してやるからな」

「ありがとうございますぅ」

 彼は恍惚としながら精液を舐め、腰を振っていた。俺はもう彼のそんな姿を見たくなかった。


 その日の放課後だった。彼へのいじめが終わり、全員解散した後、俺は一人校門を出たのだが、今日の宿題のレポートに必要な教科書を机に置いてきてしまった事を思い出し、校舎へと戻った。

 教科書を回収して、急いで帰宅しようと廊下を走る。今日は七時から好きなアニメが放送する日だ。早く帰らなければ……。
 だが、下駄箱のところで話し声が聞こえた。

「お前さ、自分がキモいって分かってんなら学校来んじゃねぇよ」

「なんとか言ってみろよ!」

 ドカッと蹴る音、気弱な「うっ」という男子生徒の声が聞こえた。まだ彼をいじめているのか? と覗くと、いじめられているのは彼ではなかった。

 二年生だろうか。同じ学年では見た事のない生徒だ。二人がかりで、小太りで気の弱そうな男子を下駄箱に追い詰めている。

 こんな時だって俺は動けない。昼はもっともらしい理由を説明出来たから助けられた。でも今はどう助けるべきか、何の策も思い浮かばない。

 そうこうしている内に一人の大声が響いた。

「待ってください!!」

 俺は驚く。そこには彼がいたのだ。

「なんだよ? 人間以下のゴミ野郎が一丁前に止めんのか?」

「はい。いじめられる役割は僕のものです。そこのあなたはもう帰っていいですよ。お二人は僕で存分にストレス発散されてください」

 いつもいじめられている時の気弱な彼とは思えない程、凛としていた。
 強気で勝気な目、堂々とした態度には自信が溢れているようだった。

 その後彼はいじめっ子二人に連れていかれ、サンドバッグのように蹴られたりしていた。身を丸めて耐えていた彼は、その暴行が終わった後も、自信に溢れるような顔つきのままだった。

 俺はもう誤魔化せない事を悟った。彼に惚れている事を自分に隠す事は出来なくなっていた。
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