このレイプは合法ですか

眠りん

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七話 三メートル

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 目が覚めると、まず最初に違和感を覚えたのは口の中だ。粘ついた感じがして、咳き込みながらそれを吐き出した。

「ゴホッ、ゴホッ……ぉえ……」

「あ、起きた。吐くなよ。折角口の中に出してやったのに」

 塞がれていた口は自由にはなっていたが、代わりのように精液を流し入れられていた。
 悔しさから唇を噛もうとしたが、そこに男性器を捩じ込まれる。

「おい、歯ぁ立てるなよ。上手く出来なかったら、川中さんがどうなるか分かってるよな?」

「うぅっ……」

 逆らえずに口での奉仕をした。尻穴は相変わらず誰かが肉棒をピストンさせており、もう感覚がない。

「お前が寝てる間に一周半したんだぜ? 佳山が出したら終わりだよ。良かったな? 今日は俺参加してないし、早かったろ?」

 皇樹は楽しそうに言ったが、口に肉棒を出し入れされているせいで答えられない。

 佳山と呼ばれている書記が出してしまうと、三人は身支度を整えて、楽しげに帰っていった。
 残ったのは、精液塗れで縛られたまま横たわっている匠と、立ったまま匠を見下ろす皇樹の二人だ。

「ふ……うぅ……」

 匠の目からは涙が零れた。皇樹に犯されたのも辛い記憶だったが、それ以上に酷い行為だ。
 歯を食いしばって耐えようとするが、勝手に流れてくる涙は止めようもなかった。

「俺以外に犯されたのがそんなに辛いのか?」

「……お前に犯されるのだってごめんだ!! 僕に近寄んな!」

 怒りに任せて怒鳴ると、皇樹は匠の傍に来て、膝を着いた。匠の身体を横向きにして、両腕を縛る紐を解いた。
 身体は自由になった匠だが、痛みと怠さから立ち上がるのも億劫だ。

 皇樹は何故かバスタオルを持っており、汚れた匠の身体を優しく拭いた。

「そのままだと帰れないだろ。どうだ、俺ん家誰もいないし、シャワーとか貸すけど?」

 そんな皇樹の提案に、匠は嫌な想像しか出来なかった。だが、臭いもありこのまま帰れないのも事実だ。

「僕に何もしないだろうな?」

「え?」

「え? じゃないよ。指一本でも触れたら……」

「わ、分かったよ。……ったく」

 ギロリと睨みつけると、皇樹は少したじろいで、仕方なくといった様子で頷いたのだった。

 帰り道、匠は皇樹と一定の距離を保っていた。約三メートル。皇樹の家に行くまでその距離を縮める事はない。
 警戒心しかないので当たり前の事だ。

 皇樹の自宅は高層マンションの十五階だ。
 部屋の前で匠は立ち止まった。皇樹がドアを開いて入るよう促しているのだ。どうしても三メートル以内に入ってしまう事になる。

「何もしねぇって! この自意識過剰野郎が!」

「自意識過剰になった原因を作ったのは、藤倉君なんだけどね? 本当なら今すぐにでも警察につきだしたいよ。
 強制性交と、脅迫と……あぁ、犯罪教唆? アイツらも全員突き出してやりたい」

「知らねぇよ。そもそも俺を殴ろうとしたのはどっちだよ!」

「その前に律にした事忘れないでくれない? 女子達使っていじめさせたり」

「俺は何もしてない。あの子達が勝手にいじめだしたんだろ?」

「僕がいじめに遭うの知ってて、女子達無視して俺に引っ付いてた癖に!!」

「証拠は? あの子達があんな事するなんて……って言えばいいし。いい加減早く入れって!」

「先に中に入って。三メートル圏内に入ったら藤倉君がレイプ犯なの言うから」

「そんな事したら川中さんを……」

「律にはお前が居なくなるまで祖父母のところに行ってもらう。ちょっと遠いけど、そこなら誰も手出し出来ないだろうし」

 ずっと考えていた打開策だ。
 匠は、このまま皇樹が反省して、強姦をしなくなれば、見逃そうと思っているのだ。
 一度は好きになった人、という事もあるし、律の心の傷を広げたくない、親や知らない人から詳しい内容を問いただされるのは嫌だという気持ちも強いからだ。

 だが、今後も変わらず輪姦や強姦をするようであるなら、デメリットに目を瞑って親に全てを打ち明ける覚悟だ。

「分かったよ。先に入ってる。三メートルだな? 五秒したら入ってきて」

 五秒数えてから部屋の中に入った。玄関は広くて一瞬戸惑いを見せたが、靴を隅に置いて部屋に上がった。
 約束通り、皇樹は近くにはいなかった。

「入って、右の壁二番目のドアが洗面所だよ。浴室内に給湯器あるから、勝手に浴びていいよ」

 言われた通りに洗面所に入り、裸になって浴室に入った。
 どこに入っても広い部屋だ。キョロキョロと見回してしまう。

 シャワーを浴びていると、ドアを挟んで向かいに人のシルエットが見えた。
 匠は驚きのあまり、ドキッと心臓が飛び跳ねた気がした。

「藤倉君!? 三メートル!」

「タオル!!」

 と、皇樹が強く言うのでホッとしたのだが、少しの間が空き、急に浴室のドアが開かれた。

 皇樹は全裸で立っており、その目は匠の頭から足までを上下にジロジロと見ている。
 まるで制服チェックをする生徒指導の教師のようだ。
 目だけで犯されるような視線に、感じそうになる。

 逆に匠は直視出来ない。筋肉質な肉体に、割れている腹筋、男らしい腕が視界に入ってきて、落ち着かなくなった。
 気付けば、匠の男性器はムクムクと育っていた。それを皇樹が見過ごす筈もなく、ヅカヅカ浴室に入り、匠の腕を無造作に掴んだ。

「なっ、やめろって……それ以上したら……」

「訴えるって? やってみろよ」

 皇樹が匠の身体を反転させて、後ろから抱き締めた。自由な手で皇樹を引き剥がそうとするが、先に皇樹が指を一本だけアナルに入れたのだ。
 指は何の抵抗もなく穴の奥へと挿入されたのだった。
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