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一章
九話 針責め
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※読んでいて無理だと感じたら退出して下さい。
SMプレイでも苦痛系はハードSMに分類される。針を使用したり、軽い拷問器具を使用したり、男性相手であればペニスや睾丸を痛めつけるプレイが多いだろう。
SMプレイを行うにあたり、伊吹はMとしてはプロに近いレベルであるが、Sとしてはまだ経験は浅い方だ。
相手の様子を見ながら許容範囲を見極め、無理のないプレイをする事を意識はしているが、まだ翠の限界が分からない。
下手をしたら自分を基準に、自分が耐えうるレベルの責めをしてしまう危険性を孕んでいる。
今相手をしているのは、恐らくノーマルと思しい翠だ。
伊吹が見たところ、翠はどちらかというとMだろうと判断している。それもかなり痛みに耐性のある人物だと──。
「覚悟しろよ、お前のストーカー行為は今日で終わらせてやる」
伊吹は小声で翠を脅す。プライベートで伊吹に話し掛けてくる事のないよう、今回は本気で苦痛プレイに臨む所存だ。
伊吹は客席に向けて説明しながら、翠へも優しく声を掛ける。
「今回、皆様に分かりやすいよう、スイ君にマイクを取り付けています。
叫び声だけでなく、唸り声だけでも、一声につき、アナルバイブの太さを一センチプラスしていくので、頑張ってね~!」
伊吹はテーブルの上に用意された簡単な拷問器具の様相を呈した玩具の中から針を取り出した。
ただの針ではなく、はり灸院で見るような医療用の細い針だ。
それら百本をトレーの上に乗せ、ニヤニヤとにやけながら翠に見せた。
「これからこの針をスイ君に刺します。あ、もちろん全部じゃないですよ。
この内何本使うかは秘密です」
翠に見せた後で観客にも見せる。それを一旦テーブルに起き、フェイスタオル程の黒い布を観客に見せるようにバッと広げた。
「スイ君には目隠しをしてもらいます。怖い? 怖いでしょ?
どこにどう刺されるか分からないもんね。勿論猿轡なんかしてやらないから、スイ君の忍耐力で声を出さずに痛みに耐えてね?」
説明しながらスイの目を黒い布で覆い、後頭部で縛った。
「視覚を奪われると他の感覚が増すものですから。存分に痛みを味わえますね」
伊吹はニコニコと翠に恐怖を与えるような発言をしながら針を手に持った。そして、先端を翠の胸や乳首の周りを、血が出ない程度の力で円を描くように這わせる。
少し強めに皮膚を押すと、翠がグッと歯を食いしばった。
「あれあれ? 痛い? あ、血が出ちゃった。舐めてあげる……もしかして感じちゃってる?
スイ君ったらへんたーい」
と、血は出ていないが、針でなぞった部分を舐め、ついでに乳首も吸うようにしゃぶった。
翠は痛みより、乳首を吸われた快楽の方に反応し、肉棒がピクリと動いた。
「なんてね。血は出てないから安心してね。
ちなみに、針責めは刺すだけのプレイじゃないんですよ。こうやって、刺さずになぞるだけでも、結構な恐怖なんです。
例え信頼している相手でも、拘束されて一切抵抗出来ない状態は怖いですからね」
「……っ」
「あれ、スイ君。何か言いたげだね? 一言でも言葉を発したら……お尻にお仕置きしながら針責めは続けるからね。我慢してね」
と、言いながら伊吹は翠の左側の乳首を摘み……根元から針を横向きに刺し、乳首を貫通させた!
会場内に翠の小さな声がはっきりとスピーカーから流れる。
「いっ! づぅぅっ!?」
「あれっ? 声出ちゃったね? お仕置きタイムだな! じゃあまずは先週のおさらいからしましょうね。
最初は直径三センチ、長さ十センチのバイブです。頑張って耐えてね~」
伊吹は指にローションを塗り、翠のアナルを解した。意外に緩くなっている穴は、指二本は余裕で入った。
三本目の指はゆっくりと入れて解すように中で左右に回転させたが、結構柔らかい。
今日、あまり苦しまない様に自分で解したか、前回の公開処刑でアナルにハマったかのどちらかであろう。どちらにせよ、伊吹には関係のない事だが、拡張行為に一切の苦しみを見せないのはつまらない。
その場の思い付きで、急なルール変更をする事にした。
「あ、スイ君。ルール追加するね!
バイブ入れてる時に声出したら……鞭打ち十回! 声を出すごとに増やしていって、その合計回数を、全部のプレイが終わってから俺が鞭で打ってあげる」
と、恐怖の罰を言いながら、すかさずバイブを一気に奥まで突き入れた。
どちらかというと痛みではなく驚いたのだろう。
「ひぃ!」
と、一瞬声が漏れてしまった。
「あーあ。鞭打ち十回は確定ですね。折角のバイブを使わないのは勿体ないので、バイブのスイッチをオンにします!」
カチ、と振動を与えるが、翠は眉を顰めて耐えているだけだ。
視覚が奪われ、感じやすくなっている筈だが、翠は尻穴ではあまり感じていない様子だ。とすると、やはり公開処刑に合わせてわざわざ自分で穴を広げてきたのだ。
自分の負担を少しでも減らす為に。
そこで疑念がよぎる。何故わざわざルール違反を犯し、こんな罰を受けてまで伊吹に近寄るのか。
伊吹には敵が多い。そんな奴らからの刺客だろうかと思わなくもないが、それだと辻褄が合わないのだ。
(まさか俺に惚れて、近付きたくて、わざと……? んなわけないか。
そんなバカな事する奴見た事ねぇよ)
気を取り直して、観客に顔を向けた。
「バイブはあんまり効果ないみたいなので、また針に戻ります。針の痛みで声を上げさせて、バイブを大きくしていけば、さすがのスイ君もアナルで感じ始めるでしょう」
伊吹はまた針を取り出して次は翠の顔の上を針でなぞって恐怖を煽る。
ここまでの責めはした事がなかった。今まで慣れている人の男性器の包皮に刺したり、乳首を貫通させたりはあったが、初心者相手に刺した上に、声出し禁止等の厳しいルールを設けた事がなかったのだ。
普段は恐怖を軽減させる為に目隠しもしない。痛みに声を出すのは当然の事で、寧ろ痛みを発散させる為に叫ぶ事を推奨している程だ。
伊吹でさえ叫び声を上げる。それは痛みで感じてしまうからこそ声をあげてしまうのだが。
声を上げるなと命令されても応じる事は出来ないし、不可能だ。
なので、翠にもそれを期待していたのだが、先程貫通させた時、あまりにも声を出していなかった。
あそこまで我慢されるのは想定外だ。次こそ、きちんと叫び声をあげさせなければ──。
「スイ君、安心してね。今怖い思いしただろうから、しばらくは刺さないよ……あっ! 手が滑っちゃった~」
既に針が刺さっている左の乳首をつまみ、次は上から下に向けて一気に貫通させた──。
だが呻き声も悲痛な叫びも聞こえない。
自分の耳がおかしくなったのかと伊吹が顔を上げると、翠は歯を食いしばり、必死に耐えていた。
絶対に声を出さないと覚悟を決めているのだろう。殺気立ったような、必死の形相を見せていた。
SMプレイでも苦痛系はハードSMに分類される。針を使用したり、軽い拷問器具を使用したり、男性相手であればペニスや睾丸を痛めつけるプレイが多いだろう。
SMプレイを行うにあたり、伊吹はMとしてはプロに近いレベルであるが、Sとしてはまだ経験は浅い方だ。
相手の様子を見ながら許容範囲を見極め、無理のないプレイをする事を意識はしているが、まだ翠の限界が分からない。
下手をしたら自分を基準に、自分が耐えうるレベルの責めをしてしまう危険性を孕んでいる。
今相手をしているのは、恐らくノーマルと思しい翠だ。
伊吹が見たところ、翠はどちらかというとMだろうと判断している。それもかなり痛みに耐性のある人物だと──。
「覚悟しろよ、お前のストーカー行為は今日で終わらせてやる」
伊吹は小声で翠を脅す。プライベートで伊吹に話し掛けてくる事のないよう、今回は本気で苦痛プレイに臨む所存だ。
伊吹は客席に向けて説明しながら、翠へも優しく声を掛ける。
「今回、皆様に分かりやすいよう、スイ君にマイクを取り付けています。
叫び声だけでなく、唸り声だけでも、一声につき、アナルバイブの太さを一センチプラスしていくので、頑張ってね~!」
伊吹はテーブルの上に用意された簡単な拷問器具の様相を呈した玩具の中から針を取り出した。
ただの針ではなく、はり灸院で見るような医療用の細い針だ。
それら百本をトレーの上に乗せ、ニヤニヤとにやけながら翠に見せた。
「これからこの針をスイ君に刺します。あ、もちろん全部じゃないですよ。
この内何本使うかは秘密です」
翠に見せた後で観客にも見せる。それを一旦テーブルに起き、フェイスタオル程の黒い布を観客に見せるようにバッと広げた。
「スイ君には目隠しをしてもらいます。怖い? 怖いでしょ?
どこにどう刺されるか分からないもんね。勿論猿轡なんかしてやらないから、スイ君の忍耐力で声を出さずに痛みに耐えてね?」
説明しながらスイの目を黒い布で覆い、後頭部で縛った。
「視覚を奪われると他の感覚が増すものですから。存分に痛みを味わえますね」
伊吹はニコニコと翠に恐怖を与えるような発言をしながら針を手に持った。そして、先端を翠の胸や乳首の周りを、血が出ない程度の力で円を描くように這わせる。
少し強めに皮膚を押すと、翠がグッと歯を食いしばった。
「あれあれ? 痛い? あ、血が出ちゃった。舐めてあげる……もしかして感じちゃってる?
スイ君ったらへんたーい」
と、血は出ていないが、針でなぞった部分を舐め、ついでに乳首も吸うようにしゃぶった。
翠は痛みより、乳首を吸われた快楽の方に反応し、肉棒がピクリと動いた。
「なんてね。血は出てないから安心してね。
ちなみに、針責めは刺すだけのプレイじゃないんですよ。こうやって、刺さずになぞるだけでも、結構な恐怖なんです。
例え信頼している相手でも、拘束されて一切抵抗出来ない状態は怖いですからね」
「……っ」
「あれ、スイ君。何か言いたげだね? 一言でも言葉を発したら……お尻にお仕置きしながら針責めは続けるからね。我慢してね」
と、言いながら伊吹は翠の左側の乳首を摘み……根元から針を横向きに刺し、乳首を貫通させた!
会場内に翠の小さな声がはっきりとスピーカーから流れる。
「いっ! づぅぅっ!?」
「あれっ? 声出ちゃったね? お仕置きタイムだな! じゃあまずは先週のおさらいからしましょうね。
最初は直径三センチ、長さ十センチのバイブです。頑張って耐えてね~」
伊吹は指にローションを塗り、翠のアナルを解した。意外に緩くなっている穴は、指二本は余裕で入った。
三本目の指はゆっくりと入れて解すように中で左右に回転させたが、結構柔らかい。
今日、あまり苦しまない様に自分で解したか、前回の公開処刑でアナルにハマったかのどちらかであろう。どちらにせよ、伊吹には関係のない事だが、拡張行為に一切の苦しみを見せないのはつまらない。
その場の思い付きで、急なルール変更をする事にした。
「あ、スイ君。ルール追加するね!
バイブ入れてる時に声出したら……鞭打ち十回! 声を出すごとに増やしていって、その合計回数を、全部のプレイが終わってから俺が鞭で打ってあげる」
と、恐怖の罰を言いながら、すかさずバイブを一気に奥まで突き入れた。
どちらかというと痛みではなく驚いたのだろう。
「ひぃ!」
と、一瞬声が漏れてしまった。
「あーあ。鞭打ち十回は確定ですね。折角のバイブを使わないのは勿体ないので、バイブのスイッチをオンにします!」
カチ、と振動を与えるが、翠は眉を顰めて耐えているだけだ。
視覚が奪われ、感じやすくなっている筈だが、翠は尻穴ではあまり感じていない様子だ。とすると、やはり公開処刑に合わせてわざわざ自分で穴を広げてきたのだ。
自分の負担を少しでも減らす為に。
そこで疑念がよぎる。何故わざわざルール違反を犯し、こんな罰を受けてまで伊吹に近寄るのか。
伊吹には敵が多い。そんな奴らからの刺客だろうかと思わなくもないが、それだと辻褄が合わないのだ。
(まさか俺に惚れて、近付きたくて、わざと……? んなわけないか。
そんなバカな事する奴見た事ねぇよ)
気を取り直して、観客に顔を向けた。
「バイブはあんまり効果ないみたいなので、また針に戻ります。針の痛みで声を上げさせて、バイブを大きくしていけば、さすがのスイ君もアナルで感じ始めるでしょう」
伊吹はまた針を取り出して次は翠の顔の上を針でなぞって恐怖を煽る。
ここまでの責めはした事がなかった。今まで慣れている人の男性器の包皮に刺したり、乳首を貫通させたりはあったが、初心者相手に刺した上に、声出し禁止等の厳しいルールを設けた事がなかったのだ。
普段は恐怖を軽減させる為に目隠しもしない。痛みに声を出すのは当然の事で、寧ろ痛みを発散させる為に叫ぶ事を推奨している程だ。
伊吹でさえ叫び声を上げる。それは痛みで感じてしまうからこそ声をあげてしまうのだが。
声を上げるなと命令されても応じる事は出来ないし、不可能だ。
なので、翠にもそれを期待していたのだが、先程貫通させた時、あまりにも声を出していなかった。
あそこまで我慢されるのは想定外だ。次こそ、きちんと叫び声をあげさせなければ──。
「スイ君、安心してね。今怖い思いしただろうから、しばらくは刺さないよ……あっ! 手が滑っちゃった~」
既に針が刺さっている左の乳首をつまみ、次は上から下に向けて一気に貫通させた──。
だが呻き声も悲痛な叫びも聞こえない。
自分の耳がおかしくなったのかと伊吹が顔を上げると、翠は歯を食いしばり、必死に耐えていた。
絶対に声を出さないと覚悟を決めているのだろう。殺気立ったような、必死の形相を見せていた。
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たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。



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