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二章
その後~葵唯君~
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「ねぇ、次の土曜。私も丹野の家に連れていきなさいよ」
夏希が強気な口調で言ってきた。腕を胸の前で組んでるし、怒ってるみたいだ。
エッチの時は甘々なのに、普段の夏希は気の強い女性だ。敵作りそうだなぁ。
「分かった。そこで夏希に話す事がある」
「分かった、受けて立つわ!」
「いやそんな大袈裟な話じゃ……」
かくして次の土曜日。俺と夏希二人で丹野君の家に行った。
住宅街の一軒家。チャイムを鳴らすと、一分足らずで丹野君が家から出てきた。
「いらっしゃい、ママ……と、パパ」
「誰がパパよ」
パパが嫌なら子供の方が良いんだろうか?
「高志、いい子してた?」
「うんっ」
すぐに頭を撫でてあげる。頭を撫でるとニコって可愛い笑顔になるんだ。
いっぱい甘やかしてあげようね。
ゾクッと背筋に寒気を感じた。恐る恐る振り向くと夏希が恨めしそうな目を俺に向けていた。怖い。
「ごめんね、夏希。夏希もいーこいーこ」
右手で高志の頭を、左手で夏希の頭を撫でる。夏希はちょっと照れたような顔になって大人しくなった。
超絶可愛い!!
夏希にキスしたいけど、我慢して高志の部屋に入る。
「じゃあお昼ご飯作ってくるから部屋でいい子にしててね」
子供達二人を置いてキッチンへと向かう。
使っちゃいけない食材以外を使って軽食を作るくらいだ。高志を甘やかす事は何でもしてあげたい。
今日は夏希もいる。一人分も二人分も変わらないさ。
え? 俺の分?
食べる暇ないから家で食べてからくるんだよ。
玉子サラダとハムやレタスを挟んだサンドウィッチと飲み物を持って高志の部屋に向かう。
部屋に入る前に声が聞こえた。
「──って言ってよ!」
「そうだよね……」
夏希の強い口調と弱々しい高志の声が漏れ聞こえた。何の話?
「お待たせ~」
ドアを開けて二人が座る間に入り込んだ。ローテーブルにサンドウィッチと飲み物を置いて、床に尻をついて座る。
夏希と高志は気まずそうな顔だ。
「ああ、ごめんごめん。ママが子供達の間に入っちゃ悪かったかな?」
「誰が子供よ!」
「パパが嫌だから子供ならいいのかと」
「そういう問題じゃなぁい!」
当たり前だけど夏希は最高に機嫌が悪い。高志はいい子だから不安そうにオロオロしてるけど、何も言わずに大人しくしている。
「ほら、機嫌直して。あーん」
サンドウィッチを差し出すと、夏希は不機嫌そうにしながらもパクッと食べてくれた。
むしゃむしゃしている間に高志にもサンドウィッチを食べさせる。
うん。もし双子が産まれても大丈夫だ。夏希との子か…………あ、子供は望めないんだった。
子供より夏希の方が大事だよ。
「そういえば二人で何話してたの? 部屋の外まで聞こえてきたけど」
「ママ、どこまで聞いたの?」
「最後の方だけ。話の内容は知らないよ」
コップに麦茶を入れて、夏希に飲ませる。次は高志にも飲ませないと。二人いると大変だ。
「……丹野から葵唯に別れるように言えって言ったのよ」
「別れるって、付き合ってないんだから」
夏希と付き合ってからはフェラも精飲も飲尿もしてない。莉紅には嘘をついたけど。
もうお付き合いするような行為はしてない。親子関係だけだ。
「親子とかおかしな事してるのが嫌なの!! 何よ、ママって。あなたは私の彼氏でしょ!?」
あー。夏希が泣きそう。終わってからと思ったけど……。
「丹野君ごめん。ここまででいい?」
「仕方ないよね。彼女さんの方が大事でしょ。悲しませちゃダメだ」
「夏希ごめんね、嫌な思いさせたね」
抱き締めると、ふわっといい匂いがした。香水かな。前までつけてなかったのに、俺と付き合いだしてから夏希は前よりももっと女性らしくなった。
「嫌なの。葵唯は私だけ見なきゃ駄目なんだから」
「うん、分かってる。俺も丹野君甘やかすの楽しくてさ、元々今日で終わりにしようって、丹野君と決めてたんだよ」
「えっ……もしかして話って」
「そう。俺と夏希が夫婦になって、丹野君を子供にしてもいいかなって少し思ってたけど。
夏希が嫌なら、続けるつもりは無い」
「小倉君、ありがとう。これからは友達でいて欲しい。梅山さんもどうかな?」
夏希は赤い顔を、俺と丹野君に向けて微笑んだ。
「友達ならいいわよ」
帰り道、俺と夏希は手を恋人繋ぎにして帰った。小さくて可愛い手だ。
いつまでもこの手を握っていたい。
「葵唯君」
「なに?」
「今度私も甘やかしてね」
「苦痛プレイが好きなんじゃないの?」
「それも好きだけど……お世話されたい」
言いづらいらしく段々声が消えていく。少し意地悪をしてみた。
「お世話って、何をどうされたいの?」
「い、……言わなくても分かるでしょ」
「分からないなぁ」
「ご飯食べる時あーんして食べさせて。私が良い事したらいいこいいこって撫でてよ」
「うんいいよ。トイレの時は服と下着を脱がして、お尻拭いてあげる。おしっこは飲んであげるね」
「えっ、ちょっと、そこまで頼んでないわ」
「寝る時は絵本読んであげようね。子守歌も歌ってあげる」
「違うの、そこまでして欲しいわけじゃないの」
「歯磨きもしてあげる。朝はお着替えも手伝ってあげようね。グズりだしたら抱っこしてあやしてあげるよ」
「話聞いてよっ! もう葵唯のばかぁ!」
夏希を見れば嫌って言いながら少し期待してるって分かる。よし帰ったら抱こう。
「冗談だよ。ほら帰ろう」
「うん!」
夕陽に染まった笑顔はオレンジ色に染まって幻想的だった。
夏希が強気な口調で言ってきた。腕を胸の前で組んでるし、怒ってるみたいだ。
エッチの時は甘々なのに、普段の夏希は気の強い女性だ。敵作りそうだなぁ。
「分かった。そこで夏希に話す事がある」
「分かった、受けて立つわ!」
「いやそんな大袈裟な話じゃ……」
かくして次の土曜日。俺と夏希二人で丹野君の家に行った。
住宅街の一軒家。チャイムを鳴らすと、一分足らずで丹野君が家から出てきた。
「いらっしゃい、ママ……と、パパ」
「誰がパパよ」
パパが嫌なら子供の方が良いんだろうか?
「高志、いい子してた?」
「うんっ」
すぐに頭を撫でてあげる。頭を撫でるとニコって可愛い笑顔になるんだ。
いっぱい甘やかしてあげようね。
ゾクッと背筋に寒気を感じた。恐る恐る振り向くと夏希が恨めしそうな目を俺に向けていた。怖い。
「ごめんね、夏希。夏希もいーこいーこ」
右手で高志の頭を、左手で夏希の頭を撫でる。夏希はちょっと照れたような顔になって大人しくなった。
超絶可愛い!!
夏希にキスしたいけど、我慢して高志の部屋に入る。
「じゃあお昼ご飯作ってくるから部屋でいい子にしててね」
子供達二人を置いてキッチンへと向かう。
使っちゃいけない食材以外を使って軽食を作るくらいだ。高志を甘やかす事は何でもしてあげたい。
今日は夏希もいる。一人分も二人分も変わらないさ。
え? 俺の分?
食べる暇ないから家で食べてからくるんだよ。
玉子サラダとハムやレタスを挟んだサンドウィッチと飲み物を持って高志の部屋に向かう。
部屋に入る前に声が聞こえた。
「──って言ってよ!」
「そうだよね……」
夏希の強い口調と弱々しい高志の声が漏れ聞こえた。何の話?
「お待たせ~」
ドアを開けて二人が座る間に入り込んだ。ローテーブルにサンドウィッチと飲み物を置いて、床に尻をついて座る。
夏希と高志は気まずそうな顔だ。
「ああ、ごめんごめん。ママが子供達の間に入っちゃ悪かったかな?」
「誰が子供よ!」
「パパが嫌だから子供ならいいのかと」
「そういう問題じゃなぁい!」
当たり前だけど夏希は最高に機嫌が悪い。高志はいい子だから不安そうにオロオロしてるけど、何も言わずに大人しくしている。
「ほら、機嫌直して。あーん」
サンドウィッチを差し出すと、夏希は不機嫌そうにしながらもパクッと食べてくれた。
むしゃむしゃしている間に高志にもサンドウィッチを食べさせる。
うん。もし双子が産まれても大丈夫だ。夏希との子か…………あ、子供は望めないんだった。
子供より夏希の方が大事だよ。
「そういえば二人で何話してたの? 部屋の外まで聞こえてきたけど」
「ママ、どこまで聞いたの?」
「最後の方だけ。話の内容は知らないよ」
コップに麦茶を入れて、夏希に飲ませる。次は高志にも飲ませないと。二人いると大変だ。
「……丹野から葵唯に別れるように言えって言ったのよ」
「別れるって、付き合ってないんだから」
夏希と付き合ってからはフェラも精飲も飲尿もしてない。莉紅には嘘をついたけど。
もうお付き合いするような行為はしてない。親子関係だけだ。
「親子とかおかしな事してるのが嫌なの!! 何よ、ママって。あなたは私の彼氏でしょ!?」
あー。夏希が泣きそう。終わってからと思ったけど……。
「丹野君ごめん。ここまででいい?」
「仕方ないよね。彼女さんの方が大事でしょ。悲しませちゃダメだ」
「夏希ごめんね、嫌な思いさせたね」
抱き締めると、ふわっといい匂いがした。香水かな。前までつけてなかったのに、俺と付き合いだしてから夏希は前よりももっと女性らしくなった。
「嫌なの。葵唯は私だけ見なきゃ駄目なんだから」
「うん、分かってる。俺も丹野君甘やかすの楽しくてさ、元々今日で終わりにしようって、丹野君と決めてたんだよ」
「えっ……もしかして話って」
「そう。俺と夏希が夫婦になって、丹野君を子供にしてもいいかなって少し思ってたけど。
夏希が嫌なら、続けるつもりは無い」
「小倉君、ありがとう。これからは友達でいて欲しい。梅山さんもどうかな?」
夏希は赤い顔を、俺と丹野君に向けて微笑んだ。
「友達ならいいわよ」
帰り道、俺と夏希は手を恋人繋ぎにして帰った。小さくて可愛い手だ。
いつまでもこの手を握っていたい。
「葵唯君」
「なに?」
「今度私も甘やかしてね」
「苦痛プレイが好きなんじゃないの?」
「それも好きだけど……お世話されたい」
言いづらいらしく段々声が消えていく。少し意地悪をしてみた。
「お世話って、何をどうされたいの?」
「い、……言わなくても分かるでしょ」
「分からないなぁ」
「ご飯食べる時あーんして食べさせて。私が良い事したらいいこいいこって撫でてよ」
「うんいいよ。トイレの時は服と下着を脱がして、お尻拭いてあげる。おしっこは飲んであげるね」
「えっ、ちょっと、そこまで頼んでないわ」
「寝る時は絵本読んであげようね。子守歌も歌ってあげる」
「違うの、そこまでして欲しいわけじゃないの」
「歯磨きもしてあげる。朝はお着替えも手伝ってあげようね。グズりだしたら抱っこしてあやしてあげるよ」
「話聞いてよっ! もう葵唯のばかぁ!」
夏希を見れば嫌って言いながら少し期待してるって分かる。よし帰ったら抱こう。
「冗談だよ。ほら帰ろう」
「うん!」
夕陽に染まった笑顔はオレンジ色に染まって幻想的だった。
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