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四章
六話
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「それは…できませんね…」
力なくトートが答える。
フリードには、それが本心であるとは思えず、質問を重ねた。
「どうして?
仲間に気を使っているのか?」
「それもありますが…。
僕が向かおうとしている場所は、普通の人は誰も行きたがらないし、とある条約を結んでいるとかでルーベリア皇族であろうと立ち入る事が出来ないと言われている場所なんです。
犯罪を犯して追放された人は、別の集落に移るそうで、その村は冤罪だと分かれば村に迎え入れるそうなのです」
「村の場所や名前は?」
「……スティラ村って言っても分かりませんよね?
ほとんどの帝国民は知らない場所ですし。
ただ、婚外子である王女がスティラ村で発見されて、城に迎え入れられたと聞いています。
今は、ヘイリア帝国に嫁いでいますが」
フリードもアグリルも、すぐにそれがイリーナであると分かり、目を配らせて頷く。
そして、フリードは再度トートに視線を向けた。
「それならちょうどいい。
俺達の行先も同じスティラ村だし、一人増えたところで問題ない。
この素人達と行くよりは、教会に見つからずに済むだろ」
フリードは視線を下に向け、伸びている異端者達を見つめた。
「確かに彼らは一般人ですから、戦闘力はほとんどないに等しいですが……」
「誘拐した男性達を解放すると約束してくれるなら、俺達がトートさんを守りながら村まで連れて行く」
すると、トートは眉間に皺を寄せて右手を前に出し、手のひらを向けた。
「ちょっと、待ってください。
そもそも、フリードさんはどうしてスティラ村に行く必要があるんです?
僕だって、そんな自分に有利な提案されたら、警戒しますよ。
仲間達は、異端者扱いされて冤罪で拷問場に連れてこられた人達で、僕が逃がしてあげたから、崇拝してくれているんだと分かります。
けど、あなた方はルーベリア国民じゃないですし、絶対ドルーズ教信者じゃないですよね!?
僕に優しくする理由がないじゃないですか!」
トートは全て分かっていて、知らない振りをしていたのだろう。
フリードが彼に向ける眼差しには、哀愁がこもり、どこまで話していいものかを思案した。
「友達だからって理由じゃダメかな?」
その言葉に、トートはハッと目を見開き、フリードを見つめ返す。
ついさっき、友達ごっこはやめようなどと言ったから、そんな言葉はもう彼に通用しないような気がしていた。
だが、それでもフリードは続ける。
「俺は昔友人だと思っていた人がいた。
俺はある仕事をしていて、それは基本的に一人でやるものなんだけど、俺と同じくらいの年齢の男の子がやってきて、手伝うって言ってくれたんだ。
俺達は友達だから、助け合おうって」
「へぇ…。次はフリードさんがその友達のように、僕に手を差し伸べようと?」
「いいや。
そいつは仕事を完遂すると、俺を気絶させて、全部一人でその仕事をしたと上に報告した。
俺は給料を受け取れず、そいつはボーナスまで受け取りやがった」
「最低な人じゃないですか」
「ああ。だから、俺はずっと友人なんてものは、この世には存在しないと思うようになった。
笑顔で近寄る奴は大体敵、俺から何かを奪うつもりだってね」
するとアグリルが、何かに気付いたらしく、目を見開き、フリードを見つめる。
フリードもその視線を感じながら、3年前、帝国軍第一隊に入った時の事を少し思い出した。
アグリルが笑顔で近寄ってきて、拒絶反応を示したのもそれが理由である。
「だから俺は人は疑うもので、誰一人信じちゃいけないって思ってたんだよ。
でも、最近知り合った奴がさ、仕事をする上で協力するのは当然? みたいな事言うんだよ。
最初は疑いながらも、裏切られた時の対処法ばっか考えてた。
けどそいつ、全然裏切る気配ないし、俺の無茶ぶりにも付き合ってくれたし……。
なんていうか、人を信じるのって凄く、嬉しい事だって思った。
だからトート、俺を一度だけ信じてみないか?
もし、俺が裏切ったとしたらその時は、俺を煮るなり焼くなり好きにしていい」
フリードが軽くそう言うと、リュートは驚いた顔をして、声を荒らげた。
「フリード……!」
「アグリル、俺は本気だよ。
人を信じるって事は、俺にとっては命を掛けるに等しい事だったんだよ。
それが、今は仲間なら信じられるようになった。
トートとは友達になった……、さっきは友達ごっこなんて言ったけど、俺はトートと友達でいたい。
あんたは同じ気持ちじゃないのか?」
フリードは必死に自分の心を伝えるように、トートに強い眼差しを向けた。
するとトートは少し視線を下に向けて、無言のまま黙りこくっている。
頷く事も、否定する事もできない、複雑な心境なのだろう。
フリードはそれを理解しながら、続けて自分の胸の内を明かした。
「友人っていうのは、無償の心で助け合うものなんだろう?
俺はそれを信じられなかったから、疑う事しか出来なかった。
けど、トートが俺を友人だと認めてくれるなら、俺はいくらでも手を貸す!」
それは、クレイル公国でスパイをしていた時には考えられない感情だった。
フリードは一歩ずつ前へと進み、トートの目の前で立ち止まる。
そして、右手を伸ばした──。
「トート、君にとって俺は何?」
「……本気で僕の友人になるつもりですか?」
「ああ」
「僕は異端審問官で、この手を血に染めてきました。
周囲からは悪魔だと言われてきたし、この体も汚れきって、綺麗なところが一つもないんですよ。
こんな人間、誰も近くに置こうなんて考えないですよ。
近付いてくる人は、みんな僕を崇拝したいか、利用したいかのどちらかです。
フリードさんの本当の狙いはなんですか?」
トートは自分の身体を抱き締めるように、両腕を前で組んだ。
警戒しているのがよく分かるが、フリードは諦めない。
「友人だから。
初めて、俺の友人になってくれた人が苦しんでいるのに、無視なんてできない。
ただ、それだけだよ。
俺にはトートの気持ちはよく分かるから、手を差し伸ばしても、警戒されるだけっていうのは分かるんだ。
どうしても嫌なら、これ以上無理にとは言わないよ」
するとトートは、恐る恐る手を伸ばし、フリードの手を握った。
「裏切ったら……、その時は異端審問官の経験を活かして、フリードさんを苦しめてやりますよ」
「それでもいいよ」
フリードが少しだけ微笑むと、トートは目に涙を溜めて、フリードに抱き着いた。
アグリルが慌てているのが視界の端に写るが、フリードは気にせずトートの背中に腕を回す。
「フリードさん!
改めて、友人としてよろしくお願いしますね」
「ああ!よろしく、トートさん」
それからトートは、倒れている異端者達を起こし、監禁している男達を解放するように命令した。
「僕はフリードさん達と村へ向かいます。
あなた方は、本来生きていない人ですから、皆さんを解放したら、すぐに身を隠して下さいね」
すると、異端者達は全員トートの前に平伏し、泣きながら「分かりました」と、何度も頷いていた。
男性達を解放し、異端者達も隠れ家から出ていく。
そして、フリード達はまだ出て行かずに、まずアグリルに頼んで、トートの身を隠す為の服を買いに行ってもらった。
戻ってきたアグリルが買ってきたのは、ルーベリアの村娘なら誰でも着ているもので、肩から足元までのスカートに、胸元にコルセットを巻くものだ。
アグリルは服だけでなくカツラも購入してきたようで、トートはどこからどう見ても、可愛らしい女性にしか見えない。
「うぅ……、僕男なのに……」
トートはそう嘆いていたが、
「男ばかりが誘拐されて、トートまで行方知れずになっているんだから、教会が探すのは中性的に見える男が中心になると思う。
完全に女にしか見えなかったら、追って来れないだろうから、少しの間我慢してくれ」
というフリードの説得に頷いた。
「ワガママ言ってすみません。
あと、アグリルさん、本当にありがとうございます」
「俺はフリードの意見に従っただけだから、礼を言うならフリードにしてくれ」
少し照れた様子のアグリルに、トートはクスクスと笑った。
「ふふっ。
実は2人とも、ヘイリアの騎士様だったりするんじゃないですか?
僕の正体を知っているのに、2人は僕に正体を明かしてくれませんよね。
本当にそれで友人って言えるんでしょうか?」
フリードは痛いところをつかれて、一瞬硬直したが、すぐに苦笑してどうにかごまかそうとした。
「そ、それでも友人は友人じゃないかな?
身分とか立場とか、関係ないものだよ、きっと」
「冗談ですよ、僕も異端審問官だった過去は消し去りたいですから…。
フリードさんが何者だって、僕は構いません。
もちろん、アグリルさんも!」
嬉しそうな笑顔を浮かべるトートに、キョトンとしたアグリルが問いかける。
「ていうか、友人って言うなら何何さんって言うのおかしくない?
俺は親しい人を呼び捨てにするけど」
するとトートは顔を真っ赤にして、緊張した様子でフリードを見つめた。
「えっと……、じゃあ……ふ、フリード」
「うん、トート……、ってなんかこれ照れるかも」
2人して顔を赤くすると、アグリルが苦笑した。
「初々しいカップルじゃないんだから!
それに、フリード。あなたの恋人が今の姿見たら、どう思うか考えた方がいいかもよ?」
「あっ、確かに。友人なんだから、下の名前で普通に呼ぶようにしないとな」
「そもそも、俺の事アグリルって普通に呼んでるのに、トートを呼ぶ時だけ恥ずかしがってるのおかしいでしょ」
「だって……、相手が友達だって思うと、なんか嬉しいような恥ずかしいような気分になるんだよ」
「とにかく、フリードもトートも、さっさとジールのところに戻ろう」
アグリルがそう言って歩き出すと、フリードも後に続いて歩き出す。
その後ろにトートも続いて、地上へと戻っていったのだった。
───────────────────
※
皆様、長らくお待たせしました。
言い訳ですが、私生活でハプニングが起こりまくりで、書いている間がなかったのです。
久々にようやく続きを掛けると思ったら、ストーリー、設定など完全に忘れておりまして、読み返すのにも時間がかかる始末。
ようやく書く時間を取れるようになったので、これからは更新頻度上げていきます。
ストーリーを忘れてしまった方は申し訳ないですが、読み返していただければ幸いです。
今後もよろしくお願いいたします。
力なくトートが答える。
フリードには、それが本心であるとは思えず、質問を重ねた。
「どうして?
仲間に気を使っているのか?」
「それもありますが…。
僕が向かおうとしている場所は、普通の人は誰も行きたがらないし、とある条約を結んでいるとかでルーベリア皇族であろうと立ち入る事が出来ないと言われている場所なんです。
犯罪を犯して追放された人は、別の集落に移るそうで、その村は冤罪だと分かれば村に迎え入れるそうなのです」
「村の場所や名前は?」
「……スティラ村って言っても分かりませんよね?
ほとんどの帝国民は知らない場所ですし。
ただ、婚外子である王女がスティラ村で発見されて、城に迎え入れられたと聞いています。
今は、ヘイリア帝国に嫁いでいますが」
フリードもアグリルも、すぐにそれがイリーナであると分かり、目を配らせて頷く。
そして、フリードは再度トートに視線を向けた。
「それならちょうどいい。
俺達の行先も同じスティラ村だし、一人増えたところで問題ない。
この素人達と行くよりは、教会に見つからずに済むだろ」
フリードは視線を下に向け、伸びている異端者達を見つめた。
「確かに彼らは一般人ですから、戦闘力はほとんどないに等しいですが……」
「誘拐した男性達を解放すると約束してくれるなら、俺達がトートさんを守りながら村まで連れて行く」
すると、トートは眉間に皺を寄せて右手を前に出し、手のひらを向けた。
「ちょっと、待ってください。
そもそも、フリードさんはどうしてスティラ村に行く必要があるんです?
僕だって、そんな自分に有利な提案されたら、警戒しますよ。
仲間達は、異端者扱いされて冤罪で拷問場に連れてこられた人達で、僕が逃がしてあげたから、崇拝してくれているんだと分かります。
けど、あなた方はルーベリア国民じゃないですし、絶対ドルーズ教信者じゃないですよね!?
僕に優しくする理由がないじゃないですか!」
トートは全て分かっていて、知らない振りをしていたのだろう。
フリードが彼に向ける眼差しには、哀愁がこもり、どこまで話していいものかを思案した。
「友達だからって理由じゃダメかな?」
その言葉に、トートはハッと目を見開き、フリードを見つめ返す。
ついさっき、友達ごっこはやめようなどと言ったから、そんな言葉はもう彼に通用しないような気がしていた。
だが、それでもフリードは続ける。
「俺は昔友人だと思っていた人がいた。
俺はある仕事をしていて、それは基本的に一人でやるものなんだけど、俺と同じくらいの年齢の男の子がやってきて、手伝うって言ってくれたんだ。
俺達は友達だから、助け合おうって」
「へぇ…。次はフリードさんがその友達のように、僕に手を差し伸べようと?」
「いいや。
そいつは仕事を完遂すると、俺を気絶させて、全部一人でその仕事をしたと上に報告した。
俺は給料を受け取れず、そいつはボーナスまで受け取りやがった」
「最低な人じゃないですか」
「ああ。だから、俺はずっと友人なんてものは、この世には存在しないと思うようになった。
笑顔で近寄る奴は大体敵、俺から何かを奪うつもりだってね」
するとアグリルが、何かに気付いたらしく、目を見開き、フリードを見つめる。
フリードもその視線を感じながら、3年前、帝国軍第一隊に入った時の事を少し思い出した。
アグリルが笑顔で近寄ってきて、拒絶反応を示したのもそれが理由である。
「だから俺は人は疑うもので、誰一人信じちゃいけないって思ってたんだよ。
でも、最近知り合った奴がさ、仕事をする上で協力するのは当然? みたいな事言うんだよ。
最初は疑いながらも、裏切られた時の対処法ばっか考えてた。
けどそいつ、全然裏切る気配ないし、俺の無茶ぶりにも付き合ってくれたし……。
なんていうか、人を信じるのって凄く、嬉しい事だって思った。
だからトート、俺を一度だけ信じてみないか?
もし、俺が裏切ったとしたらその時は、俺を煮るなり焼くなり好きにしていい」
フリードが軽くそう言うと、リュートは驚いた顔をして、声を荒らげた。
「フリード……!」
「アグリル、俺は本気だよ。
人を信じるって事は、俺にとっては命を掛けるに等しい事だったんだよ。
それが、今は仲間なら信じられるようになった。
トートとは友達になった……、さっきは友達ごっこなんて言ったけど、俺はトートと友達でいたい。
あんたは同じ気持ちじゃないのか?」
フリードは必死に自分の心を伝えるように、トートに強い眼差しを向けた。
するとトートは少し視線を下に向けて、無言のまま黙りこくっている。
頷く事も、否定する事もできない、複雑な心境なのだろう。
フリードはそれを理解しながら、続けて自分の胸の内を明かした。
「友人っていうのは、無償の心で助け合うものなんだろう?
俺はそれを信じられなかったから、疑う事しか出来なかった。
けど、トートが俺を友人だと認めてくれるなら、俺はいくらでも手を貸す!」
それは、クレイル公国でスパイをしていた時には考えられない感情だった。
フリードは一歩ずつ前へと進み、トートの目の前で立ち止まる。
そして、右手を伸ばした──。
「トート、君にとって俺は何?」
「……本気で僕の友人になるつもりですか?」
「ああ」
「僕は異端審問官で、この手を血に染めてきました。
周囲からは悪魔だと言われてきたし、この体も汚れきって、綺麗なところが一つもないんですよ。
こんな人間、誰も近くに置こうなんて考えないですよ。
近付いてくる人は、みんな僕を崇拝したいか、利用したいかのどちらかです。
フリードさんの本当の狙いはなんですか?」
トートは自分の身体を抱き締めるように、両腕を前で組んだ。
警戒しているのがよく分かるが、フリードは諦めない。
「友人だから。
初めて、俺の友人になってくれた人が苦しんでいるのに、無視なんてできない。
ただ、それだけだよ。
俺にはトートの気持ちはよく分かるから、手を差し伸ばしても、警戒されるだけっていうのは分かるんだ。
どうしても嫌なら、これ以上無理にとは言わないよ」
するとトートは、恐る恐る手を伸ばし、フリードの手を握った。
「裏切ったら……、その時は異端審問官の経験を活かして、フリードさんを苦しめてやりますよ」
「それでもいいよ」
フリードが少しだけ微笑むと、トートは目に涙を溜めて、フリードに抱き着いた。
アグリルが慌てているのが視界の端に写るが、フリードは気にせずトートの背中に腕を回す。
「フリードさん!
改めて、友人としてよろしくお願いしますね」
「ああ!よろしく、トートさん」
それからトートは、倒れている異端者達を起こし、監禁している男達を解放するように命令した。
「僕はフリードさん達と村へ向かいます。
あなた方は、本来生きていない人ですから、皆さんを解放したら、すぐに身を隠して下さいね」
すると、異端者達は全員トートの前に平伏し、泣きながら「分かりました」と、何度も頷いていた。
男性達を解放し、異端者達も隠れ家から出ていく。
そして、フリード達はまだ出て行かずに、まずアグリルに頼んで、トートの身を隠す為の服を買いに行ってもらった。
戻ってきたアグリルが買ってきたのは、ルーベリアの村娘なら誰でも着ているもので、肩から足元までのスカートに、胸元にコルセットを巻くものだ。
アグリルは服だけでなくカツラも購入してきたようで、トートはどこからどう見ても、可愛らしい女性にしか見えない。
「うぅ……、僕男なのに……」
トートはそう嘆いていたが、
「男ばかりが誘拐されて、トートまで行方知れずになっているんだから、教会が探すのは中性的に見える男が中心になると思う。
完全に女にしか見えなかったら、追って来れないだろうから、少しの間我慢してくれ」
というフリードの説得に頷いた。
「ワガママ言ってすみません。
あと、アグリルさん、本当にありがとうございます」
「俺はフリードの意見に従っただけだから、礼を言うならフリードにしてくれ」
少し照れた様子のアグリルに、トートはクスクスと笑った。
「ふふっ。
実は2人とも、ヘイリアの騎士様だったりするんじゃないですか?
僕の正体を知っているのに、2人は僕に正体を明かしてくれませんよね。
本当にそれで友人って言えるんでしょうか?」
フリードは痛いところをつかれて、一瞬硬直したが、すぐに苦笑してどうにかごまかそうとした。
「そ、それでも友人は友人じゃないかな?
身分とか立場とか、関係ないものだよ、きっと」
「冗談ですよ、僕も異端審問官だった過去は消し去りたいですから…。
フリードさんが何者だって、僕は構いません。
もちろん、アグリルさんも!」
嬉しそうな笑顔を浮かべるトートに、キョトンとしたアグリルが問いかける。
「ていうか、友人って言うなら何何さんって言うのおかしくない?
俺は親しい人を呼び捨てにするけど」
するとトートは顔を真っ赤にして、緊張した様子でフリードを見つめた。
「えっと……、じゃあ……ふ、フリード」
「うん、トート……、ってなんかこれ照れるかも」
2人して顔を赤くすると、アグリルが苦笑した。
「初々しいカップルじゃないんだから!
それに、フリード。あなたの恋人が今の姿見たら、どう思うか考えた方がいいかもよ?」
「あっ、確かに。友人なんだから、下の名前で普通に呼ぶようにしないとな」
「そもそも、俺の事アグリルって普通に呼んでるのに、トートを呼ぶ時だけ恥ずかしがってるのおかしいでしょ」
「だって……、相手が友達だって思うと、なんか嬉しいような恥ずかしいような気分になるんだよ」
「とにかく、フリードもトートも、さっさとジールのところに戻ろう」
アグリルがそう言って歩き出すと、フリードも後に続いて歩き出す。
その後ろにトートも続いて、地上へと戻っていったのだった。
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皆様、長らくお待たせしました。
言い訳ですが、私生活でハプニングが起こりまくりで、書いている間がなかったのです。
久々にようやく続きを掛けると思ったら、ストーリー、設定など完全に忘れておりまして、読み返すのにも時間がかかる始末。
ようやく書く時間を取れるようになったので、これからは更新頻度上げていきます。
ストーリーを忘れてしまった方は申し訳ないですが、読み返していただければ幸いです。
今後もよろしくお願いいたします。
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