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はじまり
星と蒼
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あっという間に、営業初日になった。
今日は、喫茶はやらずに、お披露目会をすることになった。
各自、パフォーマンスをして、即興でなにをするかを説明するためだ。
「そろそろ、準備しようかな」
爽やかに、蒼衣が屈伸をして体を整えている。
やはり、場数が違うのか緊張と言うものがないらしい。
「体、柔らかいですね」
「うん。骨ないみたいでしょ」
そう言って体を伸ばした時に、そして、何故だか驚いたような目をして動きが止まった。
視線は、入口の方だ。
その表情は、自分たちに見せたことのないような嬉しそうなものに変わっていく。
誰が来たのかと思って、入口を見たら、まさかの知っている人だった。
「よー!風灯、元気?」
「星野先輩」
選択授業で、友達になった星野先輩が駆け寄った蒼衣と肩を組んでいる。
「風灯。僕の小さい頃からの友達」
「えっ?……って、あの?」
「そう、あの」
いろいろと含みがある感じで、笑う。
そうか。
確かに、俺も最初に星野に会った時、間違えたくらいだから雰囲気が似ている。
同じ学校と聞いた時点でピンときても良かったかもしれない。
ただ、性格が真逆すぎて思いもつかなかった。
もっと、繊細そうな天才肌の人を想像していた。似ているのは外見だけだ。
「よろしくな。風灯」
今度は、風灯の方へ来て、肩に腕を回してくる。
パーソナルスペースが近い。
「星野先輩。もしかして、前の授業の時に紹介してくれるって言ってた人って、蒼衣さんの事ですか?」
「そうそう、いいやつでしょ?」
なんか癪に障る。
自分より、蒼衣について詳しく知ってるのが許せない。
「今、芸能部の部員なんで!俺だって、良い人なの知ってます」
「あははっ。なんで、そんな変な理由で圭にマウントとるの?褒めてくれるの、嬉しいけど」
蒼衣が、少し背伸びして俺の肩に絡まっている星野の腕をゆっくりと、外す。
「……なんか、蒼衣さん。少し良いですか?」
「うん。なぁに?」
星野が他の人のところに挨拶に行っている時に、確認しておこう。
「全然、気にする相手じゃないですよ?言いたいこと、キツめに言っておきましょうよ」
「彼、意外と、繊細なんだよ?」
「そうですかね?」
信じられない。
少し、ギターが上手なだけのおちゃらけてる人にしかみえない。
「うん。でもさ、あれからさ、風灯の言う通り、いろいろ話したよ。小さい頃からの思いとか」
「……で、どうなりました?」
「どうもならない。役者やめたって言うし、俺も休業してるし。今は、本当に普通の友達。相手の顔色をみたり、仕事の守秘義務もないから、話す時に無意識で話せて、本当に楽」
「そうですか」
腑に落ちない顔をしていたら、蒼衣がにこにこと笑って風灯の手を握る。
「星野ってさ、ギターしてるんだよ。僕よりも上手。教えてもらったら?」
「俺は、蒼衣さんに教えてもらいたいです」
つい、嫉妬心が丸出しになってしまった。
これは子供っぽいだろうと、顔を赤くしていたら、タイミングよく集合の号令がかかる。
「そろそろ時間だ。準備をはじめよう」
海灯の声だ。
声の方を見ると、
海灯の手には、とても大きい荷物を持って、こっちにくる。
もしかして…………、
「店長代理の就任祝いだ。カタログに付箋が貼ってあったのを選んだが、間違ってないか?」
そういって、中のものを取り出す。
目の前に、あったのは店長代理を引き受けた理由の、キレイな焦げ茶色をしていたアコースティックギターだ。
「じゃ、最初は風灯の演奏だな。早いリズムのにしてくれ」
それは、無理だ。
いつもの無茶振りに、一番の緊張が走った。
今日は、喫茶はやらずに、お披露目会をすることになった。
各自、パフォーマンスをして、即興でなにをするかを説明するためだ。
「そろそろ、準備しようかな」
爽やかに、蒼衣が屈伸をして体を整えている。
やはり、場数が違うのか緊張と言うものがないらしい。
「体、柔らかいですね」
「うん。骨ないみたいでしょ」
そう言って体を伸ばした時に、そして、何故だか驚いたような目をして動きが止まった。
視線は、入口の方だ。
その表情は、自分たちに見せたことのないような嬉しそうなものに変わっていく。
誰が来たのかと思って、入口を見たら、まさかの知っている人だった。
「よー!風灯、元気?」
「星野先輩」
選択授業で、友達になった星野先輩が駆け寄った蒼衣と肩を組んでいる。
「風灯。僕の小さい頃からの友達」
「えっ?……って、あの?」
「そう、あの」
いろいろと含みがある感じで、笑う。
そうか。
確かに、俺も最初に星野に会った時、間違えたくらいだから雰囲気が似ている。
同じ学校と聞いた時点でピンときても良かったかもしれない。
ただ、性格が真逆すぎて思いもつかなかった。
もっと、繊細そうな天才肌の人を想像していた。似ているのは外見だけだ。
「よろしくな。風灯」
今度は、風灯の方へ来て、肩に腕を回してくる。
パーソナルスペースが近い。
「星野先輩。もしかして、前の授業の時に紹介してくれるって言ってた人って、蒼衣さんの事ですか?」
「そうそう、いいやつでしょ?」
なんか癪に障る。
自分より、蒼衣について詳しく知ってるのが許せない。
「今、芸能部の部員なんで!俺だって、良い人なの知ってます」
「あははっ。なんで、そんな変な理由で圭にマウントとるの?褒めてくれるの、嬉しいけど」
蒼衣が、少し背伸びして俺の肩に絡まっている星野の腕をゆっくりと、外す。
「……なんか、蒼衣さん。少し良いですか?」
「うん。なぁに?」
星野が他の人のところに挨拶に行っている時に、確認しておこう。
「全然、気にする相手じゃないですよ?言いたいこと、キツめに言っておきましょうよ」
「彼、意外と、繊細なんだよ?」
「そうですかね?」
信じられない。
少し、ギターが上手なだけのおちゃらけてる人にしかみえない。
「うん。でもさ、あれからさ、風灯の言う通り、いろいろ話したよ。小さい頃からの思いとか」
「……で、どうなりました?」
「どうもならない。役者やめたって言うし、俺も休業してるし。今は、本当に普通の友達。相手の顔色をみたり、仕事の守秘義務もないから、話す時に無意識で話せて、本当に楽」
「そうですか」
腑に落ちない顔をしていたら、蒼衣がにこにこと笑って風灯の手を握る。
「星野ってさ、ギターしてるんだよ。僕よりも上手。教えてもらったら?」
「俺は、蒼衣さんに教えてもらいたいです」
つい、嫉妬心が丸出しになってしまった。
これは子供っぽいだろうと、顔を赤くしていたら、タイミングよく集合の号令がかかる。
「そろそろ時間だ。準備をはじめよう」
海灯の声だ。
声の方を見ると、
海灯の手には、とても大きい荷物を持って、こっちにくる。
もしかして…………、
「店長代理の就任祝いだ。カタログに付箋が貼ってあったのを選んだが、間違ってないか?」
そういって、中のものを取り出す。
目の前に、あったのは店長代理を引き受けた理由の、キレイな焦げ茶色をしていたアコースティックギターだ。
「じゃ、最初は風灯の演奏だな。早いリズムのにしてくれ」
それは、無理だ。
いつもの無茶振りに、一番の緊張が走った。
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