誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多

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どんどん歩くよ! Ⅸ

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 ズシャーー!!

 いつものように、急所を外し、小さな頃から磨き続けたパワーコントロールで魔鳥を倒す。

「これで、256体目か……」
 もう、これでもかと言うくらい、どこにでもいるような魔物を倒し、歩く上で邪魔になりそうな木々を吹き飛ばしていく。

 あまり森を壊してはいけないが、人ひとり分通るくらいの木を切り倒したとしても、すぐに元通りになるだろう。
 根は傷をつけていない。

「あ。これは、少ししか持ってない石だ。やったー……」
 胸の奥でつぶやく。

 なぜなら、誰も聞いていないからだ。
 大きな独り言の自慢話は恥ずかしい。

「えっ。どこに従者が居るの? 気配がないよ?」
「気配がうるさいから消せ、って言ってるのよ」
「えぇーーー。それで、消してくれるの? やさしいー。ねぇねぇ。どんな人?」
「うーん。全体的に服が黒いかなぁ」
「きゃあ!! ペアルックって事?」
「今は、リンクコーデっていうの。……と言うか、違う違う!! そんなんじゃないよ。可愛い女の子っ」

 何だろうか。
 この、きゃあきゃあした会話は。
 女子トークで花を咲かせるどころではなく、花畑になっているようだ。

 目の前で、血なまぐさい戦闘を257回もしているというのに、気にならないなんて、2人とも度胸が座っている。

 後ろの話し声に耳を澄ましながら、たった今、手に入れたジャスキル石をエネルギーに変換して体内にいれる。

 すると聞き耳をたててのがバレたのか、ユーディアに声をかけられた。

「グラン!! そろそろ、お昼にしましょう。鳥もたくさん取ってくれてありがとう。焼いて食べよう! ね、アーちゃん!」
「うん。お腹すいたぁ。ユーちゃん。私、火を出すねぇー」

 親しくなりすぎじゃないだろうか……。

 そう思いながら、グランは、かなりのコントロール力がないと出来ない微力な火と風の魔法で、鳥を食べやすいサイズに解体していったのであった。



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