『僕は肉便器です』

眠りん

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エピローグ

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「絶対南部屋がいいよ。あと壁が厚い方がいいよね」

「ちょっと待って、その部屋だと俺の方が予算オーバーなんだが。2Kか2DKまでだって。なんで3LDKだよ?」


 悠璃と飯塚は、親に話してルームシェアをする事になった。
 悠璃の母親には、物凄く仲良くなって、今ほとんど悠璃の部屋で二人でいるからと言ったらOKしてもらえた。父親は特に反対はしなかった。
 飯塚の両親には、付き合っていると挨拶をしに行って、難なく受け入れられた。


 まだ本格的に探しているわけではないが、二人は悠璃の部屋でソファーに座り、アパート物件が載っている雑誌を広げて、あーだこーだ騒いでいる。
 と、言っても一番我儘を言っているのは悠璃だ。


「広い方がいいんだもん」

「我儘お坊ちゃんめ」

「なんだと?」

「俺んちは悠璃の家よりお金ないんだから、そこ考えてよ。最高一人四万」

「じゃあ、俺が五万出すからこれにしよ?」

「プラス一万はどこから出るの?」

「俺のバイト代!」

「絶対後悔するぞ」

「そうかなぁ……?」


 ずっと一人でやってきて、金銭感覚が違うというのは別にしても、人に合わせるという事が苦手だ。
 本来であれば学校で学んでくる筈なのだが。もし『集団生活』という授業があれば、確実に最低評価だろう。


「じゃあこっち」

「そっちだと大学まで遠くない?」

「もー否定してばっか。じゃあ隼人が決めてよ!」

「俺はこっちの方がいいって思ってたんだが」

「えぇっ!? それだと収納が少ないよ?」

「何収納するんだよ。荷物少ないだろ」

「隼人の分も増えるから、多い方が良いかなって」


 のんきに表情がゆるみっぱなしの悠璃。そんな悠璃を見た飯塚は、出来るだけ彼の希望を叶えてあげたくなった。


「じゃあ俺もバイト増やすか……」

「嫌なら無理しないでね。隼人と過ごす部屋だから、居心地の良い場所にしたいんだよ」

「ありがとう。俺は悠璃といられるならどこでもいい」


 お互いの目が合うと、自然とキスをした。これが当たり前となってきている。


「まぁ、不動産屋さんに行けばもっといいところあるよね。条件を言ってさ、良いところ見つけようね」


 悠璃は雑誌を閉じて飯塚の足に自分の足を絡めた。


「それよりも、ねっ?」

「悠璃……!!」


 飯塚はガバッと悠璃を押し倒した。悠璃が誘えばすぐに乗ってくれるのだ、それが嬉しいと思える。


「あれ、悠璃。チンコ勃ってる?」

「えっ?」


 ドキドキして気付かなかったが、言われてみると勃起しているのが分かった。自分の股間に手を触れると、男性器が固く張っていた。


「聖水かけられてないのに!」

「良かった、良かった……」


 飯塚は涙を流した。本当に安堵しているようだ。悠璃も嬉しいのは同じだが、飯塚の反応に驚く。


「隼人、ありがとう」

「もう肉便器にならなくて良いって事だよな?」

「…………ん?」

「だって、小便かけられないと勃起しないからやってたんでしょ? もうそんな事しなくていいだろ」


 流れで言えば飯塚の言う通りなのだが、悠璃は赤面しながら心中を吐露した。


「たまには肉便器として使って欲しいな。だって、俺は隼人だけの肉便器だから……」


 そんなところが可愛すぎる! と、悠璃に反論が出来なかった。
 まだ当分、自分の趣味に飯塚を付き合わせる気満々の悠璃であった。
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