君が好き過ぎてレイプした

眠りん

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中編

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 ぼくは湊也君の両手のガムテープだけ外して、鞄を持つとさっさと逃げ帰りました。
 顔は見られていません。ネクタイは予備がありますし。一つなくなっても、お母さんに怒られて終わる話です。
 怒られるのは慣れっこですから。
 結局、宿題は忘れてしまいましたが、湊也君にぼくがあんな事をしたとバレなければいいです。


 翌日。やっぱり宿題が出来ていなくて怒られました。湊也君のせいです。
 湊也君は昨日の事なんてなかったみたいにいつもと同じ顔で笑っています。ぼくにも同じ態度なので、バレてはいないでしょう。


 昼休みになると、優希君は女の子のところに行くらしく、颯爽と教室を飛び出して行きました。

「待っててね~マイエンジェル!」

 何を言っているか全く分かりません。優希君は、最初湊也君が女の子だと勘違いしてやってきました。
 その時既にぼくと湊也君は友達だったのですが、優希君が湊也君を気に入ってしまったせいでぼく達とつるむ様になったんです。
 湊也君は優しいから優希君みたいな不良でも、嫌がらずに受け入れてしまうのです。

 優希君は大の女好きで、昼休みはすぐに付き合ってる女の子のところに行ってしまいます。
 しかも、付き合う相手はコロコロ変わるし、何がしたいのかよく分からない人です。ぼくは嫌いです。

「じゃあ柚月。俺らも行こうか」

 湊也が、立ち上がりました。いつも教室で食べているのに、一体どうしたのでしょう?

「どこにですか?」

「実はね、柚月に相談があるんだ。ここじゃ話せないから聞いてもらえる?」

「分かりました」

 ぼくは湊也について行って、空き教室の前の廊下で二人並びました。
 なんでしょうか? まさか、昨日湊也君にした事がぼくだとバレてしまったのでしょうか?

「昨日の放課後、俺、柚月の事待ってたんだよ」

「へっ、へぇー。ぼくそのまま帰っちゃったから知りませんでした。ごめんなさい」

「ううん、いいの。俺が勝手に待ってただけだからね。でも、ついウトウトして、気付いたら寝ててさ。
 それで……俺、知らない男にレイプされたんだ」

「れ、レイプ!?」

「そう。確かに俺はこんなナリだし。女に間違われる事ってあったりするけどさ。
 本当にレイプされるなんて、思ってもみなかった。ほんと、怖い。
 犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」

 湊也君は半泣きでぼくに抱き着いてきました。

「ぼ、ぼくなんて身体が大きいだけで、守れる程強くないです」

「それでも俺は柚月に守ってもらいたいよ。柚月の事……本当はずっと好きだったから」

「ええっ!?」

 嘘ですよね? 湊也君がぼくなんかを好きだなんて、嘘ですよね?

「柚月は? 俺の事どう思う? やっぱり男じゃ嫌だよな?」

「そそそっそんな事ないです! ぼくも、ずっとずっと前から、出会った時から、湊也君が好きです!」

「良かったぁ。じゃあ今から俺ら恋人同士な。俺、結構ワガママだけど、甘やかしてくれるよな?」

「も、もちろんです」

 ああああ頭がパニックです。
 好きな人のワガママくらいなんでも聞きます。ぼくは生涯不幸な人生を歩むものだと思っていました。
 でも、幸せを期待しても良いんですか?

「じゃあ、まずその敬語で話すのやめて? 男らしくないし。俺、男らしい人が好きなんだよね」

「は……う、うん!」

 敬語くらい、湊也君の為ならやめられます。家では敬語じゃないと怒られるけど、家以外なら大丈夫です。

「その方が対等って感じして良いよ。
 なぁ、今日の放課後、図書館寄ろうよ」

「えっ!? う、うんっ!」

「もうすぐ中間テストもあるし、彼氏として、俺が全面的にサポートするからさ」

「そんな事してもらったら、湊也君の勉強が……」

「湊也!」

「は、はいっ!?」

「君付け禁止。彼氏なんだからさ、湊也って呼べよな」

 湊也のニッとした笑い方、カッコよすぎます。ぼくより男らしいところも、好きです。

「うん。湊也」

「よし!」

 湊也はぼくにニッコリと笑顔を向けてくれました。こんなに優しくしてくれるのは湊也だけです。

「俺は多少成績落ちても、上位だから問題ないの。でも柚月はこのままだとマズいんだろ?
 真っ直ぐ、正々堂々とテストに臨んでくれよ」

 勿論です! もうカンニングなんてしません。勉強頑張ります。
 あれ……正々堂々とって、カンニングの事言ってるわけじゃないですよね?

「もちろん、だよ!」

「俺、誠実な人が好きなんだよね。柚月もそういう人になってくれるの楽しみにしてる」


 その日から、放課後は一緒に勉強する事になりました。湊也の教え方は本当に上手くて、意外とすんなり理解出来るようになりました。


 分かるようになってくると、授業で先生が言ってる事が理解出来て、勉強が少し楽しくなってきた。

「てかさぁ、柚月ってのんびり過ぎるよね。もう少し、物事速く処理できない?
 俺、彼氏には俺と同じスピードで一緒に生きて欲しいんだよ」

 湊也にそう言われたら、速く動く努力をするしかないよね。うすのろって言われるぼくでも、頑張れば出来るようになるんだ。

 湊也が毎朝、ぼくの家に来てくれて、早朝マラソンをするようになった。
 朝の空気って気持ち良いんだ。知らなかった。

 最近、頭の回転が速くなった気がする。授業もついていける。テストも、平均点くらいは取れるようになった。
 そんなぼくに湊也は誇らしそうな顔で微笑んだ。

「どんどん俺好みになってきたな。あとちょっとだよ」

「ぼくは何をしたらいい? どうしたらもっと湊也の好みのぼくになれる?」

 頑張れば頑張る程、湊也に認められるのが嬉しいんだ。ぼくは、もっと君に愛されたい。
 なんでもする。湊也がぼくを好きでいてくれるなら、一生セックス出来なくてもいいよ。
 本当に大好きだ。

「じゃあ、俺をレイプした犯人捕まえてきてくれる?」
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