誰にも止められない

眠りん

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一章

番外編~先生編の後の葵唯~

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 有川先生が帰っていった玄関を見つめていた。

 先生……優しい人だったな。俺の過去、ちょっと見られちゃったけど、親身になってくれる大人がいるって良い事だと思う。
 今までは莉紅さえいればいいって、ずっと肩肘張ってた気がする。


 夏希や和秋が増えて、支え合える仲間みたいな存在がいてくれるのは嬉しいな。俺一人で莉紅の相手しなくていいから身体の負担が減ったし。
 俺だけだとほぼ毎日三人の相手してる莉紅の体力についていけない。
 そうやって人の輪が広がっていくといいなぁ。


 だけど、やっぱり相談出来る相手とか、頼れる大人の存在が欲しかったんだ。先生の存在は大きい。

 中学生の時、俺以外に愛人がいた事があった。あの頃は莉紅も取っかえ引っ変えしてて真面目に疲れた。
 黙って彼女作って莉紅怒らす奴とか。愛人作るのやめて俺だけにしろって言って困らせる奴とか。
 一番多かったのは、深い関係になってみて莉紅の悪いところが見えてきたから別れたいというパターンだ。

 莉紅は普段は優しい。害がなさそうに見えるし、ちょっかい出しても怒らなさそうに見える。
 だけどそれは外見だけ。結構短気だし、怒りのパラメーターを越えると、鬼にも悪魔にもなれる奴だ。
 善悪の区別はついているからサイコではないんだけど、それに近いかも。
 だから俺はいつもヒヤヒヤしてる。


 愛人の中でも一人、特に印象的だった男がいた。
 山野辺真広という男子で、身長は百七十五cmはあるのっぽで、身体は細い男だった。
 地毛が茶髪で、先生によく頭髪検査で引っかかっていたっけ。結構喧嘩っ早くて、莉紅と付き合う前はよく喧嘩とかしていた不良だ。


 莉紅と付き合いだしてからは、気性の荒さも落ち着いて、優しい笑顔を見せるようになった。
 でも奴はストーカーの気質があった。莉紅の家の中に隠しカメラと盗聴器を仕掛けられていた事もあったし、俺を排除しようとしていた。
 あの時──真広に「愛人解消通告」した時は俺も鬼にならざるを得なかった。

 莉紅に二度と近寄らないでくれ、みたいな事を言ってしまった。言われた人の気持ちを考えると胸が痛くなる。うう。


 何かが起こってからでは遅い。夏希と和秋を信用していないわけじゃないけど、彼らには頼れない事も多いから俺が皆を守らないと……。


「ねぇ葵唯?」


 莉紅が俺を呼んだ。ドキッとして振り返る。
 いつの間に莉紅が玄関に来ていたんだ、料理してた筈なのにいつの間に!?


「なっ、何?」

「先生ようやく帰ったの?」

「へ? 先生は結構前に……」

「なんで嘘つくのさ?」


 何故か莉紅は、下駄箱の扉を開けた。夏希と和秋も帰ったから莉紅と俺の靴が数足あるだけだ。


「ほらぁ、僕が料理始める前に先生の靴あったけど、今は無いじゃん。て事は、料理中に帰ったって事だよね?」


 確認されていたのか? わざわざ下駄箱の中を!?
 あぁ、だらだらと冷や汗が流れ出した。嫌な予感しかしない。


「どういう事かなぁ?」

「あ、あの……先生は悪くないから」

「嘘つかれるの嫌なんだけど。僕が葵唯に嘘ついた事あった? ないでしょ?」

「ない……でも、俺は嘘をつく時くらいあるし、それを強要するのは主人としてどうなの?」


 嘘をつきたくなくても、つかざるを得ない時は誰しもある。それでも絶対に莉紅は嘘をつかないんだろうなぁ。

 そこが良いところでもあるけれど、不満を覚える時もある。
 中学二年生の時だ。俺の親友で莉紅の彼氏だった緑がガンになった時……。アイツは結構すぐに言ってしまったんだ。
 今となっちゃ良い過去だ。緑は時間を無駄にせず、したい事をして、俺らと有意義な日々を過ごして亡くなっていった。

 でも、あの時は恨んだよ。なんで言ったんだよって。どうして知らないままにしてくれなかったんだって。


「そうだね……僕は嘘が嫌いだからつかない。けど、葵唯は嘘をつくかもしれないって事だよね。今後君の言葉を信用しなくていいっていう事だね?」

「違うだろ!」


 俺は莉紅を抱き締めた。玉ねぎの匂いがする。莉紅の作った料理の美味さが脳裏に蘇った。
 俺は、今は……莉紅を大事に思っている。
 恋愛感情とはやっぱり違う、俺はまだ緑が好きだから。緑の次が君、それは莉紅も分かっている。だから信じてもらえないのかもしれない。


「俺が嘘をつく時は、全部莉紅の為だから騙されてくれないかな?」

「へぇ? 今のも?」

「そうだよ! あの先生は信用出来る。俺はそう判断した。今関係が拗れて先生に要注意人物って思われたらどうするの? もう思われてるだろうけど、でももっと面倒な事になるかもしれない。
 俺は先生と和解した。このまま莉紅が知らないフリしてくれれば何も悪い事は起きない!」


 莉紅が腕を俺の背中に回してくれた。分かってくれたんだ。裏切りじゃなければそんなに怒らない。大丈夫だ、大丈夫。


「分かった。そこまで言うなら今後も騙されてあげる。その代わり、今から僕の調教を受ける事。
 いいよね? だって、葵唯は嘘をつく悪い子だもんね?」

「……わ、分かった」


 そうして、俺は地下室に連れていかれた。
 元々莉紅の両親の趣味の部屋だった。なのに、親が帰ってこないのを良い事に、この部屋をお仕置き部屋にした。

 よく佐々木が受けているお遊びのお仕置きとは違う。本気で罰を与える為の部屋だ。
 だから漏らそうが、血で汚れようが、吐こうが気にせずにお仕置きを続行する。

 中学の時はあんまり過激な事はしていなかったからまだMじゃない人も愛人にしてきていた。
 けど今となってはこれに付き合えない奴は莉紅の愛人にはなり得ない。

 だから懸念している事が一つある。
 大谷君の存在だ。Mじゃなさそうだし、愛人を作っている事にも否定的な態度を示している。

 でも多分莉紅は彼の事を……。


「葵唯、両腕出して前ならえね」


 朝礼とか学年集会の時の整列みたいに両手を前に伸ばした。手はグーにしておく。
 目の前に莉紅が一本鞭を持って立った。


 これだけで俺の心臓はバクバクして、チンコが立ってるんだから笑っちまう。
 愛人になってから何度もこの調教部屋に連れて行かれた。でも、嫌だと思った事は一度もない。


「何分耐えられるかなぁ? 葵唯、命令だよ。動かないでね」

「ああ」


 莉紅は楽しそうに俺の両腕を鞭で打った、
 何度も何度も、休みなく。体力あり過ぎるだろって思うくらい。
 何度も叩かれて真っ赤に腫れ上がる。赤い筋が出て、しまいには血が飛び散った。

 それなのにチンコの昂りはおさまらない。鞭の衝撃で射精してしまいそうなくらいだ。


「……十五分か。よく耐えたね、偉いよ。じゃあ下裸になって」


 腕はズキズキと酷い痛みが続いている。手は力が入らない。


「大丈夫? 僕が脱がせてあげようね」


 頭を撫でられて、頬にキスをされる。嬉しい気持ちが胸から溢れるようだ。
 莉紅が僕のズボンと下着を脱がせてくれた。今、俺の全ては莉紅のものだ。見せられない場所などない。


「すごっ、ギンギンに立ってるね」

「ごめんなさい……」

「いいんだよ。感じてくれて僕も嬉しいよ」


 そして、莉紅は鞭を俺のチンコに向かってピシッと打った。ドクドクッと、その瞬間に射精してしまった。白い液体が床に零れる。
 この後命令される内容は「床に零れたそれを舐めろ」だ。ゾクゾクする。


「葵唯、すっごく嬉しそうな顔してるね。僕が何言うか分かってるんでしょ~? 可愛いなぁ。
 お望み通り、下のザーメン舐めてね。命令だよ」

「はい」


 俺は床に這いつくばって自分の精液を舐めた。尻を高く上げて。これからが本番だって知ってる。
 莉紅はいつものようの俺の後ろに移動して……。


 ビシッ! バシッ! ビシッ!
 鞭の音が響く。俺の尻を打っている音が……。
 痛みに逃げそうになるけど、ご主人様の命令に背く奴隷なんていない。
 あぁ、俺は奴隷だ。そう思うと嬉しくなる。


「もっと痛いところ責めるね。絶対逃げないでね、主人命令だよっ!」


 睾丸とチンコを交互に打たれる。何度も、何度も……あまりの痛さに発狂しそうだ。
 けど……けど、ご主人様の命令なら、どんな痛みも耐えられるよ。


「ご主人様っ、俺にもっと命令してくださいっ! なんでもしますからぁっ!」

「あはっ、こういう時しか命令聞かない癖にね! いいよ、君に呪いをかけて命令してあげる。
 何があっても僕を裏切らないで、絶対命令だよっ!」

「もちろんですっ、もちろんですっ」


 その後は俺が気絶するくらい犯されて、お掃除フェラもした。
 とても満足した夜だった。




──────────────────────

あれ、エッチシーンが……(汗

葵唯「SM>セックス」


すみません。お読みいただきありがとうございます。
あと少しで一章が終わります。二章はまたキャラ別にもう一周します。二章で完結予定です。
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