誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多

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国家滅亡の危機 ④

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「はい。確かに、自分がしました」

 素直に謝るしかない。
 最初に自分を使って試した時は加護がついたな、と感じるくらいだった。
 悪い作用は一切なかったと思う。
 清廉潔白で前向きな性格になったくらいだ。

 じゃなきゃ、可愛い姉であるエンジュの名を石に使ったりしない。
 それに、フォンシルの石も鑑定したが、悪いものは一切なかった。

「…………なにか言いたげだな」
「あの、加護はつきますが、特に問題はないと思うのですが……」
「ある」

 フォンシルがグランに顔を近づけると、ベージュの髪と目が優しくてとても心が落ち着く。

「どうだ?」
「はい。穏やかな心になりました」

「…………自分を見ると、何故か心が落ち着くになるらしい」
「はぁ」

 何か、問題でもあるのだろうか。
 石の加護は千差万別で効果は決まったものではないのだが、フォンシルは人を癒やす効果が強く出たらしい。

 別に、今、国は平和だし問題は無いと思うのだが。

「……これのせいで、皇太子を辞さなければならない。誰も、王に反論出来ない国は滅びる」
「はあ?!」

 何でそうなる。
 グランの冷や汗がとまらない。
 なぜだろうか。
 聞くのが恐ろしい。

「この国は、強いものが王になる。私はそろそろ12才だ。皇太子として武道会で優勝しなくてはならないのに、誰も相手をしてくれない」

 そう言うと、光の剣を取り出した。

「グラン、構えろ!」
「は、はい!!」

「まわりは良くても、この私が自分自身を許せない。王族としてこの国を守るため、お前を倒す!!」

「あわわわわ」

 シュッっと、グランの顔の前を剣がかする。

「お前が死ねば、この加護は消える。大人しくやられろ」

 攻撃が出来ないため、防御に徹しながら他に案はないか考える。

「ご兄弟は?」
「母は病弱で、もう子供を産むことは出来ない」
「他には……?」

 まだ国家秘密で隠し子がいるかも知れない。
 穏やかで国民思いの国王を思い浮かべ、ある訳が無い可能性を信じる。

「……いない」

 ……ですよね。

「まて? だが、冒険に出ていて所在不明だが、父の姉の子供が30才くらいなはずだ」
「あああ!! 良かった。その人が皇太子になれば良いじゃないですか」

「…………そうか。それもそうだな」

 フォンシルは、そこで攻撃の手を止めた。
 光魔法の剣を、キラキラと霧散させ体内におさめる。

「それで良いんですか?」

 いちかばちかで提案したのに、受け入れられて、グラン自身が驚く。

「私は国を守りたいが、国王になりたいわけではない」
 
 
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