270 / 450
寵姫ローザと国王陛下の婚約者
270
しおりを挟む
実の所、国王陛下の婚約者で正妃となる伯爵令嬢フローラが後宮入りするという事実は私も不安を感じていた。気の強いフローラが正妃となり、寵妃という立場の私が目を付けられ不興を買えば、どのようなことになるか分からない。しかし、それをセリナに告げれば余計な心配をかけるばかりだろう。
私の身を案じるセリナをなだめていると茶髪の侍女ジョアンナがやって来た。そろそろ時間ということでセリナが帰るのを見送ってから、ジョアンナと共に後宮の自室に戻った。壁際にある大きな姿見鏡に映る自分の姿を眺めながら考える。
「まぁ、私はあまり外に出ないし……。後宮に入ると言っても、フローラと会う機会なんてそんなに無いはずよね」
一人呟いた時、扉がノックされた。侍女ジョアンナが扉を開けると白髪の王太后付き女官長ゾフィーが入室してきた。
「これはゾフィー様、何か?」
「寵妃ローザ。王太后リオネーラ様がお呼びです」
「え、リオネーラ様が!?」
後宮で最も身分が高い王太后様に呼ばれたなら、何があろうとも即座に行かねばならない。私は白髪の王太后付き女官長に先導され、侍女ジョアンナと共に長い廊下を歩き王太后リオネーラ様の部屋へと向かった。そして王太后付き女官長が、ひときわ大きな扉の前で立ち止まりドアをノックした。
「リオネーラ様。寵妃ローザを連れてまいりました」
「入りなさい」
扉越しに入室の許可が下りると、白髪の王太后付き女官長はゆっくりと扉を開けた。促されるまま部屋に入ると広い居室にはオーク材で造られた最高級の調度品や青磁器の壺などが置かれ、壁には美しい絵画が飾られている。
そして部屋の中央、紫色のドレスを身にまとった金髪金目の王太后リオネーラ様がクリスタルガラスのシャンデリアの下で悠然と皮張りのカウチソファに座っていた。そして、そのかたわらには先ほど遭遇した赤髪の伯爵令嬢がいた。
伯爵令嬢フローラと会う機会はあまり無いだろうと思っていた矢先、王太后の部屋で再び会うことになろうとは夢にも思っていなかった為、内心は驚いたが表面上は取りつくろい私は何事も無かったかのように王太后リオネーラ様に頭を垂れた。
「ローザでございます」
「寵妃ローザ、よく来ました。今日からレオンの婚約者である、フルオライト伯爵家のフローラが後宮に入ることは知っていますね?」
「はい。存じております」
「そなたを呼んだのは他でもない。後宮で暮らすハーレムの女とはどのような存在であるべきかということを改めて、そなた達に伝えておこうと思ったからです」
「え?」
思いもよらない話題に戸惑ったが、王太后リオネーラ様は私と赤髪の伯爵令嬢を見つめ金色の瞳を細めた。
私の身を案じるセリナをなだめていると茶髪の侍女ジョアンナがやって来た。そろそろ時間ということでセリナが帰るのを見送ってから、ジョアンナと共に後宮の自室に戻った。壁際にある大きな姿見鏡に映る自分の姿を眺めながら考える。
「まぁ、私はあまり外に出ないし……。後宮に入ると言っても、フローラと会う機会なんてそんなに無いはずよね」
一人呟いた時、扉がノックされた。侍女ジョアンナが扉を開けると白髪の王太后付き女官長ゾフィーが入室してきた。
「これはゾフィー様、何か?」
「寵妃ローザ。王太后リオネーラ様がお呼びです」
「え、リオネーラ様が!?」
後宮で最も身分が高い王太后様に呼ばれたなら、何があろうとも即座に行かねばならない。私は白髪の王太后付き女官長に先導され、侍女ジョアンナと共に長い廊下を歩き王太后リオネーラ様の部屋へと向かった。そして王太后付き女官長が、ひときわ大きな扉の前で立ち止まりドアをノックした。
「リオネーラ様。寵妃ローザを連れてまいりました」
「入りなさい」
扉越しに入室の許可が下りると、白髪の王太后付き女官長はゆっくりと扉を開けた。促されるまま部屋に入ると広い居室にはオーク材で造られた最高級の調度品や青磁器の壺などが置かれ、壁には美しい絵画が飾られている。
そして部屋の中央、紫色のドレスを身にまとった金髪金目の王太后リオネーラ様がクリスタルガラスのシャンデリアの下で悠然と皮張りのカウチソファに座っていた。そして、そのかたわらには先ほど遭遇した赤髪の伯爵令嬢がいた。
伯爵令嬢フローラと会う機会はあまり無いだろうと思っていた矢先、王太后の部屋で再び会うことになろうとは夢にも思っていなかった為、内心は驚いたが表面上は取りつくろい私は何事も無かったかのように王太后リオネーラ様に頭を垂れた。
「ローザでございます」
「寵妃ローザ、よく来ました。今日からレオンの婚約者である、フルオライト伯爵家のフローラが後宮に入ることは知っていますね?」
「はい。存じております」
「そなたを呼んだのは他でもない。後宮で暮らすハーレムの女とはどのような存在であるべきかということを改めて、そなた達に伝えておこうと思ったからです」
「え?」
思いもよらない話題に戸惑ったが、王太后リオネーラ様は私と赤髪の伯爵令嬢を見つめ金色の瞳を細めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,834
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる