誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多

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それが、解決できてない ③

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「えーーー?ここからが、面白い話なのに?」
「今、面白さはいりません。全てが落ち着いたら聞かせて下さい」
「……ひどいわぁ。やっと話せるのに」

「そもそも、何で隠してたんですか?」

 まぁ、最初から今の内容をペラペラと話されたとしても、まったく信じる事は出来なかっただろうが。

「約束したから」
「誰と?」

「あなたの両親」
「何を?」

「一人で行動できるまでは、色々と悩ませたくない。グランが自分の事だけ考えてさせてあげたいって」
「……はい」

「ちなみにデディーリエという苗字は、あなたの義母様の旧姓よ。王家の名前は使えないけど、自分の子供ではないと、グランに伝えるためにね」
「自分は、知らないうちに守られていたんですね」

 ……小さい頃には、一緒にいたという両親。
 全く記憶がないけれど、このコントロール力は両親からしっかりと受け継いだものだった。
 その事を知れたのは、良かった。
 感謝が出来る。

 前は親について全く興味がなくて、それから少しだけ興味を持って、今は、とても会いたい。

「そうですか。……まぁ、完全に一人では無いですけどね」

 そう言ってグランはフォンシル達と、アダマゼインを順番に嬉しそうに見る。

「そうね。グランを完全に一人にする事は一生ないから、今がベストタイミングだと思うわ。ふふふ。」

 アダマゼインの魔王らしい表情に、またもや恐怖を感じる。
 グランは嘘っぽい笑顔で会釈をすると、真相をせまる。

「で、封印とは?魔力とは?僕たちで何とか出来るものですか?」

 早く聞きたくて詰め寄るが、めずらしくアダマゼインが困った顔をしている。

「そこなのよね。良く分からないのよ。アルフが面倒とかで詳しく教えてくれなくて」

 教えられないとかではなくて、面倒だからなのか……。
 確かに分かる。

 勝手に動いて好き勝手やったあげく、収集がつかなくなってから丸投げしそうだ。
 ひどい想像だが、合っているだろう。

 そこで、フォンシルが提案する。

「グラン、先を急いでアルフに会おう。そんなに遠くない」
「そうですね。ここで、悩んでいても進まないですし」
「あぁ、それに、あまり国を長く離れたくない。自分の仕事もあるし、さすがに心配だ」

 あぁ、言ってなかっただろうか。

「転送装置を設置して、王都との空間移動が一瞬で出来るので心配ありませんよ」
「……そんな事が出来るのか?」
「はい。例のジャスキル石を使えば、簡単に。まぁ、いくつも石があるわけでは無いし、魔法陣も組んだほうが安全なので着いてからが良いと思いますが」

 フォンシルは、腕を組み思案する。
「何で、誰もが見向きをしなかった石にそんな力が?」

 それは、そうだろう。
 あれは両親から教え込まれた力や、グラン本来の力がなければ、誰もあの石の本領を発揮できない。

 使用する人間まで選ぶ。
 それほどまでに、レアなものなのだから。

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