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三章
五話 本能に忠実
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翠は喉をゴクリと鳴らした。伊吹の様子を見ればそこには行き過ぎた快楽によってヒクヒクと上を向いて存在を主張している男性器がある。
伊吹はボーッと天井を見つめており、虚ろな顔をしている。
翠はゆっくりとベッドに膝を着いて伊吹に近寄った。もう瑞希の存在など忘れてしまったかのように、翠には伊吹しか見えていない。
四つん這いになり、伊吹の股間に顔を近付けた。翠の鼻息が裏筋に当たる。伊吹はビクビクと身体を震わせた。
翠に躊躇いはなかった。ただ、伊吹にこんな事をしていいのか、彼を穢してしまいそうで怖くなった。
それでも目の前にぶら下がったエサを我慢する事など出来ず、翠は口を開いて、その中に伊吹の肉棒を埋めていく。
以前、一度だけ翠は伊吹にフェラをした事がある。見よう見真似でやってみたものの、上手く舐められてはいなかった。
舐め方もしゃぶり方も知らない。口の中に含んだはいいものの、射精後の生臭さ等から生理的な嗚咽を漏らした。
それでも愛する伊吹の男性器を愛せないわけがないと、慣れないながらも愛撫する。
「あ……あぁ、もっと……もっと、強くして下さい……」
伊吹は完全にドMモードだ。ぬるい舐め方は意地悪していると思ったのだろう、刺激が足りないとねだってきた。
翠はこれ以上どうしていいか分からない。それより、自分のペニスが下着やズボンで押さえつけられる痛みに耐えていた。
「あ……あの、伊吹さん。フェラなんですが……」
「ご主人様?」
伊吹にそう呼ばれると、翠の理性はどこかへ飛んでいってしまった。
ガチャガチャとベルトを外し、ズボンごと下着を少し下ろすと、固くなっている自身の男性器を無理矢理伊吹のアナルに入れようとした。
ここ数日いじっていないアナルだ。準備もなく入るわけがない。
異様な翠に気付いたのだろう。瑞希に肩を叩かれたのだが。
「ちょっと、翠君? 何してるの?」
「フーッ! フーッ!」
興奮しきっている翠は鼻息を荒らげて、瑞希に触られた事にも、声を掛けられた事にも気付いていない。
「何してんの! せめて後ろ慣らさないと入らないから!」
急に瑞希が後ろから羽交い締めにしてきた。伊吹から少しでも離そうとしている。翠は抗うが、瑞希の力が意外と強い。
すぐに翠の体勢は崩されてしまい、正面にやって来た瑞希が、ゴツッ! と額に頭突きをしてきたのだ。
鈍い音の後にズキズキと鈍痛がじんわり響く。
「翠君! 伊吹の美貌に我を失うのは分かるよ。でもいきなり入れようとするのは良くないでしょ、それじゃレイプと変わらないよ!」
「……あ……。すみませ……」
翠は今自分が何をしていたのか分からなくなった。
(あれ? 伊吹さんにフェラしてたのに……?)
気付けば自分の額がズキズキと痛みを発しており、瑞希に叱られている。
「止めなくて良かったのに」
伊吹が口を尖らせた。
「あのまま無理矢理突っ込んで欲しかったって? バカ言わないで。また病院送りになりたいの?」
「これくらい大丈夫だろ。瑞希は心配し過ぎ」
「この前、中だって切れてたんでしょうが! 病院で塗り薬もらったの知ってるんだからね!?」
「ちゃんと塗ってるし。もう治ったしー」
伊吹と瑞希が言い合いになってしまった。翠は慌てて謝罪をする。
「すみません。俺が、自分を押さえられなくて」
あのまましていたら、伊吹が救急搬送された夜の二の舞になっていたかもしれないのだ。翠は縮こまるように背を丸くした。
「翠……おいで」
落ち込む翠に、伊吹が優しく微笑んで翠に両手を伸ばしてきた。瑞希は「もー程々にね」と言ってその場から離れた。
邪魔する人は誰もいない。翠は伊吹に覆い被さってキスをした。
「ちょっと待って」
伊吹に制止され、爆発しそうな感情を押さえて正座をする。目の前で伊吹がローションを自分の手に濡らして自身のアナルに人差し指と中指の二本を埋めた。
「んっ……翠、もう少し待ってな。待ってくれたら俺の初めて全部あげるから」
「伊吹さんに初めてなんてあるんですか?」
「まだあるよ。初めて一緒に同棲する人は翠がいいな……なんて」
伊吹が照れたように言うと、翠は余計に身体が熱くなり、膨張した男性器も更に熱を帯びる。
伊吹がアナルの中の指を広げるのを見ながら、翠はベッドヘッドに置かれているコンドームを手に取り、自身の男性器に着けた。
伊吹は薬指も増やし、三本の指で中を広げていく。
そして、全ての指を抜くと伊吹は翠に微笑みかけた。
「翠、おいで」
翠は誘われるがまま、自身の肉棒を伊吹の中に収めた。熱くて、少し広いけれど優しく包み込んでくれる伊吹の中。
翠はいつまでもこの中にいたいと、腰をゆっくりと動かす。
「翠……足りないよ。もっと動いて」
「伊吹さん……お腹の傷があるし、中も本調子じゃないんですよね? ゆっくりやりますから」
「足りないよ。足りなくて辛い。もっと激しくして?」
伊吹は自分から腰を動かそうとするが、翠が伊吹の両腕を頭の横で押さえると、その動きも鈍くなる。
「痛くないですか?」
「痛い方が好きなの。知ってるだろ? 痛くして、傷付けていいから」
「嫌ですよ。やっぱり激しくは出来ません。早く済ませますね。伊吹さんの中、気持ちが良いからすぐイけそうです」
「翠のも、気持ち良いよ。熱くて、おっきくて、俺好み」
そんな伊吹の褒め言葉で翠はまたタガが外れそうになった。必死に我慢をしてゆっくり動く。
何度も、伊吹を味わうように抽挿すると、段々射精感が高まった。
「すみません、伊吹さん、イきそうです」
このままの動きでは射精出来ない。最後だけは激しく腰を前後させると、伊吹は気持ち良さそうに切なく喘ぐ。
「あっ、やっ、このままがいい。まだイかないでっ」
「すみません、無理です。……っ、いっ……く……」
翠は精を吐き出した。終わるとすぐに伊吹の肉棒を右手で握って、普段自分が自慰をするように上下に動かす。
「……ぁっ、ん……んんっ……ああぁっ!」
ようやく伊吹は気持ち良く射精が出来たと、満足そうに目を瞑ったのだった。
「なぁ翠、マジで瑞希にSM教わんのか?」
すっかり普段通りに戻った伊吹がソファーにだらんと座り、ベッドに座っている翠に問いかけた。
「はい。でも先にフェラを教わろうかなって思ってます」
瑞希も同意見なようで、うんうんと頷いた。
「それがいいかも。責めの一環でフェラする事あるし、慣れておいた方がいいよ。今日少し教えようか?」
「え、でも今日は受講日じゃないんですよね?」
「フェラに一回分の受講料なんて取れないよ。後で簡単に教えるから。
とりあえず、簡単に麻縄四本と低温蝋燭、バラ鞭、平鞭、一本鞭を用意したから渡しておくね」
瑞希がリュックから取り出した道具をテーブルに広げた。全て購入時のまま袋に入っている状態だ。
「えっ!? いいんですか!?」
「僕って甘いよねぇ~。でも、それは練習用だよ。今後必要になったら自分で用意する事。
特に麻縄は手入れも必要だからね」
「ありがとうございます!」
そんな二人の様子を見て機嫌を悪くした伊吹が、翠の隣に移動してきた。
「本当に俺じゃなくて瑞希に教わるの? 俺なら無償で教えるのに。利用してくれていいんだぞ?」
「伊吹さん相手だと、この前みたいに大事になる可能性だってありますし。
それなら瑞希さんの方がお金かける分安心感があります」
否定出来ないのだろう、伊吹は反論出来ずに唸った。
「それにしてもさぁ、翠君も意外と本能に忠実だよねぇ。急にレイプみたいな事しだした時はびっくりしたよ~」
瑞希はプッと笑って言うと、伊吹は「レイプ」の単語に反応した。
「レイプといえば、あれ思い出したな。二年前だっけ、このホテル立ち上げた時にさ、田舎から東京に出てきた高校生が、オナクラ行って女の子レイプしようとして、店のスタッフにボコられてたの」
「えっ、何その話!? 聞いてないよ!」
「わざわざ言う話でもないだろ。名前とか忘れたんだけど、世間知らずの童貞君って感じだったな。
あの後店の男がウチに乗り込んできて。結局そいつと一晩寝たんだけど」
「えー。僕にも教えて欲しかったな! そのオナクラってどこの? なんて人とヤったの? 伊吹の名前出せば僕ともエッチしてくれるかなぁ?」
「それ、俺です」
伊吹と瑞希が盛り上がっている中、翠がボソリと言いながら手を挙げた。
「え、翠君、オナクラのスタッフやってたの!?」
「違いますよ! その童貞の高校生は俺です!」
翠の言葉に伊吹と瑞希は驚き、特に伊吹は翠をじっと見つめていた。
「なんか見覚えない気がするけどな。それに、前に不良に絡まれたのを俺が助けたって言ってなかったか?」
「それ嘘です。伊吹さんに自力で思い出して欲しくて、嘘つきました。すみません。
あと、女の子レイプしたとか言いづらくて……」
「そうなんだ」
「怒ってないですか?」
「俺を試したって事だろ? 別に気にしなくていい。俺も人を試す時がないとは言わないし。
それより、すぐに分からなくてごめんな。翠がその時の高校生とイメージと全然違うし……って顔とかあんまり覚えてなかったんだけどさ」
伊吹は余裕の態度を見せた。すると、瑞希が茶化してくる。
「さっすが伊吹。翠君には甘々だねぇ?」
「そういうわけじゃない。俺は瑞希と違って心広いってだけだし」
「失礼な。僕だって心は海のように広大だよ」
瑞希が得意気に笑うが、即座に翠が伊吹の味方をした。
「瑞希さん短気でしょ。隠してても分かりますよ」
「もー翠君まで!」
伊吹が笑うと、翠と瑞希もつられて笑いあった。まるで、ただの仲の良い三人組であるかのように。
───────────────────
因みに、翠君の初フェラは一章十九話です。
伊吹はボーッと天井を見つめており、虚ろな顔をしている。
翠はゆっくりとベッドに膝を着いて伊吹に近寄った。もう瑞希の存在など忘れてしまったかのように、翠には伊吹しか見えていない。
四つん這いになり、伊吹の股間に顔を近付けた。翠の鼻息が裏筋に当たる。伊吹はビクビクと身体を震わせた。
翠に躊躇いはなかった。ただ、伊吹にこんな事をしていいのか、彼を穢してしまいそうで怖くなった。
それでも目の前にぶら下がったエサを我慢する事など出来ず、翠は口を開いて、その中に伊吹の肉棒を埋めていく。
以前、一度だけ翠は伊吹にフェラをした事がある。見よう見真似でやってみたものの、上手く舐められてはいなかった。
舐め方もしゃぶり方も知らない。口の中に含んだはいいものの、射精後の生臭さ等から生理的な嗚咽を漏らした。
それでも愛する伊吹の男性器を愛せないわけがないと、慣れないながらも愛撫する。
「あ……あぁ、もっと……もっと、強くして下さい……」
伊吹は完全にドMモードだ。ぬるい舐め方は意地悪していると思ったのだろう、刺激が足りないとねだってきた。
翠はこれ以上どうしていいか分からない。それより、自分のペニスが下着やズボンで押さえつけられる痛みに耐えていた。
「あ……あの、伊吹さん。フェラなんですが……」
「ご主人様?」
伊吹にそう呼ばれると、翠の理性はどこかへ飛んでいってしまった。
ガチャガチャとベルトを外し、ズボンごと下着を少し下ろすと、固くなっている自身の男性器を無理矢理伊吹のアナルに入れようとした。
ここ数日いじっていないアナルだ。準備もなく入るわけがない。
異様な翠に気付いたのだろう。瑞希に肩を叩かれたのだが。
「ちょっと、翠君? 何してるの?」
「フーッ! フーッ!」
興奮しきっている翠は鼻息を荒らげて、瑞希に触られた事にも、声を掛けられた事にも気付いていない。
「何してんの! せめて後ろ慣らさないと入らないから!」
急に瑞希が後ろから羽交い締めにしてきた。伊吹から少しでも離そうとしている。翠は抗うが、瑞希の力が意外と強い。
すぐに翠の体勢は崩されてしまい、正面にやって来た瑞希が、ゴツッ! と額に頭突きをしてきたのだ。
鈍い音の後にズキズキと鈍痛がじんわり響く。
「翠君! 伊吹の美貌に我を失うのは分かるよ。でもいきなり入れようとするのは良くないでしょ、それじゃレイプと変わらないよ!」
「……あ……。すみませ……」
翠は今自分が何をしていたのか分からなくなった。
(あれ? 伊吹さんにフェラしてたのに……?)
気付けば自分の額がズキズキと痛みを発しており、瑞希に叱られている。
「止めなくて良かったのに」
伊吹が口を尖らせた。
「あのまま無理矢理突っ込んで欲しかったって? バカ言わないで。また病院送りになりたいの?」
「これくらい大丈夫だろ。瑞希は心配し過ぎ」
「この前、中だって切れてたんでしょうが! 病院で塗り薬もらったの知ってるんだからね!?」
「ちゃんと塗ってるし。もう治ったしー」
伊吹と瑞希が言い合いになってしまった。翠は慌てて謝罪をする。
「すみません。俺が、自分を押さえられなくて」
あのまましていたら、伊吹が救急搬送された夜の二の舞になっていたかもしれないのだ。翠は縮こまるように背を丸くした。
「翠……おいで」
落ち込む翠に、伊吹が優しく微笑んで翠に両手を伸ばしてきた。瑞希は「もー程々にね」と言ってその場から離れた。
邪魔する人は誰もいない。翠は伊吹に覆い被さってキスをした。
「ちょっと待って」
伊吹に制止され、爆発しそうな感情を押さえて正座をする。目の前で伊吹がローションを自分の手に濡らして自身のアナルに人差し指と中指の二本を埋めた。
「んっ……翠、もう少し待ってな。待ってくれたら俺の初めて全部あげるから」
「伊吹さんに初めてなんてあるんですか?」
「まだあるよ。初めて一緒に同棲する人は翠がいいな……なんて」
伊吹が照れたように言うと、翠は余計に身体が熱くなり、膨張した男性器も更に熱を帯びる。
伊吹がアナルの中の指を広げるのを見ながら、翠はベッドヘッドに置かれているコンドームを手に取り、自身の男性器に着けた。
伊吹は薬指も増やし、三本の指で中を広げていく。
そして、全ての指を抜くと伊吹は翠に微笑みかけた。
「翠、おいで」
翠は誘われるがまま、自身の肉棒を伊吹の中に収めた。熱くて、少し広いけれど優しく包み込んでくれる伊吹の中。
翠はいつまでもこの中にいたいと、腰をゆっくりと動かす。
「翠……足りないよ。もっと動いて」
「伊吹さん……お腹の傷があるし、中も本調子じゃないんですよね? ゆっくりやりますから」
「足りないよ。足りなくて辛い。もっと激しくして?」
伊吹は自分から腰を動かそうとするが、翠が伊吹の両腕を頭の横で押さえると、その動きも鈍くなる。
「痛くないですか?」
「痛い方が好きなの。知ってるだろ? 痛くして、傷付けていいから」
「嫌ですよ。やっぱり激しくは出来ません。早く済ませますね。伊吹さんの中、気持ちが良いからすぐイけそうです」
「翠のも、気持ち良いよ。熱くて、おっきくて、俺好み」
そんな伊吹の褒め言葉で翠はまたタガが外れそうになった。必死に我慢をしてゆっくり動く。
何度も、伊吹を味わうように抽挿すると、段々射精感が高まった。
「すみません、伊吹さん、イきそうです」
このままの動きでは射精出来ない。最後だけは激しく腰を前後させると、伊吹は気持ち良さそうに切なく喘ぐ。
「あっ、やっ、このままがいい。まだイかないでっ」
「すみません、無理です。……っ、いっ……く……」
翠は精を吐き出した。終わるとすぐに伊吹の肉棒を右手で握って、普段自分が自慰をするように上下に動かす。
「……ぁっ、ん……んんっ……ああぁっ!」
ようやく伊吹は気持ち良く射精が出来たと、満足そうに目を瞑ったのだった。
「なぁ翠、マジで瑞希にSM教わんのか?」
すっかり普段通りに戻った伊吹がソファーにだらんと座り、ベッドに座っている翠に問いかけた。
「はい。でも先にフェラを教わろうかなって思ってます」
瑞希も同意見なようで、うんうんと頷いた。
「それがいいかも。責めの一環でフェラする事あるし、慣れておいた方がいいよ。今日少し教えようか?」
「え、でも今日は受講日じゃないんですよね?」
「フェラに一回分の受講料なんて取れないよ。後で簡単に教えるから。
とりあえず、簡単に麻縄四本と低温蝋燭、バラ鞭、平鞭、一本鞭を用意したから渡しておくね」
瑞希がリュックから取り出した道具をテーブルに広げた。全て購入時のまま袋に入っている状態だ。
「えっ!? いいんですか!?」
「僕って甘いよねぇ~。でも、それは練習用だよ。今後必要になったら自分で用意する事。
特に麻縄は手入れも必要だからね」
「ありがとうございます!」
そんな二人の様子を見て機嫌を悪くした伊吹が、翠の隣に移動してきた。
「本当に俺じゃなくて瑞希に教わるの? 俺なら無償で教えるのに。利用してくれていいんだぞ?」
「伊吹さん相手だと、この前みたいに大事になる可能性だってありますし。
それなら瑞希さんの方がお金かける分安心感があります」
否定出来ないのだろう、伊吹は反論出来ずに唸った。
「それにしてもさぁ、翠君も意外と本能に忠実だよねぇ。急にレイプみたいな事しだした時はびっくりしたよ~」
瑞希はプッと笑って言うと、伊吹は「レイプ」の単語に反応した。
「レイプといえば、あれ思い出したな。二年前だっけ、このホテル立ち上げた時にさ、田舎から東京に出てきた高校生が、オナクラ行って女の子レイプしようとして、店のスタッフにボコられてたの」
「えっ、何その話!? 聞いてないよ!」
「わざわざ言う話でもないだろ。名前とか忘れたんだけど、世間知らずの童貞君って感じだったな。
あの後店の男がウチに乗り込んできて。結局そいつと一晩寝たんだけど」
「えー。僕にも教えて欲しかったな! そのオナクラってどこの? なんて人とヤったの? 伊吹の名前出せば僕ともエッチしてくれるかなぁ?」
「それ、俺です」
伊吹と瑞希が盛り上がっている中、翠がボソリと言いながら手を挙げた。
「え、翠君、オナクラのスタッフやってたの!?」
「違いますよ! その童貞の高校生は俺です!」
翠の言葉に伊吹と瑞希は驚き、特に伊吹は翠をじっと見つめていた。
「なんか見覚えない気がするけどな。それに、前に不良に絡まれたのを俺が助けたって言ってなかったか?」
「それ嘘です。伊吹さんに自力で思い出して欲しくて、嘘つきました。すみません。
あと、女の子レイプしたとか言いづらくて……」
「そうなんだ」
「怒ってないですか?」
「俺を試したって事だろ? 別に気にしなくていい。俺も人を試す時がないとは言わないし。
それより、すぐに分からなくてごめんな。翠がその時の高校生とイメージと全然違うし……って顔とかあんまり覚えてなかったんだけどさ」
伊吹は余裕の態度を見せた。すると、瑞希が茶化してくる。
「さっすが伊吹。翠君には甘々だねぇ?」
「そういうわけじゃない。俺は瑞希と違って心広いってだけだし」
「失礼な。僕だって心は海のように広大だよ」
瑞希が得意気に笑うが、即座に翠が伊吹の味方をした。
「瑞希さん短気でしょ。隠してても分かりますよ」
「もー翠君まで!」
伊吹が笑うと、翠と瑞希もつられて笑いあった。まるで、ただの仲の良い三人組であるかのように。
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因みに、翠君の初フェラは一章十九話です。
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