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番外編 大仏エプロンの女性①
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趣味は料理、人見知りしないのが長所です!
自己紹介では、ずっと、こう言っていたのに改めなくていけない。
弘法筆を選ばず、香苗は鍋を選ぶ。そう決めた。
楽観的な性格だが反省はきちんとするのだ。
この前は、高校生たちに、迷惑をかけちゃったからなぁ。
口を尖らせながら、香苗は働いている土産物屋兼食堂へやって来た。
まぁ、親戚の店なので小さいときから馴染みであるし、働きやすい事この上ない。
その反面、その距離の近さから軽々しく、よろしくね!と何でも簡単に任されてしまっている。
前も料理が上手に出来なくて困っていたのだが、のんびり練習してよいわよ、と言われ、本当にのんびり練習していたら親戚の丈一郎くんにその姿を見られてしまった。
その見た目も味も微妙な料理を試食してもらったのだが、丈一郎くんの顔も微妙な表情になった。
その顔を見て事の重大さにに気づき、やっと悩みはじめたのだ。
結局、原因は私の知識の無さだったのだが。
その時、社交的でさわやかで人の嫌がることをしない、あの丈一郎くんが真剣な顔で言った。
「ゆくゆくは、この店を鎌倉の代表する有名な店にするつもりなんです。僕がここを継いだときに、香苗さんにも協力頂きたいので一緒に頑張りましょう!このままじゃ、きっとお互いに残念な結果になります!」
ああぁ。本当に申し訳ない。
高校生の青春真っ最中の光り輝く未来しか見えないキラッキラな目は、こちらのダラけた態度を批難されているように、感じる。
「なんか、本当に、すみません。助けて頂けると嬉しいです」
かなり年下の男の子に、心の底から謝った。
でも、さすが丈一郎くん。子供の頃から君はとても出来た子だったね。
顔を私に近づけ、にっこり笑いながら握手をしようと、手を出してきた。
人妻なのに、ドキドキしてしまうではないか。
「香苗さんは、とても明るくて良い人だと、お客様に評判です。働きに来て頂いて本当に嬉しいんです」
そう言って、眩しい笑顔を向けてくれた。
光が強ければ影も強くなるんですよ、と思いながらも差し出してくれた手にガシッとしっかり握手をする。
なんだか分からないが、契約が成立したようだ。
もう、この圧力に誰も嫌と、言える人はこの店にいない。
最強である。
というような事があり、色々あった結果、一件落着して何とか料理も美味しくなり仕事も順調だ。
歌を歌いながら余裕で店番と料理の仕事を交互にしていたら、またもや横で丈一郎くんが、そんな浮かれた私の様子をじっと見ているのに気付く。
「なあに?お腹すいた?」
「お願いがあります。一緒に新メニューを考えていただけませんか?けんちん汁の他に何か名物が欲しいんです。あっと、驚くようなものを」
香苗は、わざと少しだけ忙しそうにすれば良かったかな、と後悔をしたのであった。
自己紹介では、ずっと、こう言っていたのに改めなくていけない。
弘法筆を選ばず、香苗は鍋を選ぶ。そう決めた。
楽観的な性格だが反省はきちんとするのだ。
この前は、高校生たちに、迷惑をかけちゃったからなぁ。
口を尖らせながら、香苗は働いている土産物屋兼食堂へやって来た。
まぁ、親戚の店なので小さいときから馴染みであるし、働きやすい事この上ない。
その反面、その距離の近さから軽々しく、よろしくね!と何でも簡単に任されてしまっている。
前も料理が上手に出来なくて困っていたのだが、のんびり練習してよいわよ、と言われ、本当にのんびり練習していたら親戚の丈一郎くんにその姿を見られてしまった。
その見た目も味も微妙な料理を試食してもらったのだが、丈一郎くんの顔も微妙な表情になった。
その顔を見て事の重大さにに気づき、やっと悩みはじめたのだ。
結局、原因は私の知識の無さだったのだが。
その時、社交的でさわやかで人の嫌がることをしない、あの丈一郎くんが真剣な顔で言った。
「ゆくゆくは、この店を鎌倉の代表する有名な店にするつもりなんです。僕がここを継いだときに、香苗さんにも協力頂きたいので一緒に頑張りましょう!このままじゃ、きっとお互いに残念な結果になります!」
ああぁ。本当に申し訳ない。
高校生の青春真っ最中の光り輝く未来しか見えないキラッキラな目は、こちらのダラけた態度を批難されているように、感じる。
「なんか、本当に、すみません。助けて頂けると嬉しいです」
かなり年下の男の子に、心の底から謝った。
でも、さすが丈一郎くん。子供の頃から君はとても出来た子だったね。
顔を私に近づけ、にっこり笑いながら握手をしようと、手を出してきた。
人妻なのに、ドキドキしてしまうではないか。
「香苗さんは、とても明るくて良い人だと、お客様に評判です。働きに来て頂いて本当に嬉しいんです」
そう言って、眩しい笑顔を向けてくれた。
光が強ければ影も強くなるんですよ、と思いながらも差し出してくれた手にガシッとしっかり握手をする。
なんだか分からないが、契約が成立したようだ。
もう、この圧力に誰も嫌と、言える人はこの店にいない。
最強である。
というような事があり、色々あった結果、一件落着して何とか料理も美味しくなり仕事も順調だ。
歌を歌いながら余裕で店番と料理の仕事を交互にしていたら、またもや横で丈一郎くんが、そんな浮かれた私の様子をじっと見ているのに気付く。
「なあに?お腹すいた?」
「お願いがあります。一緒に新メニューを考えていただけませんか?けんちん汁の他に何か名物が欲しいんです。あっと、驚くようなものを」
香苗は、わざと少しだけ忙しそうにすれば良かったかな、と後悔をしたのであった。
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