誰にも止められない

眠りん

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一章

山野辺君①

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 はぁ……君を想わない日など一日たりとないよ、莉紅……。



 君との関係が始ったのは中学三年生の冬頃。受験も終わって皆気が緩んでいた時。
 俺は噂あの噂が本当かどうかを確かめる事にした。

 永瀬莉紅が愛人を募ってるって噂。
 永瀬と言えば、気が弱く、何をされてもニコニコしている弱者だ。俺は関わった事ないけど、殴られたり水掛けられたり、服を脱がされたりとか酷い目に遭ってるっていうのに、反撃もしなければ反論もしない。
 だからといって怯えている風でもない。

 薄気味悪いからあんまり近寄らないようにしてたけど、アイツは実はホモらしい。
 しかも彼氏は別にいて、他に何人も愛人が欲しいとかビッチじゃね? って思ったら、俺は気楽に永瀬に声を掛けていた。 

「よぉー永瀬ぇー。お前、彼氏一人じゃ足りないからって何股もしてるんだってなぁ。オマタユルユルになってんじゃねぇの?」

「……山野辺君、だっけ? 僕の愛人になりたいって事でオッケー?」

 こっちは罵詈雑言飛ばしてるのに、永瀬はいつもと変わらない笑顔で答えてきた。
 しかも会話成り立ってねぇし!

 こいつの笑顔を壊したくなった。
 永瀬の隣には愛人一号と呼ばれる小倉もいたけど、奴は何も言わずにじっとしている。
 中一と中二の時、小倉は永瀬をいじめていた筈なのに、なんで愛人とかになってんの?キショッ!

 ヤリまくって、スカした永瀬の顔歪ませてやんよ!

「おぅいいぜぇ。遊びまくって捨ててやるよ。俺を誘った事、後悔させてやる!」

 後悔したのは俺の方だった。
 永瀬の家に連れて行かれた時、玄関で永瀬にマウントを取られた。
 俺より全然小さいのに力が強い。振り解けない。
 慣れた手つきで腕を縄で縛られて、首輪を着けられた。そして犬みたいに首輪からリードを引っ張られた。


 拉致されたのは永瀬と小倉がヤリ部屋と呼んでいる部屋だ。元々は客室なのだが、今はヤる為にしか使っていないらしい。

「僕の穴に突っ込めると思った? そう思って僕の愛人になる奴多いから、先に自分の立場を分からせようかと思ってね。葵唯、アレ」

「はい」

 小倉は少し困ったような様子だった。けど、アレと言われてすぐにローションとコンドームを出すあたり、調教でもされてんのかって思った。

「なぁ、愛人にする前に、自分がタチって言った方が良くないか? お互いの為にならないよ?」

 小倉が困ったような顔して俺に憐れみの目を向けてきやがった。

「いいの。だってコイツ、僕の事見下してたみたいだし。そんな奴を屈服させて奴隷にするの楽しくない?」

「出たよドS」

 小倉は、ハァと溜息をつくとベッドの向かいのソファに座った。助けてくれるつもりはないようだ。

「さて、君には選択肢を与えるよ。僕はレイプとか嫌いだからね」

「縛っておいて何を……」

「君は強引な奴だから、こうでもしないと話し合えないでしょ。そもそも君、ゲイでもバイでもないよね?」

「ああ」

「今から僕がキスをするから、本当に愛人になるかどうか選んで」

「えっ……」

 バカにした態度取ったし、何されるのか正直ビビってた。意外と力強いから殴られるかとも思ったし、掘られるとも思った。どういうつもりなんだ?

「そ、そのローションとゴムは!?」

「何事も準備って大事だよね。君がどこまで進めるか分からないから一応用意しただけだよ」

「違うよ。山野辺君のビビる顔見たかっただけでしょ?」

「あは、バレた?」

 永瀬は悪びれもせずに、じゃあいくね、と永瀬は俺の顎を掴んで俺の唇に自分の唇を合わせてきた。
 柔らかい。今まで女子とキスをした事があるけど、あの時は大人になったような気がして、気持ちが良かった。女性を自分のものにした優越感だった。


 キスってこんなに優しいものだったっけ。
 キスってこんなに嬉しくなるものだったっけ。
 キスってこんなに心が緩むものだったっけ。


 唇が離れた瞬間、閉じていた目を開くと永瀬は慈愛に満ちた優しい笑顔を俺に向けていた。
 あれ、永瀬って俺の事、好きなのか?

 合点がいった。だから俺が何を言っても笑っていたし、俺を愛人に迎えるって言い出したんだ。
 それが自然だ。なんでもない相手にこんな顔する人はまずいない。
 なんだよ永瀬のやつ、素直じゃないんだな。


「キスはどうだった?」

「ま、まぁ悪くもないというか……良かったよ」


 永瀬が素直になれないんなら、俺が素直にならないとな。今までもそうだったけど、相手が素直じゃないからってイライラした態度で返すと喧嘩になる。
 永瀬となら付き合えそうな気がした。


「じゃあ次こっちね」


 永瀬は俺のズボンもパンツも全部脱がしてしまった。そして、俺のチンポを口に含んで濃厚なフェラをした。
 下品に音を立ててしゃぶられると、それだけでチンポが熱くなる。玉にザーメン溜まってくる。

 ジュポジュポジュポジュポジュポジュポ。

 疲れないのか? こんな高速フェラ初めてだ。女の子のフェラでこんなに感じた事はなかった。
 永瀬の口がマンコみたいに気持ち良い。

「出る、出るから離せよ」

「ひってひひお」

 イッていいよって事か……口の中に出すなんて、今まで付き合った女は皆拒否ってたからした事なかった。
 俺は思い切り永瀬の口の中にザーメンをぶっぱなした。それすら永瀬にとっては嫌悪とはならないようで、俺に優しい笑顔を見せながらゴクンと飲み込んで口の中を見せてきた。

 エロッ……!

 俺のチンポはその顔を見ただけでまた勃起した。

「君のザーメン美味しいね。また今度飲ませてね」

 俺はうんと頷いた。

「僕のザーメンも飲んでくれる?」

 その質問には頷けない。飲んだ事ないし、フェラだって、出来るか分からない。

「僕のチンコ、舐められる?」

 永瀬は俺の顔の横で膝立ちになると、自分のチンポを俺の口の前に差し出した。
 恐る恐る舌を伸ばしてみた。チンポの先端からは透明な汁が浮いていて、嫌悪感が込み上げる。

「頑張ってね」

 けど、永瀬はそう一言告げると俺の頭を両手で抱えて、無理矢理口にチンポを突っ込んだ。
 ぬりぬりとチンポが俺の舌を擦る。よく味わえとでも言ってるかのよう。

 奥まで突っ込まれて、前後運動を始めた。まるで俺の口がオナホにでもなったようだ。
 物みたいな扱いをされると、胸がドキドキしてくる。なんだ? なんなんだ、この感覚──!!

「あぁ……君はそうなんだね?」

 なんの事だ? 分からないまま口の中に射精された。マズ……てか臭い。気持ち悪い……!

「ぅえっ! ゲホッゴホッ!」

「あー吐いちゃったね」

「フェラも初めての人にイマラした上に口に出すとか、どんだけ鬼畜なんだよ」

「だって~」

 ティッシュを持ってきた小倉が永瀬に文句を言いながら、俺の口周りを拭いてくれた。

「山野辺君、僕の事嫌いになった?」

 俺はその問いに頷かなかった。お前の事で頭がいっぱいで、答えられなかったんだ。
 これが恋だとでもいうのか? 俺は永瀬から目が離せなかった。




─────────────────────
山野辺君の見た目は前話の番外編にあります。
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