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中学校の話
二人の幼馴染①
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「……なんか。言っちゃいけないとは、思うけどさぁ。でも、言いたいっていうか」
「じゃ、言うな」
良太が何か言いたげにするが、尚澄はバサッと切り捨て聞こうともしない。
柚流は、ニコニコと、首を傾げながら良太の側まできて「話を聞くよ」と寄り添ってくれるのに。
「良太、もしかして行きたいところがある?」
柚流は、上目遣いで、キラキラと大きな瞳を輝かす。その仕草に可愛すぎて、クラリとした。
その分、尚澄の目は暗黒と化した事には、思い切り無視をする。
今、3人がいるのは、都心近くにある巨大アミューズメント施設。
小学校の卒業旅行として、やってきた。
クラスは30人ほどだが、多いと動きづらいため、3人組を10組つくり、班で行動している。
俺は、クラスで班ぎめをする時、柚流と一緒にまわりたい、と強く思った。
でも、当然のように尚澄がついてくるだろうし、それに関しては、完全にあきらめている。すでに悟りの境地だ。
2人とは長い付き合いだから、こんなことの繰り返しで、がっかりもしない。
でも、卒業だから。またとない、機会だから。
何としてでも同じ班にしてもらおうと、最大の笑顔を作って、柚流へお願いをしに行く。決して、尚澄にではない。
すると、軽くピョンピョンとジャンプをして「やった!」と喜んでくれた。
どうやら、三人組の班のため、あと一人だけ入ってくれる人を探すところだったらしい。
基本的に、みんなクラスメートとは仲が良いが、多少なりとも相性はあるだろう。
あまり人付き合いが良くない(尚澄のせいでもある)柚流が喜んでくれたなら、嫌われてはいないという事だ。
心から安心して、右手を差し出した。
「よろしく!」
「うん。良太と行けて、嬉しい」
良太の手に、ふわふわで柔らかい、少しひんやりする柚流の小さな手が重なった。
それが、卒業旅行のはじまりであった
「じゃ、言うな」
良太が何か言いたげにするが、尚澄はバサッと切り捨て聞こうともしない。
柚流は、ニコニコと、首を傾げながら良太の側まできて「話を聞くよ」と寄り添ってくれるのに。
「良太、もしかして行きたいところがある?」
柚流は、上目遣いで、キラキラと大きな瞳を輝かす。その仕草に可愛すぎて、クラリとした。
その分、尚澄の目は暗黒と化した事には、思い切り無視をする。
今、3人がいるのは、都心近くにある巨大アミューズメント施設。
小学校の卒業旅行として、やってきた。
クラスは30人ほどだが、多いと動きづらいため、3人組を10組つくり、班で行動している。
俺は、クラスで班ぎめをする時、柚流と一緒にまわりたい、と強く思った。
でも、当然のように尚澄がついてくるだろうし、それに関しては、完全にあきらめている。すでに悟りの境地だ。
2人とは長い付き合いだから、こんなことの繰り返しで、がっかりもしない。
でも、卒業だから。またとない、機会だから。
何としてでも同じ班にしてもらおうと、最大の笑顔を作って、柚流へお願いをしに行く。決して、尚澄にではない。
すると、軽くピョンピョンとジャンプをして「やった!」と喜んでくれた。
どうやら、三人組の班のため、あと一人だけ入ってくれる人を探すところだったらしい。
基本的に、みんなクラスメートとは仲が良いが、多少なりとも相性はあるだろう。
あまり人付き合いが良くない(尚澄のせいでもある)柚流が喜んでくれたなら、嫌われてはいないという事だ。
心から安心して、右手を差し出した。
「よろしく!」
「うん。良太と行けて、嬉しい」
良太の手に、ふわふわで柔らかい、少しひんやりする柚流の小さな手が重なった。
それが、卒業旅行のはじまりであった
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