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伏線を忘れるべからず…… ③
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「ほら、ここだ」
連れて行かれた所は、案外と悪いところじゃ無かった。
むしろ、今まで森の中で野宿だったのだから、室内というだけで快適空間とも言えよう。
「ベッドまである! ありがとうございます!」
「変なやつだな。何で捕えられて喜んでんだ」
「いやいや、見てください。このアイロンがかかったシーツのベッドに、掃除されたトイレ。さらには、ウエルカムドリンクさえあるじゃないですか! おもてなし、とはこの事ですよ」
グランは感動して、やや目が潤む。
ユーディアには、なるべく快適に休んでほしかったので、自分はずっと夜番で一ヶ月ほど、うつらうつらしか寝ていなかったのだ。
「室内環境を整えるのは当然だし、水分は取らなきゃダメだろう。そして、取ったらトイレにも行きたくなる。……そんなに、喜ぶことか?」
基本的に王宮に勤務しているピーターには理解できないのだろう。
それに、この身のこなしは貴族なはずだ。
ここまで育ててくれた義母は元貴族らしく、グランも貴族マナーを厳しく学んだ。
だから、分かってしまうのだ。
「ピーターさんも、一ヶ月、森で生活してみませんか?」
「……すまん。枕が変わると眠れないたちで、無理だ。悪かったな。グランは苦労したんだよな」
「冒険者なら当たり前のことです。しないですむのなら、そっちの方が良いと思います」
ピーターが同情して、部屋においてるコップに水をそそぎ、渡してくれる。
「お詫びだ。飲め」
グランは、あまりのピーターの単純さにあきれる。
「頂きます」
にっこりと、笑って受け取った。
その瞬間、室内の空気が変わった。
即座に、ピーターが膝をつき頭を下げる。
「君が、グラン・デディーリエ? 長い事、探したよ」
アダマゼイン程ではないが、膨大な魔力を感じる。
と、なると。
もしかして?
「私は、フォンシル・コンドーラル。この国の皇太子だ」
やっぱり! こんな、自分と同じくらいの男の子だと思わなかった。
昔は正式な挨拶やらダンスやら学んで何の役に立つのだと、不満に思ったが、今ものすごく助かってる。
心の中で義母に感謝をしながら、最高位の挨拶をする。
呼ばれるまで喋っちゃいけない。
頭を垂れて、フォンシルの言葉を待つ。
「顔をあげて良い。発言を許す」
「……探したとは、どういう事でしょうか?」
「分からないのか?」
「はい」
すると、グランの頭にフォンシルが手をかざし、精神魔法を発動させた。
まずい。
何をされるのか分からないが、よっぽど変な洗脳でもされない限り甘んじて受けようと、緊張する。
すると、スッと何もなく手が離れた。
ピリッと、表面だけの感情を探られる。
「…………っ、」
「嘘はついていないようだ。では言おう。魔法石に私の名前を勝手に登録したな?」
あーー! それか!!
グランは、昔の自分を殴りたくなった……。
連れて行かれた所は、案外と悪いところじゃ無かった。
むしろ、今まで森の中で野宿だったのだから、室内というだけで快適空間とも言えよう。
「ベッドまである! ありがとうございます!」
「変なやつだな。何で捕えられて喜んでんだ」
「いやいや、見てください。このアイロンがかかったシーツのベッドに、掃除されたトイレ。さらには、ウエルカムドリンクさえあるじゃないですか! おもてなし、とはこの事ですよ」
グランは感動して、やや目が潤む。
ユーディアには、なるべく快適に休んでほしかったので、自分はずっと夜番で一ヶ月ほど、うつらうつらしか寝ていなかったのだ。
「室内環境を整えるのは当然だし、水分は取らなきゃダメだろう。そして、取ったらトイレにも行きたくなる。……そんなに、喜ぶことか?」
基本的に王宮に勤務しているピーターには理解できないのだろう。
それに、この身のこなしは貴族なはずだ。
ここまで育ててくれた義母は元貴族らしく、グランも貴族マナーを厳しく学んだ。
だから、分かってしまうのだ。
「ピーターさんも、一ヶ月、森で生活してみませんか?」
「……すまん。枕が変わると眠れないたちで、無理だ。悪かったな。グランは苦労したんだよな」
「冒険者なら当たり前のことです。しないですむのなら、そっちの方が良いと思います」
ピーターが同情して、部屋においてるコップに水をそそぎ、渡してくれる。
「お詫びだ。飲め」
グランは、あまりのピーターの単純さにあきれる。
「頂きます」
にっこりと、笑って受け取った。
その瞬間、室内の空気が変わった。
即座に、ピーターが膝をつき頭を下げる。
「君が、グラン・デディーリエ? 長い事、探したよ」
アダマゼイン程ではないが、膨大な魔力を感じる。
と、なると。
もしかして?
「私は、フォンシル・コンドーラル。この国の皇太子だ」
やっぱり! こんな、自分と同じくらいの男の子だと思わなかった。
昔は正式な挨拶やらダンスやら学んで何の役に立つのだと、不満に思ったが、今ものすごく助かってる。
心の中で義母に感謝をしながら、最高位の挨拶をする。
呼ばれるまで喋っちゃいけない。
頭を垂れて、フォンシルの言葉を待つ。
「顔をあげて良い。発言を許す」
「……探したとは、どういう事でしょうか?」
「分からないのか?」
「はい」
すると、グランの頭にフォンシルが手をかざし、精神魔法を発動させた。
まずい。
何をされるのか分からないが、よっぽど変な洗脳でもされない限り甘んじて受けようと、緊張する。
すると、スッと何もなく手が離れた。
ピリッと、表面だけの感情を探られる。
「…………っ、」
「嘘はついていないようだ。では言おう。魔法石に私の名前を勝手に登録したな?」
あーー! それか!!
グランは、昔の自分を殴りたくなった……。
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