126 / 139
四章
十五話 伊吹のいない日々
しおりを挟む
伊吹と喧嘩してから一ヶ月が経った。あれから一度も伊吹とは会ってもいないし、連絡すら取っていない。
瑞希のSM講習も終わってしまった。
終わる日の最後。
別れる間際、瑞希はいつになく真面目な顔をして、一切茶化す事なく翠に話した。
「今後、何かあっても僕には絶対に頼らないで欲しい。自分達で解決する事」
「え? は、はい」
「伊吹ってね、ああ見えて自己肯定感低くて、自分に自信ないの。
昔、伊吹のお母さんがね、伊吹のお父さんからDVを受けてたんだ。結局、お母さんは伊吹を置いて家を出ちゃってね、伊吹はずっと自分が悪いって思ってる」
「そんなっ、それ伊吹さん悪くないじゃないですか」
「うん。でも、伊吹は自分がSMプレイで痛みを受ける事で、過去にお母さんを守れなかった自分に罰を与えてるつもりなの。
まぁそれが快楽になって止められなくなってるんだけど。ねぇ翠君……本当に本気で伊吹を任せたよ。
僕は君達から連絡を受けても、もう一切助けない。僕は死んだものと思って。
じゃあね、さよなら」
瑞希はそれだけ言って去っていった。最初は嫌いだった相手でも、いなくなると虚無感に襲われた。
もう少し瑞希を大事にしていれば、一ヶ月も伊吹に会えなくなる事もなかっただろうか……と考えてやめる。
たらればを言っても無駄だ。過ぎた時間は戻らない。過ぎた事を踏まえて前を見るべきだ。
また高校時代のようにストーカーをしようかとも思ったが、やめた。伊吹の姿を見たが最後、近寄らずにはいられない。
(会いたい……会いたい……)
伊吹に会いたい気持ちを紛らわせる何かを探そうと思うが、何をしていいか分からない。
結局自宅の寝室でゴロゴロと唸っていると、丁度いいタイミングで大学のサークルメンバーである佐藤から電話がかかってきた。
知り合いと会話をすれば少しは紛れるだろうかと電話に出る。
「はい、もしもし?」
「もしもし! 柳川! 一緒にバイトしないか?」
「いきなりなんですか?」
「実はさ、俺、居酒屋のバイトしてんだけど、人手不足でさ。柳川って真面目じゃん、だから安心して頼めると思って。
ダメ元で聞いてるだけだから、嫌だったら大丈夫なんだけど」
「いいですよ」
「そうだよな、聞いてみただけだから気にしないでくれ」
佐藤の声が優しい声に変わる。断っても気にしなくていいぞと
「だから、いいですよってば。なんです、皆して俺が断るの前提で話してくるなんて、失礼な」
「だって、篠君いないけど?」
「分かってます。伊吹さんと喧嘩中でやる事もないんですよ。気を紛らわしたかったので丁度いいです」
「篠君と仲直りしたから辞めるとかは無しだぞ?」
「……とりあえず夏休みの間だけでも良いですか?」
「面接の時に店長に言ってみて! 多分大丈夫だと思う」
その翌週からバイト生活が始まった。相変わらず伊吹からの連絡は来ず、夜七時から深夜零時まで、厨房に入る事になった。
佐藤と翠の関係がサークルの先輩後輩という事で、仕事は基本佐藤から教わる。
「って感じだ。そんなに難しくないだろ?」
「はい」
慣れない作業着に慣れない仕事だが、普段から料理はしている上に初心者でも出来る仕事だ。
物覚えの良い翠は覚える事だけなら簡単だった。
問題は周囲の人間関係だったが、佐藤が間に入る事ですぐに職場の雰囲気に溶け込めた。
一週間後には職場内でも友人が出来、バイト終わりに飲みに行くようになった。
「柳川、佐藤! こっち! この店俺の行きつけなんだわ」
手招きながらさっさと歩くのは、職場で知り合った渡邉幸希という男だ。一歳年上の専門学生である。
既に就職先が決まっており、学校を卒業するまで居酒屋のバイトを続けている。
体育会系で、筋肉質な翠よりも腕や胴体、脚が一回りずつ太い。背は翠より低いがそれでも175センチはあるので平均よりは高い方だ。キリッとした目付きに、男気ある短髪。
佐藤と仲が良く、翠にも面倒を見てくれる頼りがいのある青年だ。
「渡邉さん、ちょっと待って下さいよ。速いです!」
「まぁまぁ。ゆっくりついて行こうぜ」
騒ぐ翠を佐藤が穏やかに止める。
癖の強くない佐藤とは上手く付き合えている実感があるが、少し癖のある渡邉とはまだ距離感が掴めない。
まるで伊吹と瑞希と三人でいる時のようだ。
入った飲み屋は深夜三時まで営業している店だ。店内はサラリーマンが多く、壁には日本酒の瓶がズラりと並んでいる。
少し狭いが、それも雰囲気を楽しむ一つの要素だろう。渡邉は指定席に向かうかの如く、奥の席へと迷わずに進んだ。
渡邉が一番奥に座り、佐藤と翠は渡邉と向かい合うように並んで座る。
先に渡邉と佐藤がビールを頼み、翠がウーロン茶を頼んだ。まだ十八歳である翠は酒は飲めない。その代わりか翠の好きな食べ物をいくつか頼む。
「お疲れ様ー!」
三人でグラスを鳴らして飲み始める。バイト終わりでテンションが上がっているのも相まって、気分は最高潮だ。
「そういや、柳川は大学入ってからはバイトするのここが初めてって言ってたよな?」
「大学入ったからって事は、高校の時はやってたのか?」
気分の良さげな渡邉が翠に問う。佐藤も興味ありげに重ねた。
「あ、はい。高校の時、お金貯めたくて平日はコンビニのバイト、土日祝日に引越しのバイトとかしてました」
伊吹をストーカーする為のバイトだった。家に帰りたくないというのもあり、普段は学校終わりにバイトに行き、長期休暇はバイトは一切せずに伊吹を遠くから見ていた。
「大学入ってからは親の仕送りかぁ。どうせ篠に金かけすぎて金欠になったんだろ?」
「いえ、そんな事は! 寧ろ、稼がせてもらってましたよ」
「篠?」
渡邉は話についていけず首を傾げた。すかさず佐藤が返す。
「篠は翠の彼女!」
「かっ!? 彼女じゃないですよ!」
彼女ではない。語弊だと翠が言い返そうとするが、テーブルの下で佐藤が肘で翠の腰をドンッと軽く押した。
彼氏がいると言えば説明も面倒だと佐藤は言いたいらしい。
確かに、渡邉がどう反応するかも分からないし、隠しておいた方が得だと翠は佐藤に合わせて頷く事にした。
「えっと、彼女、です」
「彼女持ちかよ。いいなぁ。で、稼がせてもらってるって?」
「彼女、ある事業をしてまして、たまに手伝うと報酬をくれるんですよ」
「へぇ。すっげー! 養ってもらえるじゃん」
「そういうわけにはいきませんよ。将来は、俺がか……彼女を支えたいと思ってますから……」
「熱いねぇ。彼女には頼らず自分でバイトしようって居酒屋のバイト始めたのか?」
「えっと、ちょっと違います。彼女の事業、俺の手伝いはもう必要ないみたいで……っていうのもあるんですが、親の仕送りがちょっと……」
歯切れの悪い翠の言い様に、佐藤と渡邉はにやついた。
「ははぁ、減らされたんだろ? 少しは自分で稼げって言われたか?」
「いえ……。俺、親とかなり仲悪くて。あの人達とは一生分かり合えないと思ってて。
大学も、実家から遠いところにして、家賃とか生活費含めて二十万を振り込んでもらってたんですけど……」
「金持ちかよ! 親と仲悪くても良いから金欲しいわ」
「渡邉、そんな事言ったら駄目だよ」
なにやら興奮気味の渡邉を佐藤が制止している。
「大丈夫ですよ。ですけど、なんか最近おかしいんですよね。先月から何故か金額が三十万振り込まれるようになって」
「金額間違えたのかな?」
「それはないですよ。振込金額は毎月決まった金額と日にちで設定して送ってる筈ですし。
怖いから増えた分は手をつけてないんです」
「怖い?」
「多分……多くお金受け取ったんだから、その分家に尽くせって言ってくるに違いないです。
そういう奴らなんです。俺より家の体裁が大事で、成績も一位以外はゴミだと思ってますよ。
実家には二度と戻らないつもりで家を出ました」
すると佐藤が親身に翠の顔を覗き込むように言った。
「何かあったら俺でも渡邉でも言うんだぞ。
逃げ場くらいは用意してやれるから」
「おう! 俺に出来る事ならなんでも言えよ!」
二人の先輩は頼りがいがあり、翠は佐藤はもちろんの事、渡邉にも心を許して微笑んだ。
「ありがとうございます」
その後も伊吹からの連絡はない。
辛さに耐えられなくなりそうになった時もあったが、佐藤や渡邉、サークルの仲間達との交流が増えたり、バイトの忙しさ等から、精神的に安定する事が多かった。
前向きになると、ネガティブだった感情は一切なくなる。翠は伊吹を信じる事にした。
きっとすぐに連絡をくれると。それまでは自分から連絡はしないと決めた。
結局、大学の後期が始まっても連絡は来ず、サークルの飲み会にも伊吹は顔を出さない。
翠は仲良くなったメンバーとだけ絡んでいたので、以前に伊吹の事で一悶着あった夏鈴とは顔を合わせる事すらしなかった。
噂で伊吹は飲み会には参加しないが、文化祭の準備はきちんとしていると話を聞けた。
翠はそれで安心したのだった。
(伊吹さんが元気でやってるのなら、今はそれで十分だ)
瑞希のSM講習も終わってしまった。
終わる日の最後。
別れる間際、瑞希はいつになく真面目な顔をして、一切茶化す事なく翠に話した。
「今後、何かあっても僕には絶対に頼らないで欲しい。自分達で解決する事」
「え? は、はい」
「伊吹ってね、ああ見えて自己肯定感低くて、自分に自信ないの。
昔、伊吹のお母さんがね、伊吹のお父さんからDVを受けてたんだ。結局、お母さんは伊吹を置いて家を出ちゃってね、伊吹はずっと自分が悪いって思ってる」
「そんなっ、それ伊吹さん悪くないじゃないですか」
「うん。でも、伊吹は自分がSMプレイで痛みを受ける事で、過去にお母さんを守れなかった自分に罰を与えてるつもりなの。
まぁそれが快楽になって止められなくなってるんだけど。ねぇ翠君……本当に本気で伊吹を任せたよ。
僕は君達から連絡を受けても、もう一切助けない。僕は死んだものと思って。
じゃあね、さよなら」
瑞希はそれだけ言って去っていった。最初は嫌いだった相手でも、いなくなると虚無感に襲われた。
もう少し瑞希を大事にしていれば、一ヶ月も伊吹に会えなくなる事もなかっただろうか……と考えてやめる。
たらればを言っても無駄だ。過ぎた時間は戻らない。過ぎた事を踏まえて前を見るべきだ。
また高校時代のようにストーカーをしようかとも思ったが、やめた。伊吹の姿を見たが最後、近寄らずにはいられない。
(会いたい……会いたい……)
伊吹に会いたい気持ちを紛らわせる何かを探そうと思うが、何をしていいか分からない。
結局自宅の寝室でゴロゴロと唸っていると、丁度いいタイミングで大学のサークルメンバーである佐藤から電話がかかってきた。
知り合いと会話をすれば少しは紛れるだろうかと電話に出る。
「はい、もしもし?」
「もしもし! 柳川! 一緒にバイトしないか?」
「いきなりなんですか?」
「実はさ、俺、居酒屋のバイトしてんだけど、人手不足でさ。柳川って真面目じゃん、だから安心して頼めると思って。
ダメ元で聞いてるだけだから、嫌だったら大丈夫なんだけど」
「いいですよ」
「そうだよな、聞いてみただけだから気にしないでくれ」
佐藤の声が優しい声に変わる。断っても気にしなくていいぞと
「だから、いいですよってば。なんです、皆して俺が断るの前提で話してくるなんて、失礼な」
「だって、篠君いないけど?」
「分かってます。伊吹さんと喧嘩中でやる事もないんですよ。気を紛らわしたかったので丁度いいです」
「篠君と仲直りしたから辞めるとかは無しだぞ?」
「……とりあえず夏休みの間だけでも良いですか?」
「面接の時に店長に言ってみて! 多分大丈夫だと思う」
その翌週からバイト生活が始まった。相変わらず伊吹からの連絡は来ず、夜七時から深夜零時まで、厨房に入る事になった。
佐藤と翠の関係がサークルの先輩後輩という事で、仕事は基本佐藤から教わる。
「って感じだ。そんなに難しくないだろ?」
「はい」
慣れない作業着に慣れない仕事だが、普段から料理はしている上に初心者でも出来る仕事だ。
物覚えの良い翠は覚える事だけなら簡単だった。
問題は周囲の人間関係だったが、佐藤が間に入る事ですぐに職場の雰囲気に溶け込めた。
一週間後には職場内でも友人が出来、バイト終わりに飲みに行くようになった。
「柳川、佐藤! こっち! この店俺の行きつけなんだわ」
手招きながらさっさと歩くのは、職場で知り合った渡邉幸希という男だ。一歳年上の専門学生である。
既に就職先が決まっており、学校を卒業するまで居酒屋のバイトを続けている。
体育会系で、筋肉質な翠よりも腕や胴体、脚が一回りずつ太い。背は翠より低いがそれでも175センチはあるので平均よりは高い方だ。キリッとした目付きに、男気ある短髪。
佐藤と仲が良く、翠にも面倒を見てくれる頼りがいのある青年だ。
「渡邉さん、ちょっと待って下さいよ。速いです!」
「まぁまぁ。ゆっくりついて行こうぜ」
騒ぐ翠を佐藤が穏やかに止める。
癖の強くない佐藤とは上手く付き合えている実感があるが、少し癖のある渡邉とはまだ距離感が掴めない。
まるで伊吹と瑞希と三人でいる時のようだ。
入った飲み屋は深夜三時まで営業している店だ。店内はサラリーマンが多く、壁には日本酒の瓶がズラりと並んでいる。
少し狭いが、それも雰囲気を楽しむ一つの要素だろう。渡邉は指定席に向かうかの如く、奥の席へと迷わずに進んだ。
渡邉が一番奥に座り、佐藤と翠は渡邉と向かい合うように並んで座る。
先に渡邉と佐藤がビールを頼み、翠がウーロン茶を頼んだ。まだ十八歳である翠は酒は飲めない。その代わりか翠の好きな食べ物をいくつか頼む。
「お疲れ様ー!」
三人でグラスを鳴らして飲み始める。バイト終わりでテンションが上がっているのも相まって、気分は最高潮だ。
「そういや、柳川は大学入ってからはバイトするのここが初めてって言ってたよな?」
「大学入ったからって事は、高校の時はやってたのか?」
気分の良さげな渡邉が翠に問う。佐藤も興味ありげに重ねた。
「あ、はい。高校の時、お金貯めたくて平日はコンビニのバイト、土日祝日に引越しのバイトとかしてました」
伊吹をストーカーする為のバイトだった。家に帰りたくないというのもあり、普段は学校終わりにバイトに行き、長期休暇はバイトは一切せずに伊吹を遠くから見ていた。
「大学入ってからは親の仕送りかぁ。どうせ篠に金かけすぎて金欠になったんだろ?」
「いえ、そんな事は! 寧ろ、稼がせてもらってましたよ」
「篠?」
渡邉は話についていけず首を傾げた。すかさず佐藤が返す。
「篠は翠の彼女!」
「かっ!? 彼女じゃないですよ!」
彼女ではない。語弊だと翠が言い返そうとするが、テーブルの下で佐藤が肘で翠の腰をドンッと軽く押した。
彼氏がいると言えば説明も面倒だと佐藤は言いたいらしい。
確かに、渡邉がどう反応するかも分からないし、隠しておいた方が得だと翠は佐藤に合わせて頷く事にした。
「えっと、彼女、です」
「彼女持ちかよ。いいなぁ。で、稼がせてもらってるって?」
「彼女、ある事業をしてまして、たまに手伝うと報酬をくれるんですよ」
「へぇ。すっげー! 養ってもらえるじゃん」
「そういうわけにはいきませんよ。将来は、俺がか……彼女を支えたいと思ってますから……」
「熱いねぇ。彼女には頼らず自分でバイトしようって居酒屋のバイト始めたのか?」
「えっと、ちょっと違います。彼女の事業、俺の手伝いはもう必要ないみたいで……っていうのもあるんですが、親の仕送りがちょっと……」
歯切れの悪い翠の言い様に、佐藤と渡邉はにやついた。
「ははぁ、減らされたんだろ? 少しは自分で稼げって言われたか?」
「いえ……。俺、親とかなり仲悪くて。あの人達とは一生分かり合えないと思ってて。
大学も、実家から遠いところにして、家賃とか生活費含めて二十万を振り込んでもらってたんですけど……」
「金持ちかよ! 親と仲悪くても良いから金欲しいわ」
「渡邉、そんな事言ったら駄目だよ」
なにやら興奮気味の渡邉を佐藤が制止している。
「大丈夫ですよ。ですけど、なんか最近おかしいんですよね。先月から何故か金額が三十万振り込まれるようになって」
「金額間違えたのかな?」
「それはないですよ。振込金額は毎月決まった金額と日にちで設定して送ってる筈ですし。
怖いから増えた分は手をつけてないんです」
「怖い?」
「多分……多くお金受け取ったんだから、その分家に尽くせって言ってくるに違いないです。
そういう奴らなんです。俺より家の体裁が大事で、成績も一位以外はゴミだと思ってますよ。
実家には二度と戻らないつもりで家を出ました」
すると佐藤が親身に翠の顔を覗き込むように言った。
「何かあったら俺でも渡邉でも言うんだぞ。
逃げ場くらいは用意してやれるから」
「おう! 俺に出来る事ならなんでも言えよ!」
二人の先輩は頼りがいがあり、翠は佐藤はもちろんの事、渡邉にも心を許して微笑んだ。
「ありがとうございます」
その後も伊吹からの連絡はない。
辛さに耐えられなくなりそうになった時もあったが、佐藤や渡邉、サークルの仲間達との交流が増えたり、バイトの忙しさ等から、精神的に安定する事が多かった。
前向きになると、ネガティブだった感情は一切なくなる。翠は伊吹を信じる事にした。
きっとすぐに連絡をくれると。それまでは自分から連絡はしないと決めた。
結局、大学の後期が始まっても連絡は来ず、サークルの飲み会にも伊吹は顔を出さない。
翠は仲良くなったメンバーとだけ絡んでいたので、以前に伊吹の事で一悶着あった夏鈴とは顔を合わせる事すらしなかった。
噂で伊吹は飲み会には参加しないが、文化祭の準備はきちんとしていると話を聞けた。
翠はそれで安心したのだった。
(伊吹さんが元気でやってるのなら、今はそれで十分だ)
0
お気に入りに追加
309
あなたにおすすめの小説



体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる