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一章
六話
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「はっ。明日には解雇されるだろう。今日のうちに荷物をまとめておくんだな。
気分が悪い、さっさと出ていけ!」
イグナートがそう言い放つと、フリードは「失礼致します」と食堂を出て行った。
ルベルトも慌ててフリードについて行く。
「あ、あの。大丈夫ですか?」
「何がですか?」
「解雇されてしまいます」
「大丈夫です。これは俺の問題ですから、ターバイン君が気にする事ではないですよ」
あんな言い方をされたのに、全く気にも留めていないフリードが格好良く見える。
だが、言わないだけで心の中は傷付いているのかもしれない。ルベルトはそんな心配をした。
「あの、イグナート様は本当はあんな事を言う人ではないんです。誰にでも優しくて、正義感が強くて、頼りになって……。
お母様が亡くなって、まだ心の整理がついていないだけです。だから……」
「どうして君が彼を庇う必要があるんだ?」
「え?」
フリードは立ち止まるとルベルトに向き直った。不思議そうに見つめてくる。
口調も変わった。誰が見ても一番立場の低いルベルトにまで丁寧な敬語を使っていたフリードだったが、口調も平民が使うような砕けた言い方に変わり、声色も少し低くなった。
それがフリードの素らしい。だからといって貴族ではなくなったルベルトに、自分に向けられる無礼な態度を咎める事は出来ないが。
「彼をああいう風にしたのは私の責任でもありますから」
「君が負う責任って何だ?」
「帝国中が騒ぎになった事件、知っているでしょう?
私の母が公爵夫人を、こ、殺したのを知らない人はいません」
「それは俺も知ってる。けど、それでターバイン君になんの責任が?
こんな扱いを受ける筋合いはないだろ」
「今はイグナート様の望むようにしてあげたいのです」
「ふぅん? 随分優しいんだな、君は」
「どうしてそうなるんですか」
「損でしかないのに相手の為に自分を犠牲にして行動してしまう、そんな感情はなんとなく理解出来るよ。
それだけ坊ちゃまの事が大事なんだな」
またフリードが微笑んだ。違和感のある作り笑顔。
優しい笑顔だが、それが不自然に思えた。まるで笑顔の人形のように無機質に感じる。
「はい。そうですね。私は今でも彼を親友だと思っていますから」
「真実を知った時、君がどんな反応をするのか興味あるな」
「真実? って、どういう事ですか?」
「今の君はまだ幸せなんだろうって事」
フリードの言葉の意味が分からなかった。どこからどう見ても、今の状況は不幸だ。
侯爵令息として順風満帆だったのに、母親は殺人罪で終身刑、父親は姦通罪で平民に降格だ。
ルベルト自身、罪を償う覚悟があるから耐えられているものの、ボロボロの布切れのような服で慣れない仕事をしながら、イグナートやその友人達の慰み者となっているのだ。
(これが幸せだって? 何かを知ると今より不幸になるとでも言いたいみたいだ)
ルベルトはジッとフリードを見つめたが、既に歩き出した彼は背を向けてサクサクと前へ進んでいる。
芸術品のように綺麗な見た目で、公爵令息に楯を突く不思議な使用人。彼は何者なのだろうか。
結局フリードがクビになる事はなく、翌日もルベルトと仕事をしていた。
フリードのお陰で仕事にも大分慣れ、フリードが言った通り午後には自由な時間が取れるようになった。
最初は使用人棟の屋根裏部屋で本を読んで過ごしていたが、それに気付いたイグナートがルベルトを呼び出し、今まで以上に性的ないじめをしてくるようになった。
見かねたフリードがルブロスティン公爵に抗議した。食事が済んで、公爵もイグナートも揃っている時にだ。
「坊ちゃまの遊び道具にされるくらいならまだ仕事をしていた方がマシです。少しで良いのでターバイン君の人権を守ってくださいますよう願います」
──と。
公爵は不機嫌そうに顔を顰めたが、怒る事もなく、追加で公爵の書斎の仕事をルベルトに任せた。
そんなフリードの態度にイグナートは我慢しているようだった。
(どうして二人はフリードさんの言う事を聞いているんだろう?)
不思議だった。新人の使用人にそこまで発言する力などある筈がないのに──。
その日の夜。フリードが屋根裏部屋にやってきた。
「入ってもいいかい?」
「はい!」
「そのベッドじゃ疲れも取れないだろう?」
フリードは何を思ったのか無表情でベッドを見た。
「えっ? まぁ、寝れば大分疲れは取れますよ」
「身体は痛くないか?」
「大丈夫です。これくらい。フリードさんって本当不思議な方ですね。何者なんですか?」
「さてな」
と、フリードは木の板でしかないベッドに座り、ルベルトに隣に座るよう促した。
「手を出して」
ルベルトが右手を出すと、フリードは手の甲の傷を触らないよう優しく握った。
もう片方の手には瓶が握られている。塗り薬だ。手の甲の傷にフリードが丁寧に塗った。
「この薬を君にあげるよ。傷が治るまで毎日寝る前に塗るといい」
「フリードさん、ここまでしていただく価値は私にはありません」
「何を言う。君は何も悪くないだろうに」
「いえ、でも両親が……」
「君は何もしていない。
罪を犯した者は、裁判で裁きを受けるものだ。個人的に恨みをぶつけていいのなら、何の為に裁判をするんだ?」
フリードの顔には表情はない。綺麗な顔で淡々とそう言い、ルベルトの手を優しく握っている。
ルベルトは答えられなかった。他国と比べて法が整備された法治国家であるヘイリア帝国だが、それが全てではない。
犯罪者の家族は罪がなくとも糾弾され、疎外されるものだ。
(両親の罪だろうと、家族の罪は自分の罪になるのが当然なんじゃないのか?
きっとフリードさんは国外の人なんだ。だからそんな事が言えるんだ)
困っているルベルトに、フリードはまた笑っていない微笑を見せた。無機質で作り物のような笑みを。
「明日は用事があって外出する為、君を守れない。夕方には戻るがそれまで耐えて欲しい。
掃除は終わらなかったら俺が帰ってからやるから、焦って終わらせる必要はないよ。
適当に力抜いてな」
翌日。久々にルベルト一人での仕事だったが、今は一人でも仕事を回せるだけの要領を掴めていた。
ただ、やはり普段二人でしていた仕事を一人でしているので、いつもより掃除に時間がかかってしまう。
特にフリードの仕事の速さが尋常ではなかったのだと気付かされる。
適当でいいと言われたが、真面目なルベルトにとって力を抜く事は、頑張るよりも難しい。
一階の掃除は午前中で終わるわけもなく、いつもなら昼食後すぐにしていた書斎の掃除を、その日は四時間ほど遅れて開始した。
公爵はいつもは皇城での仕事があったり、外出をしていたりで日中は屋敷にいる事は殆どないが、その日は屋敷におり来客を迎えて応接室に篭っていた。
屋敷にいる時はいつも書斎にいる事が多い。公爵が書斎に戻る前に仕事を終わらせなければ、とルベルトは少し焦っていた。
だが、そのせいもあり机の上に置いてあった公爵のペンを落としてしまった。コロコロと転がり本棚の奥へと転がっていく。
図書館のように本棚が並べられている一室。
そのペンを追い掛けて、本棚の隙間に入っていた時──公爵が書斎に入ってきたのだ。
公爵はイグナートと違い直接的な害はないが、メイド三人を解雇したり、使用人達にルベルトを無視するよう指示したり、間接的に害を与えてくる。
妻を殺された恨みがあるだろうから、ルベルトを憎悪しているだろうと納得していた。
(掃除中って言わないと)
と、ルベルトが出ていこうとした瞬間、公爵が口を開いた。
「はぁ。ようやく落ち着ける。情報を整理せねばな」
普段屋敷内にいる時、公爵の声は殆ど聞かない。イグナートと共に食事をする時もほぼ無言だ。
一人になると饒舌に独り言を言い出す癖があるとは知らなかったのだ。ルベルトは完全に本棚の隙間から抜け出すタイミングを失った。
ここで出ていけば公爵の恥になるだろう。それなら知らないフリをした方が良い。
「どうしたらあの皇帝を失脚させられるものか。
ザハード国王に攻めさせるつもりだったのに友好関係が戻ってしまったしな。
今や、逆に私がザハード国王に睨まれる始末だ。
若造の癖に……。侮ったのが仇になったか」
ザハード王国は、ヘイリア帝国程の大国ではないながらも軍事に圧倒的な力があり、まともにぶつかり合ったら無事では済まないだろうと言われている国だ。
(どうしてザハード王国と……? 確か亡き公爵夫人はザハード王国の第七王女だった筈)
ザハード王国の第七王女は末娘で、国王が一番愛情を注いでいたという話は有名だ。
(お母様が元王女である公爵夫人を殺したから、それでザハード国王がお怒りになったんだろうなぁ)
「ともあれ、再婚するのに邪魔だった妻は消したし。皇帝の守りだったサーシュ侯爵も消した。
アイツが溺愛していた息子も、今や無様な使用人だしなぁ。クッ……はははは。何も知らずに罪人の息子だと思い込んでバカなガキだ。
後はあの男に狂った皇帝さえ消せば、俺が皇帝だ。はははは」
全てを聞いたルベルトは唇を噛み締めた。今出て行ったら、排除された両親と同じように消されるだろう。
(今は耐えろ。計画を立てるんだ。
そして、必ず……必ず復讐してやる……!)
ルベルトは鬼の形相となっていた。目からは涙が流れ、手を痛い程強く握り締めて激情に耐えている。
怒りが、憎悪が、身体を巡る血液が沸騰するような熱さが、ルベルトを復讐へと駆り立てた。
気分が悪い、さっさと出ていけ!」
イグナートがそう言い放つと、フリードは「失礼致します」と食堂を出て行った。
ルベルトも慌ててフリードについて行く。
「あ、あの。大丈夫ですか?」
「何がですか?」
「解雇されてしまいます」
「大丈夫です。これは俺の問題ですから、ターバイン君が気にする事ではないですよ」
あんな言い方をされたのに、全く気にも留めていないフリードが格好良く見える。
だが、言わないだけで心の中は傷付いているのかもしれない。ルベルトはそんな心配をした。
「あの、イグナート様は本当はあんな事を言う人ではないんです。誰にでも優しくて、正義感が強くて、頼りになって……。
お母様が亡くなって、まだ心の整理がついていないだけです。だから……」
「どうして君が彼を庇う必要があるんだ?」
「え?」
フリードは立ち止まるとルベルトに向き直った。不思議そうに見つめてくる。
口調も変わった。誰が見ても一番立場の低いルベルトにまで丁寧な敬語を使っていたフリードだったが、口調も平民が使うような砕けた言い方に変わり、声色も少し低くなった。
それがフリードの素らしい。だからといって貴族ではなくなったルベルトに、自分に向けられる無礼な態度を咎める事は出来ないが。
「彼をああいう風にしたのは私の責任でもありますから」
「君が負う責任って何だ?」
「帝国中が騒ぎになった事件、知っているでしょう?
私の母が公爵夫人を、こ、殺したのを知らない人はいません」
「それは俺も知ってる。けど、それでターバイン君になんの責任が?
こんな扱いを受ける筋合いはないだろ」
「今はイグナート様の望むようにしてあげたいのです」
「ふぅん? 随分優しいんだな、君は」
「どうしてそうなるんですか」
「損でしかないのに相手の為に自分を犠牲にして行動してしまう、そんな感情はなんとなく理解出来るよ。
それだけ坊ちゃまの事が大事なんだな」
またフリードが微笑んだ。違和感のある作り笑顔。
優しい笑顔だが、それが不自然に思えた。まるで笑顔の人形のように無機質に感じる。
「はい。そうですね。私は今でも彼を親友だと思っていますから」
「真実を知った時、君がどんな反応をするのか興味あるな」
「真実? って、どういう事ですか?」
「今の君はまだ幸せなんだろうって事」
フリードの言葉の意味が分からなかった。どこからどう見ても、今の状況は不幸だ。
侯爵令息として順風満帆だったのに、母親は殺人罪で終身刑、父親は姦通罪で平民に降格だ。
ルベルト自身、罪を償う覚悟があるから耐えられているものの、ボロボロの布切れのような服で慣れない仕事をしながら、イグナートやその友人達の慰み者となっているのだ。
(これが幸せだって? 何かを知ると今より不幸になるとでも言いたいみたいだ)
ルベルトはジッとフリードを見つめたが、既に歩き出した彼は背を向けてサクサクと前へ進んでいる。
芸術品のように綺麗な見た目で、公爵令息に楯を突く不思議な使用人。彼は何者なのだろうか。
結局フリードがクビになる事はなく、翌日もルベルトと仕事をしていた。
フリードのお陰で仕事にも大分慣れ、フリードが言った通り午後には自由な時間が取れるようになった。
最初は使用人棟の屋根裏部屋で本を読んで過ごしていたが、それに気付いたイグナートがルベルトを呼び出し、今まで以上に性的ないじめをしてくるようになった。
見かねたフリードがルブロスティン公爵に抗議した。食事が済んで、公爵もイグナートも揃っている時にだ。
「坊ちゃまの遊び道具にされるくらいならまだ仕事をしていた方がマシです。少しで良いのでターバイン君の人権を守ってくださいますよう願います」
──と。
公爵は不機嫌そうに顔を顰めたが、怒る事もなく、追加で公爵の書斎の仕事をルベルトに任せた。
そんなフリードの態度にイグナートは我慢しているようだった。
(どうして二人はフリードさんの言う事を聞いているんだろう?)
不思議だった。新人の使用人にそこまで発言する力などある筈がないのに──。
その日の夜。フリードが屋根裏部屋にやってきた。
「入ってもいいかい?」
「はい!」
「そのベッドじゃ疲れも取れないだろう?」
フリードは何を思ったのか無表情でベッドを見た。
「えっ? まぁ、寝れば大分疲れは取れますよ」
「身体は痛くないか?」
「大丈夫です。これくらい。フリードさんって本当不思議な方ですね。何者なんですか?」
「さてな」
と、フリードは木の板でしかないベッドに座り、ルベルトに隣に座るよう促した。
「手を出して」
ルベルトが右手を出すと、フリードは手の甲の傷を触らないよう優しく握った。
もう片方の手には瓶が握られている。塗り薬だ。手の甲の傷にフリードが丁寧に塗った。
「この薬を君にあげるよ。傷が治るまで毎日寝る前に塗るといい」
「フリードさん、ここまでしていただく価値は私にはありません」
「何を言う。君は何も悪くないだろうに」
「いえ、でも両親が……」
「君は何もしていない。
罪を犯した者は、裁判で裁きを受けるものだ。個人的に恨みをぶつけていいのなら、何の為に裁判をするんだ?」
フリードの顔には表情はない。綺麗な顔で淡々とそう言い、ルベルトの手を優しく握っている。
ルベルトは答えられなかった。他国と比べて法が整備された法治国家であるヘイリア帝国だが、それが全てではない。
犯罪者の家族は罪がなくとも糾弾され、疎外されるものだ。
(両親の罪だろうと、家族の罪は自分の罪になるのが当然なんじゃないのか?
きっとフリードさんは国外の人なんだ。だからそんな事が言えるんだ)
困っているルベルトに、フリードはまた笑っていない微笑を見せた。無機質で作り物のような笑みを。
「明日は用事があって外出する為、君を守れない。夕方には戻るがそれまで耐えて欲しい。
掃除は終わらなかったら俺が帰ってからやるから、焦って終わらせる必要はないよ。
適当に力抜いてな」
翌日。久々にルベルト一人での仕事だったが、今は一人でも仕事を回せるだけの要領を掴めていた。
ただ、やはり普段二人でしていた仕事を一人でしているので、いつもより掃除に時間がかかってしまう。
特にフリードの仕事の速さが尋常ではなかったのだと気付かされる。
適当でいいと言われたが、真面目なルベルトにとって力を抜く事は、頑張るよりも難しい。
一階の掃除は午前中で終わるわけもなく、いつもなら昼食後すぐにしていた書斎の掃除を、その日は四時間ほど遅れて開始した。
公爵はいつもは皇城での仕事があったり、外出をしていたりで日中は屋敷にいる事は殆どないが、その日は屋敷におり来客を迎えて応接室に篭っていた。
屋敷にいる時はいつも書斎にいる事が多い。公爵が書斎に戻る前に仕事を終わらせなければ、とルベルトは少し焦っていた。
だが、そのせいもあり机の上に置いてあった公爵のペンを落としてしまった。コロコロと転がり本棚の奥へと転がっていく。
図書館のように本棚が並べられている一室。
そのペンを追い掛けて、本棚の隙間に入っていた時──公爵が書斎に入ってきたのだ。
公爵はイグナートと違い直接的な害はないが、メイド三人を解雇したり、使用人達にルベルトを無視するよう指示したり、間接的に害を与えてくる。
妻を殺された恨みがあるだろうから、ルベルトを憎悪しているだろうと納得していた。
(掃除中って言わないと)
と、ルベルトが出ていこうとした瞬間、公爵が口を開いた。
「はぁ。ようやく落ち着ける。情報を整理せねばな」
普段屋敷内にいる時、公爵の声は殆ど聞かない。イグナートと共に食事をする時もほぼ無言だ。
一人になると饒舌に独り言を言い出す癖があるとは知らなかったのだ。ルベルトは完全に本棚の隙間から抜け出すタイミングを失った。
ここで出ていけば公爵の恥になるだろう。それなら知らないフリをした方が良い。
「どうしたらあの皇帝を失脚させられるものか。
ザハード国王に攻めさせるつもりだったのに友好関係が戻ってしまったしな。
今や、逆に私がザハード国王に睨まれる始末だ。
若造の癖に……。侮ったのが仇になったか」
ザハード王国は、ヘイリア帝国程の大国ではないながらも軍事に圧倒的な力があり、まともにぶつかり合ったら無事では済まないだろうと言われている国だ。
(どうしてザハード王国と……? 確か亡き公爵夫人はザハード王国の第七王女だった筈)
ザハード王国の第七王女は末娘で、国王が一番愛情を注いでいたという話は有名だ。
(お母様が元王女である公爵夫人を殺したから、それでザハード国王がお怒りになったんだろうなぁ)
「ともあれ、再婚するのに邪魔だった妻は消したし。皇帝の守りだったサーシュ侯爵も消した。
アイツが溺愛していた息子も、今や無様な使用人だしなぁ。クッ……はははは。何も知らずに罪人の息子だと思い込んでバカなガキだ。
後はあの男に狂った皇帝さえ消せば、俺が皇帝だ。はははは」
全てを聞いたルベルトは唇を噛み締めた。今出て行ったら、排除された両親と同じように消されるだろう。
(今は耐えろ。計画を立てるんだ。
そして、必ず……必ず復讐してやる……!)
ルベルトは鬼の形相となっていた。目からは涙が流れ、手を痛い程強く握り締めて激情に耐えている。
怒りが、憎悪が、身体を巡る血液が沸騰するような熱さが、ルベルトを復讐へと駆り立てた。
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