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蝶と、海
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蝶子先生は、選択授業でエンターテインメント論を教えてくれる先生だ。
普段は、千葉のホテルや各地イベントでダンサー件歌手としてパフォーマンスをしている。
体は細いが、よく見ると筋肉がついていて首も女性にしては太く、遠くまで通る安定した声だ。
それなのに、ふんわりとした雰囲気で男女問わず魅了されている。
「みなさん!集まってますね。」
凛とした声で、空気をピシッとさせる。
ハイッと、5人が声を合わせて返事したら、ふんわりと花のように笑う。
緊張と緩和。
場面の切り替えも完璧だ。
「今回、早く登校してもらった理由ですが、……放課後に私が好きな人が来ます!」
一同何を聞いたのか、すぐに理解が出来なくて止まる。
蝶子先生は、少し恋愛体質な所がある。
恋愛が原因で人生を破滅させるのではないかと、みんなと密かに話している。
「すみません。間違えました。皆さんに仕事の依頼をしたい人が来ます。」
「と言うと、この学校でよくある企業コラボですか?」
蓮二が、興味深そうに質問をする。
「芸能部で?演劇部なら分かるけど。」
「ホッホッホッ。ワシの人気かの?」
「あ、施設での催し物とかじゃない?朗読劇とか。この前、ダンス部が行ってたよ。」
「確かに。それ!」
甲介は、サラリと無視をされている。
「詳しくは聞いていないわ。でも楽しみにしていて。放課後すぐにここへ集合よ。絶対に!絶対に!全員参加ね。」
ニコニコ笑いながらステップを踏みつつ、言いたいことだけ言って去っていってしまった。
名前だけ顧問だと言うのに、今日は一日、学校にいるつもりだろうか。
何か昨日の事と重なり嫌な予感がするが、その想像を風灯は脳裏から振り払った。
よくわからない朝のミーティングではあったが、いつものように授業を受け、普通に何事もなく放課後になった。
「朝の蝶子先生、面白かったね。」
「うん。さすが愛に生きる女って感じ。」
女子2人の会話を聞きつつ、うんうん、と心の中で同意して頷く。
「はいはい。そこ、話してないで。みなさん。遅いですよ。」
「ホームルーム終わって、すぐ来ましたけどー。」
「早く一列に並んで!特に風灯くん!」
「何で、俺指定ですか?」
「何でもよ!」
話を聞いてくれないほどのテンションの高さに、みんなと苦笑いをしながら半円になり並ぶ。
入口から静かに入ってきたのは……。
うすうす、そうなんじゃないかと思ってはいたが。
風灯の兄である海灯だった。
「一人を除いて、はじめまして。音羽海灯です。経営コンサルタントの仕事をしております。」
そう言って、海灯は丁寧に挨拶をする。
ちらっと風灯を見て意味深に笑ったのは、見違いじゃないだろう。
嫌な予感は的中するし必然であったな、と風灯は心の中でため息をつく。
「生徒のみなさん。これは仕事の依頼です。」
さっき聞いた通りだ。
あとは店長のクレープ屋との関連性だ。
「今回はあえて演劇部ではなく、芸能部という小規模な部活に来たのには意味があります。」
そうだ。大抵、企業の依頼は他の部活に行って、芸能部に来る事はない。
それなのに何故だろうか。
「はい。」
「君たちの才能を見込んで、お願いしたい事があります。まずは、この企画書を見てくれませんか?」
そう言って、プリントを配っていった。
普段は、千葉のホテルや各地イベントでダンサー件歌手としてパフォーマンスをしている。
体は細いが、よく見ると筋肉がついていて首も女性にしては太く、遠くまで通る安定した声だ。
それなのに、ふんわりとした雰囲気で男女問わず魅了されている。
「みなさん!集まってますね。」
凛とした声で、空気をピシッとさせる。
ハイッと、5人が声を合わせて返事したら、ふんわりと花のように笑う。
緊張と緩和。
場面の切り替えも完璧だ。
「今回、早く登校してもらった理由ですが、……放課後に私が好きな人が来ます!」
一同何を聞いたのか、すぐに理解が出来なくて止まる。
蝶子先生は、少し恋愛体質な所がある。
恋愛が原因で人生を破滅させるのではないかと、みんなと密かに話している。
「すみません。間違えました。皆さんに仕事の依頼をしたい人が来ます。」
「と言うと、この学校でよくある企業コラボですか?」
蓮二が、興味深そうに質問をする。
「芸能部で?演劇部なら分かるけど。」
「ホッホッホッ。ワシの人気かの?」
「あ、施設での催し物とかじゃない?朗読劇とか。この前、ダンス部が行ってたよ。」
「確かに。それ!」
甲介は、サラリと無視をされている。
「詳しくは聞いていないわ。でも楽しみにしていて。放課後すぐにここへ集合よ。絶対に!絶対に!全員参加ね。」
ニコニコ笑いながらステップを踏みつつ、言いたいことだけ言って去っていってしまった。
名前だけ顧問だと言うのに、今日は一日、学校にいるつもりだろうか。
何か昨日の事と重なり嫌な予感がするが、その想像を風灯は脳裏から振り払った。
よくわからない朝のミーティングではあったが、いつものように授業を受け、普通に何事もなく放課後になった。
「朝の蝶子先生、面白かったね。」
「うん。さすが愛に生きる女って感じ。」
女子2人の会話を聞きつつ、うんうん、と心の中で同意して頷く。
「はいはい。そこ、話してないで。みなさん。遅いですよ。」
「ホームルーム終わって、すぐ来ましたけどー。」
「早く一列に並んで!特に風灯くん!」
「何で、俺指定ですか?」
「何でもよ!」
話を聞いてくれないほどのテンションの高さに、みんなと苦笑いをしながら半円になり並ぶ。
入口から静かに入ってきたのは……。
うすうす、そうなんじゃないかと思ってはいたが。
風灯の兄である海灯だった。
「一人を除いて、はじめまして。音羽海灯です。経営コンサルタントの仕事をしております。」
そう言って、海灯は丁寧に挨拶をする。
ちらっと風灯を見て意味深に笑ったのは、見違いじゃないだろう。
嫌な予感は的中するし必然であったな、と風灯は心の中でため息をつく。
「生徒のみなさん。これは仕事の依頼です。」
さっき聞いた通りだ。
あとは店長のクレープ屋との関連性だ。
「今回はあえて演劇部ではなく、芸能部という小規模な部活に来たのには意味があります。」
そうだ。大抵、企業の依頼は他の部活に行って、芸能部に来る事はない。
それなのに何故だろうか。
「はい。」
「君たちの才能を見込んで、お願いしたい事があります。まずは、この企画書を見てくれませんか?」
そう言って、プリントを配っていった。
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