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三章
十二話 甘々プレイ
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翠は伊吹の身体を、首筋、胸、腹、腕、指先……と、性感帯を避けるように丹念に舐めていった。伊吹は優しく愛撫されるのがもどかしいようで、身体をくねらせながら度々文句を言ってくる。
「も……いつまで舐めてんだよ。いじめてくれよ、詰(なじ)って、痛めつけて欲し……」
「約束は守るんじゃないんですか? 今は俺の好きなプレイしていいんですよね?」
「酷い……」
伊吹は涙目だ。だが、それを見ていると翠の中でムクムクと加虐心が湧き上がった。もっと泣かせたくなる。
このまま愛撫だけを続けようと決めた翠は、伊吹の性感帯は全て放置で、乳首や性器には一切触れずにそれ以外は舐め尽くす。
「ハァ……伊吹さんの肌はどこも美味しいですね」
「どこが!? 味がしたとしたら汗だろ?」
「汗だとしたら、伊吹さんの肉に塩をかけて食べるようなものですから、普通に考えて美味しいんじゃないですかね」
翠は伊吹の腕を掴むと、かぶりつくように歯を当てた。犬がするような甘噛みである。
「はむはむはむ……やっぱり伊吹肉は美味しいですねぇ。国産の高級肉じゃないですか?」
「何ママゴトしてんだ。早く突っ込めよ。夕方ヤったからまだ解れてんだろ。慣らさずに無理矢理突っ込んで、オナホ扱いするように無理矢理犯してくれよ」
「絶対しません」
「いつも俺の為なら……って言ってくれるのに」
「これは伊吹さんの為ですよ。一度口にした事は責任持ってもらわないと。あやふやにしたら、また伊吹さんは出来もしない約束を取り付けるんですから。これは言わば調教です」
「ううっ、もう分かったから、下手に約束とかしないから、もう助けてくれよ!」
表面上の伊吹は涙目だが、翠にはその奥で恍惚としているのが分かった。
伊吹に慣れた事もあるが、よくよく観察すれば分かる事だったのだ。
伊吹はまだセーフワードを言っていない。本気で嫌なら翠を押し退けて前言撤回すれば良いだけの事だ。いい加減に見えて意外と律儀な一面もあるが、それだけでないとしたら。
文句を言いながらも受け入れている理由は──。
「とか言って、こうして自分の思い通りにならなくて、好きでもないプレイを強要されるのも好きなんですよね?」
「……っ、好きじゃねぇし」
伊吹はそっぽを向いてしまった。
「本当ですか?」
すかさず、翠は伊吹の隣に横向きになって寝そべり、頬を撫でた。
「……嘘。好きじゃないけど、嫌じゃない」
「伊吹さん」
翠は額をコツンと伊吹の額に当てた。
「好きです。あなたがどうしようもなく、好きです」
「俺も……す……き」
言い慣れていないのだろう。伊吹はたどたどしく言う。それがまたどうしようもなく愛しい。
何度も口付けた。唇だけでなく、頬や首筋を何度も。
「伊吹さん。俺の事もっと好きになって欲しいです」
「今より?」
「勿論。俺、あなたに愛してもらえるよう努力しますから」
そして、その暁には……。
だが、それは言わない。一瞬、伊吹を見る目が冷ややかになる。
伊吹を自分の思い通りに動かし、翠の言う事を全て聞くような奴隷にしたいなど……今は言わない。
そんな翠の下心を知らない伊吹は、心配そうな目で翠を見つめた。
「今だってこんなに努力してくれてるのに」
「こんなの努力の内に入りませんよ。伊吹さんの為なら、なんだって出来るって証明したい」
「じゃあ俺も、このままじゃいられないな。翠と釣り合う男になるよう、努力する」
「釣り合うって……なんですか。俺が伊吹さんに追いつかなきゃいけないんですよ。伊吹さんはそのままでいて下さい」
「いいや。俺はもっとデカい男になるぞ。
瑞希にも言った事ない話、してもいい?」
「勿論! 聞きたいです」
「秘密にしてくれる?」
「当たり前です!」
「んー……やっぱ、やめようかな。夢って人に話したら叶わなくなるって言うし」
伊吹が急に恥ずかしそうに顔を赤くさせて視線を逸らした。
「それは迷信ですよ! 俺にだけ話す分には問題なさそうに思いますが……」
「今、計画立ててる事があるんだ。落ち着いたら話すよ」
「分かりました。いつになっても話さないようでしたら、俺から急かしますね」
「そうしてくれると助かる」
「それにしても、伊吹さんに夢なんてあったんですね」
「将来の事、何も考えてないとでも思ったか?」
「まさか! そんな訳ないじゃないですか。伊吹さんの事、もっと好きになりましたよ」
翠は伊吹にまたキスをしてから身体を起こすと、伊吹の両脚を広げた。夕方に広げた穴はもう窄まっている。その穴を指で撫で少し押すと、すんなりと中に入った。
翠はベッドヘッドに置かれた使い切りサイズのローションを指の上に出し、手の中で温めてから伊吹の入口周りに塗りつけた。
穴はすぐに二本の指を受け入れ、中で内壁を擦るように動かすと、伊吹が甘く喘ぐ。
「あっ……ん、はぁ……あっ、そこぉっ」
前立腺を狙って強く押すと、伊吹の背が弓なりに撓る。気持ち良さそうに喘ぐ伊吹が見たくて何度も何度もそこを責めた。
なかなか肉棒を入れない翠に、痺れを切らした伊吹が不満を吐く。
「もう、入れろよ。なんで、そんな、オッサンみたいにねちっこいんだよ」
「オッサンって、伊吹さんより年下なのに」
「やってる事が五十代の野郎と変わらねぇんだよ」
「むぅ。じゃあ入れますよ」
「夕方未遂したレイプする感じで」
「いえ、ゆっくりとじっくりと、味わうように入れますね。俺の好きなプレイですから」
伊吹は悔しそうに歯を食いしばっていたが、翠は構わずゆっくりと男性器を埋めていった。
「あっ……」
「伊吹さんの中、気持ち良いです」
「ユルい、だろ?」
「だからですか? 必死に締め付けようとしてくれてるの、分かりますよ。力抜いてください。怪我人なんですから、無理しないで」
伊吹が身体を弛緩させると、握るように包んでいた伊吹の内壁が広くなった。肛門の口だけが翠のイチモツを締め付けているだけで、中は空洞のようである。
翠は大きく腰を前後させた。少しでも伊吹を気持ち良くさせたくて、前立腺を擦るように抽挿させる。
前立腺を擦る亀頭が快楽を得られている。このまま射精出来そうだ。
「翠、ねぇ、翠」
「んー?」
「骨が砕けるくらいギュッてして」
「ふふ、ガラス細工を扱うように優しーく抱き締めます」
翠が伊吹にのしかかってぎゅっと抱き締めると、またも不満の声が下から漏れる。
「意地悪」
「良いですよ、意地悪って言われても」
翠はニヤニヤしながら、口付けをして伊吹の口を塞いだ。歯列や舌、頬肉を丹念に舐めようとした。
だが、ここは伊吹の方が技術が上だ。舐めたいところに舌が届く前に、伊吹の舌が邪魔をする。
伊吹に主導権を奪われる。
「ぷは、伊吹さんの方が意地悪」
「ヘ・タ・ク・ソ」
伊吹がにんまりと笑いながら舌をべーっと出して見せた。
「今に見ててください。伊吹さんよりも上手くなってみせますから」
「楽しみにしてる」
そのまま笑い合いながらスキンシップを楽しむようなセックスをした。初めて翠が満足出来た行為だった。
───────────────────
以前投稿していた作品「少年売買契約」と今作品「乱交パーティー出禁の男」の誤字訂正等、書き直し等をしたいと思います。
ストーリーの流れは変わりませんので、読み返しなどは必要ないです。ちょっと気になったところを変えるだけです。
投稿した時は気付かなかったのですが、改めて見直すと結構酷いところがありますね。
一、二週間直しに入るので投稿をお休み致します。
直したら投稿再開しますので、また宜しくお願い致します。
「も……いつまで舐めてんだよ。いじめてくれよ、詰(なじ)って、痛めつけて欲し……」
「約束は守るんじゃないんですか? 今は俺の好きなプレイしていいんですよね?」
「酷い……」
伊吹は涙目だ。だが、それを見ていると翠の中でムクムクと加虐心が湧き上がった。もっと泣かせたくなる。
このまま愛撫だけを続けようと決めた翠は、伊吹の性感帯は全て放置で、乳首や性器には一切触れずにそれ以外は舐め尽くす。
「ハァ……伊吹さんの肌はどこも美味しいですね」
「どこが!? 味がしたとしたら汗だろ?」
「汗だとしたら、伊吹さんの肉に塩をかけて食べるようなものですから、普通に考えて美味しいんじゃないですかね」
翠は伊吹の腕を掴むと、かぶりつくように歯を当てた。犬がするような甘噛みである。
「はむはむはむ……やっぱり伊吹肉は美味しいですねぇ。国産の高級肉じゃないですか?」
「何ママゴトしてんだ。早く突っ込めよ。夕方ヤったからまだ解れてんだろ。慣らさずに無理矢理突っ込んで、オナホ扱いするように無理矢理犯してくれよ」
「絶対しません」
「いつも俺の為なら……って言ってくれるのに」
「これは伊吹さんの為ですよ。一度口にした事は責任持ってもらわないと。あやふやにしたら、また伊吹さんは出来もしない約束を取り付けるんですから。これは言わば調教です」
「ううっ、もう分かったから、下手に約束とかしないから、もう助けてくれよ!」
表面上の伊吹は涙目だが、翠にはその奥で恍惚としているのが分かった。
伊吹に慣れた事もあるが、よくよく観察すれば分かる事だったのだ。
伊吹はまだセーフワードを言っていない。本気で嫌なら翠を押し退けて前言撤回すれば良いだけの事だ。いい加減に見えて意外と律儀な一面もあるが、それだけでないとしたら。
文句を言いながらも受け入れている理由は──。
「とか言って、こうして自分の思い通りにならなくて、好きでもないプレイを強要されるのも好きなんですよね?」
「……っ、好きじゃねぇし」
伊吹はそっぽを向いてしまった。
「本当ですか?」
すかさず、翠は伊吹の隣に横向きになって寝そべり、頬を撫でた。
「……嘘。好きじゃないけど、嫌じゃない」
「伊吹さん」
翠は額をコツンと伊吹の額に当てた。
「好きです。あなたがどうしようもなく、好きです」
「俺も……す……き」
言い慣れていないのだろう。伊吹はたどたどしく言う。それがまたどうしようもなく愛しい。
何度も口付けた。唇だけでなく、頬や首筋を何度も。
「伊吹さん。俺の事もっと好きになって欲しいです」
「今より?」
「勿論。俺、あなたに愛してもらえるよう努力しますから」
そして、その暁には……。
だが、それは言わない。一瞬、伊吹を見る目が冷ややかになる。
伊吹を自分の思い通りに動かし、翠の言う事を全て聞くような奴隷にしたいなど……今は言わない。
そんな翠の下心を知らない伊吹は、心配そうな目で翠を見つめた。
「今だってこんなに努力してくれてるのに」
「こんなの努力の内に入りませんよ。伊吹さんの為なら、なんだって出来るって証明したい」
「じゃあ俺も、このままじゃいられないな。翠と釣り合う男になるよう、努力する」
「釣り合うって……なんですか。俺が伊吹さんに追いつかなきゃいけないんですよ。伊吹さんはそのままでいて下さい」
「いいや。俺はもっとデカい男になるぞ。
瑞希にも言った事ない話、してもいい?」
「勿論! 聞きたいです」
「秘密にしてくれる?」
「当たり前です!」
「んー……やっぱ、やめようかな。夢って人に話したら叶わなくなるって言うし」
伊吹が急に恥ずかしそうに顔を赤くさせて視線を逸らした。
「それは迷信ですよ! 俺にだけ話す分には問題なさそうに思いますが……」
「今、計画立ててる事があるんだ。落ち着いたら話すよ」
「分かりました。いつになっても話さないようでしたら、俺から急かしますね」
「そうしてくれると助かる」
「それにしても、伊吹さんに夢なんてあったんですね」
「将来の事、何も考えてないとでも思ったか?」
「まさか! そんな訳ないじゃないですか。伊吹さんの事、もっと好きになりましたよ」
翠は伊吹にまたキスをしてから身体を起こすと、伊吹の両脚を広げた。夕方に広げた穴はもう窄まっている。その穴を指で撫で少し押すと、すんなりと中に入った。
翠はベッドヘッドに置かれた使い切りサイズのローションを指の上に出し、手の中で温めてから伊吹の入口周りに塗りつけた。
穴はすぐに二本の指を受け入れ、中で内壁を擦るように動かすと、伊吹が甘く喘ぐ。
「あっ……ん、はぁ……あっ、そこぉっ」
前立腺を狙って強く押すと、伊吹の背が弓なりに撓る。気持ち良さそうに喘ぐ伊吹が見たくて何度も何度もそこを責めた。
なかなか肉棒を入れない翠に、痺れを切らした伊吹が不満を吐く。
「もう、入れろよ。なんで、そんな、オッサンみたいにねちっこいんだよ」
「オッサンって、伊吹さんより年下なのに」
「やってる事が五十代の野郎と変わらねぇんだよ」
「むぅ。じゃあ入れますよ」
「夕方未遂したレイプする感じで」
「いえ、ゆっくりとじっくりと、味わうように入れますね。俺の好きなプレイですから」
伊吹は悔しそうに歯を食いしばっていたが、翠は構わずゆっくりと男性器を埋めていった。
「あっ……」
「伊吹さんの中、気持ち良いです」
「ユルい、だろ?」
「だからですか? 必死に締め付けようとしてくれてるの、分かりますよ。力抜いてください。怪我人なんですから、無理しないで」
伊吹が身体を弛緩させると、握るように包んでいた伊吹の内壁が広くなった。肛門の口だけが翠のイチモツを締め付けているだけで、中は空洞のようである。
翠は大きく腰を前後させた。少しでも伊吹を気持ち良くさせたくて、前立腺を擦るように抽挿させる。
前立腺を擦る亀頭が快楽を得られている。このまま射精出来そうだ。
「翠、ねぇ、翠」
「んー?」
「骨が砕けるくらいギュッてして」
「ふふ、ガラス細工を扱うように優しーく抱き締めます」
翠が伊吹にのしかかってぎゅっと抱き締めると、またも不満の声が下から漏れる。
「意地悪」
「良いですよ、意地悪って言われても」
翠はニヤニヤしながら、口付けをして伊吹の口を塞いだ。歯列や舌、頬肉を丹念に舐めようとした。
だが、ここは伊吹の方が技術が上だ。舐めたいところに舌が届く前に、伊吹の舌が邪魔をする。
伊吹に主導権を奪われる。
「ぷは、伊吹さんの方が意地悪」
「ヘ・タ・ク・ソ」
伊吹がにんまりと笑いながら舌をべーっと出して見せた。
「今に見ててください。伊吹さんよりも上手くなってみせますから」
「楽しみにしてる」
そのまま笑い合いながらスキンシップを楽しむようなセックスをした。初めて翠が満足出来た行為だった。
───────────────────
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