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四章
二十四話 奴隷契約
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伊吹は翠が両親と和解してからというもの、人生初と言っていい程の穏やかな毎日を送っていた。
仕事も順調、大学は卒業を待つばかり、プライベートも何もトラブルは起きない。
特に何も不満もない、心穏やかな毎日にも少しずつ慣れてきた。
仕事を終えた伊吹は、夜の二十時にはラブピーチを出た。
伊吹は店長代理という肩書きで仕事をしている。今日は日勤だった。
ホテルから自宅まではかなり近い。空気が冷たい夜道を、空を見上げ、綺麗な月を見ながら夜道を歩いた。
(店長業務も大分慣れたし、新しく作るSMホテルも工事は進んでるし。このまま順調に行けば、来年の九月頃オープン出来る。
その前に瑞希には知られてしまうかもしれないけど……もう隠す必要ないし)
全てが順調だ。翠への生活費は今は翠の両親が払っており、翠自身も積極的に居酒屋のバイトで稼いでいるので、金銭的な負担も減った。
瑞希も仕事が順調なようで、あと少しで目標金額貯金出来ると話していた。貯金して何をしたいのかは知らないが。時が来たら教えてくれるだろうと、敢えて聞いていない。
平穏な日々というのはこういうものかと、しみじみ思う毎日。充実していると心も満たされてくる。
三人それぞれが忙しいお陰でSMプレイもあまり出来ない。たまに瑞希の乱交パーティーに参加はするが……。
(正直、セックスとかしなくても生きていけるよな。なんであんなに夢中になってやってたのか、今の自分には理解出来ないな)
そんな考えに変わってからは乱交パーティーの参加もしなくなった。
翠や瑞希からのセックスの誘いは拒みはしないが、『これ終わったらスマホチェックして、ゲームも少ししたいな、明日早いし早く寝たい』等と考えており、あまり集中は出来ていない。
伊吹自身の母親の事で、長年思い悩んできたが、翠のお陰でそんな事をしなくていいのだと考えを変えてから生きるのが楽にはなった。だがその分SMプレイはつまらなくなった。
(よくよく思い出してみると、精神的に落ちてる時に自分を責めながらご主人様に罰を与えてもらうのが、最高に気持ち良かったんだよな。
ポジティブになっちまうと、SMやる必要性がなくなる。瑞希や翠には悪いけど……SMプレイはNGって言っておくかな)
変に病んでいただけだと自己分析の答えが出た頃には、自宅に着いていた。
鍵を開けて入ると、珍しく翠と瑞希が二人で出迎えてくれた。
「おかえりなさい! 伊吹さん!」
「お疲れ様~。伊吹、こっち来て!」
「ただいま。どうしたんだ?」
連れて行かれたのは瑞希の部屋だ。瑞希が住むまでは翠とのSMルームにしていたが、今は瑞希の部屋である。
壁には一面、棚が設置されており、SMで使う道具がズラリと並んでいる。
「何?」
「伊吹さん、床の上正座してください」
「伊吹にしてもらいたい事があってさぁ」
これはSMプレイに入る直前の準備運動だと気付いた伊吹は、肩を竦めた。
「悪いけど、俺さぁ、今後SMプレイやめようと思っててさ」
「とりあえず正座しなよ」
瑞希の鋭い眼光が伊吹を射抜く。『そういえば、瑞希ってご主人様だったなぁ』という感想が脳裏に浮かぶばかりで、命令に従えない。
少しドキドキするが、Mになってプレイしたい気分にはならない。
「ごめん。二人とも……。俺、今Mじゃなくなったっぽいんだよね。
その気になるまで、SMプレイはNGにしてもいいかな?」
二人からの返事はない。責められるだろうかと考えると二人を見れずに俯いた。数秒の時間が長く感じる。
「あ?」
瑞希の静かに怒り始めた声が聞こえた。恐る恐るそちらに目を向けると、瑞希の表情は今までにない程の怒りを湛えており、伊吹はドキッと心臓が飛び跳ねた感覚に陥った。
──恐怖だ。
「お前さ、身勝手過ぎるだろ。僕が伊吹を好きで、愛していて、伊吹がいなきゃ生きるのも辛いって事は知ってるだろうけどな……。
だからって、昔の事許した覚えはねぇよ!!」
「ひっ! でも、許したって……、もう主従関係はないって……」
「そんなの建前に決まってんだろ。僕は最初にちゃんと言ったぞ。人生かけて復讐してやるって!!」
瑞希が迫り来て、伊吹の胸倉を掴みあげた。向けてくる目は、伊吹を憎悪した時の恨みのこもった懐かしい目だ。
それだけで全てが解決する話だった。伊吹はこれを求めていたのだ。
(きたっ!! これ! これだよ! 俺の人生に必須で、俺の生活を潤してくれる恐怖!)
伊吹は思い出した。瑞希に憎悪の目で見られる事がなにより快感だったと。
罪悪感もあったが、瑞希が恨み続ける内は伊吹の事を忘れず、尚且つ痛みもくれるのだ。
穏やかな毎日に、その刺激を忘れていた。
これこそが伊吹にとって必要なものだったのだ。
(俺は本当、クズだ。最低な奴だ。そんな俺を受け入れてくれる瑞希と翠が俺を責めてくれるのに、拒む理由なんてないだろ)
瑞希が掴んでいる手を離すと、伊吹はすぐに三つ指をついて頭を下げた。
「申し訳ありませんでした。ご主人様。奴隷としての自覚が足りず、お手を煩わせてしまいました。
どうか、この俺に罰を下さい」
「伊吹さん……」
ずっと瑞希の後ろで困惑していた翠が伊吹に話し掛けた。伊吹は決して頭を上げずに答える。上げていいと許しを得ていない。
「はい、ご主人様」
「本当に伊吹さんは俺の想像を超えたドMですね。やっぱりご主人様は瑞希さんだけの方がいいですか?」
「いえ! 翠様もこんな俺で良ければ、ご主人様として厳しくご指導ください!
ここ最近の翠様は、Sの時も俺を労わるようにして下さって、本当に有難く思っています。
ですが、本当は理性を失ったように、本気で殺してきそうな暴力行為をされるのが一番好きでした。申し訳ありません!」
「翠君、伊吹のこれは病気っぽいね。ごめんね、なんかDV直させようとしちゃって」
「いえ。瑞希さんの言ってた事は正しい事ですから。ちょっと伊吹さんがおかしいだけで。
じゃあ、このまま俺達の話進めても大丈夫そうですね」
「そうみたいね。おい伊吹」
「はいご主人様!」
瑞希が膝を着いて伊吹の前に、伊吹が読めるように紙を置いた。
ザッと読むと、伊吹の男性器は勃ってしまった。
「後でこれにサインしてくれる? 僕と翠君で考えたから拒まない事」
「勿論です!!」
「じゃあ、今それを僕と翠君の前で声に出して読んで宣言しろ」
伊吹は身体を起こすと、その紙を両手で持ち、読み始めた。
「奴隷契約書。
わたくし篠伊吹は、柳川翠様、佐々木瑞希様をご主人様である事に同意をし、いついかなる時もご主人様方の命令に背く事なく、命令を遵守致します。
わたくし篠伊吹は、奴隷としてご主人様方の所有物として、全ての権利をご主人様方に委任する事を約束致します。
わたくし篠伊吹は、今後の人生全てと、自身の全身と命をかけて、心からご主人様方に尽くす事を誓います。
この契約は、篠伊吹が死ぬまで放棄は出来ないものとします」
全て読み終わると、伊吹の身体は興奮で熱くなっていた。
下半身もとっくに硬くなっており、目もトロンとして口元が緩んでいる。
「伊吹さん、これで俺と瑞希さんと奴隷契約を交わす事になりますよ。分かってますね?」
「はい。嬉しいです。早く翠様と瑞希様のものにして下さい。どんな扱いも受け入れます」
ニコリと微笑む瑞希と、ホッとした様子の翠が顔を見合せて頷くと、瑞希がペアリングケースのような横に長い長方形の箱を伊吹に見せた。
「瑞希様。これは?」
瑞希がパカッと開くと、そこには指輪にしては小さいシルバーのリングらしきものが二つ用意されていた。
「これね、裏に名前が彫ってあるの。右が翠君で、左が僕」
瑞希はそのリングを取り出して伊吹に見せた。全部が見えると、それがニップルピアスだと分かった。
裏側を見せてもらうと確かに「Sui」と「Mizuki」と彫られてある。
「伊吹が僕達の奴隷になった証を、お前の乳首に付けていい?」
瑞希は伊吹のシャツ越しに両方の乳首を摘み、押し潰すようにして引っ張った。
「はぁうっ……! もちろんです。俺を翠様と瑞希様のモノにして下さい。この身体に奴隷である証を刻んで下さい」
今にも射精をしてしまいそうな程、興奮は冷めない。それは瑞希も同じようで、ドSの顔のまま自信に溢れた笑みで伊吹を見つめている。
一方翠は緊張した面持ちだったが、伊吹の主人になる覚悟を持ったのだろう。キリっと真剣な目を伊吹に向けている。
これから一生、二人の所有物になるのだと考えるだけで、自身がドMである事を嬉しく思うのだった。
仕事も順調、大学は卒業を待つばかり、プライベートも何もトラブルは起きない。
特に何も不満もない、心穏やかな毎日にも少しずつ慣れてきた。
仕事を終えた伊吹は、夜の二十時にはラブピーチを出た。
伊吹は店長代理という肩書きで仕事をしている。今日は日勤だった。
ホテルから自宅まではかなり近い。空気が冷たい夜道を、空を見上げ、綺麗な月を見ながら夜道を歩いた。
(店長業務も大分慣れたし、新しく作るSMホテルも工事は進んでるし。このまま順調に行けば、来年の九月頃オープン出来る。
その前に瑞希には知られてしまうかもしれないけど……もう隠す必要ないし)
全てが順調だ。翠への生活費は今は翠の両親が払っており、翠自身も積極的に居酒屋のバイトで稼いでいるので、金銭的な負担も減った。
瑞希も仕事が順調なようで、あと少しで目標金額貯金出来ると話していた。貯金して何をしたいのかは知らないが。時が来たら教えてくれるだろうと、敢えて聞いていない。
平穏な日々というのはこういうものかと、しみじみ思う毎日。充実していると心も満たされてくる。
三人それぞれが忙しいお陰でSMプレイもあまり出来ない。たまに瑞希の乱交パーティーに参加はするが……。
(正直、セックスとかしなくても生きていけるよな。なんであんなに夢中になってやってたのか、今の自分には理解出来ないな)
そんな考えに変わってからは乱交パーティーの参加もしなくなった。
翠や瑞希からのセックスの誘いは拒みはしないが、『これ終わったらスマホチェックして、ゲームも少ししたいな、明日早いし早く寝たい』等と考えており、あまり集中は出来ていない。
伊吹自身の母親の事で、長年思い悩んできたが、翠のお陰でそんな事をしなくていいのだと考えを変えてから生きるのが楽にはなった。だがその分SMプレイはつまらなくなった。
(よくよく思い出してみると、精神的に落ちてる時に自分を責めながらご主人様に罰を与えてもらうのが、最高に気持ち良かったんだよな。
ポジティブになっちまうと、SMやる必要性がなくなる。瑞希や翠には悪いけど……SMプレイはNGって言っておくかな)
変に病んでいただけだと自己分析の答えが出た頃には、自宅に着いていた。
鍵を開けて入ると、珍しく翠と瑞希が二人で出迎えてくれた。
「おかえりなさい! 伊吹さん!」
「お疲れ様~。伊吹、こっち来て!」
「ただいま。どうしたんだ?」
連れて行かれたのは瑞希の部屋だ。瑞希が住むまでは翠とのSMルームにしていたが、今は瑞希の部屋である。
壁には一面、棚が設置されており、SMで使う道具がズラリと並んでいる。
「何?」
「伊吹さん、床の上正座してください」
「伊吹にしてもらいたい事があってさぁ」
これはSMプレイに入る直前の準備運動だと気付いた伊吹は、肩を竦めた。
「悪いけど、俺さぁ、今後SMプレイやめようと思っててさ」
「とりあえず正座しなよ」
瑞希の鋭い眼光が伊吹を射抜く。『そういえば、瑞希ってご主人様だったなぁ』という感想が脳裏に浮かぶばかりで、命令に従えない。
少しドキドキするが、Mになってプレイしたい気分にはならない。
「ごめん。二人とも……。俺、今Mじゃなくなったっぽいんだよね。
その気になるまで、SMプレイはNGにしてもいいかな?」
二人からの返事はない。責められるだろうかと考えると二人を見れずに俯いた。数秒の時間が長く感じる。
「あ?」
瑞希の静かに怒り始めた声が聞こえた。恐る恐るそちらに目を向けると、瑞希の表情は今までにない程の怒りを湛えており、伊吹はドキッと心臓が飛び跳ねた感覚に陥った。
──恐怖だ。
「お前さ、身勝手過ぎるだろ。僕が伊吹を好きで、愛していて、伊吹がいなきゃ生きるのも辛いって事は知ってるだろうけどな……。
だからって、昔の事許した覚えはねぇよ!!」
「ひっ! でも、許したって……、もう主従関係はないって……」
「そんなの建前に決まってんだろ。僕は最初にちゃんと言ったぞ。人生かけて復讐してやるって!!」
瑞希が迫り来て、伊吹の胸倉を掴みあげた。向けてくる目は、伊吹を憎悪した時の恨みのこもった懐かしい目だ。
それだけで全てが解決する話だった。伊吹はこれを求めていたのだ。
(きたっ!! これ! これだよ! 俺の人生に必須で、俺の生活を潤してくれる恐怖!)
伊吹は思い出した。瑞希に憎悪の目で見られる事がなにより快感だったと。
罪悪感もあったが、瑞希が恨み続ける内は伊吹の事を忘れず、尚且つ痛みもくれるのだ。
穏やかな毎日に、その刺激を忘れていた。
これこそが伊吹にとって必要なものだったのだ。
(俺は本当、クズだ。最低な奴だ。そんな俺を受け入れてくれる瑞希と翠が俺を責めてくれるのに、拒む理由なんてないだろ)
瑞希が掴んでいる手を離すと、伊吹はすぐに三つ指をついて頭を下げた。
「申し訳ありませんでした。ご主人様。奴隷としての自覚が足りず、お手を煩わせてしまいました。
どうか、この俺に罰を下さい」
「伊吹さん……」
ずっと瑞希の後ろで困惑していた翠が伊吹に話し掛けた。伊吹は決して頭を上げずに答える。上げていいと許しを得ていない。
「はい、ご主人様」
「本当に伊吹さんは俺の想像を超えたドMですね。やっぱりご主人様は瑞希さんだけの方がいいですか?」
「いえ! 翠様もこんな俺で良ければ、ご主人様として厳しくご指導ください!
ここ最近の翠様は、Sの時も俺を労わるようにして下さって、本当に有難く思っています。
ですが、本当は理性を失ったように、本気で殺してきそうな暴力行為をされるのが一番好きでした。申し訳ありません!」
「翠君、伊吹のこれは病気っぽいね。ごめんね、なんかDV直させようとしちゃって」
「いえ。瑞希さんの言ってた事は正しい事ですから。ちょっと伊吹さんがおかしいだけで。
じゃあ、このまま俺達の話進めても大丈夫そうですね」
「そうみたいね。おい伊吹」
「はいご主人様!」
瑞希が膝を着いて伊吹の前に、伊吹が読めるように紙を置いた。
ザッと読むと、伊吹の男性器は勃ってしまった。
「後でこれにサインしてくれる? 僕と翠君で考えたから拒まない事」
「勿論です!!」
「じゃあ、今それを僕と翠君の前で声に出して読んで宣言しろ」
伊吹は身体を起こすと、その紙を両手で持ち、読み始めた。
「奴隷契約書。
わたくし篠伊吹は、柳川翠様、佐々木瑞希様をご主人様である事に同意をし、いついかなる時もご主人様方の命令に背く事なく、命令を遵守致します。
わたくし篠伊吹は、奴隷としてご主人様方の所有物として、全ての権利をご主人様方に委任する事を約束致します。
わたくし篠伊吹は、今後の人生全てと、自身の全身と命をかけて、心からご主人様方に尽くす事を誓います。
この契約は、篠伊吹が死ぬまで放棄は出来ないものとします」
全て読み終わると、伊吹の身体は興奮で熱くなっていた。
下半身もとっくに硬くなっており、目もトロンとして口元が緩んでいる。
「伊吹さん、これで俺と瑞希さんと奴隷契約を交わす事になりますよ。分かってますね?」
「はい。嬉しいです。早く翠様と瑞希様のものにして下さい。どんな扱いも受け入れます」
ニコリと微笑む瑞希と、ホッとした様子の翠が顔を見合せて頷くと、瑞希がペアリングケースのような横に長い長方形の箱を伊吹に見せた。
「瑞希様。これは?」
瑞希がパカッと開くと、そこには指輪にしては小さいシルバーのリングらしきものが二つ用意されていた。
「これね、裏に名前が彫ってあるの。右が翠君で、左が僕」
瑞希はそのリングを取り出して伊吹に見せた。全部が見えると、それがニップルピアスだと分かった。
裏側を見せてもらうと確かに「Sui」と「Mizuki」と彫られてある。
「伊吹が僕達の奴隷になった証を、お前の乳首に付けていい?」
瑞希は伊吹のシャツ越しに両方の乳首を摘み、押し潰すようにして引っ張った。
「はぁうっ……! もちろんです。俺を翠様と瑞希様のモノにして下さい。この身体に奴隷である証を刻んで下さい」
今にも射精をしてしまいそうな程、興奮は冷めない。それは瑞希も同じようで、ドSの顔のまま自信に溢れた笑みで伊吹を見つめている。
一方翠は緊張した面持ちだったが、伊吹の主人になる覚悟を持ったのだろう。キリっと真剣な目を伊吹に向けている。
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