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分かれ道 Ⅰ
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アダマゼインは魔力を隠しているから、ユーディアの魔力探知を行う。
……そこまで離れていないようだ。
村で3人が好きそうな菓子を購入し、舗装されていない道を通り後を追う。
このあたりは、中心より少し離れているので、整備が不十分だ。
たまっている水たまりをヒョイヒョイっと避けながら、全速力で通り抜けると、やたらと騒がしい声が聞こえてきた。
だろうな、とは思っていたが、やはりユーディア一行である。
「何やってるんだろう………」
「アーちゃん!絶対、右の開けた道よ!」
「えぇー!ユーちゃん。山を突っ切って近道を行くには、左だよ」
「アダマゼイン様のおっしゃる通りです。多数決で左、決定」
「えー、ずるいずるい。ガーゼルは、アーちゃんの味方じゃない」
右か左?
……何なんだ?
グランは状況を把握するべく、隠していた魔力をさらに完全に消し、近くの木影に隠れる。
隠れる必要はないが、今、出ていっても混乱しそうだ。
「右の方が遠回りだけど、魔物がいなくて安心よ」
「私が、全部、倒すから平気よ。早く城下町に行って、美味しいご飯とベットで寝たい!」
「もし魔物にやられたら、永久に寝ちゃうわよ」
………なるほど。
状況的には、安全な通り道か、危険な近道かで揉めているということか。
アダマゼインは、魔力も隠しているし、ユーディアには自分が魔王だって言わないつもりなんだな。
言ったとて、信じないだろうが。
「ザコ魔物になんか、負けないし」
「山の魔物は固いの。剣が折れちゃうくらいよ。……グランも、いないのに」
嬉しい。
ユーディアは、頼りにしてくれてるのが分かる。
これは、今、グランが出ていくタイミングだ。
そう思って、魔力を解放し一歩足を踏み出す。
その時、アダマゼインの声が聞こえてきた。
「今頃、牢屋にでも入ってるんじゃないの?」
むむ。
アダマゼインは助けてもくれないし、ひどすぎるのではいだろうか。
まぁ、変な状況で出てこられても、ややこしくなるだけだから、まぁ、いいや。
気にしないで、出ていこう。
「ただいま。ユーディア!」
「あっ!グラン。さっきは、ごめんね。悪い言は何もしていないはずだし、大丈夫だとは信じてたけど。戻ってきてくれて嬉しいわ」
ぴょんぴょん飛び跳ねながら、再会を喜んでくれる。
ああ、それに関してはすみません。
ばっちり、国家滅亡レベルの反逆罪をしてました。
絶対に、誰にも言えないけれど。
「うん。何かの間違いだったみたいです。心配かけてごめんなさい」
「ううん。良かった!」
嘘を付くのが心苦しい。
「アダマゼインも期待を裏切っちゃって、すみませんねえ。脱獄者が帰ってきましたよ」
顔を下から見ながら、嫌味を言ってやる。
「ふふふー。グランの魔力を感じたから、冗談を言っただけよ?」
本当だろうか。
それは、さておき、グランは、さきほどの論争の決着をつける。
「王都までの道は、どちらでも行けはしますが、出来たら左の噴火山の方が僕は嬉しいです」
「えぇ?何で、嬉しいの?」
「ほら。鶏肉を焼いた時に石版に使ったでしょう?溶岩に出る魔物は、石版の素材になるジャスキル石を落としてくれるから」
左の道には、前に地図を頭の中で開いた時に見つけた山がある。
出来たら、行きたいと思っていたから今がチャンスだろう。
あの山には強い魔物はいそうだが、ユーディアを守りながらでも問題はないレベルなはず。
ここから、魔力探査しても大きいものはそこまで感じない。
みんなが、美味しかったなぁー、あの肉。
と楽しそうに話している。
これは、行く決定だろう。
「じゃあ、食堂の分くらいは頑張って手に入れましょう。お世話になる手土産として」
これで、また石を集められると、グランは、にっこり笑った。
……そこまで離れていないようだ。
村で3人が好きそうな菓子を購入し、舗装されていない道を通り後を追う。
このあたりは、中心より少し離れているので、整備が不十分だ。
たまっている水たまりをヒョイヒョイっと避けながら、全速力で通り抜けると、やたらと騒がしい声が聞こえてきた。
だろうな、とは思っていたが、やはりユーディア一行である。
「何やってるんだろう………」
「アーちゃん!絶対、右の開けた道よ!」
「えぇー!ユーちゃん。山を突っ切って近道を行くには、左だよ」
「アダマゼイン様のおっしゃる通りです。多数決で左、決定」
「えー、ずるいずるい。ガーゼルは、アーちゃんの味方じゃない」
右か左?
……何なんだ?
グランは状況を把握するべく、隠していた魔力をさらに完全に消し、近くの木影に隠れる。
隠れる必要はないが、今、出ていっても混乱しそうだ。
「右の方が遠回りだけど、魔物がいなくて安心よ」
「私が、全部、倒すから平気よ。早く城下町に行って、美味しいご飯とベットで寝たい!」
「もし魔物にやられたら、永久に寝ちゃうわよ」
………なるほど。
状況的には、安全な通り道か、危険な近道かで揉めているということか。
アダマゼインは、魔力も隠しているし、ユーディアには自分が魔王だって言わないつもりなんだな。
言ったとて、信じないだろうが。
「ザコ魔物になんか、負けないし」
「山の魔物は固いの。剣が折れちゃうくらいよ。……グランも、いないのに」
嬉しい。
ユーディアは、頼りにしてくれてるのが分かる。
これは、今、グランが出ていくタイミングだ。
そう思って、魔力を解放し一歩足を踏み出す。
その時、アダマゼインの声が聞こえてきた。
「今頃、牢屋にでも入ってるんじゃないの?」
むむ。
アダマゼインは助けてもくれないし、ひどすぎるのではいだろうか。
まぁ、変な状況で出てこられても、ややこしくなるだけだから、まぁ、いいや。
気にしないで、出ていこう。
「ただいま。ユーディア!」
「あっ!グラン。さっきは、ごめんね。悪い言は何もしていないはずだし、大丈夫だとは信じてたけど。戻ってきてくれて嬉しいわ」
ぴょんぴょん飛び跳ねながら、再会を喜んでくれる。
ああ、それに関してはすみません。
ばっちり、国家滅亡レベルの反逆罪をしてました。
絶対に、誰にも言えないけれど。
「うん。何かの間違いだったみたいです。心配かけてごめんなさい」
「ううん。良かった!」
嘘を付くのが心苦しい。
「アダマゼインも期待を裏切っちゃって、すみませんねえ。脱獄者が帰ってきましたよ」
顔を下から見ながら、嫌味を言ってやる。
「ふふふー。グランの魔力を感じたから、冗談を言っただけよ?」
本当だろうか。
それは、さておき、グランは、さきほどの論争の決着をつける。
「王都までの道は、どちらでも行けはしますが、出来たら左の噴火山の方が僕は嬉しいです」
「えぇ?何で、嬉しいの?」
「ほら。鶏肉を焼いた時に石版に使ったでしょう?溶岩に出る魔物は、石版の素材になるジャスキル石を落としてくれるから」
左の道には、前に地図を頭の中で開いた時に見つけた山がある。
出来たら、行きたいと思っていたから今がチャンスだろう。
あの山には強い魔物はいそうだが、ユーディアを守りながらでも問題はないレベルなはず。
ここから、魔力探査しても大きいものはそこまで感じない。
みんなが、美味しかったなぁー、あの肉。
と楽しそうに話している。
これは、行く決定だろう。
「じゃあ、食堂の分くらいは頑張って手に入れましょう。お世話になる手土産として」
これで、また石を集められると、グランは、にっこり笑った。
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