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二話
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その後もウェルディスは三日に一度のペースで肉便器を利用した。
不思議なもので、一度利用した肉便器は三日後には新しい者となっている。
尻の大きさ、足の長さや筋肉量など、見れば明らかに違う者と分かる。
この国の死刑制度は、被告人に死刑判決が出たら準備が整い次第、すぐに斬首刑だ。
ギロチンでの執行が主なのだが、最近では男性がギロチンで処刑された記録はない。
少しおかしいと感じたウェルディスは授業を終えると執事を自室に呼び、疑問を問うた。
「なぁ、カルテス。僕が使っている肉便器は、いつどこで処刑されているのだ?」
カルテスと呼ばれた執事は、質問の意図が分からないらしく首を傾げた。
「処刑方法は肉便器ですが」
ウェルディスは一気に顔を青くした。肉便器などという処刑法は聞いた事がない。
裁判記録にも肉便器という名の判決は見た事がない。
「まさか、僕が殺しているとでも……!?」
「いえ、そうではございません。確かに死刑判決が出た者を肉便器として設置しておりますが、殿下が殺したのではありません」
「なら、何故このところ通常の処刑がないのだ?
僕が肉便器を使い始めてからではないか」
「そもそも死刑囚は全員拷問を受けております。その時点で社会復帰は難しい身体となっており、死刑判決が出るとすぐに肉便器となるのです。
殿下が利用した時は生きていても、翌日か三日後には自然に息絶えます」
説明を聞き、ウェルディスは唇を噛んだ。
死刑囚が死ぬのは当然の事だが、心のどこかで同情をしているのだ。
「それは……ギロチンで死ぬよりも苦しいのではないか」
「奴らは罪のない者を苦しめたり、国家を転覆させようと目論む者ばかりです。
苦しんで死ぬのは当然の事です」
「そうか。だが僕の為に死刑囚を増やしているなら、それはやめてくれ。
週に二度程利用しているが、毎回人が変わるから驚いたぞ」
「もちろん、肉便器となった者は正当な判決の元処刑の期日を待っていた者のみです」
「それならいい。僕が肉便器部屋に入って、もし誰もいなくとも気にしないから。
用意出来た時に僕に教えてくれればいい」
「肝に銘じておきます。今の肉便器が終了した後、死刑判決を受けた者はおりません」
「ああ。本当なら死刑囚など出ない方が良いからな」
「殿下はお優しいですね。では、私は失礼致します。ゆっくりお休みください」
執事が去り、ベッドに横になると大きな溜息を吐いた。
少し落ち着くと、性的な欲求が頭を掠め、また肉便器を使いたくなった。
性欲が強いのが何より苦しい。授業中も、抜け出して肉便器部屋に行きたくなる時がある。
「治まれ、治まれ……」
呟きながら目を閉じるが、肉棒は熱いままだ。夜中に自然と眠りに落ちるまで、悶々と過ごした。
それから十年の月日が流れた。
両親が亡くなり、ウェルディスが帝位についた。周りから早く結婚をして跡継ぎを作るよう言われるが、どうしても惹かれる相手がいない。
国を支える為の結婚だ。気に入る気に入らないの話ではないが、気が進まないのだからどうしようもない。
「陛下、国中から美しい女性を連れてまいりました。お選びになってください」
家臣に言われ、王の間へと行き玉座に座った。
下には絶世の美女と言える程の五人の若い女性が並んでいた。
だが、その表情には怯え、恐怖、怒り等の感情が見え隠れしている。
「彼女らは僕と結婚したくてここに来たのではないのか?」
絶対に連れ去られたのだと分かったウェルディスは家臣に冷たい目を向けた。
「お前ら! 王の妃になれるのだぞ! 嬉しいだろう?」
家臣が女性達に睨みつけると、反発したのは女性達だ。
「いいえ! 私は婚約者がいるのに、急にここに連れて来られて迷惑してます!
この際、反逆罪になろうが知った事じゃないわ!
王の名において命令すれば何してもいいの!? この子達だって皆自分の人生があります! 早く、家に帰してください!」
一番ウェルディスを睨んでいた女性が、泣いている女性を守るように抱きながら怒鳴った。
「国民に迷惑をかけた。二度とこのような事はないと約束しよう。
彼女達を元いた場所に帰せ」
「ですが陛下!」
「積極的に見合いをする。二度とこのような事をするでない。
それと僕は顔の善し悪しで結婚しようと思わない」
ウェルディスは家臣達に女性を丁重に送るよう指示した。
ただ義務として皇后を決めなければならない。
深く悩んでいたある日の事だ。死刑となった者が現れたと、執事がウェルディスに報告してきたのだ。
「陛下。久々に死刑判決を受けた者がおります」
「そうか。では、その者を肉便器部屋に設置してくれ」
結婚についてストレスを抱えていたウェルディスは、性欲も共に溜めていた。
まずは性欲を発散させたいと思った。
ウェルディスが王位に就いてから、法を少しずつ変え、死刑となる者が格段に減った。
国家転覆罪等の国の存続に関わる重大な罪を犯した者や、罪のない者を身勝手な都合で殺した者が死刑判決を受けるのみだ。
死刑囚が出たのは一年ぶりだ。その間自分の手で性欲を発散させていたので、少し笑みが零れる。
ウェルディスは入浴を済ませると、気分良く肉便器部屋に入った。
小さな尻に、筋肉質だが細い脚だ。肌も白く、尻を触るとシルクのような肌触りである。
ピクリと尻が動いた。
「まるで貴族のようだな」
今までの肉便器は脚に力が入っておらず、死んだようにダランとしている事が多かった。
だが、この肉便器は脚は傷だらけで立っているのもキツそうに見えるが、自分でしっかりと地に足をつけている。
尻穴は少し緩んでいるようで閉じられていない。
いつもウェルディスが使いやすいようにと解されるようだが、彼に関しては少し違うように見えた。
「まるで、さっきまで犯されていたみたいだ。まさか男娼だったのか?」
死刑囚がどこの誰で、何をして投獄されたのかをウェルディスは知らない。
肉便器として使う為、変に同情しないように敢えて確認しないようにしている。
こちらの声は壁に阻まれていて肉便器には届かない為、問いかけても答えが返ってくる事もない。
深く考えないように、肉棒を差し込んだ。
これだけ広がっているのだから緩いだろうが、肉便器がないよりはマシだと思いながら。
「何……」
だが、その穴はウェルディスの肉棒を飲み込むと、腸に力を入れてきたのだ。
まるで吸い付くような肉壁。それでいて気持ちの良い締め付け感だ。
いつもより早く射精してしまった。
「ふぅ。この穴はまるで精子を絞る為にあるかのようだ。
よし、もう一度……」
性処理に慣れてからは一日に一度すれば良かったが、結局その日は三回もその肉便器を使ってしまった。
不思議なもので、一度利用した肉便器は三日後には新しい者となっている。
尻の大きさ、足の長さや筋肉量など、見れば明らかに違う者と分かる。
この国の死刑制度は、被告人に死刑判決が出たら準備が整い次第、すぐに斬首刑だ。
ギロチンでの執行が主なのだが、最近では男性がギロチンで処刑された記録はない。
少しおかしいと感じたウェルディスは授業を終えると執事を自室に呼び、疑問を問うた。
「なぁ、カルテス。僕が使っている肉便器は、いつどこで処刑されているのだ?」
カルテスと呼ばれた執事は、質問の意図が分からないらしく首を傾げた。
「処刑方法は肉便器ですが」
ウェルディスは一気に顔を青くした。肉便器などという処刑法は聞いた事がない。
裁判記録にも肉便器という名の判決は見た事がない。
「まさか、僕が殺しているとでも……!?」
「いえ、そうではございません。確かに死刑判決が出た者を肉便器として設置しておりますが、殿下が殺したのではありません」
「なら、何故このところ通常の処刑がないのだ?
僕が肉便器を使い始めてからではないか」
「そもそも死刑囚は全員拷問を受けております。その時点で社会復帰は難しい身体となっており、死刑判決が出るとすぐに肉便器となるのです。
殿下が利用した時は生きていても、翌日か三日後には自然に息絶えます」
説明を聞き、ウェルディスは唇を噛んだ。
死刑囚が死ぬのは当然の事だが、心のどこかで同情をしているのだ。
「それは……ギロチンで死ぬよりも苦しいのではないか」
「奴らは罪のない者を苦しめたり、国家を転覆させようと目論む者ばかりです。
苦しんで死ぬのは当然の事です」
「そうか。だが僕の為に死刑囚を増やしているなら、それはやめてくれ。
週に二度程利用しているが、毎回人が変わるから驚いたぞ」
「もちろん、肉便器となった者は正当な判決の元処刑の期日を待っていた者のみです」
「それならいい。僕が肉便器部屋に入って、もし誰もいなくとも気にしないから。
用意出来た時に僕に教えてくれればいい」
「肝に銘じておきます。今の肉便器が終了した後、死刑判決を受けた者はおりません」
「ああ。本当なら死刑囚など出ない方が良いからな」
「殿下はお優しいですね。では、私は失礼致します。ゆっくりお休みください」
執事が去り、ベッドに横になると大きな溜息を吐いた。
少し落ち着くと、性的な欲求が頭を掠め、また肉便器を使いたくなった。
性欲が強いのが何より苦しい。授業中も、抜け出して肉便器部屋に行きたくなる時がある。
「治まれ、治まれ……」
呟きながら目を閉じるが、肉棒は熱いままだ。夜中に自然と眠りに落ちるまで、悶々と過ごした。
それから十年の月日が流れた。
両親が亡くなり、ウェルディスが帝位についた。周りから早く結婚をして跡継ぎを作るよう言われるが、どうしても惹かれる相手がいない。
国を支える為の結婚だ。気に入る気に入らないの話ではないが、気が進まないのだからどうしようもない。
「陛下、国中から美しい女性を連れてまいりました。お選びになってください」
家臣に言われ、王の間へと行き玉座に座った。
下には絶世の美女と言える程の五人の若い女性が並んでいた。
だが、その表情には怯え、恐怖、怒り等の感情が見え隠れしている。
「彼女らは僕と結婚したくてここに来たのではないのか?」
絶対に連れ去られたのだと分かったウェルディスは家臣に冷たい目を向けた。
「お前ら! 王の妃になれるのだぞ! 嬉しいだろう?」
家臣が女性達に睨みつけると、反発したのは女性達だ。
「いいえ! 私は婚約者がいるのに、急にここに連れて来られて迷惑してます!
この際、反逆罪になろうが知った事じゃないわ!
王の名において命令すれば何してもいいの!? この子達だって皆自分の人生があります! 早く、家に帰してください!」
一番ウェルディスを睨んでいた女性が、泣いている女性を守るように抱きながら怒鳴った。
「国民に迷惑をかけた。二度とこのような事はないと約束しよう。
彼女達を元いた場所に帰せ」
「ですが陛下!」
「積極的に見合いをする。二度とこのような事をするでない。
それと僕は顔の善し悪しで結婚しようと思わない」
ウェルディスは家臣達に女性を丁重に送るよう指示した。
ただ義務として皇后を決めなければならない。
深く悩んでいたある日の事だ。死刑となった者が現れたと、執事がウェルディスに報告してきたのだ。
「陛下。久々に死刑判決を受けた者がおります」
「そうか。では、その者を肉便器部屋に設置してくれ」
結婚についてストレスを抱えていたウェルディスは、性欲も共に溜めていた。
まずは性欲を発散させたいと思った。
ウェルディスが王位に就いてから、法を少しずつ変え、死刑となる者が格段に減った。
国家転覆罪等の国の存続に関わる重大な罪を犯した者や、罪のない者を身勝手な都合で殺した者が死刑判決を受けるのみだ。
死刑囚が出たのは一年ぶりだ。その間自分の手で性欲を発散させていたので、少し笑みが零れる。
ウェルディスは入浴を済ませると、気分良く肉便器部屋に入った。
小さな尻に、筋肉質だが細い脚だ。肌も白く、尻を触るとシルクのような肌触りである。
ピクリと尻が動いた。
「まるで貴族のようだな」
今までの肉便器は脚に力が入っておらず、死んだようにダランとしている事が多かった。
だが、この肉便器は脚は傷だらけで立っているのもキツそうに見えるが、自分でしっかりと地に足をつけている。
尻穴は少し緩んでいるようで閉じられていない。
いつもウェルディスが使いやすいようにと解されるようだが、彼に関しては少し違うように見えた。
「まるで、さっきまで犯されていたみたいだ。まさか男娼だったのか?」
死刑囚がどこの誰で、何をして投獄されたのかをウェルディスは知らない。
肉便器として使う為、変に同情しないように敢えて確認しないようにしている。
こちらの声は壁に阻まれていて肉便器には届かない為、問いかけても答えが返ってくる事もない。
深く考えないように、肉棒を差し込んだ。
これだけ広がっているのだから緩いだろうが、肉便器がないよりはマシだと思いながら。
「何……」
だが、その穴はウェルディスの肉棒を飲み込むと、腸に力を入れてきたのだ。
まるで吸い付くような肉壁。それでいて気持ちの良い締め付け感だ。
いつもより早く射精してしまった。
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