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二章
十四話 苦痛の性交
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※読んでいて不快になったらして退出して下さい。
伊吹は、翠の言動に唖然としていた。全てが初めて見る翠の姿だ。
こんなに怒りを表面に出しているところも、瑞希に対して年下とは思えない態度を取っているところも。
瑞希は分かっていたのか、特に驚く様子もなく楽しそうな目を翠に向けている。伊吹は一人蚊帳の外になってしまった。
「じゃ、僕は帰るよ。二人は適当にイチャつくなり、喧嘩するなりすれば?
じゃ、また明日ね~」
瑞希はニコニコと楽しそうに笑顔を浮かべ、手を振りながら帰ってしまった。
残された伊吹と翠は、無言のまま動けずにいる。翠も立ったままだ。
沈黙を破ったのは伊吹だ。
「……なぁ、お前って、瑞希の事、嫌いなの?」
「はい。嫌いです」
「喧嘩でもしたのか? 瑞希が理由もなく相手に嫌われるような事をするとは思えないし」
「瑞希さんは、何も悪い事なんてしていませんよ」
「それならどうして……!?」
「俺はね、伊吹さんと深い関係のある人は全員嫌いなんですよ」
「は……はぁ!?」
翠が少し怒ったような、怖い顔で伊吹に迫ってきた。右膝をベッドの上に乗せ、馬乗りになるように伊吹を押し倒した。
「伊吹さん、忘れていませんか? キスの事」
「わ、忘れてなんか……」
「絶対忘れてましたよね。どうですか、今は。伊吹さんから俺にキスしたいって思いますか?」
「し……知らねぇよ」
「そうですか。俺からキスはしません。初めてのキスは伊吹さんから、ですよ?」
「分かったから、早くどけよ!」
伊吹はまだ翠に対しての怒りが治まっていない。翠の勝手な行動のせいで友人を失った。その件に対して謝罪するまで、伊吹からのキスは考えられない。
「どきません。キスはしなくても出来るでしょう?」
「何を……?」
翠は伊吹のシャツをまくった。左の脇腹には塞がった傷跡と、縫った跡が残っている。
「今日、ボーリングの後はホテル行く予定でしたよね」
翠はその痛々しい傷跡を躊躇なく掴むように握り、強く力を入れた。
「あっ……ぎゃあああっ!!」
あまりの痛さに伊吹は絶叫した。涙が浮かぶ。どれだけ瑞希に痛いプレイをされようと、ここまでの痛みはなかったのではないか、そう思える程の痛みだ。
「あぁ、本当に痛いの好きなんですね」
翠は勝手に伊吹のズボンまで脱がした。ボクサーパンツはテントが張っており、伊吹が隠そうと右手を伸ばすが、その手を掴まれてしまった。
「俺に、全部見せてください。苦痛に悶えながらも、興奮を抑えられない、そんな伊吹さんも好きですよ。
あ、勿論。ノリノリで俺に痛みを与えてくる伊吹さんも好きなんですけどね」
「あっ……」
伊吹は反論しようとしたが、出来ない。痛みに身も心も感じてしまう。
翠が傷跡から手を離す。すかさず伊吹はその手を掴んで、傷跡を押し付けた。少しでも長く痛みを味わいたいのだ。
すぐやめてしまっては、物足りない。
「伊吹さん?」
「もっと……もっと痛くして?」
涙目で訴える。通常であれば、瑞希が伊吹の反応を見ながら、耐えられる痛みを与えてくれるのだが、今の相手は翠だ。
満足のいく痛みを与えられないか、若しくは逆に痛みを与えすぎて病院送りになるか、どちらかになってしまう可能性も考えられた。
それでも一度痛みを味わってしまうと、途中で止める事など出来ない。翠への怒りはもう忘れてしまった。今はただ、痛みが欲しいのだ。
「で、でも。これ以上は……」
「殺していいから、痛めつけて」
「殺せるわけないでしょ」
翠は伊吹の下着も脱がしてしまうと、両足を抱えて上にあげた。尻が突き上げられ、他人には絶対に見せない恥ずかしい部分が丸見えになる。
それくらいで伊吹が羞恥心を感じる事はないが。
翠が自分のズボンのファスナーを開き、隙間から性器を出した。 半勃ち状態だ。
伊吹は反射的にそれを勃たせようと、届かないと理解しつつも手を伸ばそうとした──。
その瞬間、翠は伊吹の腹部の傷跡に爪を立て、上から下に引っ掻いた。
「あがぁぁぁぁぁっ!!」
狂ったような絶叫が響く。伊吹の傷跡は少し開いて血が滲んでいた。その傷跡を、翠は手を開いて掴んで爪を皮膚にくい込ませるように強く握った。
「いだぁああああっ!! ああああぁぁっ!! ぎゃあああああっ!!」
伊吹の目からはボロボロと涙が零れる。ただただ痛い。それでも痛みを感じると嬉しくなった。
子供の頃、自分が受ける筈の痛みを全て母親が肩代わりしていた。あの時の痛みをきちんと受けられているのだと思うと、安心するのだ。
もう守りたかった母親はいない。だが、痛みを受ける事で、過去の自分を許せるような気がしてくる。
今回の夏鈴に対してしてしまった事も、これで償いになるような気がする、そんな開放感。
本当は何の解決にもなっていないと、頭では分かっていても、赦しが欲しいと痛みを求める。
「い、痛いの、好き……翠、もっと、いじめて?」
「伊吹さん、Mの時の方が可愛いです」
翠の亀頭が伊吹の尻穴にあてがわれた事に気付く。慣らしもせずに無理矢理開かれるのだろう。
穴がズタズタに切り裂かれて、後の生活に悪影響が出ると、想像するだけで興奮する。
「翠……早くぅ」
翠は伊吹の願った通り、全く慣らしていない固い尻穴に、無理矢理自身のペニスを押し込み、切り開くように奥まで突き入れた。
「ひぃっ、ぎゃあああぁぁぁっ!!」
腸内が擦過傷で傷付き、血が滲んだと感覚で分かる。激痛で生理的な涙が止まらない。苦痛で顔が歪んでいる。
(痛い。痛い。痛い──。もっと、痛くして!)
翠はそんな伊吹の頬に手を添えて、辛そうな表情を浮かべている。伊吹より辛そうな、そんな表情だ。
いくら血が出ているとはいえ、慣らしていない、滑りのない穴に繊細な性器を入れているのだ。痛くない筈がない。
「翠……痛い……のか?」
「伊吹さんよりは痛くないです」
翠は意を決したように、両手で伊吹の腰を掴み、思い切り腰を前後させた。
腸内の傷を擦られた痛みは、半端ではなく、喉が潰れる程の叫び声を上げていたのだった。
伊吹は、翠の言動に唖然としていた。全てが初めて見る翠の姿だ。
こんなに怒りを表面に出しているところも、瑞希に対して年下とは思えない態度を取っているところも。
瑞希は分かっていたのか、特に驚く様子もなく楽しそうな目を翠に向けている。伊吹は一人蚊帳の外になってしまった。
「じゃ、僕は帰るよ。二人は適当にイチャつくなり、喧嘩するなりすれば?
じゃ、また明日ね~」
瑞希はニコニコと楽しそうに笑顔を浮かべ、手を振りながら帰ってしまった。
残された伊吹と翠は、無言のまま動けずにいる。翠も立ったままだ。
沈黙を破ったのは伊吹だ。
「……なぁ、お前って、瑞希の事、嫌いなの?」
「はい。嫌いです」
「喧嘩でもしたのか? 瑞希が理由もなく相手に嫌われるような事をするとは思えないし」
「瑞希さんは、何も悪い事なんてしていませんよ」
「それならどうして……!?」
「俺はね、伊吹さんと深い関係のある人は全員嫌いなんですよ」
「は……はぁ!?」
翠が少し怒ったような、怖い顔で伊吹に迫ってきた。右膝をベッドの上に乗せ、馬乗りになるように伊吹を押し倒した。
「伊吹さん、忘れていませんか? キスの事」
「わ、忘れてなんか……」
「絶対忘れてましたよね。どうですか、今は。伊吹さんから俺にキスしたいって思いますか?」
「し……知らねぇよ」
「そうですか。俺からキスはしません。初めてのキスは伊吹さんから、ですよ?」
「分かったから、早くどけよ!」
伊吹はまだ翠に対しての怒りが治まっていない。翠の勝手な行動のせいで友人を失った。その件に対して謝罪するまで、伊吹からのキスは考えられない。
「どきません。キスはしなくても出来るでしょう?」
「何を……?」
翠は伊吹のシャツをまくった。左の脇腹には塞がった傷跡と、縫った跡が残っている。
「今日、ボーリングの後はホテル行く予定でしたよね」
翠はその痛々しい傷跡を躊躇なく掴むように握り、強く力を入れた。
「あっ……ぎゃあああっ!!」
あまりの痛さに伊吹は絶叫した。涙が浮かぶ。どれだけ瑞希に痛いプレイをされようと、ここまでの痛みはなかったのではないか、そう思える程の痛みだ。
「あぁ、本当に痛いの好きなんですね」
翠は勝手に伊吹のズボンまで脱がした。ボクサーパンツはテントが張っており、伊吹が隠そうと右手を伸ばすが、その手を掴まれてしまった。
「俺に、全部見せてください。苦痛に悶えながらも、興奮を抑えられない、そんな伊吹さんも好きですよ。
あ、勿論。ノリノリで俺に痛みを与えてくる伊吹さんも好きなんですけどね」
「あっ……」
伊吹は反論しようとしたが、出来ない。痛みに身も心も感じてしまう。
翠が傷跡から手を離す。すかさず伊吹はその手を掴んで、傷跡を押し付けた。少しでも長く痛みを味わいたいのだ。
すぐやめてしまっては、物足りない。
「伊吹さん?」
「もっと……もっと痛くして?」
涙目で訴える。通常であれば、瑞希が伊吹の反応を見ながら、耐えられる痛みを与えてくれるのだが、今の相手は翠だ。
満足のいく痛みを与えられないか、若しくは逆に痛みを与えすぎて病院送りになるか、どちらかになってしまう可能性も考えられた。
それでも一度痛みを味わってしまうと、途中で止める事など出来ない。翠への怒りはもう忘れてしまった。今はただ、痛みが欲しいのだ。
「で、でも。これ以上は……」
「殺していいから、痛めつけて」
「殺せるわけないでしょ」
翠は伊吹の下着も脱がしてしまうと、両足を抱えて上にあげた。尻が突き上げられ、他人には絶対に見せない恥ずかしい部分が丸見えになる。
それくらいで伊吹が羞恥心を感じる事はないが。
翠が自分のズボンのファスナーを開き、隙間から性器を出した。 半勃ち状態だ。
伊吹は反射的にそれを勃たせようと、届かないと理解しつつも手を伸ばそうとした──。
その瞬間、翠は伊吹の腹部の傷跡に爪を立て、上から下に引っ掻いた。
「あがぁぁぁぁぁっ!!」
狂ったような絶叫が響く。伊吹の傷跡は少し開いて血が滲んでいた。その傷跡を、翠は手を開いて掴んで爪を皮膚にくい込ませるように強く握った。
「いだぁああああっ!! ああああぁぁっ!! ぎゃあああああっ!!」
伊吹の目からはボロボロと涙が零れる。ただただ痛い。それでも痛みを感じると嬉しくなった。
子供の頃、自分が受ける筈の痛みを全て母親が肩代わりしていた。あの時の痛みをきちんと受けられているのだと思うと、安心するのだ。
もう守りたかった母親はいない。だが、痛みを受ける事で、過去の自分を許せるような気がしてくる。
今回の夏鈴に対してしてしまった事も、これで償いになるような気がする、そんな開放感。
本当は何の解決にもなっていないと、頭では分かっていても、赦しが欲しいと痛みを求める。
「い、痛いの、好き……翠、もっと、いじめて?」
「伊吹さん、Mの時の方が可愛いです」
翠の亀頭が伊吹の尻穴にあてがわれた事に気付く。慣らしもせずに無理矢理開かれるのだろう。
穴がズタズタに切り裂かれて、後の生活に悪影響が出ると、想像するだけで興奮する。
「翠……早くぅ」
翠は伊吹の願った通り、全く慣らしていない固い尻穴に、無理矢理自身のペニスを押し込み、切り開くように奥まで突き入れた。
「ひぃっ、ぎゃあああぁぁぁっ!!」
腸内が擦過傷で傷付き、血が滲んだと感覚で分かる。激痛で生理的な涙が止まらない。苦痛で顔が歪んでいる。
(痛い。痛い。痛い──。もっと、痛くして!)
翠はそんな伊吹の頬に手を添えて、辛そうな表情を浮かべている。伊吹より辛そうな、そんな表情だ。
いくら血が出ているとはいえ、慣らしていない、滑りのない穴に繊細な性器を入れているのだ。痛くない筈がない。
「翠……痛い……のか?」
「伊吹さんよりは痛くないです」
翠は意を決したように、両手で伊吹の腰を掴み、思い切り腰を前後させた。
腸内の傷を擦られた痛みは、半端ではなく、喉が潰れる程の叫び声を上げていたのだった。
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