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四章
おまけ⑤
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瑞希が伊吹や翠と三人で暮らし始めてから一ヶ月が経ったある日、珍しく翠と休みが被った。
翠は基本的にインドア派だ。用がなければ自宅にいるので、一人でコツコツと立てた計画の話をするのに、伊吹がいない今がちょうどいい。
翠の将来や家族の話から始めて、上手く伊吹の話に持っていこうと思っていたら、翠の方から相談をし始めた。
しかも今はお互いがいない時を狙って伊吹とそれぞれ肉体関係を持っていたのに、翠から「3Pをしてもいい」と提案を受けたので、そのまま本題に入る事にした。
「それ、僕も考えてた事があってね。ちょっと僕の計画聞いてもらえるかな?」
「聞くだけなら」
「聞いたら頷いてくれると信じてるよ」
内容によっては聞けないという事だろうか。すぐにメインの話をしようと思ったが、更に前置きを付け足す事にした。
「翠君ってさ、伊吹をどうしたいと思ってる?」
「どうって?」
「翠君って前までSMプレイをせずに、ただ伊吹を束縛したいだけだったよね? それは今もかな?」
「まぁ……否定はしません。別に今となってはSMプレイもいいと思ってますよ。伊吹さんも喜びますし。嫌いじゃありません」
「ほんと!? じゃあ正式な奴隷契約とか」
「正式なって……まず奴隷契約? そのものが社会通念上」
「今そういう話いいから。SMプレイの延長みたいなものだよ」
「普段のSMと変わらないのでは?」
「いや大きく変わる。日常生活は今まで通りだけど、奴隷契約を結んだら伊吹の心も縛れるようになる」
「心も……」
「例えば伊吹がやる気ない時も、命令を聞いてくれる」
翠の目が輝いた。
心まで縛れる事に反応したようだ。
愛する人を縛りつけたい、支配したい、全てを受け入れてもらいたい、そんな浅ましい欲を翠も抱いている筈だ。
それは瑞希も同じだ。だからあそこまで反撥し合った。
「それは、魅力的ですね」
「でっしょー? 僕と翠君の二人で主人になったら、二人で伊吹に命令聞かせて、三人でSMやるのもいいよね。
また前みたいにSMショーやっても良さそうだし!」
「確かにそうですね」
「ショーの為のSMなら、前とは違って無償で翠君に吊りとか教えるしさ」
「いいんですか? 瑞希さんお金好きなのに」
「僕をそんな意地汚い人間だと思ってたわけ?」
「はい」
翠が躊躇う事なく頷くので、瑞希はショックを受けた。
(僕ってそんな風に思われてたの!?)
瑞希自身、その時の状況に応じて客の為にお金を出したりしているし、SM講習は相手が翠だから格安で引き受けた。
にもかかわらず、貯金に精を出していたからか、変な認識をされていた事は納得がいかない。
翠と違ってそれを表面に出す事はないが。
「ショック受けた」
「あっ。えと、すみません」
「いいよ。それでね、僕、知り合いに頼もうと思ってる事があるんだけど、翠君はどう思うかな?」
瑞希はスマホのとあるサイトを見せた。知り合いが営業しているニップルピアス専門の店だ。
写真がいくつかあり、それぞれの乳首にさまざまな形のピアスが飾られている。
「二つのピアスに僕と翠君の名前彫ってもらってさ、伊吹の乳首に着けようと思うんだ。伊吹が僕達の所有物だって証を身体に刻んでもらうの。
もちろん僕のお金でね? 翠君の二十歳のお祝いって事で、今回はプレゼントしてあげるよ」
「いいんですか!?」
「もちろん。で? 翠君は僕の提案に賛成? それとも反対する?」
「賛成です! さすが師匠です! あっ……でも伊吹さん、本当は痛がりなんだそうですよ。血を見るのも苦手とか」
「もちろん知ってるよ。だから良いんでしょ?」
翠はよく分からないという様子で首を傾げている。
「プレイが終わった後も、痛みが引くまで伊吹は苦しみ続けるんだよ。その度に僕や翠君を頭に思い浮かべるの。
そう考えただけでゾクゾクしない?」
「さすがドSですね」
「僕はね、愛する人を苦しめる為なら自分の犠牲も厭わないくらい、伊吹を傷付けたくてたまらないの」
「ちょっとそこは理解出来ませんが。分かりました、ピアスをしてもらう事は賛成します」
「うんうん。奴隷契約書も読んでもらって、伊吹のサインもらって~」
「奴隷契約って書面でするんですね」
「勿論! 本気で主従関係になろうって人達は、少数だけど書面でやってるよ。
メールで送ってる人もいるみたいだけど」
「はは……。でも、伊吹さんが了承してくれますかね?」
「しないわけないでしょ。伊吹だよ?」
と、翠に強がってみたはいいが、確かに伊吹が了承するかが不安要素だった。
最近の伊吹はSMプレイに身が入っていないように見える事が多い。
あまりやる気が感じられないのだ。
(伊吹が奴隷契約を喜ばないわけない……よね?)
当日になり、瑞希の不安は的中した。
「悪いけど、俺さぁ、今後SMプレイやめようと思っててさ」
聞き間違いだろうと思った。
(SMプレイ、やめる? 二十代になってから少し聴力弱くなったかな?)
伊吹の言葉を聞かなかった事にして、主人として命令を重ねた。
「とりあえず正座しなよ」
だが伊吹は命令に従わない。次の伊吹の言葉ははっきりと聞こえてきた。
「ごめん。二人とも……。俺、今Mじゃなくなったっぽいんだよね。
その気になるまで、SMプレイはNGにしてもいいかな?」
予想外だった。瑞希は俯いて考えた。
伊吹のM性は母親への罪悪感から来ているもので、Mではなくなったという事は母親への贖罪の気持ちが消えたという事だ。
それに関して、瑞希は長年伊吹の心を解放してあげたいという思いがあったので、喜ばしい事ではある。
だが、自分の欲を全て捨ててまで伊吹を優先しようなどというつもりは一切ない。
伊吹を支配したい気持ちは変わらない。
(ならばどうすればいいか?)
瑞希は記憶を辿った。そして、すぐに答えを見つけた。伊吹が「伊吹を憎悪する瑞希」を望んでいた事を。
瑞希にとっては不本意だ。伊吹を憎んでいた八年間は苦しいもので、許した今、ようやく愛している気持ちを隠さずに伊吹を奴隷に出来ると喜んでいたのに。
伊吹をその気にさせるには、あの苦痛を続けなければならない。
(嫌すぎる。けど、それでも、僕は、伊吹の苦しむ顔を拝む為なら、どんな犠牲を払っても──)
思考に三秒、腹を括るのに二秒。
瑞希はゆっくりと顔を上げた。
「お前さ、身勝手過ぎるだろ。僕が伊吹を好きで、愛していて、伊吹がいなきゃ生きるのも辛いって事は知ってるだろうけどな……。
だからって、昔の事許した覚えはねぇよ!!」
怒鳴る。八年間の苦しみを思い出すように、自分の心が抉られるのを感じながら。
「ひっ!! でも、許したって……、もう主従関係はないって……」
伊吹は戸惑っているが、分かっている。期待の目に変わり始めていると。
正解を引き当てた。それならもう後戻りは出来ない。
「そんなの建前に決まってんだろ。僕は最初にちゃんと言ったぞ。人生かけて復讐してやるって!!」
その後は伊吹がより苦痛を感じる事だけを考えた。予定外の事で翠も困惑していたが、瑞希の思いを汲み取ったようで、最後まで瑞希の味方をしていたように感じられた。
伊吹が大嫌いな放置プレイをした後、瑞希は伊吹に向けてカメラを設置し、翠の部屋でベッドに並んで腰をかけて、テレビ画面でカメラの映像を見ていた。
「瑞希さん、これで良かったんですか?」
翠が心配そうな目を向けてくる。昔なら強がって笑っていただろう。
瑞希は、素直に涙を溜めた顔を翠に見せた。
「僕、間違った事したかなぁ?」
声を出すと共に涙が零れた。翠が瑞希の肩を抱き寄せ、頭を優しく撫でてくる。
「俺はそう思いません。伊吹さん、嬉しそうでしたよ。これが伊吹さんが望む形だったんだと思います」
「僕、伊吹の事、憎んでない。本当に心から愛してるのに。これからもずっと憎み続けなきゃいけないの?
やだよ、本当は嫌。伊吹がNGって言ってるんだから、やめとけば良かった。
なんで僕の感情を優先しちゃったんだろう?」
「やめるなんて無理でしたよね? だってそれが瑞希さんなんですから。きっと伊吹さんも分かってる筈ですよ。
本当に辛い時は俺もいます。瑞希さんを支えますから」
本当の心を明かせるのは翠だけだ。翠を頼っている自分に気付く。
「翠君」
言おうと思って口を開くが、声は出ずに噤んだ。それ以上は言えない。
「なんですか?」
「なんでもない」
立場やプライドなど全てを忘れて、翠に慰めを求めようとしていた自分に気付いたのだ。
ここで本音を見せてしまえば、今バランスが取れている翠との関係が変わってしまうような気がした。
涙を袖で拭いてテレビに目を向ける。画面の中の伊吹は辛そうに悶えており、それを見るだけで辛さも、苦しみも、後悔も全てが報われた気がした。
───────────────────
※あともう一話、おまけ書いて終わります。
もう少しよろしくお願いします。
翠は基本的にインドア派だ。用がなければ自宅にいるので、一人でコツコツと立てた計画の話をするのに、伊吹がいない今がちょうどいい。
翠の将来や家族の話から始めて、上手く伊吹の話に持っていこうと思っていたら、翠の方から相談をし始めた。
しかも今はお互いがいない時を狙って伊吹とそれぞれ肉体関係を持っていたのに、翠から「3Pをしてもいい」と提案を受けたので、そのまま本題に入る事にした。
「それ、僕も考えてた事があってね。ちょっと僕の計画聞いてもらえるかな?」
「聞くだけなら」
「聞いたら頷いてくれると信じてるよ」
内容によっては聞けないという事だろうか。すぐにメインの話をしようと思ったが、更に前置きを付け足す事にした。
「翠君ってさ、伊吹をどうしたいと思ってる?」
「どうって?」
「翠君って前までSMプレイをせずに、ただ伊吹を束縛したいだけだったよね? それは今もかな?」
「まぁ……否定はしません。別に今となってはSMプレイもいいと思ってますよ。伊吹さんも喜びますし。嫌いじゃありません」
「ほんと!? じゃあ正式な奴隷契約とか」
「正式なって……まず奴隷契約? そのものが社会通念上」
「今そういう話いいから。SMプレイの延長みたいなものだよ」
「普段のSMと変わらないのでは?」
「いや大きく変わる。日常生活は今まで通りだけど、奴隷契約を結んだら伊吹の心も縛れるようになる」
「心も……」
「例えば伊吹がやる気ない時も、命令を聞いてくれる」
翠の目が輝いた。
心まで縛れる事に反応したようだ。
愛する人を縛りつけたい、支配したい、全てを受け入れてもらいたい、そんな浅ましい欲を翠も抱いている筈だ。
それは瑞希も同じだ。だからあそこまで反撥し合った。
「それは、魅力的ですね」
「でっしょー? 僕と翠君の二人で主人になったら、二人で伊吹に命令聞かせて、三人でSMやるのもいいよね。
また前みたいにSMショーやっても良さそうだし!」
「確かにそうですね」
「ショーの為のSMなら、前とは違って無償で翠君に吊りとか教えるしさ」
「いいんですか? 瑞希さんお金好きなのに」
「僕をそんな意地汚い人間だと思ってたわけ?」
「はい」
翠が躊躇う事なく頷くので、瑞希はショックを受けた。
(僕ってそんな風に思われてたの!?)
瑞希自身、その時の状況に応じて客の為にお金を出したりしているし、SM講習は相手が翠だから格安で引き受けた。
にもかかわらず、貯金に精を出していたからか、変な認識をされていた事は納得がいかない。
翠と違ってそれを表面に出す事はないが。
「ショック受けた」
「あっ。えと、すみません」
「いいよ。それでね、僕、知り合いに頼もうと思ってる事があるんだけど、翠君はどう思うかな?」
瑞希はスマホのとあるサイトを見せた。知り合いが営業しているニップルピアス専門の店だ。
写真がいくつかあり、それぞれの乳首にさまざまな形のピアスが飾られている。
「二つのピアスに僕と翠君の名前彫ってもらってさ、伊吹の乳首に着けようと思うんだ。伊吹が僕達の所有物だって証を身体に刻んでもらうの。
もちろん僕のお金でね? 翠君の二十歳のお祝いって事で、今回はプレゼントしてあげるよ」
「いいんですか!?」
「もちろん。で? 翠君は僕の提案に賛成? それとも反対する?」
「賛成です! さすが師匠です! あっ……でも伊吹さん、本当は痛がりなんだそうですよ。血を見るのも苦手とか」
「もちろん知ってるよ。だから良いんでしょ?」
翠はよく分からないという様子で首を傾げている。
「プレイが終わった後も、痛みが引くまで伊吹は苦しみ続けるんだよ。その度に僕や翠君を頭に思い浮かべるの。
そう考えただけでゾクゾクしない?」
「さすがドSですね」
「僕はね、愛する人を苦しめる為なら自分の犠牲も厭わないくらい、伊吹を傷付けたくてたまらないの」
「ちょっとそこは理解出来ませんが。分かりました、ピアスをしてもらう事は賛成します」
「うんうん。奴隷契約書も読んでもらって、伊吹のサインもらって~」
「奴隷契約って書面でするんですね」
「勿論! 本気で主従関係になろうって人達は、少数だけど書面でやってるよ。
メールで送ってる人もいるみたいだけど」
「はは……。でも、伊吹さんが了承してくれますかね?」
「しないわけないでしょ。伊吹だよ?」
と、翠に強がってみたはいいが、確かに伊吹が了承するかが不安要素だった。
最近の伊吹はSMプレイに身が入っていないように見える事が多い。
あまりやる気が感じられないのだ。
(伊吹が奴隷契約を喜ばないわけない……よね?)
当日になり、瑞希の不安は的中した。
「悪いけど、俺さぁ、今後SMプレイやめようと思っててさ」
聞き間違いだろうと思った。
(SMプレイ、やめる? 二十代になってから少し聴力弱くなったかな?)
伊吹の言葉を聞かなかった事にして、主人として命令を重ねた。
「とりあえず正座しなよ」
だが伊吹は命令に従わない。次の伊吹の言葉ははっきりと聞こえてきた。
「ごめん。二人とも……。俺、今Mじゃなくなったっぽいんだよね。
その気になるまで、SMプレイはNGにしてもいいかな?」
予想外だった。瑞希は俯いて考えた。
伊吹のM性は母親への罪悪感から来ているもので、Mではなくなったという事は母親への贖罪の気持ちが消えたという事だ。
それに関して、瑞希は長年伊吹の心を解放してあげたいという思いがあったので、喜ばしい事ではある。
だが、自分の欲を全て捨ててまで伊吹を優先しようなどというつもりは一切ない。
伊吹を支配したい気持ちは変わらない。
(ならばどうすればいいか?)
瑞希は記憶を辿った。そして、すぐに答えを見つけた。伊吹が「伊吹を憎悪する瑞希」を望んでいた事を。
瑞希にとっては不本意だ。伊吹を憎んでいた八年間は苦しいもので、許した今、ようやく愛している気持ちを隠さずに伊吹を奴隷に出来ると喜んでいたのに。
伊吹をその気にさせるには、あの苦痛を続けなければならない。
(嫌すぎる。けど、それでも、僕は、伊吹の苦しむ顔を拝む為なら、どんな犠牲を払っても──)
思考に三秒、腹を括るのに二秒。
瑞希はゆっくりと顔を上げた。
「お前さ、身勝手過ぎるだろ。僕が伊吹を好きで、愛していて、伊吹がいなきゃ生きるのも辛いって事は知ってるだろうけどな……。
だからって、昔の事許した覚えはねぇよ!!」
怒鳴る。八年間の苦しみを思い出すように、自分の心が抉られるのを感じながら。
「ひっ!! でも、許したって……、もう主従関係はないって……」
伊吹は戸惑っているが、分かっている。期待の目に変わり始めていると。
正解を引き当てた。それならもう後戻りは出来ない。
「そんなの建前に決まってんだろ。僕は最初にちゃんと言ったぞ。人生かけて復讐してやるって!!」
その後は伊吹がより苦痛を感じる事だけを考えた。予定外の事で翠も困惑していたが、瑞希の思いを汲み取ったようで、最後まで瑞希の味方をしていたように感じられた。
伊吹が大嫌いな放置プレイをした後、瑞希は伊吹に向けてカメラを設置し、翠の部屋でベッドに並んで腰をかけて、テレビ画面でカメラの映像を見ていた。
「瑞希さん、これで良かったんですか?」
翠が心配そうな目を向けてくる。昔なら強がって笑っていただろう。
瑞希は、素直に涙を溜めた顔を翠に見せた。
「僕、間違った事したかなぁ?」
声を出すと共に涙が零れた。翠が瑞希の肩を抱き寄せ、頭を優しく撫でてくる。
「俺はそう思いません。伊吹さん、嬉しそうでしたよ。これが伊吹さんが望む形だったんだと思います」
「僕、伊吹の事、憎んでない。本当に心から愛してるのに。これからもずっと憎み続けなきゃいけないの?
やだよ、本当は嫌。伊吹がNGって言ってるんだから、やめとけば良かった。
なんで僕の感情を優先しちゃったんだろう?」
「やめるなんて無理でしたよね? だってそれが瑞希さんなんですから。きっと伊吹さんも分かってる筈ですよ。
本当に辛い時は俺もいます。瑞希さんを支えますから」
本当の心を明かせるのは翠だけだ。翠を頼っている自分に気付く。
「翠君」
言おうと思って口を開くが、声は出ずに噤んだ。それ以上は言えない。
「なんですか?」
「なんでもない」
立場やプライドなど全てを忘れて、翠に慰めを求めようとしていた自分に気付いたのだ。
ここで本音を見せてしまえば、今バランスが取れている翠との関係が変わってしまうような気がした。
涙を袖で拭いてテレビに目を向ける。画面の中の伊吹は辛そうに悶えており、それを見るだけで辛さも、苦しみも、後悔も全てが報われた気がした。
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※あともう一話、おまけ書いて終わります。
もう少しよろしくお願いします。
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