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DTMと、偽名
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午後からは、3時間くらいかけて挨拶まわりをした。
海灯のおかげかもしれないが、多くの人が友好的に受け止めてくれており、店を営業するのも問題無さそうだ。
喫茶店に戻り、市場調査の結果を夏葉に報告する。
「夏葉さん。多くの人が家でも、お肉屋さんのコロッケを食べてるらしくて、違うソースで食べたいらしいです。」
「やっぱりね。じゃ、日替わりのランチの一食目は、決定!」
勝ち誇ったような夏葉と、面倒そうな湖玉の顔の対比が極端だ。
「目指すは、20種類よ!もちろん、ワンコインランチでね。頑張ろう!おばあちゃん!」
「……もう一人、厨房バイト入れるか。まぁ、母にでも入ってもらおう。」
海灯が、厨房の忙しそうな様子に、母親まで巻き込む算段をはじめている。
「海灯くん。帰ってきたのかい?まだ工事はしてるから、今日は解散する?それなら、生徒たちを駅まで送っていくけど。」
雪太郎が、追い出された先から、のんびりと帰ってきた。
「はい。お願いします。少し内装も考えたいので。風灯は、どうする?」
「……俺は。」
このまま、歩いて家に帰っても良いが、どうしようか悩む。まだ、陽は明るい。
すると、蒼衣が風灯の腕を掴んできた。
「ねぇ。暇なら、一緒に遊ぼうよ。」
「そうだな。誤解も解きたいだろ?風灯、行って来い。」
続けて、こう言われてしまったら断れない。
緊張しつつ、大きくうなずいた。
遊ぶ場所を案内すると、連れて行かれた場所は、少し離れた住宅街にある蒼衣の家だった。
まさかのあこがれの人のプライベートスペースに胸がドキドキしてくる。
中にいた蒼衣の両親もとても素敵な人で、夢見心地のまま部屋に入る。
そして、部屋を見て驚いた。
壁には賞状やトロフィーが並び、体力仕事だからか筋トレ道具や、ギターなど音楽道具。その他、木刀など殺陣で使う道具などありとあらゆるものが揃っていた。
「すごいです。蒼衣さん。」
あまり、ジロジロ見ては失礼かとも思うが、見ずにはいられない充実ぶりだ。
もう、2度と入ることは出来ないかもしれない。目に焼き付けておこう。
「そう?ここも、見てよ。」
そう言って案内された隣の小部屋は防音室になっていて、オーディオインターフェースやモニタースピーカーなど、様々な機材が並んでいる。
「この曲、聞いて?」
そう言いながら、ヘッドホンを渡してくれる。
「………これ、あの時の。」
灯台で、弾きながら演じてくれていたあの曲だった。
ずっと探していたけれど、見つからなかった曲。
「これ、僕の曲なんだ。音楽投稿サイトにもあげてるよ。……違う名前で、だけど。」
そう言いながらスマホでこの曲を流す。
「投稿までしてるんですか?」
作曲をしているのは知っていたが、そこまで本格的とは知らなかった。
あまりの多才な能力に驚くと同時に、何故、名前を変えているのかも分からなくて、混乱する。
「うん。まずは、あやまるよ。友達になれないって言って、ごめん。」
「それは、当然だと思います。俺が、近づけたと思って勘違いしただけで。」
「違うんだ。」
「違う?」
蒼衣はヘッドホンを置き座りながら、風灯に予備のイスに座るようにすすめてくれる。
長い話になるということだろうか。
「……幼なじみの友達がいるんだけどね、役者を目指してて、音楽もしてて、何となく背格好まで似ているんだ。」
「はい。」
「風灯は、僕より身長も高いしキャラクターも違う。だから、ライバルになりづらいから気にしなくても良いのだろうけど。ちょっと、悩んだことがあってね。」
そう、話しだした。
もしかして、それが灯台で歩いていた原因なのだろうか。
海灯のおかげかもしれないが、多くの人が友好的に受け止めてくれており、店を営業するのも問題無さそうだ。
喫茶店に戻り、市場調査の結果を夏葉に報告する。
「夏葉さん。多くの人が家でも、お肉屋さんのコロッケを食べてるらしくて、違うソースで食べたいらしいです。」
「やっぱりね。じゃ、日替わりのランチの一食目は、決定!」
勝ち誇ったような夏葉と、面倒そうな湖玉の顔の対比が極端だ。
「目指すは、20種類よ!もちろん、ワンコインランチでね。頑張ろう!おばあちゃん!」
「……もう一人、厨房バイト入れるか。まぁ、母にでも入ってもらおう。」
海灯が、厨房の忙しそうな様子に、母親まで巻き込む算段をはじめている。
「海灯くん。帰ってきたのかい?まだ工事はしてるから、今日は解散する?それなら、生徒たちを駅まで送っていくけど。」
雪太郎が、追い出された先から、のんびりと帰ってきた。
「はい。お願いします。少し内装も考えたいので。風灯は、どうする?」
「……俺は。」
このまま、歩いて家に帰っても良いが、どうしようか悩む。まだ、陽は明るい。
すると、蒼衣が風灯の腕を掴んできた。
「ねぇ。暇なら、一緒に遊ぼうよ。」
「そうだな。誤解も解きたいだろ?風灯、行って来い。」
続けて、こう言われてしまったら断れない。
緊張しつつ、大きくうなずいた。
遊ぶ場所を案内すると、連れて行かれた場所は、少し離れた住宅街にある蒼衣の家だった。
まさかのあこがれの人のプライベートスペースに胸がドキドキしてくる。
中にいた蒼衣の両親もとても素敵な人で、夢見心地のまま部屋に入る。
そして、部屋を見て驚いた。
壁には賞状やトロフィーが並び、体力仕事だからか筋トレ道具や、ギターなど音楽道具。その他、木刀など殺陣で使う道具などありとあらゆるものが揃っていた。
「すごいです。蒼衣さん。」
あまり、ジロジロ見ては失礼かとも思うが、見ずにはいられない充実ぶりだ。
もう、2度と入ることは出来ないかもしれない。目に焼き付けておこう。
「そう?ここも、見てよ。」
そう言って案内された隣の小部屋は防音室になっていて、オーディオインターフェースやモニタースピーカーなど、様々な機材が並んでいる。
「この曲、聞いて?」
そう言いながら、ヘッドホンを渡してくれる。
「………これ、あの時の。」
灯台で、弾きながら演じてくれていたあの曲だった。
ずっと探していたけれど、見つからなかった曲。
「これ、僕の曲なんだ。音楽投稿サイトにもあげてるよ。……違う名前で、だけど。」
そう言いながらスマホでこの曲を流す。
「投稿までしてるんですか?」
作曲をしているのは知っていたが、そこまで本格的とは知らなかった。
あまりの多才な能力に驚くと同時に、何故、名前を変えているのかも分からなくて、混乱する。
「うん。まずは、あやまるよ。友達になれないって言って、ごめん。」
「それは、当然だと思います。俺が、近づけたと思って勘違いしただけで。」
「違うんだ。」
「違う?」
蒼衣はヘッドホンを置き座りながら、風灯に予備のイスに座るようにすすめてくれる。
長い話になるということだろうか。
「……幼なじみの友達がいるんだけどね、役者を目指してて、音楽もしてて、何となく背格好まで似ているんだ。」
「はい。」
「風灯は、僕より身長も高いしキャラクターも違う。だから、ライバルになりづらいから気にしなくても良いのだろうけど。ちょっと、悩んだことがあってね。」
そう、話しだした。
もしかして、それが灯台で歩いていた原因なのだろうか。
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