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その後
誰か裏切り者が 12
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やっぱり睡眠は大切だ。
脳疲労自体は魔法で何とかなるような気もするが、惰眠をむさぼるのは別次元で心の休養だと思う。
忙しい朝が過ぎ、誰もいなくなった家で、ゴロゴロと寝転がりながら至福の時間でをすごす。
睡眠と覚醒の間を行ったりきたりして幸せな気分でいたら、外がざわざわとうるさくて覚醒の方へ一気に傾いてしまった。
グランは傾きを戻すのを諦めて、薄目を開けながら外の様子を伺う。
フォンシルの送迎会をしているのかと思ったが、朝早く出ると行っていたから違うだろう。
窓から入る日射しの強さから推察すると、もう昼頃だ。
「なんだろう。……魔物でも入ってきたのなら退治しないとなぁ」
グランは何気なくつぶやくが、それはないと分かっている。
今、村には用心棒がたくさんいる。
森の魔物くらいなら、ユーディアやエンジュだって倒せるはずだ。
昨日のシワシワの服のまま、あくびをしつつ玄関を出ると、何故か家のまわりに人がたくさん集まっている。
村人だけじゃない。
中には、あきらかに高価そうな服を来ている貴族らしい人もいるようだ。
「ど、どういう事?」
状況が飲み込めない。
自分の身なりを見て、慌てて玄関をバタンと閉める。
さすがに人前に出られる格好じゃない。
新しい服に着替えながら、フォンシルがこの状態の何かを知ってるかもしれないと思念を飛ばすが、返事は来ない。
……もしかして、
「僕が、原因?」
いや、それはないか。
加護は消えても、清廉潔白を心がけている。
後ろめたい人生は送っていないはずだ。
…………うん。背負ってしまった反逆罪は、自分の中では無かったことにしよう。
昔の黒歴史を速やかに消去する。
「考えても仕方ないな!堂々と出ていって、誰かに理由を聞こう」
たいしたことじゃないかもしれない。
バンッと、玄関を開けたら村長の長男であるチャロムが座っていた。
「あ。ごめん。ぶつからなかった?」
「グラン!やっと、起きてくれた。お前が魔法で山と川の通路を作ってくれたんだって?母さんは教えてくれないし、話を聞かせろよ」
…………なるほど。理解した。一晩でバレてたんだ。
いや、そもそも計画に無理があった。
手作り風にしたとはいえ、一晩で出来やしないだろう。
でも、グランだと判明するのには早すぎやしないだろうか。
………情報を集めるまで、まだ家の塀に隠れて出ないほうが良いだろう。
「おはよう。グランっ!!」
「良く眠れた?」
「あっ!おはよう。ユーディア、エンジュ」
庭で水をあげていた姉妹が、側によってきたので、手招きしチャロムと4人で隠れる。
うん。安心する声だ。
「ぐっすり、眠ってたねぇ」
「おなかすいてない?」
にこにこと話しながら、ユーディアは寝癖を直してくれて、エンジュはよだれの後を拭いてくれている。
そうだ。
髪をとかして、顔を洗うのを忘れた。
なんて、優しい姉たちなのだろう。
「何か、あったの?」
「そりゃ、あったよ。朝起きたら人がいっぱいいてビックリー」
「そうそう。橋にある看板の製作者の所にグランの名前が大きく書かれてるんだもん」
「はあっ!?」
家の外に聴こえるくらい、大声で叫んでしまった。
脳疲労自体は魔法で何とかなるような気もするが、惰眠をむさぼるのは別次元で心の休養だと思う。
忙しい朝が過ぎ、誰もいなくなった家で、ゴロゴロと寝転がりながら至福の時間でをすごす。
睡眠と覚醒の間を行ったりきたりして幸せな気分でいたら、外がざわざわとうるさくて覚醒の方へ一気に傾いてしまった。
グランは傾きを戻すのを諦めて、薄目を開けながら外の様子を伺う。
フォンシルの送迎会をしているのかと思ったが、朝早く出ると行っていたから違うだろう。
窓から入る日射しの強さから推察すると、もう昼頃だ。
「なんだろう。……魔物でも入ってきたのなら退治しないとなぁ」
グランは何気なくつぶやくが、それはないと分かっている。
今、村には用心棒がたくさんいる。
森の魔物くらいなら、ユーディアやエンジュだって倒せるはずだ。
昨日のシワシワの服のまま、あくびをしつつ玄関を出ると、何故か家のまわりに人がたくさん集まっている。
村人だけじゃない。
中には、あきらかに高価そうな服を来ている貴族らしい人もいるようだ。
「ど、どういう事?」
状況が飲み込めない。
自分の身なりを見て、慌てて玄関をバタンと閉める。
さすがに人前に出られる格好じゃない。
新しい服に着替えながら、フォンシルがこの状態の何かを知ってるかもしれないと思念を飛ばすが、返事は来ない。
……もしかして、
「僕が、原因?」
いや、それはないか。
加護は消えても、清廉潔白を心がけている。
後ろめたい人生は送っていないはずだ。
…………うん。背負ってしまった反逆罪は、自分の中では無かったことにしよう。
昔の黒歴史を速やかに消去する。
「考えても仕方ないな!堂々と出ていって、誰かに理由を聞こう」
たいしたことじゃないかもしれない。
バンッと、玄関を開けたら村長の長男であるチャロムが座っていた。
「あ。ごめん。ぶつからなかった?」
「グラン!やっと、起きてくれた。お前が魔法で山と川の通路を作ってくれたんだって?母さんは教えてくれないし、話を聞かせろよ」
…………なるほど。理解した。一晩でバレてたんだ。
いや、そもそも計画に無理があった。
手作り風にしたとはいえ、一晩で出来やしないだろう。
でも、グランだと判明するのには早すぎやしないだろうか。
………情報を集めるまで、まだ家の塀に隠れて出ないほうが良いだろう。
「おはよう。グランっ!!」
「良く眠れた?」
「あっ!おはよう。ユーディア、エンジュ」
庭で水をあげていた姉妹が、側によってきたので、手招きしチャロムと4人で隠れる。
うん。安心する声だ。
「ぐっすり、眠ってたねぇ」
「おなかすいてない?」
にこにこと話しながら、ユーディアは寝癖を直してくれて、エンジュはよだれの後を拭いてくれている。
そうだ。
髪をとかして、顔を洗うのを忘れた。
なんて、優しい姉たちなのだろう。
「何か、あったの?」
「そりゃ、あったよ。朝起きたら人がいっぱいいてビックリー」
「そうそう。橋にある看板の製作者の所にグランの名前が大きく書かれてるんだもん」
「はあっ!?」
家の外に聴こえるくらい、大声で叫んでしまった。
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