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その後
橋 2
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「何とか、と言われても。……作業をする国民の命を守る必要もある。無理はできない」
確かに、それは最優先事項だ。
国の統治環境が整い、これからというのに
何か危険が少しでもあるならは避けたい。
「えー、じゃあ、空中に橋を架けるとかは?」
「ユーディアは、もう。どうやって上に登るのよ?」
「それは、階段とか?」
「えー、階段?空中に?」
そこで、エンジュは想像が出来なくなって諦めたらしい。
話が難航している。
「………やっぱり、魔法を、」
グランは、簡単に渡れる方法を提案しようとしたが、
「それはダメ!」
と、サクッと断られてしまった。
ずっと、そのやり取りをじっと見ていたフォンシルが、そっと口を開く。
「何で、駄目なんだ?」
本当に、理由がわからず不思議らしい。
「それは、ユーディアがグランを隠しておきたいからよね」
木の陰に忍んでいたアダマゼインが、ヒョイと出てきた。
「……うん。だって、そんな石を代用として使う魔法を見たことないし。変なことに利用される可能性もあるし。私達のグランじゃなくなっちゃうの、ヤダ」
目をうるうるさせながら、ユーディアがポツリと言う。
「それなら、国の宮廷魔法師がしたということにするか?」
フォンシルがそう言うと、即座に側でひかえていたピーターの否定が入る。
「いや、さすがに消えない橋を作れる者はいないかと」
「それもそうだな。魔法は一時的なものは出来るが、物質を永続させるとなると……」
振り出しに戻ってしまった。
「じゃあ、一見、魔法を使っていないっぽい魔法を使ってみては?」
体に巻き付いているアダマゼインの腕を外しつつ、良い案が思いついたとグランが発言をした。
「どういう事?」
エンジュが、首を傾げながら質問をする。
「うん。飛び石を置くのはどうかなって。これなら一般的な魔法でもなんとかなる」
「それじゃ、馬車は通れないよ?」
「……それなんだけど、馬車は山の道を通ってもらおう。ほら、この王都まで近道として使った山」
「グラン、さすがに馬車は無理だよ。けっこう、大変だったよ。魔物も強いのがいたし」
「そうそう」
アダマゼインとユーディアは、登山道を鮮明に覚えているのか、首をひねっては唸っている。
「無理か。……なんとか、ならないかな」
「いや、なるかもしれないな」
フォンシルが、何かを思いついたらしい。
そっと、グランの胸元に入れていたジャスキル石を取り出す。
「わ。なに?」
「これを使って爆破させよう。そうしたら、トンネルが出来る」
手に持っていたのは、遠くの国で見つけた石だ。
「あ。これ?確かに水に入れて火を付けると、爆発はするけど」
「不用心!!!」
「何で、そんな危険なもの胸元に?もう、バカ!」
美人姉妹が、心配を通り越して怒り出した。
かなり危険で取り扱いに注意しなくちゃいけないのは確かだが、そんなに怒らなくても良いだろう。
そもそも、魔法でちゃんと爆発防止の保護をしている。
ぽかぽか叩かれた後、フォンシルが話すタイミングを見計らう。
「続きを話したいのだが、もう、じゃれ合いはしなくて良いか?」
……気を使ってもらって申し訳ない。
「はい。すみません」
「……これを使って、石の魔力を増強させ威力をあげる。それくらいなら魔法を使っていないことになる」
そうだろうか?
ちゃんと、魔法を使っている気がするが。
「そこで、出た石や土を川に利用すれば、証拠も残らない」
いや、トンネルが出来ているだろう。
それが、人為的なものなのか魔法なのかどうなのかのの判断は曖昧極まりない。
確実に証拠だ。
……まぁ、他に方法もないし、それでいくしかないか。
「とりあえず細かい所は置いて、その路線で計画をたてましょう!」
確かに、それは最優先事項だ。
国の統治環境が整い、これからというのに
何か危険が少しでもあるならは避けたい。
「えー、じゃあ、空中に橋を架けるとかは?」
「ユーディアは、もう。どうやって上に登るのよ?」
「それは、階段とか?」
「えー、階段?空中に?」
そこで、エンジュは想像が出来なくなって諦めたらしい。
話が難航している。
「………やっぱり、魔法を、」
グランは、簡単に渡れる方法を提案しようとしたが、
「それはダメ!」
と、サクッと断られてしまった。
ずっと、そのやり取りをじっと見ていたフォンシルが、そっと口を開く。
「何で、駄目なんだ?」
本当に、理由がわからず不思議らしい。
「それは、ユーディアがグランを隠しておきたいからよね」
木の陰に忍んでいたアダマゼインが、ヒョイと出てきた。
「……うん。だって、そんな石を代用として使う魔法を見たことないし。変なことに利用される可能性もあるし。私達のグランじゃなくなっちゃうの、ヤダ」
目をうるうるさせながら、ユーディアがポツリと言う。
「それなら、国の宮廷魔法師がしたということにするか?」
フォンシルがそう言うと、即座に側でひかえていたピーターの否定が入る。
「いや、さすがに消えない橋を作れる者はいないかと」
「それもそうだな。魔法は一時的なものは出来るが、物質を永続させるとなると……」
振り出しに戻ってしまった。
「じゃあ、一見、魔法を使っていないっぽい魔法を使ってみては?」
体に巻き付いているアダマゼインの腕を外しつつ、良い案が思いついたとグランが発言をした。
「どういう事?」
エンジュが、首を傾げながら質問をする。
「うん。飛び石を置くのはどうかなって。これなら一般的な魔法でもなんとかなる」
「それじゃ、馬車は通れないよ?」
「……それなんだけど、馬車は山の道を通ってもらおう。ほら、この王都まで近道として使った山」
「グラン、さすがに馬車は無理だよ。けっこう、大変だったよ。魔物も強いのがいたし」
「そうそう」
アダマゼインとユーディアは、登山道を鮮明に覚えているのか、首をひねっては唸っている。
「無理か。……なんとか、ならないかな」
「いや、なるかもしれないな」
フォンシルが、何かを思いついたらしい。
そっと、グランの胸元に入れていたジャスキル石を取り出す。
「わ。なに?」
「これを使って爆破させよう。そうしたら、トンネルが出来る」
手に持っていたのは、遠くの国で見つけた石だ。
「あ。これ?確かに水に入れて火を付けると、爆発はするけど」
「不用心!!!」
「何で、そんな危険なもの胸元に?もう、バカ!」
美人姉妹が、心配を通り越して怒り出した。
かなり危険で取り扱いに注意しなくちゃいけないのは確かだが、そんなに怒らなくても良いだろう。
そもそも、魔法でちゃんと爆発防止の保護をしている。
ぽかぽか叩かれた後、フォンシルが話すタイミングを見計らう。
「続きを話したいのだが、もう、じゃれ合いはしなくて良いか?」
……気を使ってもらって申し訳ない。
「はい。すみません」
「……これを使って、石の魔力を増強させ威力をあげる。それくらいなら魔法を使っていないことになる」
そうだろうか?
ちゃんと、魔法を使っている気がするが。
「そこで、出た石や土を川に利用すれば、証拠も残らない」
いや、トンネルが出来ているだろう。
それが、人為的なものなのか魔法なのかどうなのかのの判断は曖昧極まりない。
確実に証拠だ。
……まぁ、他に方法もないし、それでいくしかないか。
「とりあえず細かい所は置いて、その路線で計画をたてましょう!」
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