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その後

森の出口 6

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「魔法学院?」

 黙っていられなくて、グランは聞き返す。
 辺境の地での学校教育は、近所の集会所をつかって大人に教えてもらう。

 各自、得意な教科を教えるため王都の学習クオリティとさほど変わりはない。
 ユーディアも16才から旅に出るまでの間、そこで初歩の魔法を教えていた。

 たが高度な学問になってくると、知識がある人物が村にはいない。

 将来が見込める村の子供は、一般教養を教えてくれる平民だけが集まる学校、もしくは貴族と平民が共に集まる学校に行く場合が多い。

 だが義母は、新しく出来る貴族だけが通う魔法に特化した学校に入らせたいらしい。

「フォンシル様。それは負のエネルギーに対処できるための人材を養成する為に、新しく創設されるところですよね?」

 まだ、その学校は開校していない。

 昔、魔法学院であった廃校をたてなおし、教師となる人物を探していたら5年もたってしまったと、グランはため息ながらの国王から聞いた。

 フォンシル達が王都に戻ってきた理由も、開校するタイミングを合わせたという意味あいもある。

「そうか、助力はする」

 フォンシルが否定をしなかったということは、必ず実現させるだろう。
 むやみに返事はしない人だ。

 まれにだが才能ある平民を貴族の養子にとることはある。
 血がつながっているのなら、さらに敷居は低く手続きも少ないだろう。

「ありがとうございます」
「負のエネルギー対策への訓練は命が関わる。かなり高度な教育になると思うが。……コンティの魔法能力値は?」

「ええ。全属性を持っています。」

「……本当か?」
「コンティが?」

 フォンシルは、不思議そうな顔をして義母を見る。
 グランも、のほほんとしたコンティの顔を思い出しながら驚く。

 もしかして、昔、グランが魔法をかけたパンを食べた時に浮かび上がったのは、石の力だと思っていたが、本来の力が関係しているのだろうか。

「間違いありません。私も全属性持ちなので不思議ではないのですが……」
「そういえば、そうだったな。昔、父から聞いたことはある」

 なるほど!
 それなら平民にしては多いユーディアの魔法量も理解できる。
 エンジュも素質があるし、コンティも言わずもがな、だ。

 今まで村の中で必要なかったとは言え、知らない事が多い。……でも、おかしいな。

 特殊な能力値を持った人物がいたら、ギルドで測定した時に必ず王宮に報告することになっているからだ。

「たしか、それならギルドから王宮にも連絡があるはずでは。……フォンシル様」
「あぁ、無かったな。特出した人物は見受けられなかった。リストから、もれてたのか」

 説明を求めるように、フォンシルは義母を見る。
 すると深く頭を下げて真実を言う。

「ギルドには、お金を払って内緒にしてもらいました」

「なんて言った?」
 フォンシルが、眉をひそめる。

 人間の悪意を吸い取らないと、こんな所まで影響があるのか。
 金で隠し通せるなんて、昔なら考えられなかった。

「この件はたいした事ないですが、早急に監査機関を増やしたほうが良いかもですね」
「あぁ」

 義母は申し訳無さそうな顔で、下を向いている。
「悪い事だとは思っていたのですが。あまり公にはしたくなくて。……せめて、養子に入れてから、と」

 確かに、この村で大騒ぎになったら大変だ。
 犯罪件数が増えてきた今、誘拐や良からぬことへコンティが利用されるかもしれない。

「……分かった。まずは、会いに行こう」
「そうですね」

 まだ、日の入りまでは時間がある。



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